ゴールデンウィーク初日の4月29日金曜日、昭和の日。
ワタシは目をこすりながら、朝食の準備をする。
準備といっても、ほぼ一人暮らしみたいな生活をしていると、ある程度のパターンは決まってくる。
食パンをトースターに差し込んでから、冷蔵庫からベーコンと生卵を取り出す。
火をつけたフライパンにベーコンを置き、すぐにひっくり返す。
その上に卵を落として少量の水を入れて、蓋をする。
蓋をする時に火を少しだけ弱めておく。
香ばしい匂いといい音がする中、チンっとトースターから音がする。
またもや冷蔵庫からマーガリンを取り出して、こんがりと焼き目のついたトーストに塗り込む。
皿にトーストを置き、ワタシは目線をフライパンに向ける。
フタを開けると、美味しそうに目玉焼きが出来上がっていた。
出来た目玉焼きをトーストの上に乗せて、椅子に座り手を合わせる。
「・・・・・いただき・・・・ます。」
・・・・以前は、いただきますなんて言ってなかったけど、玉上さんの真似をしているうちに自然と身についてしまった。
「これから、バイトか・・・な。」
祝日となる今日から三日間は、アルバイトに打ち込むようにシフトを入れておいた。
学生としては、勉強もしないといけないんだけど、ついついバイトをしたくなってしまう。
・・・・もぐもぐと朝食のパンを食べながら、ぼんやりと考える。
彩歌達と遊ぶのもいいかもしれないけど、あいにくワタシは連絡を取る手段を持っていなかった。
携帯電話なんて、通話代や通信料が心配で持ったことすらなかった。
あの人たちに言えば買ってくれるかもしれないけど、どうせなら自分で買いたい。
さらに言えば、このマンションに固定電話がないのも辛いところ。
・・・・・まあ、しょうがないか。
時計を見ると、8時を過ぎようとしていた。
電車で行くことを考えたら、そろそろバイトに行く時間になる。
コップに牛乳を注ぎ、一気に飲み干す。
「・・・・ぷはっ!」
今日も・・・美味しい・・・。
ふと自分の胸に手を当てる。
昔から気にしていて、豆乳とかも飲んでいた・・・お陰か、最近は・・・成長している・・・・・よね?
流し台に食器を運び、それを片付けながら、あくびをする。
未だに眠気が取れない。
また月曜日になったら、普通に学園が始まるから切り替えは大事にしないと。
カーテンから覗く空は良好、着替えを素早く済ませる。
半袖のシャツにデニムのズボンを履き、上からカーディガンを羽織った。
そこから更にキャップ帽を目深に被る。
玄関で、動きやすいスニーカを履いてドアを開ける。
外に出てから、しっかりと鍵をかける。
「さて、バイトに・・・・行こうかな。」
テクテクと歩きながら駅へと向かう。
駅に着いて電車に乗ってから、
「さて、そろそろ始めよう。」
到着駅から躍り出た
遊園地を関係者専用である出入り口から入ると、目の前にいたスタッフの内の1人に声をかける。
「おはよう、開園まで時間があるけどトラブルとか無い?」
その質問に、シャキッと背筋を伸ばしたスタッフはハキハキと答える。
「はいっ! 今のところ滞りなく進んでいます。」
「全く、
少なくとも、
そのスタッフは言いづらそうにしながらもこう言った。
「いえ、ここ、Continue Gamesという遊園地がここまで人気になったのも
それでは。と別れの挨拶を述べながらそのスタッフは去っていった。
まあ、この遊園地は今では大盛況となっているけど、昔はそうでは無かった。
少しだけ、あの頃を回想していこうかな。
〜〜〜
一年前のこと、
そこを観て回って
人が、ほとんど居ない、そんな状況だった。
大概の地方遊園地は、その土地に根ずく形でその存在価値を発揮している。
しかし、老朽化によりアトラクションのほぼ半分が使い物にならなくなり、ろくなお店も出ておらず、お土産屋さんには満足なマスコットキャラクターでさえ居ない状況だった。
だから、
今にして思えば、
一つの大きな施設である遊園が自分の思い通りになるということに。
その遊園地の事務室のようなところに案内され、
