私、ウォルマ・レグートが運営する商店は、地元に根差した商品を取り扱う、そこそこ大きな店だ。立地も最高。しかし、最近日本の「E-ON」とか言う店が一キロほど離れたところに店を出したんだ。広い店舗を確保できないから、取り敢えず古い工場を買い取って改装した店だ。
「ウォルマさん、小麦をくれないか」
「はい、わかりました」
しかし、住民たちはまだ自分の店によく足を運んでくれている。
しかしある日のことだ。
「あれ?婆さんそれ、どこで買ったんだ?」
「ん?ああこれかい?E-ONよ、今日だけ安いみたいなの」
婆さんの押す手押し車には、溢れんばかりの生活雑貨や食料が積まれていた。
その日から、客足が減っていったんだ。
翌月には売り上げは2割減り、翌々月にはさらに3割売り上げが減ったのだ。しかし、私は商売を続けた。まだ私の店に来てくれる人はたくさんいたからだ。
しかし現実は残酷だった。私の友人のやっていた店が、日本の企業の傘下に入ったというのだ。友人の店は遠方で生産している品を取り扱っていた。
そこからひとつ、またひとつと個人の商店が日本の企業の傘下に入っていった。
半年がたち、私の店も経営がずいぶん傾いた。すでに大きな倉庫3つのうち2つには商品は入っていない。あと一月もすれば閉店待ったなしだ。
そんなときだ。日本の企業が私に接触してきたのは。
「はじめまして、ウォルマ・レグートさん。私、日本企業のE-ONのムー営業部の仮営業部長、尊田誠ともうします。本日はお願いがあり参らせて頂きました」
「お願いって、あんたらがやるのは買収だろ?今まで知り合いの店を潰してきたのってあんたたちだよな?」
日本企業は圧倒的な技術力と輸送力で、ムー企業からシェアを奪っている。特にここマイカルでは、ムー企業の買収が盛んに行われている。
「いえ、私どもが今回参りましたのは、買収の話ではなく、ウォルマさんをE-ON のムー営業部長へとスカウトしに来たのです」
「私をスカウト、ですか?何故私を?」
今じゃ客もほとんど来ない商店の店主だぞ?
「いえ、実は我々のグループに入った方々からウォルマさんの話を聞きまして」
「あいつらから話...?」
「はい、この周辺一帯の小さな商店は、ウォルマさんの店から独立したり、支援をもらったりしているものがほとんどだと聞きました」
「確かに私が世話をしていたものが多いが、それで?」
「何故、そんなことをなさっていたのですか?ウォルマさんにとっては損でしかないでしょう?」
損しかない、か。日本の連中はわかっていないな、地元に根ざした店の心構えを。
「例えば、そちらの故郷に、店が全然なかったとする。ずっとあるいた先に一軒だけポツンとある。そんな状況をどう思う?」
「それは不便ですね。一軒しかないと少ない種類のものしか変えませんし」
「私はそれが嫌だったのだ。遠くに大きな商店ではなく、すぐ近くで小さくても良いから商店を。そうすればお客の負担も減るし、我々だって一定の顧客を確保できる。地元に根ざした店を。それが私の信条だ」
私の自論を聞くと、日本人は少しうつむいた。
「ウォルマさん、あなたのお話、非常に感動しました」
「なんだ?意味がわからないが?」
「いえ、目が覚めましたよ。顧客のことをまず考える。もっとも大事なことであるはずなのに...」
そういうと、足早に立ち去っていった。
さて、その後だが、実は一度店を畳んだ。さすがに商売を続けていくのは難しかったし、時代の流れはどうしようもないからだ。
しかしその3か月後、日本の大手商社が私に接触してきたのだ。日本の品を販売しないかと言うことだった。その代わり、私の持つ倉庫を2つ貸して欲しいと言うことであった。
私にとってもそれは渡りに船であり、新たな出発点となった。
「では、本日より、ウォルマショップ、エジェイ店を開店いたします」
パチパチパチパチ......
ムーの企業、ウォルマショップ。世界中に支店を持つムーでも随一の巨大企業は、日本のE-ONなどに匹敵する企業へと成長したのであった。地元に根ざした品揃えと対応は、全世界で高い評価を得ているのだった。
なんか倒産するのを書くのは難しいですね。結局ウォルマさんもセーフです。
あと文章の形が似てきてますね。ここらで一捻り欲しいですね...シリーズものとか。
皆さんはどうですか?