アニメ声クソザコリスナー装者の話   作:風峰 虹晴

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一週間遅れてすみませんでした。


欲望or後悔

 歌っていうのは、自分の感情を表現する為の一つの方法。

 例えば、自分が悲しい、というのを表現するには、短調を使い、そこに加え歌詞で表す。

 とまあこんな風に、歌は思わずしても感情が表れる時がある。

 

 モニター越しに映るのは、目を覆い隠すバイザーを持つ、紫が主色のギア。そしてそれを纏っているのは、立花さんにとっての「ひだまり」、小日向さんだった。

 目が隠され、表情がわからない小日向さんの口から紡がれるのは、無垢にして苛烈な歌。そこからは、表情からはわからない「感情」が感じ取れる。

 

 クリスさんはソロモンの杖によるノイズ達と、その広範囲殲滅能力で戦っている。

 翼さんは、持ち前の対人戦闘能力で敵装者との戦闘を行なっている。

 

 …え?私ですか?私はですね…

 

「ハァ…ハァ…あ゛ぅッ…!」

 

「織田さんの身体に異常発生!身体の一部の機能低下!」

 

「対症療法を中心に!急いでください!」

 

「Linkerの使用も視野に────」

 

 メディカルルームです。絶賛悶え苦しんでいます。

 

 ……いやぁ、やっちゃった☆…スイヤセン…油断して派手にやられたノンノ…。

 私とレーちゃんは、Unite状態で出撃。延々と出るノイズにクリスさんと共に対応する為に戦っていました。

 選出理由は…まぁ、私が対人戦よりも対ノイズ戦闘の方が経験豊富で得意だからですね。後、クリスさんの苦手な近距離戦闘をカバーする為。

 

 そうしたらですね、出会っちゃったんですよ…小日向さんに…。

 勿論、小日向さんを奪還すべくして交渉は持ちかけたんですが…決裂。

 止めるべくクリスさんは継続してノイズ戦。私は小日向さんとの戦闘に赴いた。

 

 …食らっちゃったの。ガッツリと。体の中心も中心に。小日向さんのギアのレーザーを。

 説明しよう!小日向さんのギアとなった聖遺物「神獣鏡」は、呪や凶を祓い、「あるべきカタチを写し出す」というチカラを持っている。

 まぁざっくり説明すると、シンフォギアを分解することができる…有り体に言えば、シンフォギア特攻なんですわぁ。

 …うん、もう一度言う。それをガッツリ喰らっちゃったの。

 

 私はシンフォギアであると同時に、織田志乃でもある。それは体が置き換わったのではなく、100%人間と100%シンフォギアが溶けて混ざって、一つになった。

 故に、咄嗟に私の側面を思い込みで強くした。それは、自分を守る為。そしてそれよりも、レーちゃんを守るため。

 

 だから、私自身が分解されたわけではない。けど、ギアの装着は過負荷で強制解除。戦闘続行どころか重体となり緊急回収。こうしてメディカルルームに運ばれている。

 

 意識はギリギリ保っているけど、ぶっちゃけた話辛い。痛みと体が解されていく感覚を味わった。あと迷惑かけた緊張でも意識飛びそう。

 それよりもレーちゃん。レーちゃんはも同時に大ダメージで即ダウン。今は実体を保てず、体を休めている。

 

 でも大丈夫。見えないし、聞こえないし、触れもしないけど、レーちゃんは、確かに無事だ。それがわかれば、私にとっては万々歳だ。

 

 小日向さんは、何処かに向け移動している。

 もう、それを止めることができるのは、立花さん。そして…

 

『あのエネルギー波を利用して未来君のギアを解除するだとォ!?』

 

『私がやります!』

 

 念の為付けている通信機から、司令と立花さんの声が聞こえてくる。

 

『現在の響ちゃんの活動限界は2分41秒になります!』

 

 2分41秒。全部秒数に直すと161秒。戦闘に置いては超が付く程の短期決戦といっても過言ではない。

 

『たとえ微力でも響ちゃんを私達が支える事ができれば、きっと』

 

 支え。それは肉体の負担を軽減するだけでなく、精神をも頑強にする強固な柱。

 私にとってのレーちゃん。そしてきっと、レーちゃんにとっての私。そして、密やかな心の支え、おりん。

 改めて考えてみると、私も色々なモノに支えられているなぁ。

 

『司令、私も行きます。こういう時に支えあうのが仲間、でしょう?』

 

 ヴェッ!?あいだっ!

