「2〜3人って、だったらボク達は2つのグループに分かれないとですね。」
少しだけ残念そうな顔をして恋ヶ窪さんがそう言った。
2〜3人のグループか。
私たちは5人だから、2人と3人のグループに分けた方がいいよね。
チーム分けの方法はどうしようかな。
うーん、じゃんけんとかで決めて……
「よーっし、それじゃあじゃんけんで決めよう!」
と、私の考えをまるで先読みしたかのように、流さんが明るくそう言った。
それを見たひまりさんが、にこにことしながら、
「あ〜、いいですね〜、勝った人と負けた人同士で決めます〜〜?」
と言った。
……私が言おうかと思ったけど、まあ流さんが言うならいいかな。
それじゃあ早速やってみようと言う事で、5人で集まって輪を作るようにして集まる。
それぞれの右手を出して準備をする。
「それじゃー、行っくよー!」
流さんの掛け声で私たちも声を出す。
「「じゃーんけんぽん!」」
「「「さいしょーはぐー」」」
って、あれ………?
最初ってグーから始めるんじゃなかったっけ?
それぞれの手の形を見ると、グーの人もいればチョキ、パーの人もいる。
みんなの顔を見ると、やっぱりみんなも不思議そうな顔をしている。
……どうやら、最初の掛け声でバラつてしまったようだった。
確かに、最初はグーと言わずに始める人もいるから、バラついたのはしょうがないと思うけど……。
ここは、私が言おう。
「それじゃあ、みんなで最初はグーから始める事にしない?」
そうしようと言う事で、仕切り直してもう一回。
「さいしょーはぐー、」
「じゃーんけーん、ぽん!」
……何となくだけど、私はパーを出した。
私と同じく、パーを出していたのが、ナノちゃんとひまりさん。
そして、残る2人の恋ヶ窪さんと流さんは、チョキを出していた。
こうして、今回は私、ナノちゃん、ひまりさんの3人グループと、恋ヶ窪さんと流さんの2人グループに分かれることに決定した。
「それじゃ〜、投げますよ〜……えいっ!」
ひまりさんが投げたサイコロはコロコロと転がり、ナノちゃんの足元で止まった。
ナノちゃんが少しだけしゃがみ込んで、サイコロの出た目を言う。
「・・・・4・・です・・・・ね・・。」
それを聞いたひまりさんは嬉しそうな顔をして、それじゃあ行きましょうか〜と、先頭になってマス目を進んでいった。
ひまりさんに続いて私も行こうと、ナノちゃんに声をかける。
「ナノちゃん、私たちも行こう?」
声が聞こえたのか、ナノちゃんは足元にあったサイコロを拾い、私の後ろを付いていくように歩き出した。
ひまりさんに追いついてみると、ひまりさんはマスを見たまま固まっていた。
なにが書いてあるのか見えなかったので、ひまりさんの横から覗くようにして見てみると、
[一回休み]
とそのマス目には書かれていた。
ひまりさんを見てみると、悲しそうにしょんぼりしている。
ちょっとだけ涙目になっていた。
「す、すみません……わたし、やらかしてしましました〜。」
どうやら、このマスを出してしまったことを気にしているようだった。
ひまりさんはその場にうずくまってしまった。
………可哀想になったので慰めようと近づくと、同じことを思ったのか、ナノちゃんもひまりさんを慰めに来ていた。
ナノちゃんがひまりさんの背中をさすって、私はひまりさんに声をかけることにした。
「ひまりさん、あんまり気にしないで下さい。私たちも気にしてないから……。」
そうしている内に、一回休みが過ぎて私たちの番が回って来た。
ひまりさんは、さっきのダメージからは回復して、のほほんとした顔をしながら順番が回って来るのを待っていた。
次に投げるのは……ナノちゃんか。
ナノちゃんの方を見ると、いつも通りの無表情なんだけど口元がキリッとしていて、なんだか本気のようだった。
胸の前にサイコロを持ったナノちゃんは、そのまま落とすようにサイコロを振る。
コテン、と地面に落ちたサイコロは転がり、私たちが次に進むマス目を見せる。
書いてある数字は、「3」だった。
「彩歌・・・陽毬・・・・それじゃ・・・・・・行こ?」
そういうナノちゃんに続いて3マス進むと、そこには、机が1つポツンと置いてあった。
よく見てみると、その机の上にはスケッチブックと鉛筆、そして紙切れが置いてあった。
「あの紙はなんて書いてあるんでしょうか〜?」
そう言いながら、ひまりさんが紙切れに手を伸ばして、取り書いてあったことを読み上げる。
「え〜と、誰か1人の似顔絵を描く……ですか〜。」
う〜ん……と、悩ましげにお題の紙をひまりさんが見つめている。
きっと、ひまりさんは似顔絵が描けないから、自分がやれないと思っているんだろう。
似顔絵を描く、か……ナノちゃんの似顔絵なら、小学生の頃描いたことあったけれど。
それでも、お題はお題だし、やるしかないのかな……。
「それじゃあ、私が「わたし・・・・絵・・・・描けるよ?」
………?
どうやらナノちゃんと言うことが被ってしまったらしい。
ナノちゃんの方を見ると、驚いたように口をパクパクさせている。
ここは、絵心のあるナノちゃんに任せようかな。
「ナノちゃん、それじゃあ似顔絵お願いできる?」
その言葉を聞くと、ナノちゃんはコクリと頷き、机の上に置いてあったスケッチブックを手に取った。
スッと目を細めて、私とひまりさんを見つめる。
鉛筆を持った左手が動き始める。
……ちなみに、ナノちゃんは本来は右利きだけど、絵を描くときだけは左手を使って絵を描いている。
シャー、スーッと鉛筆が紙の上を踊る音が響く。
しばらくした後、できた。とナノちゃんから言われた。
その声を聞いたひまりさんは嬉しそうにして、
「本当にできたんですか〜!見せてくださいね〜。」
と言ってナノちゃんからスケッチブックを受け取った。
ひまりさんの見ている顔が徐々にほころんでいく。
私も横から見てみると、そこには私とひまりさんの2人が鉛筆で綺麗に描かれていた。
似顔絵というか、最早模写レベルの絵だった。
ひまりさんがこちらに気づき、嬉しそうな声を上げる。
「彩歌さん、凄いですよね〜コレ!」
「す、凄いね! これでお題もクリア……?」
確かに、私も感嘆の声を上げてしまった。
ナノちゃんがスケッチブックを元の位置に戻すと、机から音声が流れてきた。
「はい、これでお題はクリアですね。 それでは、次のサイコロを振って下さい。」
ナノちゃんが私にサイコロを渡す。
「・・・・彩歌、頑張って・・・・ね・・・。」
私はナノちゃんからしっかりとサイコロを受け取り、勢いよく投げる。
私たちの試験は、まだ始まったばかり。
という事で、もう少しだけ続きます。
〜次回予告〜
彩歌と陽毬と菜野花の3人に待ち受ける難問なお題とは……?
3人は果たして無事にゴールする事は出来るのか…!
次回、Lucky.19 がむしゃらに
え?椎名ちゃんと流ちゃん?
あー、20話でやります…(多分