私は、サイコロを持つ手に力を込めた。
取り敢えずは、ナノちゃんのおかげでお題をクリアできたけど、次にどんなお題が来るかがわからない以上、いいマスに止まるのを願うしかない。
サイコロをそっと投げる。
私の手元を離れたサイコロは、しばらく転がって動きを止めた。
サイコロの表には、6という数字が書かれていた。
私はその結果に安堵する。
「彩歌さん、やりましたね〜! これでいっぱい進めます〜。」
ぱちぱちと拍手しながら、ひまりさんが嬉しそうに言った。
そうして私たちは6マス分進むと、またもやお題が出ていた。
『恋すの活用形を全て答えよ』
………これは、古典の問題だろうか?
まだ習ってないから分からないけど、誰かわかる人いるかな?
ナノちゃんの方を見ると、分からないのか悩ましげに頭を抱えていた。
しかし、ひまりさんを見ると目を輝かせている。
「わたし、分かります〜!」
「恋すの活用形は、未然形から、せ、し、す、する、すれ、せよ、です〜!」
正解だったようで、パンッと音がなり次に進めるようになった。
ひまりさんがとことこ歩いてサイコロを持ち、投げるように構える。
「次はわたしが投げますね〜。」
意気込んでいるのか、手先が少し震えている。
「それじゃあ、いきますよ〜、えいっ!」
ひまりさんのサイコロが宙を舞い、着地する。
しばらくしたあと、サイコロは止まった。
出た目を見てみると、2と書かれている。
それを見たひまりさんが、一瞬しゅんとなった顔をしたけど、それでもめげずに進みましょう〜と言って歩き出した。
2マス進むと、そこにはチモシーが待っていた。
こちらに気づくと、パタパタと手を振ってくる。
「ようこそ〜、ここではボクがお題を出すね。」
そう言いながら背後からパネルのような板のようなものを取り出した。
「じゃじゃ〜ん、今回のお題はコレ!」
パネルを前に出すと、チモシーが高らかに宣言する。
「チモシー〜〜、クイ〜ズ!」
パネルにはこう書かれていた。
『花や植物を育てるのが苦手な鳥は?』
チモシーがクイズと言っていたから、これを解けばいいのかな。
苦手な鳥か……鳥類なんだから、それに関連づけて考えないと。
花や植物だから、うーん、家庭菜園的なことかな?
どうにも私はこの手の問題には弱い。
この際、他のみんなはどうなのか聞いてみよう。
私はナノちゃんの方に行き、聞いてみる。
「ナノちゃん、答えとか分かった?」
こちらをちらりと見やったナノちゃんは、コクリと頷き答えた。
「・・・・答え・・は・・・・カラス・・・だと思う・・・・・。」
それを聞いたチモシーは、ニヤリとしたかと思うとピョンと飛び跳ねて言った。
「せいか〜い、それじゃ続いて第2問!」
『味噌の中に入っているものは?』
味噌の中か。
普通だったら食塩とか大豆とかって答えるんだけど、多分違う。
ということは、何か違う発想をした方が良いって事だよね。
「分かりました〜!答えはファです〜。」
身を乗り出しながらそう言ったひまりさんの答えに、チモシーはまたも正解と言い、最後に3つ目の問題が出された。
『カラスを1秒で透明にするには』
カラスを透明に………この上なく不可能に近そうだけど、今までの問題の性質上、言葉遊び的な解釈で捉えれば良い。
透明にって、視界に映る時点で透明にするのかな?
いや、この際固定概念は捨てよう。
透明にこだわる必要はないのだと思う。
透明なものの連想で行こう。
水、水晶、……水晶っていうことはガラス?
ガラス……カラスに濁音をつければガラスになる。
つまり答えはガラスだから、濁音をつけること?
自身はないけど、もうここで答えてしまおう。
「答えは、濁音をつける。つまりは濁音をつけてガラスにすることで、透明にできる。」
その答えに、チモシーは右手をピシッと上げてニヤリと笑って言った。
「だいせ〜いか〜い!次のマスに行ってね〜、それじゃボクはここでお別れ。」
クルリと背を向け、移動用の乗り物に乗り込む。
「またね〜〜。」
そう言って手を振りながらチモシーは去り、私たちはまたサイコロを転がし、次のマスへと進む。
こうして様々なお題をクリアしながら進んで、私たちは遂にゴール手前まで来ていた。
ゴール手前まで来て、最後のお題になるであろうものは、三脚の上に一眼レフのカメラが置いてあった。
紙が巻いてあり、読んでみるとそこには『チームで最高の笑顔で写真を撮れ』と書いてある。
写真撮影か。
よし、お題をクリアするためにもみんなで撮ろう。
タイマーをセットし、3人でカメラの前に立つ。
ピッピッピッ、カシャ
ナノちゃんが撮れたか確認し、どうやら撮れていたようでサイコロを振る。
3が出て、みんなで3マス進むと、そこはゴールだった。
小平先生がいて、私たちをねぎらってくれた。
「3人とも、お疲れ様です。 順位ですが、16チーム中8位なので大体真ん中くらいですね。」
ふと、目を向けると、恋ヶ窪さんと流さんがいた。
「おー、ひまりんたちもおつかれー。」
流さんが嬉しそうに声をかけてくれた。
恋ヶ窪さんも近づいてきて、実は……と話をしだす。
「実は、ボク達一番最初にゴールしたんです。」
私たちは、バラバラになったけど、また集まっておしゃべりをする。
がむしゃらにやってきたけど、こうしてまた会えてよかった。
ひとまずは、流さん達がどうして一位になったのかを聞いてみようかな。
という感じで、一応彩歌達のすごろく編はこれにて終わりです。
〜次回予告〜
椎名と流によるすごろく!
2人は本当に1番になることが出来るのか……?
次回、Lucky.20 おたがいに
それでは、次回もお楽しみに〜!