おんハピ♪ 〜Only Happy♪〜   作:赤瀬紅夜

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Lucky.14 たあいもなく

ナノちゃんとのお出かけが終わり、数日経った頃。

具体的に言えば、4月21日の木曜日の昼下がりの教室でのこと。

 

 

「この中に犯人がいる………僕はそう思うです。」

 

ガタリと席から立ち上がり、恋ヶ窪さんがそう宣言した。

その言葉を聞いた瞬間、私を含める周りにいた子達の表情が自然と引き締まる。

 

私たちの顔を見渡し、恋ヶ窪さんがふぅ、と一息着いてから犯人へと指をさしこう言った。

 

「あなたが犯人です。_____

 

〜〜〜

 

いつも通り、5人で集まり机を並べて食べようということになりみんなで食べることにした。

しかし、私とナノちゃんそれにひまりさんと恋ヶ窪さんはお弁当だけれど、流さんはパンを買って来ないといけない。

 

流さんを待っている間に、机をくっ付けておこうということになり机をいくつかつなげる。

それぞれの位置に座ったところで流さんが戻って来た。

 

目当てのパンを買って来たのかどこか嬉しそうにしてビニール袋を揺らしている。

いやー、待たせたね。と言いながら自分の席に戻り椅子にストンと座る。

 

みんな揃ったところで、ひまりさんが号令をかけて声を揃えて「いただきます」と言う。

 

それぞれのお弁当やパンを食べながら喋り合う。

 

 

さっき受けた授業とか、

 

 

今日の朝ごはんに何を食べただとか、

 

 

恋ヶ窪さんの妹さんへの愚痴を聞いたり、

 

 

ひまりさんが今日の朝に靴下を履き忘れたとか、

 

 

そんな他愛もない話に、みんなで笑いあってお昼の時間が過ぎていった。

 

しかし、その会話の折に流さんがいった一言で状況は一変する。

 

「ねえ、アタシの筆箱どこに行ったか知らない?」

 

きょろきょろと辺りを見渡しながらそう聞いて来た。

 

「う〜ん、机の中とかに入ってませんか〜?」

 

「いやー、それがさーひまりん、真っ先に探したんだけど無くてさ。」

 

ひまりさんと流さんの会話が進んでいる中で、私は冷や汗を流していた。

流さんが筆箱が無い、と言った時に私自身の机の中を見た時に何故だかそこには“流さんの筆箱”が入っていた。

 

……いや、もちろん私が隠したとかそういう訳では無い。

 

たしかに流さんには日頃お世話になっていう反面、少々行動的な一面に私が困っているという事はあるけれど、それだからって別に隠す理由にはならない。

 

つまり、私は今完全な冤罪状況に陥っていた。

 

現時点で1番危惧するのは、私が流さんの筆箱を隠した犯人と誤解される事だった。

 

この現状を何とかしないといけない。

 

その為には、私の机に何故流さんの筆箱が入ってしまったかを考える必要がある…………………とは思わない。

 

誰かが入れたにしろ、偶発的だったにしろ、そのトリックが判った所で今の状況を打破できる解決策になるとは限らないから。

 

それよりも、私の机の中に筆箱が入っているのを何とかしないといけない。

 

解決策を幾つか探してみることにする。

 

その1、正直に話す。

 

この案が1番まともそうに思える。

それでもこの案は少し頂けない。

 

正直に言って信じてくれると思う。

……けれど、もし信じてくれないのかもしれないと思うと、すごく怖くなってしまう。

 

私に対して仲良くしてもらっているけれど、この関係がもしも壊れてしまったらと思うだけで恐ろしい。

 

そうと思うまでに私は、出来た友達を失いたくなかった。

 

その2、流さんの筆箱を何処かに隠す。

 

今、私が犯人になるという状況に陥らなければ良いのだから、件の流さんの筆箱自体を何処かに隠せば自然と犯人では無くなる。

 

しかし、しかしだ。

 

そんなことをしてしまっては、私はきっとこれから先、流さんに対して負い目のような物を感じてしまう…と思う。

 

