おんハピ♪ 〜Only Happy♪〜   作:赤瀬紅夜

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Lucky.2 ななくみ (☆)

「はーい、いい子たちですね~」

 

折れた差し棒を、両手から離した小平先生はその後、こう切り出した。

 

「それでは早速、席替えもかねて、本日の測定をしましょう」

 

小平先生は、丁寧な口調ながらも有無を言わせずにこう説明した。

 

「今朝、皆さんの机に数字の書いた紙を入れておきました。その数に従って席を決めていきますが………そうですねぇ、数が少ないほどラッキーということにしましょうか。」

 

それを聞き、私を含めた、クラスのみんなが机の中にあった紙を開く。

 

 

 

このクラスの人数は40人。

 

私の運は悪いけれど、さすがに30番台には、いってないはず・・・。

 

そこに書かれていた数字は、

 

 

 

 

 

 

 

31

 

 

 

 

 

だった。

 

「………ッ!!」

 

31番ということは、このクラスの中でも、運が悪い方に入る。私の不運は、そこまでひどいとは……。

 

 

「ふぅ」

 

とりあえず、前の黒板の座席表を見るために前のほうへ移動する。

 

 

私の席は………っと、

 

右から三番目の、後ろから二番目、か。後ろの方だったら、クラスで目立つこともないかな。近くの人は、何番なのかな……?

前に出て、もう一度座席表を見てみる。 

すると、左上の席が気になった。

 

1・・・・・・番・・・?

 

なるほど。いくら不幸な人たちが集まっても、マシな人はいるんだと思い、その席に目をやると、

 

「……」

 

その席に座っていた、黒髪の子と目が合ってしまった。

じっくりと私の方を見つめている。

すると、軽く頭を下げられ、そのまま目線を外された。

………まあ、このクラスで一番運が良い子なんて、私には関係ないだろう。自分の席に着き、座る。

 

 

トントンという風に後ろの子から、肩をたたかれた。気になって振り向くと、カチューシャをした子が声をかけて来た。その子は茶髪の髪を短く切った髪に屈託のない表情で、私に話しかけてきた。

 

「お、やっと気づいてくれたね、おっはよう!」

 

純粋な笑顔で挨拶をしてくれたので、私も返す。

 

「はい、おはようございます」

 

私の挨拶が変だったのか、アッハハと笑い、話し始めた。

 

「アタシの名前は、砂川 流(すなかわ ながる)っていうんだ。よろしくっ」

 

砂川はともかく流とは珍しい名前だ。そんな感想を私は持った。

 

身長は私よりも高く、すらっとしている。

性格は明るい感じなのか、私に声をかけてくれた。

 

「よろしくお願いします、砂川さん。私は、西沢 彩歌と言います」

 

「砂川さんじゃなくて、気軽にアタシのことは、流って呼んでもいいよ。代わりに君のことはあやかって呼ぶね」

 

いきなり名前呼びは・・・と思い、流さんと呼ぶことにした。

 そういえば、わたしの番号は31番で流さんの番号は32番だった。

 

「流さん、私たちの番号って近いけど、不運だったことってある?」

 

うーーん……と首をかしげながら答えた。

 

「アタシは、無いかな~」

 

不運だったことが無い、か。

 

自覚がないだけで、もしかしたら何かしらの不運は背負っているのかも・・・そう考えてた時、

 

「ま!これから仲良くしてほしいな。 よろしくっ、アヤカ」

 

そういいながら二カッと笑い、右手を差し出された。

 

「う、うんよろしくね」

 

私も、差し出された右手を握り返した。

 

 

 

「はーい、席も決まりましたね。今日はもうこれで終わりですが、お試しで一つ、宿題を出しましょう」

 

と、小平先生が言いながら宿題を出した。

 

 

そして、私たちの前に出されたのは、………生卵(賞味期限切れ)だった。

 

「生だから、気を付けてくださいね。 この卵を明日まで割らずに持っておくこと。それが、本日の宿題です。」

 

