流さんに連れられ、恋ヶ窪さんが待つゲームセンターに向かう途中…
「それで、アヤカは何しにショッピングモールにきてたわけー?」
「うん…ちょっと色々あって……。」
と、流さんの何気ない質問に対して私は歯切れ悪く答えてしまう。
ついつい、胸の前に抱えている紙袋を持つ手に力が入ってしまい、紙袋がカサカサと音を立てる。
「まあ、あんまり聞かないことにするよ。」
その返答に安堵する。
見せられない理由が、流さんに見せるとからかわれる気がしたから…なんて口が裂けても言えない。
「………。」
「………。」
2人揃って押し黙ってしまう。
というか、普段から流さんから話しかけられてばかりで、私から話しかけたことなんて一度もない気がする…。
……うん、こうなってくるとかなり気まずいかも。
「流さんは、今日は水泳部とかの部活は無いの?」
とりあえず、流さんが入った部活の話を振ってみた。
すると、流さんはブラブラさせていた両手を頭も後ろで組んで答えた。
「いやー、実は毎週日曜日は部活なくてさー。暇してたところに丁度よくしーちゃんが歩いてたから、ショッピングモールに入ってゲームセンターに直行したんだよー。なんのゲームするかと思ったら、太鼓叩き出すわ、子供が集まってくるわで大笑いしてたんだよ。…あーあれは本当におもしろかったなー!」
「ふふふっ」
と、私もおもわず笑ってしまう。
流さんの語り口が生き生きとしていて、本当に楽しそうに出来事を述べていく。
ガヤガヤ
騒がしい音に正面を見ると、いつのまにかゲームセンターに着いていた。
「アヤカ、相変わらずしーちゃんの周りに子供達が多いね…。」
と、少し苦笑いしながらこちらを向く。
「確かにすごい人気だけど、恋ヶ窪さんがあんなに上手いなんて知らなかった。」
流さんに返す形でそう呟く。
恋ヶ窪さん自身は真剣そうにバチを振るっているんだけど、何せフリフリの着いた可愛らしい服を着ながらやってるからこの上なく目立つ。
ドドン!
と恋ヶ窪さんが力強く太鼓を叩いてふぅーと一息をつく。
曲がどうやら終わったみたいで、次の並んでいた子に変わる。
そして、辺りを見渡して…こちらの方を見て驚いたように口を開けてパクパクさせた後、俯いてこちらに歩いてきた。
「……流ちゃんに彩歌ちゃん、どうもです。」ペコリッ
恥ずかしいのか、恋ヶ窪さんの頬が赤い。
恥ずかしがっている恋ヶ窪さんの様子を見て、流さんが声をかける。
「まあ、そう恥ずかしがらなくても良いじゃん!いやーそれにしても、しーちゃんってリズム系のゲームできたんだね!というか、さっきはなんの曲やってたの?」
一瞬たじろいでいた恋ヶ窪さんだったけれど、よほど好きなのか曲のことを説明してきた。
「うん、実はトクラァ2000って曲で、このゲームにしか無い曲なんです。コレがまた難しくて大変なんですよ!」
それでですね、と流さんに説明をし続ける。
「え、うんそれでそれで?」
と、テキトーそうに流さんが相槌を打ちながら待つこと……五分。
「………と、そういう経緯があってこの曲ができたんですよ!」
ふふんっと胸を張って説明を終える。
「しーちゃんってくわしいんだねー。」
少しぐったりとした流さんがそう言う。
ふと、疑問に思い聞いてみる。
「恋ヶ窪さんは毎週とかこの太鼓のゲームやってるの?」
すると、恋ヶ窪さんが満面の笑みでうん!と答えた。
なるほど、やっぱりある程度練習しないとあの域には達せないんだ…。
パン!
と流さんが手を叩いて提案する。
「よし、そろそろ夕方だけど、みんなでコーヒーでも飲んでいかない?」
と、その言葉に恋ヶ窪さんが嬉しそうに答える。
「いいね!ボクちょうど喉乾いてたんですよ。彩歌ちゃんはどうします?」
私も、走り回ったりして少し喉が渇いてる。
「うん、私も行きたいな。」
「よし!じゃあ決まりっ!ちょうどこの前いいお店見つけたんだー!」
そう流さんが言って突然走り出した。
「えっ!ちょっと待って流ちゃん!」
「流さん、いきなり走り出した!」
唐突な流さんの行動に私たち2人は驚く。
でも、なんだか今が楽しくて思はず、来てよかったな。と呟く。
すると恋ヶ窪さんがこっちを向いて、何か言いました?と聞いてきた。
「なんでもない。」
そう答えて、私は走り出す。
今日はなんだか、いつもよりも身体が軽い気がする。
明けましておめでとうございます、レッドです!
今年に入って1本目の投稿でしたが、割と今回は文章量少なめです。
忙しかったりしたのもありますけど、出来るだけすっきりした感じに書こうかな〜と思ってこんな感じにしました。
楽しんでいただけましたかね…?
〜次回予告〜
彩歌は美術部に入った菜野花に、一緒に美術館に行かないかと誘われる。
次回、Lucky.13 ぼんやりと
皆さん、良いお年を〜〜(^o^)/