 

「織田さん、安静にお願いします」

 

「スイマセン…いつつ…」

 

 驚いて思わず体を動かしてしまった…。非常に申し訳ない…。

 

『加賀美くん!聞いていたのか!!』

 

『今日ばかりは、ちゃんと事前相談して、頼って、ちゃんとやりとげますよ』

 

『待って、どうやって聞いていたの?』

 

『まぁ、その辺りは私の秘密ですよ…』

 

 え、待って。それで済ませるの?あからさまに何かルールの外側から干渉しているのに?

 

『…それよりも、立花さんをサポートする事に徹します。それならいいですよね?』

 

『……勝算はあるのか、響くん!加賀美くん!』

 

『思いつきを数字で語れるかよ!』

 

『信念を持って、やり遂げるまでです』

 

 ッつ……。こうしてメディカルルームで呻きながら通信を聞いていると、何もできない自分がいることが、とても悔しい。

 

 いつもなら、レーちゃんが私のことを励ましてくれるのにな…。

 加賀美さんと立花さんは、出撃の為に恐らくハッチへ向かった。

 作戦の内容は小日向さんの奪還…救出といってもいい。

 

 映像に破壊された米軍の軍艦。そして、3人の装者の姿が。

 

 そして、海上での交渉が始まる。通信を切っているからか、3人の会話は聞こえない。

 少しすると、立花さんと加賀美さんの体に、それぞれのギアが纏われる。

 

 そして、戦闘が、始まった。

 立花さんが詰め寄る。レーザーが放たれる。それを立花さんのギアのようになった加賀美さんがレーザーを放ち、それを相殺する。

 近距離になると、立花さんの拳と小日向さんの扇がぶつかり合う。

 2分41秒。既に戦闘が始まってから数十秒が経っている。

 

 レーヴァテインのペンダントを見る。紅い輝きはどこか暗い。

 それはレーちゃんが眠っていることを示しているのか。それとも…私自身の気持ちなのか。

 立花さんの活動限界まで…残り1分半。行動するかしないか。どちらにせよ、もう時間はない。

 

 あァァァァァァァァ!!こういうとき、レーちゃんがいてくれたら迷わないけどなぁ!!

 

「んんんんんん!!すみません!!」

 

「え゛ッッ!!?ちょっと織田さん!?」

 

 私はメディカルルームを抜け出す。腕に刺してもらってた点滴やら貼ってもらってた電極やらを一思いに全部外して、走り出す。

 手に持つレーヴァテインのペンダントが、とても熱くなっている。走りながら握る手が、火傷しそう。

 けど、離さない。離さないって約束したから。絶対に離せない。

 

『織田くん!一体何をしているんだ!?』

 

 通信機から司令の声が聞こえて来る。その声には驚きと、少しの怒りが含まれている。

 

「……後悔したくないんです!」

 

『何?』

 

「ここで何も出来ずに!知らないところで人が消えるのは!もう嫌なんです!!」

 

 私は走りながら叫ぶ。脳裏にはいつも心の支えとなってくれたおりんが、消えるビジョンに、私のお母さんがいなくなったと知ったときの気持ちが、リンクした。

 自分の中に起こる拒絶反応。その未来だけは、阻止したいと私が、レーヴァテインが叫ぶ。

 

「ほんの少しだけでいい!助けになりたいんです!」

 

『…策はあるのか?』

 

「!はいッ!」

 

『なら行ってこいッ!そして、後でたっぷりと叱ってやるからな!』

 

 それは出来れば勘弁してほしい。

 

 しかし、後押しを貰った。なら、考えをキッチリと具現化させて、私が少しの支えになるんだ!

