等身大すごろくをやり、実技テストは終了となった。
昼食を挟んで1時間だけ授業をして、早く帰れることになった私たちは、天之御船学園の校門の前で帰り道どこに行くかを決めかねていた。
「はい! ボクはゲームセンターが良いですっ!」
恋ヶ窪さんがピシッと手をあげて発言する。
ゲームセンターか………。
私自身、あんまりゲームセンターだとかの娯楽施設には行ったことがない。
唯一あるとすれば、昔っからナノちゃんと行っていたカラオケだけど、最近はその場所もすっかり行ってなかった。
この前に恋ヶ窪さんのプレイを見て、行ってみたくなったものの、なかなか踏ん切りが付かずに行けないでいた
そこで、出てきたのが恋ヶ窪さんの提案だった。
私にしてみれば願ったり叶ったりだけど、他のみんなはどうなのか、とうかがってみると………。
ひまりさんはにこにことしているし、ナノちゃんは無表情ながらもどこか楽しそうな感じがするから、きっと行きたいっていうことかな。
そして、流さんはといえば……嬉しさ100%のニヤニヤ笑いだった。
そっか、何だかんだでみんなも行きたがっているようだし、寄り道していこうかな、ゲームセンター。
「それじゃあ、行きますか! ゲームセンター、アタシの遊び場に!」
そう言いながら流さんが歩き出す………が、すぐに立ち止まって私たちの方を振り返ると申し訳なさそうにこう言った。
「いやー、実は今から行くゲームセンターの場所知らないから、誰か教えて?」
恋ヶ窪さんがため息をつきながら流さんに近づいて、道を教えている。
……うーん、本当にゲームセンターまでたどり着けるのかな?
とは言ったものの、意外と呆気なくゲームセンターに辿り着いた。
私自身、なんとなくだけど、このままゲームセンターにつかないんじゃ無いのかなって思ってたくらいだったけど。
「アヤカー!、ひまりんー!、なのっちー!、ちょっと目を離した隙に、しーちゃんがリズムゲームの列に並んじゃったから、一緒に並ぼうよー!」
ブンブンと手を振って未だにゲームセンターの前にいる私たちに呼びかけると、店内に入っていった。
その声に反応して、ナノちゃんがピクリと肩を震わせた。
「・・・・・彩歌、ワタシちょっと・・・走る・・ね。」
タタタッと小走りにナノちゃんは店内に走っていった。
………もしかして、流さんの「そのっち呼び」に不満があったという事かな?
確かに流さんの馴れ馴れしい感じはあるけど、悪い人ではない……はずだけど。
「あっ……、菜野花さんも店内に入った様ですし、わたし達もお店に入りましょうかね〜。」
追いかけようとして、振り返って呼びかけてくれたひまりさんと一緒に、店内に入る。
自動ドアを潜り抜けると、私の双方から音波が押し寄せてくるような錯覚に陥った。
なんせ何年も行ってなかったんだから、急なゲームセンターの
「うわっ、ひまりさん、こんなにゲームセンターってうるさかったけ?」
一緒に店内に入ったひまりさんに声をかけようとして右側を見ると、ぐるぐると目を回していた。
「ちょっと、ひまりさん大丈夫?」
私は慌ててひまりさんの正面に回る。
「ああ、彩歌さん大丈夫です。 わたし、ちょっと音に酔ってしまった感じだったので〜。」
音に酔う…?っと思ったけど、そういえばひまりさんはゲームセンターに入るのが、初めてなんだっけ。
私もさっき驚いた様に、ひまりさんもきっとやられたのだと思う。
ええと、どうしよう……。
取り敢えず何かした方が良いのかな?
それとも、ひまりさんを連れて流さん達の方に行く?