負い目という感情を抜きにしても、人の物を隠すなんて事は私には出来ない。

どうしても、隠した後にボロが出てしまうと思ったからだ。

 

それでも、私の机から流さんの筆箱を引き離すというようなアイデアはもしかしたらアリなのかも知れない。

 

その3、流さんの机の中に戻す。

 

その2を改良したものと言っても良い。

 

今までの考えが実現不可能に近いと判断して残された手段は、もう流さんの机の中に戻すしか無い。

 

確かに残された手段だけれど、今のところ最善の策なのでは無いのだろうか。

 

戻してしまえば、取り敢えず私が犯人になる事もないし、流さんも不思議に思っても不快に思う事はないと思う。

 

それでも、この案にも穴はある。

 

流さんの机の中に入れるタイミングが無い。

という事だった。

 

もちろん、流さんが座っているから入れ難いっていうのもあるけど、とにかく流さんの意識を机から引き離す必要がある。

 

出来れば、他のみんなの意識もどこか一点に集めておきたい。

 

でも、それを実行に移せそうになかった。

みんなの意識を一点に集めてさらに私への注意を外させるなんて方法は、今の私は持ち合わせていなかった。

 

完全に手詰まり。

 

そこで、私は半ば諦めてみんなが話し合っている中に入ることにした。

 

 

 

 

 

「この中に犯人がいる………僕はそう思うです。」

 

ガタッと席から立ち上がり、恋ヶ窪さんがそう宣言した。

その言葉を聞いた瞬間、私を含める周りにいた子達の表情が自然と引き締まる。

 

私たちの顔を見渡し、恋ヶ窪さんがふぅ、と一息着いてから犯人へと指をさしこう言った。

 

「あなたが犯人です。_____菜野花ちゃん。」

 

その瞬間、私たちの意識がナノちゃんに向いた。

 

……今!

 

今まさに、この瞬間が流さんの筆箱を机の中に入れるべきベストなタイミングだと思う。

 

すかさず、私は左手側にいる流さんの机の中に筆箱を滑り込ませ、入ったことを確認すると、目線をナノちゃんに向ける。

 

すると、恋ヶ窪さんがちょっと困ったように笑いながらナノちゃんに質問していた。

 

「流ちゃんの筆箱を何処かにやったなら教えて欲しいです。」

 

別に怒ったりして無いというように優しくナノちゃんに声をかける。

 

ナノちゃんは少し困ったようにしていたが、やがてハッと思い出したかのようなそぶりを見せて、ポツリと話した。

 

「・・・・そういえば、砂川の筆箱が・・・落ちていたから、机の中に入れたと・・・・思う。」

 

それを聞いた恋ヶ窪さんが、もう一度流さんに机を確認するように言うと、流さんが驚きの声を上げた。

 

「…おー!、しーちゃん確認したら机の中に入ってたよー!」

 

高々と自らの筆箱を持ち上げて、見つかったことを喜んでいた。

 

「よかったですね〜、見つかって〜〜。」

 

と、ひまりさんがほっと胸を撫で下ろす。

 

「菜野花ちゃん、犯人なんて言ってごめんなさいです。」

 

「・・・・別に気にして・・無い。」

 

「それでも、申し訳ないというか……

 

恋ヶ窪さんと、ナノちゃんとのやり取りを聞いているうちに、私は判った事があった。

 

その1を選んでいても、みんななら別に気にしなかったんだという事に。

 

私が1人で勝手に思い込んでいただけで、みんなは私のことを受け入れてくれているんだとを知った。

 

どうやら、私1人で動転していらないことをしてしまったのかもしれない。

 

 

……というか、ナノちゃん筆箱入れる机間違えたんだ…。




〜次回予告〜

こんにちは、わたくしは久米川 牡丹と申します。

……うぅ、ですがこんなわたしの事なんか誰も気に止めませんよね、すみません出すぎた真似をしてしまって……。

それでも、わたしに課せられた使命を果たすべきですよね…。

それではええと紙は……ああ、貧血で力が…パタリ

次回、Lucky.15 んんっ、ど、どうかお気になさらずに

お相手は、何か良いことわたくし如きにあるはずがありませんよね。

久米川 牡丹でした。
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