 

すると突然、小平先生が左側の方を指したかと思うと、白髪の様な髪色をした眠そうな生徒に注意した。

 

「そこ!ちゃんと持ち帰ってくださいね。」

 

どうやら、卵を持ち帰らないでおこうとした生徒がいたようだった。

そうして、変な宿題を出されて私の入学式は終了した。

 

 

 

「それにしても、この生卵、どうやって持っておこうかな。」

 

 

 

私が、一人教室に残っているのには、理由があった。まあ、他クラスメイトたちは、友達だったりが出来たりして一緒に帰ってたけれど、私は、自らその誘いを断った。

 

 

もちろん私だって友達は欲しい。

 

 

 

でも、

 

 

 

 

まだ私の不幸を知ってもらってない、

 

 

 

 

いや、

 

 

 

私が打ち明けていないだけで、向こうも何かしらの不幸は抱えているはずだった。

 

 

席替えの時に仲良くなった、流さんも無かったと言ってたけど、やっぱり、何かの不幸は持っているんだと思う。

 

 

でも今は………

 

「……………………」

 

沈黙に包まれている教室の中、1人椅子の音を立てながら立ち上がり、呟く。

 

「帰ろうかな」

 

くよくよ考えていても仕方がないし、とりあえずは家に帰ろうかな。

そう思い、私は席から立ちあがった。

 

 

生卵片手に階段を下りて下駄箱に着いてから、靴を履き替える。

予め傘立てに用意しておいた、傘をさして学園から出る。

 

 

すると、外はあっという間に暗くなり黒々と曇ってきて、無数の雨を降らす。

 

篠突く雨とでも言うのか、激しく降っている雨に鬱陶しさを感じながら傘をさし、帰路を急ぐ。

 

 

今日、他の人たちと帰らなっかったのには、理由がある。

 

 

それが、今の状況。

 

 

私は、よく雨に降られた。

 

 

いつでも、

 

どこでも、

 

今でさえ。

 

 

私の不運は、悪天候。

 

 

私の周りだけ、雨が降るから、他の人たちと帰りたくなかった。

 

 

きっと、

 

”いつものことで慣れている”

 

私とは違い、傘の用意なんてしてないだろうから。

 

 

「っ………!」

 

片足が水たまりに足をとられて、なんとか転ないようにともう片方の足で踏ん張った。

 

 

すると、私の左手に持っていた卵はするりと手から抜けて、地面に落ちてしまった。

 

グシャリと音を立てながら生卵が割れる。

 

 

激しい雨の中、落ちた卵を冷淡な目で見る。

 

「やっぱりね。」

 

小さく、呟いた。

 

自分の持っていた傘に、激しく雨粒が、叩きつけられる。

 

私の表情は、暗くなってゆく。

 

 

【挿絵表示】

 

 

私は、悪天候の不幸に見舞われた高校生だ。

 

 

 

次の日、

 

「全員、卵を割ってしまったようですね」

 

小平先生の優しげな言葉に、全員が押し黙る。

 

「これも想定内です。 どんな状況で割ってしまったか、紙に書いて提出……」

 

と、ここで割り込む声があった。

声のする方を見ると、先日ピンクのジャージを着ていた子だった。

 

「せんせ~!」

 

ジャ~ン!と、その子は、高く卵を掲げると、その瞬間に教室中で驚きの声が上がる。

 

 

さすがにこの事は想定外だったのか、小平先生も、あらと言って驚いている。

 

 

すると、その子の持っていた卵が割れ、中からヒヨコが飛び出した。

ピヨリと鳴くと、その子の頭の上に乗ってしまった。

 

「アッハハハハッ!見てよ、あやか、あの子の卵からヒヨコが生まれてるよ」

 

そんな、楽しそうに笑ってる流さんを見て、私も思わず笑っていた。

 

「ふふっ、うん。そうだね」

 

 

