アニメ声クソザコリスナー装者の話   作:風峰 虹晴

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我ら日陰のダンゴムシ!

 配信者「おりん」という存在に出会ったのは中学校の頃。おりんが初配信をした頃からずっと「おりん」という存在を知っていた。

 母や親戚から貰ったお金を全く使わず、貯めていた。それを使い、親の許可を得てパソコンを買った。そして、好奇心から手を伸ばしたのが「おりん」だった。

 本格的に「おりん」の配信にのめり込むようになったのは、おりんが本性を現した頃だった。

 おりんの醸し出す闇に、私は深く共感し、いずれ心地良いと感じ、それなしには生きる希望が無くなる程のめり込んだ。

 昔からメンタルが弱く、小学校の頃までよく緊張から失神していた。保健室にいる時間は他の生徒よりも明らかに多かったと思う。

 人付き合いも苦手で、いつからか1人である方が心地良かった。

 おりんと私達がいる日陰は、それらを許容してくれる非常に心地良い場所だった。

 今は母だっていない。だが問題はない。私には「日陰」がある。「日陰」こそが私のいるべき場所なのだ。

 けど日陰に多すぎる人達はキャパオーバーだ。日陰はひだまりより狭い。

 今日もおりんが配信を開始する。…待機人数多いな!見てるこっちが失神するわ!

 

『こんばんおりん~今日はねぇ初めての人を振り落とす為にバンバン攻めていきますからね、ここから先は闇の世界だと知るがいい』

 

 初見さんや新規さんのコメントに紛れ、「きたないおりんだ!」「萌え声に釣られた人間よ知るがいい、これがおりんだ」「汚りん」の私達のコメントが紛れて流れる。流石おりん、絶妙な闇、ありがとうございます。

 おりんがプレイしているゲームはR-17指定の名作FPS。多分初見さんや新規さんを振り落とすつもりかな?やるなぁ。

 ゲーム内ではおりんが操作するキャラが次々とゾンビ達の頭を潰していく。うーん、グロいなぁ…。まあ見慣れた光景ではあるんだけど。

 

『私の~暴力性をですね、皆さんに御見せしようと思いまして、ええ、こうしてこうしてやりますからね』

 

 ゲーム内で次々と敵を潰していくおりん。プレイも容赦なく画面酔いを気にせずピョンピョン跳ねる。私達じゃなくておりんが酔わないかが心配だなぁ…。過去に吐いたし。

 コメントをちょくちょくしながら見ていると、いつの間にか0:00を過ぎ、日付が変わっていた。まだ10000人程の大人数が視聴していた。

 

『私はただの萌え声生主じゃあありません、闇の萌え声生主です。石の下のダンゴムシ達の為の日陰、太陽の下に生きる者には不要な存在です』

 

 そうか、私達はダンゴムシだったのか(納得)。

 コメント欄では「俺達はダンゴムシだったのか…」「おっそうだな」「今日は翼さん来なかったな」等のコメントが流れる。

 翼さん目当ての人まだいるのかぁ…。そういえば、校門のところで翼さんとかがm…おりんは何を話していたのだろう。

 

『それと先日の翼さんの件はちょっと抗議しましたからね!期待しても無駄ですからね!』

 

 あっ、あれ抗議してたんだ。というか抗議するのか…(焦り)。

 コメント欄も「抗議していくのか(驚愕)」「DEEP†DARK†ORIN」「翼さんに媚を売れ」等の反応が多く見られる。

 それにしても、思ったよりも人数減らないね。私達みたいなのが多かったのかな?

 配信開始してから3時間が経過した。視聴人数は10000程。結局2000人程度減ったんだね。

 

『まぁ今日はこんな時間まで一万ものダンゴムシさんがね、付き合ってくれましたが、このバズりが落ち着くまで振り落としていくから覚悟しとけよ~?』

 

 リスナー=ダンゴムシの方程式が確立しつつあります。

 コメント欄では「ふりおとさないで」「よく訓練されたダンゴムシが残る」「草」「自分からリスナーを減らしていくのか(困惑)」と流れる。

 私は振り落とされんぞ、絶対にな。でも緊張感が抜けないこの人数は勘弁してください、何故か私が失神します。

 

『じゃあ次回はBLゲー実況すっか~!!』

 

 ヤメロォ!(建前)ヤメルォ!!(本音)正直私はそれに耐性がないんだ!

