世の中には、生まれた瞬間に決まるものは、多々ある。
性別、容姿、家庭、病気、気質、人種、才能、ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそして、運。
私もそれらに恵まれなかった人間だ。
それでも私は自分を変えたかった。
だからこそ、あの高校に入ってみようと思ったのかも知れない。
成績や運動能力の名門校である、天之御船学園に。
しかし、私のそんな自分を変えたいという想いは、
思いがけないカタチで叶うことになる。
私の名前は、
「行ってきます、母さん」
「彩歌、降水確率20%で曇りだけど傘持って!」
母さんのいつも通りな心配に、靴を履いてから傘を持ち答える。
「はーい、わかったよ、母さん」
ドアを開けて、外に出ると晴れ間が見えていたのに、私の周りばかり雲が集まり、雨が降り出した。
それは、さっきまでの暖かな日差しを打ち消し、小雨を降らしたかと思うと表情をさらに変えて雨を激しくしていった。
それを私は無言で見つめ深くうなだれる。
しかし、私は元々用意していた傘を一気に広げ、呟いてから向かう。
大丈夫、私は慣れてる。
4月7日、今日も雨。
私は、天之御船学園の生徒になった。
なったと言っても、今から入学式に行くのだから実際にはまだなっていない様なものだけれど。
「この、天之御船学園は、勉強やスポーツなど、各分野に渡って………」
校長の話で教育理念を語っていたけど、私の心の中はそれどころじゃ無かった。
冷や汗が、つぅーと背中を伝い落ちる。
緊張感で冷や汗が止まらないとか、学園に来て浮かれてたとか、そういうことじゃ無いのは、理解していた。
そもそも、天之御船学園では1組〜6組あり、1〜3は勉強が出来る人が集まり、4〜6はスポーツを出来る人が集まっている。
そういうクラス編成なのは、誰もが知っているいわゆる、周知の事実だ。
しかし、私はその中で7組に振り分けられていた。
私が得た情報は半分合っていて、半分間違っていた。
この高校に見学に来た時に、ここの教師は、7組のことを教えてくれなかったようだ。
そんな事を考えていたら、いつのまにか式は終わってしまい、私は7組の教室の席に座っていた。
そう、私はこのクラスのことを何も知らない。
中学の時の友達……いや、人達とも違う学校になって、私の知っている人はこのクラスに1人もいなかった。
「はーい、みんな揃ってますか?」
すると、前の扉から先生らしき人が入ってきた。
その人は、少し深めの青髪を後ろで縛り、額の右側の方にも髪を垂らしていた。
目を細めていて優しそうな笑顔で私たちを見ているけれど、どこか隙のない感じがする。
「このクラスの担任を務める、小平です」
そう感じているうちに、その先生、小平先生が話し出す。
「入学式でも説明があったように、この学校は生徒の才能をぐーんと伸ばして、たくさんの偉人を輩出しています」
「1組から3組は勉学、4組から6組はスポーツのスペシャリストをこれからの3年間で目指してもらいます。
小平先生が、その事実をこのクラスに伝えると、クラス中にどよめきが広がった。
しかし、その中から挙手をして疑問を呈する生徒もいた。
「先生、そんな学科に分けられるなんて、受験前は聞いていません。
そんな、ある意味虚を突いた疑問にも小平先生は余裕をもって受け答える。
「あら、あなたは
どうやら、この生徒は雲雀丘 瑠璃というらしい。
パッと見では、1組から3組の勉学のクラスに入っていても、おかしくないような雰囲気を持っている。
「はい」
「それに、このクラスは7組ですけど、あたしたちは何をするんですか?」
不安げな表情で雲雀丘さんが問いかける。
「非常にいい質問です」
その疑問に、感心したのか小平先生は、そう言い、
「あなた方には………」
と、黒板に大きな字で文字を書き始めた。
教室に、チョークで文字を書く音が響く。
チョークを横向きにして大きく文字を書きながら使って私たちの前に現れたのは、
『幸福』 という二文字だった。
「………全員、幸せになってもらいます」
そう、言葉を続けた。
一瞬の静寂の後、ピンクの学校指定ジャージを着た子が、
「しあわせ・・・?」
と言いつつ、首をかしげた。
………って何故この子は制服では無い、ジャージを着ているんだろう?