パンッ、と小平先生が手を叩いた。

 

「はい。みなさん。 花小泉さん以外は、なぜ卵を割ってしまったのかという、理由を書いてくださいね」

 

そう呼びかけた後、小平先生は、プリントを配った。

 

貰ったプリントには、『なぜ、卵を割ったのか、その経緯を説明せよ。』と書いてある。

 

そこに、雨の中転びそうになって……と書こうとして、私は慌てて文章を消した。

 

なんだか、本当のことを書いてしまうのは、私にとって癪な気がした。 

 

書き直そうとしたとき、右から強い視線を感じた。

 

何だろう、後ろの席にいる砂川さんとかかな?

 

そう思い、右を向いてみると………そこには、小平先生が満面の笑みを浮かべてこっちを見ていた。

 

 

 

放課後。

 

私は、プリントに嘘を書こうとした罰として、

 

教室に残って掃除をしていた。

 

小平先生曰く、

 

「嘘をつく人ほど、不幸に陥りやすいんですよ。それに嘘をつけば、自分自身にそのツケが戻ってきますよ」

 

口調自体はとても丁寧なんだけど、明らかに怒っているのがわかる様な声のトーンだった。

 

小平先生は一通り私に説教をした後、教室(七組)の掃除を軽くする様にと言い残して職員室に呼ばれて行った。

 

 

「はぁ………」

 

なんて、一人でため息をつきながら箒でごみを集めていると、

 

音を立てて教室の扉が開いた。

 

誰が入って来たのかと思ったら、短めの茶髪に黄色いカチューシャをしている。

 

つまりは、入って来たのは流さんだった。

 

「お~、アヤカいいところにって、何やってるの?」

 

私の姿を見つけるなり、そう聞いて来た。

 

「その、卵を割った理由のプリントに嘘を書こうとしたら、怒られて。その罰で、ね………」

 

「ふーん、そうだったんだ」

 

少しにやけた様な表情を作って、こう言った。

 

「そう言えばアヤカに用事があったんだよ。」

 

「……?」

 

私になにか用事があるのだろうか?

 

そう思っていると、流さんが入ってきた扉の方を向いて

 

「おーい、遠慮せずに入ってきなよ。」

 

と声を掛け、小声で私にある事を知らせる。

 

「実はさ、紹介したい友達がいるんだ。アタシって、実は友達多いんだよー。」

 

 

え、紹介したい友達………?

 

困惑していると、

 

扉の方から二人の女の子が入ってきて……




~次回予告~

流ちゃんが、紹介したい友達とは…?

次回、Lucky.3 こっちにおいで

この話までで、アニメ1話に追いつきました。

ハナコ達が、親睦を深めていた数時間後に雨にうたれていた彩歌………ちょっと可哀想な事しちゃいましたかね……。

次の話は、アニメの2話の身体測定では、無さそうですが・・・?


追加された分のプロフィールも、書いておきます。

不幸タイプ…悪天候
番号…31
にしさわ あやか
西沢 彩歌
元ネタ…西武柳沢駅
茶髪でツインテール
片方の髪に太陽をかたどったアクセサリーをしている。
性格:冷静で、優れた観察眼をもつ

不幸タイプ…不明
番号…1
???
元ネタ…???
黒髪を肩まで伸ばしている
性格:???

不幸タイプ…不明
番号…32
すなかわ ながる
砂川 流
元ネタ…武蔵砂川駅
カチューシャをしている
性格:気さくで明るい

一応、ヒバリさんも、

不幸タイプ…不明
番号…28
ひばりがおか るり
雲雀丘 瑠璃

こうなって来ると、出席番号1番の子が謎過ぎますね。

ま、他の子達も続々と登場しますので、乞うご期待!

最後に謝辞を。

ここまで読んでくれて、ありがとう!

そして、挿絵を描いてくださった、ガンバりささんに感謝します!


これからキャラ増えるので安心してください!

それでは、また来週に!
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