ノイズ。人類共通の脅威とされる認定特異災害。触れた者を己もろとも炭化してしまう恐ろしい存在。
授業中に母が死んだと聞かされた。死因は、ノイズによるものだった。買い物中に襲われ、死んでしまったらしい。
冗談だと思った。だって、朝からずっとニコニコしていた。昨日だって、悩ましそうに服を選んでいた。
私は特別に早退させてもらった。私としては、授業を受けて居たかったのだが。
念の為持たされていた家の鍵を使い、家の中に入る。家の中は電気が付いていて明るいが、雰囲気は決して明るいものとは言えなかった。
自分の部屋に入ってベッドに横たわる。今日もおりんの配信がある、それまで寝ていよう。
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時計のアラームが鳴る。19:40に設定していたはずだから、今は7:40なのだろう。
お腹が空いた。早退してから何も食べてない。途中で起きても無理矢理意識を眠らせたから、あまり動いてないはずなんだけどな…。
冷蔵庫からいくつか食材を取り出し、自分で軽食を作り始める。料理は出来ない訳じゃない。けど、母の方が上手いし早いので、母に任せっきりだっただけだ。
「…いただきます」
少なめの野菜炒めを作り終え、さっさと食べ始める。…お母さんが作った方が、やっぱり美味しいなぁ…。
野菜炒めを食べ終え、食器を片付ける。時計を見ると7:55を示していた。
20時から配信開始なので、自分の部屋に行っておりんの配信を見る準備をする。パソコンを開き、待機する。
20:00になり、配信が始まる。
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「2人とも大丈夫?」
「大、大、大、大丈夫です」
「………………」カタカタ
現在、私はかの有名な『ツヴァイウィング』の「風鳴 翼」に、同じクラスの加賀美 詩織さんと一緒に引っ張られていた。
正直心臓がバックバック言っている。ツヴァイウィングのファンではないが、テレビでよく見かける超有名人なので、自然と緊張する。
ちなみに、私は緊張すると口が全く動かなくなって本気で頑張っても人に怒られるレベルの小声しか出せません。
そういえば、おりんは翼さんの大ファンだったね。なんかおりんに悪い気がする。
隣で一緒に引っ張られてる加賀美さんは、とても震えている。私と同じで緊張してるのかな。
「2人とも大丈夫?とてもその、震えているようだけど」
「大丈夫です、私はクソザコプリンなので震えるものなのです」
「………………」カタカタ
「そのクソザコプリンとは何かわからないけど、その急に呼び出してごめんなさい。けれど大事なことなの」
「大丈夫です。誰にも言いませんし、この事は心に秘めて墓場にまで持っていくつもりです」
「………………」カタカタ
「妙に覚悟が決まってるわね。あと、織田さん本当に大丈夫?」
「だだ、大丈夫…です…」
心肺が停止する。全然大丈夫じゃない。全身の毛細血管が破裂しそうです。
それより、大事な事ってなんだろう。どうして、私と加賀美さんの2人なのだろう。
加賀美さんの声って、おりんの声にめっちゃ似てるな〜。…もしかして本人?……いや、考えないでおこう。それだったら緊張が限界突破して体が蒸発しそうです。
少し歩いただけのはずなのに、私の全く知らない廊下を歩いていた。ここって本当に学校?研究所っぽいけど…。
「来たわね」
「「来たわよ」」
「来たのね」
「何してるんですか3人とも……」
緊張のあまりにおりんが配信で使ってる定型文を使ってしまった。普段から使いすぎですね、はい。というか、この人も反応してきたよね?あとなんで加賀美さんとハモった…?
「ようこそ、加賀美 詩織ちゃん、織田 志乃ちゃん。詩織ちゃんはそれとも、「おりん」がいいかしら?」
「あ゛っ……」
その時、私の緊張が許容範囲量を一気に突破しました。
私はいきなり意識がブラックアウトしました。解せぬ。