しばらくすると、言っていた品が届いた。
よし、ここはひとつ考えてみよう。
ひとまずはこの遊園地にテーマを持たせることにした。
絵を描くうえでも、まずは何かしらのテーマだったり、タイトル、意味とかを付けてから描き始める。
それと同じようにしようと考えて、まずは遊園地の名前を変えることにした。
「遊園地 ローディング」から、「Continue Games」へと。
何をやろうかな……と考えていると、まずは園内マップを見直すことにした。
すると、東側にあるアトラクションの多くが故障または使用不可の状態が続いているものだった。
そこで、その場所には他のアトラクションを置くとか……いや、アトラクションじゃなくてもいいのかもしれない。
そう、いっそのこと、アーケードゲーム機とかを置いてみるのはどうだろうか。
リズムゲームにメダルゲーム、UFOキャッチャーとか、カード対戦ゲームとかも入れよう。
遊園地の中に大きなゲームセンターがあるような、いや、遊園地自体がゲームセンターのようにするのが良いと思う。
よし、遊園地のテーマは「日本最大のゲームセンターを遊園地に」にしよう。
それから、何かマスコットキャラクターを用意しよう。
遊園地の名前にも入っているGAMEを使いたいな……。
ローマ読みからガメにして、カメのキャラクターにしよう。
ゲームセンターってきらきらしてるイメージだから、甲羅に星を加えたるするのも面白いかもしれない。
この子の絵も、ラフ絵だけど描いておこうかな…………
一枚の紙を手に取り、シャーペンで輪郭を描きながら、ペンを持ち替えて簡単に色を塗って、更には輪郭も加える。
…………っと、こんな感じ。
他には、食事処かな。
売店の少なさもそうだけど、さっき見回った時に感じたのは、食事を食べれるレストランが少なかったイメージ。
イタリアンから和風料理に、中華まで出来る限り用意してくれるように頼もうっと。
ここまで考えたところで、ふとテレビをつける。
ニュース番組が映し出されていて、都会の方の特集が組まれていた。
とこのように、駅周辺は夜中も光に満ちており観光しやすく人気となっています。
というようにイントネーションのハキハキとした声を聞いたところで、閃いた。
……夜の時間帯も営業するというのはどうだろうか。
時間をあまり遅くしなければ有意義にスペースが確保できるし、大人が立ち寄りやすい雰囲気を作れればいけるかも知れない。
さっき思いついたガメちゃんと、もう一匹マスコットキャラクターを考えておこう。
夜のイメージで、出来るだけ可愛いのが良いな……あ、そうだ。
フクロウというのはどうだろうか。
夜行性だし、夜を象徴している。
またもや、紙を一枚とって描き始める。
いくら夜とはいえ、あんまりスタイリッシュなデザインにしても気味が悪くなちゃいそうだから、丸くして柔らかいイメージを持たせるようにしよう。
っと、こんなものかな。
名前は、continueを逆にしたeunitnocの最初のeuniをローマ読みして、エウニー君にしよう。
そのほかにも、いろんなことを纏めたりしているうちに、お母さんとお父さんが迎えに来た。
扉から入ると、そろそろ帰ろうか、などと言いながら
「さて、もうお目覚めの時間だよ。 ナノカに戻るんだ。」そう言った。
でも、その意味を知る前に
あの時に意識がなくなってから、次に意識が戻ったのはまた遊園地に来た時だった。
今考えていること、物、何もかもが
以前から意識が切り離されたような感覚があった。
それでいて、何日間も記憶が抜けているのに違和感を感じることも無かった。
考えれる事は考え続けて、辿り着いた。
でもそれは、ありえない事だと思っていた。
それは、
現に、それに気づいた時から少しずつ
〜〜〜
そうして、
それは、今も続いている。
もう何ヶ月かすると、Continue Gameにナイト営業が始まる。
それに向けて、
営業・企画部署の部屋に入ると、企画書を片手に指示を出す。
暫くすると、
両親でもなさそうだし、これはもう1人の自分の知り合いかな?