そう考えている間にも、ひまりさんの顔はみるみるうちに青くなっていく。
かなりマズイ状況かも知れないと判断して、ナノちゃんが向かっていったリズムコーナーの方に目線を送る。
と、こちらの様子に気付いたのか、流さんに怒っているのであろうナノちゃんが、流さんの背中を押す。
流さんも私たちの様子に気付いたのか、急いで走ってきた。
「ひっまりーん、ダイジョーブ? って……これは気分悪くなったっぽいなー。 よーし、ちょっとだけ移動しよう。」
私も慌てて、流さんとひまりさんの後を追う。
流さんはひまりさんを椅子に座らせると、自販機で冷たいジュースを買うと直接手渡した。
「砂川さん、大丈夫ですよ〜。 少しだけ気分が悪くなっただけなので〜。」
ひまりさんは流るさんにそうお礼を言うと、私にも感謝をしてくれた。
彩歌さん、ありがとうございます〜、と。
私は何もしてないに等しいけど、お礼を言われて少し嬉しくなった自分が居た。
ひまりさんが、流さんから貰ったジュースを飲むまで待った後、ひまりさんは回復したらしく、しーちゃんとナノちゃんが待っている、リズムコーナーまで3人で歩いて向かった。
到着すると、私と流さんにとって2回目になる光景が広がっていた。
しかし、そこには新しい要素も加わっていた。
太鼓のゲームを恋ヶ窪さんがプレイする(誰もが驚くような超絶プレイ)だけならまだしも、その横にナノちゃんがいて、隣の太鼓で2Pとなり、同じ難易度のものをラクラクとこなしていた。
「ひゅー、なのっt……じゃなくて菜野花ちゃん、やるねー!」
流さんが言い直しながらナノちゃんを褒める。
「はわわっ〜、椎名さんも、菜野花さんも凄いです〜!」
ひまりさんもパチパチと小さく拍手をしながら、2人を交互に見ながら呟く。
と、演奏が終わり得点が表示されていく。
徐々に2人の点数は伸びていったけど、少しの差でナノちゃんの方が負けてしまった。
「椎名、その・・・悔しかった・・けど、楽しかった・・・・・・よ・・・。」
スッと自ら手を差し出すナノちゃん。
それをしっかりと握り返しながら、恋ヶ窪さんは今日1番の笑顔でこう言った。
「ふふんっ、ボクを越えなきゃ世界には勝てないです!」
急に辺りは閑散となり、静けさが広がる。
気まずい雰囲気が私たちの間に流れる。
それを受けて、ナノちゃんは、後ずさりながら
「・・・・・いや、世界は・・・ちょっと・・・・ムリ・・・。」
と言ってクスクス笑った。
それを見て耐えきれなくなったのか、流さんとひまりさんが吹き出して笑い出す。
「アッハハ、面白い事言うねー、しーちゃん。 アタシ、笑い過ぎてお腹痛い!」
「椎名さんも面白い人だったんですね〜! ふふっ。」
圧倒的に不利な状況へと、追い込まれた恋ヶ窪さんは顔を赤くして、私に向かって聞いてくる。
「彩歌ちゃんは、ボクは世界に行くと思うよね?」
………うん、流石に恋ヶ窪さんが可哀想だし、ちゃんと答えよう。
「まずは、全国からだよね。」
ポンと恋ヶ窪さんの肩に手を置いて、そう告げる。
それを聞いた恋ヶ窪さんは、ますます顔を赤くして、
「もうっ、ボクを小バカにしないでよー!!………違うヤツやろう!次に行こうっ。」
と、叫んだ後に歩いて行ってしまった。
みんなでごめんと謝りながら、恋ヶ窪さんに着いて行く。
こんな、帰り道もたまには悪くないかな。
私にとっての、友達と一緒なら。
遂に彩歌が、4人のことを友達判定しました!
……もう20話以上来たんだけどね。
〜次回予告〜
ゲームセンター編はこれで終わり…かと思いきや次の話もこれの続きです。
次回、Lucky.22 るーるのうえで
それでは、お楽しみに〜〜!