日本国召喚 マイカルの日常   作:KAIZU

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いつもよりちょっと長めです。


ライナーク建設

 ムーの建築技術は、第二文明圏では間違いなくトップであり、また神聖ミリシアル帝国並みと言われていた。

 

 

 日本と国交を樹立してからしばらくして、日本の企業がマイカルにムーでの拠点を設けだした。単純に東部で最も発達した都市であったからである。

 しかし、そこで問題になったのは電力供給であった。日本製品が出回ることで、電気を使う機械が増えたのだ。今のままでは将来的にも電力に不安があるとムー政府が判断。日本側に発電所建設を依頼した。ただし、営業運転開始までは少なくとも4年の歳月が必要と試算された。

 それまでは、天候により安定はしないもののある程度の供給が満たせる五菱重工製の大型風力発電を使用する。一機の発電設備(直径95m、2400キロワット級)で1日600-800世帯の電力が賄える。それを5機ずつ4ヶ所設置し、それと同時に変電所の建設、また日本の企業までの電線の整備を行う。

 しかし新世界技術流出防止法(以下、新世界技防法)により、発電所周辺は日本の租借地とし、毎年賃貸料を支払うという契約になった。ムーは自国民用の電線を整備することとなった。

 

 

 

 マイカル東部海岸地域

 

 

 ここでは今、ムー初となる20万キロワット級の石炭火力発電所が建設されていた。現在工事は発電所本館の基礎杭を打設する段階であり、まだ10%程度しか進んでいなかった。

 建築資材は基本的に日本から持ち込み、生コンクリートや施設周囲の柵はムーで製造していた。

 しかし日本のものと違い、ムーの製造した製品は品質が悪かったり、寸法が10cm近く異なっているなど、日本側としては容認できないものばかりであった。

 

「日本の機械はすごいな。あんな巨大な建設用の機械なんて見たことない」

 

「建材もでかいな。一体何メートルあるんだろ?」

 

 ライナーク建設は、古くから貴族の館や、市庁舎を建設してきたマイカルでもトップクラスの老舗だ。今まで発展してきたのは、ひとえに新たな技術開発のたわものであった。

 しかし、日本が現れた。日本は圧倒的な資本力と技術力で巨大な建築物をあっという間に完成させている。

 

 今ライナーク建設は、火力発電所の付近に鉄道の駅を建設していた。石炭の運搬用だ。それにあわせて、日本企業のオフィスビルが複数建設されている。しかし新しいビルではムー企業は受注できなかった。日本の企業からしてみれば、技術力の劣るムーの企業に依頼する理由がなかった。

 ただし、ムー政府は、日本企業に研修生受け入れを義務付けた。日本企業がただ進出してくるだけでは、ムー企業が苦しくなるだけだからだ。

 

 

「おいそこ!余計なこと言ってないで手を動かせ!」

「は、はい!」

「すみません!」

 

 日本の建設会社は作業が早い上に丁寧に作る。ライナーク建設の研修生はひとまずコンクリートの作業を行っていた。ムーも一応コンクリートはあるので、それくらいは問題がないと判断されたからだ。もちろん日本人の監督のもと作業を行っている。

 

「川内さん、これで問題ないですか?」

「ああ、作業もスムーズだった。まあ口は動かしてもいいから手を止めないようにな?」

「「す、すいません...」」

「じゃあ昼飯食べてきな。そろそろ昼休みだ」

 

 現在このビル周辺は人が多く集まっているため、仮仮設の店舗や屋台が多い。中にはプレハブで店舗をたてた企業もある。工事関係者向けのプレハブのホテルや宿舎(短期間で建てられる)も多く建てられている。

 

「さてオーラン、今日はどうする?」

「んー、俺はなんでもいいや。サーンズは?」

「そうだな。sobaなんてどうだ?日本の名物だそうだ」

 

 

 

 名代宇治そばマイカル東店

 

日本でも有名なそばチェーン店に入った二人は、メニューを見てすぐに選んだ。

 

「では僕は天玉そばで」

「私は肉宇治そばで」

「かしこまりました。天玉そば1、肉宇治そば1で注文よろしかったでしょうか」

「「大丈夫です」」

 

 

 しばらくして、湯気をたてながらそばが運ばれてきた。

 

「お待たせしました、天玉そばのお客様」

「こちらが肉宇治そばになります。ごゆっくりどうぞ」

 

 日本のチェーン店なので、箸を使うが、二人はこの現場に来て二ヶ月たつのですでに慣れていた。

 七味をかけて、箸をつける。

 

 ズルズルズル...

 

 

 

 

 気づくと、全部食べてしまっていた。

 日本の食事は美味しいものが多いが、そばもまた素晴らしい。ピリッと辛い七味とそばの絶妙なバランスが「うまさ」を成り立たせていた。

 

「いやー、うまかったなぁ」

「ああ、良い味だった。卵を最後に食べるとちょっと温かくなってな」

「今度はそっち食べてみようかな」

 

 

 

 時間はまだ残っているが、二人は現場に戻る。わざわざ時間を無駄にする必要はない。早い人はもう作業を再開している。それを見学して、頭に叩き込む。二人はムーの建設技術発展のため、遊んでいる暇などないのだから。

 

 

 




日本企業で研修に励むムーの人。
原作ではあまり語られていないですが、絶対ムー側は法整備しますよね。関税かけたり、技術始動の要請だったり。そうじゃないと本当にムー企業が倒産しまくりですよ。幸いなのはムーは敵対的でないところですね。
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