おんハピ♪ 〜Only Happy♪〜   作:赤瀬紅夜

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Lucky.16 ひさしぶりに

「ふぁーあ…」

 

ぽかぽかな陽気に包まれて、のんびりと登校していると思わず寝てしまいそうになる。

 

というのも、ここ最近晴れの日が続いていて、私はちょっと浮かれていた。

いつも通りの道をただ歩くだけでも、晴れている日と雨が降っている日では気の持ちようが違う。

 

 

全ての雨が私の不幸(悪天候)によって作り出された訳じゃ無いのは知ってる。

…それでもやっぱり、今までの雨は私がいるから降り続けているのかと思うと、気分も落ち込んでくる。

 

そんな想いを振り払うように私は頭を左右に振って気持ちを切り替える。

 

くよくよ考えても仕方ない、それに今はいい天気なんだから、気にする必要もない。

 

学園に入学してからは、この不幸は私だけじゃ無いってわかったし、少しずつだけど友達も出来てる…と思う。

 

友達……か。

 

一年前はそんな言葉とは無縁の生活を送っていた気がする。

 

小学校の卒業と同時にナノちゃんと別れて、中学に上がってからはそれなりに居た友達ともクラスが別れて疎遠になりつつあったっけ。

 

それでも、三年生の時、同じクラスになって。

 

三年生最期の修学旅行、あそこで私の不幸は……。

 

「____っ!」

 

嫌なことを思い出してしまった。

 

 

………あの頃からだろうか、ひとりでいることに慣れてしまったのは。

 

 

 

「ん…?」ゴシゴシ

 

昔の事を考えてしまっていたからか、

 

それとも眠気がまだ残っているのか、

 

目の前の状況を整理しようと、私は自らの目をこすってみる。

 

しかし、それでも目の前に広がる衝撃的な光景をにわかに信じられない。

 

それは、ちょうど道の角を曲がった時に、目の前に猫に顔を覆われたままで歩いている子だった。

 

 

 

「「ニャー」」

と、その子から猫の鳴き声が聞こえて来る。

 

顔の正面側には薄茶色の猫、後ろ側には黒色の猫と挟まれるようにして顔が塞がってしまっているから、その猫たちが鳴いたのだろう。

 

「「「ニャー、ニャー」」」

 

2匹のはずなのに、鳴き声が多く聞こえる。

…いくら何でも多すぎな感じはするけど。

 

その子は正面が見えているのかいないのか、私の横をふらふらとおぼつかない足取りで通り抜けて行き、またどこかの角に曲がったのか、見えなくなった。

 

あまりの光景に、私はしばらく呆けていたけど、1つ思い当たるというか、気づいた点がある。

 

さっきの子は、よく見ると今の私が着ているのと同じ服で、天之御船学園の制服を着ていた。

 

さらに、猫が居た顔の付近にばかりに気がとられていたけど、あの生徒が着用していたネクタイが、私のと同じように四つ葉のクローバーの刺繍が施されていた。

 

つまりは、私と同じクラスに通う、不幸を背負った生徒のひとりだったのだと結論付けた。

 

………しかし、結論付けるのと同時に私の中である気持ちが渦巻いていた。

 

それは、あの生徒が何者であろうと、あまり関わり合いになりたく無いという、一種の切実な願いだった。

 

銀の様な白っぽい髪をショートにして、猫に思いっきり視界を遮られた生徒。

 

その生徒の存在は、私はのちに知ることとなる。

 

 

とか言ってみたところで、同じクラスなんだから登校中に会う事もあるよね…。

 

でもあの生徒の不幸は、動物に関する何かなのだろうか…?

 

 

 

 

 

「お、何か落ちてる…。」

 

「ねね、おねーちゃん、また何か拾ったの?」

 

「りんごっ、しぃ〜〜…」

 

と、道を曲がろうとしたらそんな声が聞こえてきた。

きっと、声からしたら私と同い年くらいの子たちなのだろう。

 

その2人の姿を見ようと角を曲がり切った。

 

 

すると、その2人は歩みを止めて道の端の方に固まっている。

 

1人は、またもや私と同じ制服を着ている、それでもやっぱり身長が低くて、黒髪をストレートに肩まで伸ばしている。

 

その後ろを歩いているらしい、もう1人は制服からして中学生だろうか?セーラー服を着て歩いている。

身長が高く、少しカールする様にしていて、黒髪を肩まで伸ばしていた。

 

そして、2人とも目が紅く、顔立ちはかなり似ていた。

 

そういえば…この前学園で恋ヶ窪さんがお弁当を食べながら妹がいるって言っていた様な気が……。

 

顔立ちが似ているということは、あの2人が恋ヶ窪 椎名とその妹ちゃんなんだろう。

 

最初に歩いていた方が、恋ヶ窪さん(姉)で、もう1人の子が話に聞く、恋ヶ窪さん(妹)なんだ。

 

そう気づいた時には、何となくだけど、元いた曲がり角に身を潜めた。

 

私は、1つ気になったことがあった。

 

それは恋ヶ窪さんがあんなに愚痴(という名の愛情の裏返し)を言っていた妹ちゃんはどんな子なんだろうか?