これは
さあ、ナノカを知ろう……。
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そn|
園池 菜野花に関して|
いくつか、調査が進むうちに分かった事があったので記録しておく。
まず、彼女(便宜上そう呼称する)は、解離性同一障害、いわゆる二重人格であろう。
この事実は、養護教諭である伏見からの情報でわかった。
その根拠は多岐にわたるが、詳しくは参考資料である、ファイルNo.21に記してある。
次に、園池という名字から連想されるように、ソノイケ・ゲーム・プロダクションズ(株)との関わりもあり、両親がその会社の広報で勤めているらしい。
ソノイケ・ゲーム・プロダクションズ(株)は、園池財閥が経営しており主にアーケードゲームや家庭用ゲームを販売しているようだ。
更には、彼女は幼稚園児の頃、西沢 彩歌と出会い成長するうちに絵の才能が徐々に開花したと思われる。
小学生では絵描きとしての才覚を発揮し、数々の作品が賞をとっていた記録も残されている。
しかし、小学課程終了後に彼女の絵師としての才能に目を付けた園池財閥は、自らの組織が手掛けるデザイン科専攻の中高一貫校へと転入をさせる様に、両親2人と共に左遷してしまう。
早い話が転勤をすることによって未来の優秀な社員を獲得しようとしたのだろう。
彩歌と離れ離れになった彼女はその才能を磨き続け、中等部3年と高等部3年分の計6年分の課程を3年で終えた。
だが、その間の記憶は本人から欠落しており、その空白の3年間にもう1人の人格が形成されたと見られる。
それからは、園池財閥に関わることになるともう1人の人格が出てくるようだった。
アルバイトと称した活動も、このもう1人の人格を定期的に目覚めさせる為の物だろう。
現在、分かっている事は以上である。
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小平は、報告書を書き終えると一息つく。
「全く、困ったものですね……伏見先生と吾野先生から事情を聞いてみれば裏であんなことしていたなんて。」
現在、4月30日の土曜日。
前日、養護教諭の伏見と数学教師の吾野が西沢 彩歌と行動を共にし、園池 菜野花の現状を目撃してから1日経過していた。
一口飲んだコーヒーカップを机に戻し、身体をほぐす。
「小平先生……大丈夫?」
小平の背後から、金髪の少女がおどおどとしながら言う。
「おや、いたのですか。 私は大丈夫ですが、あなたは今年もクラスに入らずに一年を終えるつもりですか。」
少し困ったように眉を寄せながら、小平はその少女に尋ねる。
すると、ぷるぷると震えながら口を開いては、ボクには……と呟き、また口を閉じてしまう。
「もう少し、マイク無しで喋る練習をした方がいいかも知れないですね。」
その少女の様子を見た小平はそう呟くと、再び机の上にあるパソコンに向かう。
「私は確かにあなたが幸福クラスの支援をすることを許可しましたが、あなたも幸福クラスの一員だという事を忘れないでくださいね。」
その言葉に、少女はコクリとうなずくとその場を後にした。
今回は、だいぶ長いし、視点変更アリで、読んでくださったあなたに感謝です。
ガメちゃんはガンバりささんに、エウニー君はまっちゃんさんに描いて頂きました!
ただ、ひたすらに感謝です!ありがとうございますm(_ _)m
今回は満を辞して(?)あの子も登場しましたね!
〜次回予告〜
おんハピ♪はついにゴールデンウィーク編に突入!
それぞれの休日を過ごす内に、彩歌は重大なことに気付いてしまい……!?
次回、Lucky.26 うたがい
出来れば来週に投稿したい……。