 コメント欄も「やめて」「ゆるして」「やめてくれよ」「勘弁してくれ」「翼さんに汚いものをみせるな」と阿鼻叫喚になっていた。わぁ、みんなの心が1つに(ヤケクソ)。

 

『じゃ、覚悟しとけ~?』

 

 おりんはそう言って配信を終了した。

 私は今日の「お仕事」について思い出した。

 シンフォギアを纏って、歌いながら動くのは疲れる。歌うのにも集中力を使わなきゃいけないから、頭をよく使う。同時並行が得意でよかった…。

 でも、これだけで10万円貰うことについては、少し首を捻った。正直実感は全然ない。少しだけ申し訳なくなる。

 明日も学校だし「お仕事」もある。もう寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日の朝の校門には、人だかりは出来ていなかった。

 授業中、私は単位を落としたくないので真面目に授業を受けている中、ふと加賀美さんを見ると、結構堂々と居眠りしていた。あぁ、やっぱり加賀美さんは、「おりん」なのか。

 加賀美さんの目の前で失神はしたが、リスナーだということは言ってない。…あれ?バレてはない…よね?

 授業を終え、放課後。私は加賀美さんが「お仕事」に行こうとするのを見かけたので、私も加賀美さんに鉢合わせないようにちょこちょこと着いていった。

 そして、地下に続くエレベーターに到着する。流石に待つのは時間がかかるので、加賀美さんと一緒にエレベーターに乗る。エレベーターの中には、翼さんもいた。

 

「こんにちわ翼さん」

 

「……あぁ、加賀美と織田か」

 

「こ、こんにちわ、翼さん」カタカタ

 

 加賀美さんが私の方をバッと見る。えっ、まさか気付かれてなかった!?ショックなんだけど!?

 私今、失神しそうなのを壁にもたれかかって耐えてます。カタカタ震えてしょっちゅう薄れる意識を感情で叩き起こして立ってます。

 翼さんの顔が私の目に移る。小さい頃お母さんに怒られまくってた私にはわかる。これは確実に怒ってますわぁ…(泣)。

 私何かしたかなぁ?あっあっあっ…いいい意識が…。

 

「何かあったんですか?」

 

「………………」カタカタ

 

「いや……加賀美が気にする事じゃない、これは私の問題よ。というかまた震えてるけど織田さん大丈夫?」

 

「わっわわわ私は大丈夫ですヨォ?」カタカタ

 

「そうですか…では私はデータ取りに向かい………」

 

 加賀美さんが発言し終えようとしていた頃、向こうから櫻井さんがやってくる。うっ、正直この人には謎の苦手意識が…。

 

「あっ、詩織ちゃんと志乃ちゃん。来て貰って悪いけど今日のデータ取りは中止よ」

 

「えっそうなんですか」

 

「ど、どうしてですか…?」カタカタ

 

「志乃ちゃんまた震えてるのね…。昨日新しい子が入ってね、その子の検査とかもあるからちょっと私が見てあげなきゃいけないの」

 

「そう、ですか…では私は今日はこのまま帰る事にします」

 

「わっ私も…そうします…」カタカタ

 

「ごめんね、でも明日はあるからちゃんと来てね?」

 

「了解です」

 

「わかり、ました……」カタカタ

 

 今日はお仕事無しか、今私はこの緊張から逃げたいんですけど。あっ、足震えてあんまり動けない。解せぬ。

 

「あ、それと司令が明日のデータ取りのプログラムは格闘と射撃だって言ってたわよ、あなたの配信でセンスを感じたらしいわ」

 

「ブファッwwwww」プルプル

 

「アアアーッ!!?昨日の配信みられてたんですか!?」

 

 すみません緊張が一時的に吹き飛びました。今は笑い堪えて震えてます。

 あの昨日の配信を見られていたとは……www。おりん、痛恨のミスwww

 

「なかなかの反射神経だって褒めてたわよ~?ただいかがわしいゲームは程々にしなさいとも……」

 

「ハハッ……はい……」

 

 私と加賀美さんはエレベーターで地上に戻る。私が笑い堪えて腕で口を押さえながらプルプル震えてて、加賀美さんはショックからかめっちゃ落ち込んでます。

 

「そういえば…さっき私の配信の話が出たとき、驚くほど反応してましたよね?」

 

「あっ……(汗)」

 

 流石に不味かった!吹いたのは!いや、不意打ちだけはほんと勘弁……。櫻井さんめ…!あなたには罪はないが許さんっ!

 

「私は初期勢のダンゴムシです許してください」プルプル

 

「じ、じゃあ昨日の配信も…?」

 

「見てない配信なんてないですっ!」

 

「アアアッー!?」

 

 一瞬にしてリスナーだとバレました。バラした感ありますけど……。

 帰るとき、加賀美さんは更に落ち込んでました。その間私は怒られないかとビクビク震えながら帰ってました。

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