小平先生が笑顔のまま、差し棒片手に説明を始めた。
「戸惑うのにも、無理もありませんね」
「理解する時間はこれからたくさんありますから、ズバリ言っちゃいましょう」
そして、差し棒を前(つまりは生徒側の方)へと、向け言い切った。
「ここにいる皆さんは全員・・・・・・・・・・・不幸です」
その言葉に、私も含めて、このクラスの生徒全員に衝撃が走った。
小平先生はさらに続ける。
「世の中、多大なる幸運をもって生まれる人もあれば、不幸・・・不の業でせっかくの才能を発揮できない人もいます」
「皆さんは大なり小なり、不を背負う、不幸側の人間なんですよ」
その言葉、いや、真実にクラスがざわつく。
そんなざわつきの中、またも、雲雀丘さんが席から立ち上がった。
「せっかくですけど、あたし、人に言われるほど不幸な人間じゃ……」
その言葉に小平先生は、あることを言う。
「学園は受験前に、しっかりとした極秘調査を行っています」
小平先生の目が鋭くなり、続ける。
「あなたは本当に、なんにも心当たりがないと………?」
「………!」
雲雀丘さんは心当たりでもあったのだろうか、動きが止まった。
私も、今日持って来て傘立てのところに置いておいた“アレ”を思い出した。
私が悩んでいて、それでも最近はもう悩むことにも慣れてしまった。
小平先生は、雲雀丘さんに言ったのだけれど、私自身に心当たりがむしろあり過ぎるくらいに、あった。
「安心してください」
小平先生は、クラス中を見渡すようにし、
「皆さんを一つのクラスに集めたのは」
一つ一つ、言葉を紡ぎ、
「その不幸を克服し」
私たちが、このクラスに振り分けられた理由を、
「幸福を掴んでもらうためなのですから」
堂々と、語った。
その目的を、知ったクラスのみんなはついに沈黙を保てなくなった。
ダムが崩壊したかのように、どよめきやざわめきが大きくなり、クラスは騒がしく、そして無秩序に乱れて行く。
小平先生が、何かを言っているようだが聞こえないほどだった。
しばらくの間、この状況が続き席から立っていた雲雀丘さんも、呆然としていた。
まさにその時だった。
バキィン‼
「いいから、さっさと黙れよガキども、そんなんだからろくな運持ってねぇんだろうが」
小平先生が、手に持っていた差し棒を真っ二つにへし折り、さっきよりも鋭く、もはや殺気が籠っているんじゃないかというぐらいの目で生徒たち睨みながら言い放った。
その恐ろしさに、クラスは一瞬で静まり返って先ほどから呆然と立っていた雲雀丘さんも、すごすごと席に着いてしまった。
そして、小平先生は、先ほどまで見せていた表情を笑顔に戻し、折って真っ二つになった差し棒を、両手から離して床に落とした。
その際に、カラァン!と差し棒の残骸が高い音を立てていた。
私は、どうやら凄い所に来たのかも知れないと、小平先生に、恐怖を感じながら思った。
この気持ちは私だけでは無いのか、周りを見渡しても、みんなの顔が引きつっていた。
「これはマズイねー」
後ろの席から、小さくそう聞こえた気がした。
いかがでしたか?
1話から、彩歌の語りのみです……。
〜次回予告〜
彩歌に声を掛けてくる人物が現れる!………かも。
次回、Lucky.2 ななくみ
彩歌ちゃん、友達出来るのかな~。
この時点でのプロフィールを書いておきます。
不幸タイプ…不明
番号…未定
にしさわ あやか
西沢 彩歌
元ネタ…西武柳沢駅
語り部。
茶髪でツインテール
性格:冷静で、優れた観察眼をもつ
あと、一応原作キャラも、
不幸タイプ…不明
番号…未定
ひばりがおか るり
雲雀丘 瑠璃
元ネタ…ひばりヶ丘駅
紺色のロングヘア
性格:世話好き
最後に謝辞を。
ここまで、読んで下さったあなたに感謝を込めて
ありがとうこざいました!
一話目ですが、今後もよろしくお願いします。
アイデアとアドバイスをくれた、チモシーさんにも感謝を。
多分、週一更新になると思います。
それでは、(^o^)/