 

「──────────♪」

 

 聖詠を詠う。

 

 変わる。変わっていく。

 

 眠っているはずのレーちゃんは、私の詠に応えてくれた。

 

 歌いながらギアの出力を上げ、全力で走り続ける。

 もう少しでカタパルト。そしてその外で……3人が戦いあっている。

 時間はないから、準備をとっとと押し進めて行こう。

 両手両脚のギアに連結されている8本のコードを右腕のギアに全接続。左手両脚のギアを分解。そのままリソースを右腕に回す。

 

 レーヴァテインってなんだ?世界を滅ぼす炎?巨人スルトが手に持つ剣?

 合っている。だがそれはあくまで同一視されていて、それが有名になっただけであるだけ。

 その本質は「剣」しかり「杖」。

 ならば杖ならば、私だって補助ができるッ!!

 

 外に出た。外では立花さんと加賀美さんが苦戦を強いられている。

 

「ッ!?織田さん!?どうして!?」

 

「わっ私だけが、何もしないわけにはいかないでしょうよォォォォォォォォォォ!!」

 

 私は地上から、右腕を前に構える。

 照準機なんてものはない。何せ急ごしらえの焼き付け刃。でもこれは銃ではなく「杖」。故に

 

「ファイッッ!!」

 

 右腕に作られた発射口から、複数の炎弾が放たれていく。小日向さんから光が放たれるが…打ち勝つ、までとはいかないが、相殺した。

 

 やったッ!これなら負担を軽減できるッ!

 

 私は炎弾を撃ち続ける。狙いはかなり甘い。けど立花さんと加賀美さんの邪魔にだけはならないよう、撃ち続けた。

 

 残り時間が30秒を切った。私の体も正直限界。見たところ立花さんも加賀美さんも限界だ。

 

「立花さんッッッ!!」

 

 私は叫ぶ。それと同時に右手のギアを解除して通常通りの形態に。

 蒸気を限界まで噴射して、上空に上がる。体が、ギアが、レーヴァテインが、悲鳴を上げ続ける。

 

 レーちゃんごめん…あともうちょっと、一緒に頑張ろう!

 

「織田さん!?何をッ!?」

 

「行ってきたくだ……さいッッッッッッ!!」

 

 私は浮き上がりながら体を蒸気を使って全力回転。そして、全速になったタイミングで、立花さんが私のところまでくる。

 ───一閃。呼び出した大剣の腹で、立花さんに向かい剣を振る。

 咄嗟の判断だろう。立花さんはそれをしっかりと踏み、剣の勢いに、自分の跳躍力をプラスしてくれた。

 加賀美さんが…おりんが、ブースターを吹かし、更に加速する。

 それは3種の力が合わさった、奪取の弾丸。3種の高熱を纏って、取り戻すべきものに手を伸ばす。

 

「未来ッ!!」

 

 立花さんは、小日向さんに抱きつく。

 

「離して!」

 

 小日向さんはそれを拒否するように、叫んだ。

 

「嫌だ!」

 

 それを拒否するように。閉ざされた茨を引きちぎるが如く、咆吼する。

 

「もう二度と!離さない!!」

 

 瞬間、立花さんと小日向さんを中心とする光。それは渦を巻いて、加賀美さんを、私を巻き込んでいく。

 

 点滅、明滅、暗転、明転。視界が想像以上の光に包まれたが故に、バグを起こす。

 私は残りの力で、ペンダントを───レーちゃんを守る。

 

 絶対に、離さないッッッッッッ!!

 

 そして、新たな光と共に、私の意識はブラックアウトした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ペンダントには、一筋の亀裂が走った。




次回は恐らく明日投稿です。

質問・感想等お待ちしております。
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