 

ということで、家の塀から背丈の違う姉妹をこっそりと観察する事にした。

 

恋ヶ窪さんというと、便宜上わかりにくくなるので、ここでは恋ヶ窪さんの妹を『妹ちゃん』と呼んでおこう。

 

〜〜〜

 

「ふっふっふっ、どうやらボクにラッキーなことが起こっていますね。」

 

恋ヶ窪さんが自慢げに、何か拾ったものを天高くかかげていた。

 

かかげたものをよく見ようと目を凝らすと、太陽の光に反射してキラキラ光っている。

あれは…道端に落ちている小銭かな?

 

恋ヶ窪さんの方は身長が低めなので、小銭を精一杯手を伸ばして位置が妹の顔くらいまでしかない。

 

それでも恋ヶ窪さんは妹ちゃんに向かって、高らかにこう宣言した。

 

「ボクはこれから交番に行って、この小銭を交番に届けて来るから。」

りんごは先に中学校に行ってて、と。

 

しかし、それを聞いた妹ちゃんは、ハッ‼︎と思いついた様な顔になって姉に言う。

 

「おねーちゃんも、まだまだね!りんごだったらその拾ったお金をりんごのものにしちゃうけどな〜。」

 

この妹ちゃん、性格が恋ヶ窪さんとだいぶ違うのかも。

 

その言葉を聞いた姉が驚いた様に妹の方を見る。

 

それから、少しムッとして、

 

「りんご、そんなことしたらだめでしょ。拾ったお金はちゃんと元の持ち主に届けてあげないと。」

 

と、妹ちゃんを優しい口調で叱り、小銭をかかげていた両手から左手だけはずし、コツンと妹の頭を叩いた。

 

「むぅ…わかった。 ごめんなさい。」

 

ちょっとむくれて答えた妹ちゃんに恋ヶ窪さんも頷き

 

「わかればよろしい。それじゃあ、ボクは交番に行って来るのでりんごは真っ直ぐ登校してね。」

 

 

〜〜〜

 

 

 

身長差があるのでぱっと見では妹が姉を叱っている様にも見えるけれど

 

…恋ヶ窪さんが姉として、妹ちゃんを「だめでしょ」と注意してあげていた。

 

妹ちゃんもすぐに謝っていた。

 

性格がだいぶ違うは言い過ぎかな。

 

だって、恋ヶ窪さんも自分が悪いと思ったら、それこそ真っ先に謝るのだから。

 

「妹っていうのも、何だか良いな。」

 

そう、思わず私は口に出していた。

 

目を瞑って、もしも私に妹がいたらと考えてみたけど、やっぱりぼんやりとしていて、うまく想像出来なかった。

 

私は一人っ子だから兄弟とか姉妹に憧れてる…のかもな。

 

再び、恋ヶ窪姉妹の方に目を向けると、2人はもう交番に向かったのか、姿を確認することは出来なかった。

 

……って、いつまでもここにいる必要も無いよね。

 

そう思い、私は隠れていた塀から出て道に出る。

 

妹みたいだな、と考えた事もあったナノちゃんとは幼稚園の頃からの付き合い。

中学生になって離れ離れになるまでは私にとっては身近な存在だった。

 

ナノちゃん………ってそういえば!

 

思い出した瞬間、私は目の前が真っ白になるくらいの衝撃を受けた。

 

そうだった、ナノちゃんと一緒に登校する約束をしていたんだった!

 

ええと、確か待ち合わせ場所が‘あそこ’だから、ここからでも向かえる……はず。

 

ナノちゃんと一緒に登校しようと、私は久し振りに思い出の場所に向かうことにした。

 

恋ヶ窪さんが、妹ちゃんに「真っ直ぐ登校して」と言ったのを見ていたのに、妹ちゃんより年上の私が遅れる訳にはいかない。




かなり久し振りでしたが、いかがでしたかね…?

〜次回予告〜

彩歌は菜野花一緒に天之御船学園に行くことは出来るのか……⁉︎

次回、Lucky.17 ばらばらにわかれて

あの話が始まりますよ〜!

おんハピ♪は再び連載再開です。

読んでくれているあなたに感謝を。

ではでは〜!
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