おんハピ♪ 〜Only Happy♪〜   作:赤瀬紅夜

28 / 38
Lucky.28 びんかん

5月2日、ゴールデンウィーク真っ只中だけど、あいにく学園は平日で祝日でもないと言うことで、通常通りに登校することになった。

 

「今日だけ登校ってのも、なんだか癪だな……。」

 

そんな風に呟いて、通学路を歩いていく。

 

私は、普段とは違う道を歩いていた。

 

昨日、一昨日とあったナノちゃんのことで、私はひまりさんの家に直接向かってから、ナノちゃんが来ていなければマンションに行き、起こしてから学園へと向かうことになっていた。

 

なので、普段使っているルートの1つの住宅街ではなく、川沿いの道を歩いていた。

 

余裕を持つために割と早めに家を出た。

両親は相変わらず旅行中で、自分で起きて着替えてからこうして歩いているんだけど、お弁当の用意はひまりさんが私の分まで作ってくれると言うことで、その事にありがたく思いながら頼んでいた。

 

川の方を見ると、何か大きなものがプカプカと浮きながら流れている。

 

浮かんでいるものは、天之御船学園の制服を着ている生徒のようにも見える……というか、人が川に流れている。

 

「え⁉︎ 大丈夫?」

 

オレンジのような金髪のような髪色をした少女が流れている。

なんとかして助けないと、でもどうやって助ければ良いんだろう……?

 

「はぁ、はぁ、あっ、ちょっと手伝って貰っても良いかしら?」

 

背後から走って来たと思われる、私と同じ制服を着た子が話しかけて来た。

その子は、瑠璃色のストレートの髪を真っ直ぐに伸ばして緑色の瞳をしていて……ってどこかで見たことあると思ったら、初日に小平先生に質問をしていた雲雀丘 瑠璃さんだ。

 

手伝うって、何を手伝えば良いんだろう?

 

すると、雲雀丘さんは荷物を私に預けた。

 

「はなこ、今行くからね。」

 

そう言うと、川に飛び込んだ。

 

「えー!? 雲雀丘さーん!」

 

思わず、私は叫んで雲雀丘さんを心配する。

いきなり川に飛び込むなんて思いもしなかった。

 

雲雀丘さんは、川に入るとなんとか泳いで溺れかけている生徒を助けた。

 

全身ぐっしょりと濡れた格好で、川から這い上がる。

 

雲雀丘さんに助けられた生徒は、ありがとーと言いながら、スカートや制服についた水気を取ろうと絞っている。

 

こちらに気づくと、笑顔を浮かべて私にもお礼を言う。

 

「あ、あなたもありがとね〜、わたし、花小泉 杏って言うんだ、はなこって呼んでね。」

 

オレンジの様な金髪の様な髪を濡らしながら、暖かい様な雰囲気をまとった子だった。

 

「それにしても、どうして花小泉さん……いや、はなこさんは川に流されてたの?」

 

何故あんな状況になっていたのか、皆目見当が付かず聞いてみることにする。

 

「実は、はなこってかなり不幸でよくあんなことになるのよ。」

 

気まずそうにして、雲雀丘さんが説明してくれた。

 

「……なるほど、つまりはなこさんは、普段から不幸で特に水難が酷い、ということかな?」

 

そう話すと、はなこさんは、頷いて肯定してくれた。

 

「あ、それと荷物持ってくれてありがとね。」

 

そう言って雲雀丘さんは私に渡した荷物を持つと、ぺこりとお辞儀した。

 

それじゃ、また学校でね。そう言ってはなこさんと一緒に行ってしまった。

 

もしかしたら、ほかに待ち合わせしている相手でもいるかもしれない。

 

「っと、私もそろそろ行かないと。」

 

ひまりさんの家まで急ごう。

 

少し小走りになると、ひまりさんの家まで向かった。

 

しばらく行くと、ひまりさんの家の前に着いた。

 

すると、反対の道からナノちゃんが歩いてきた。

 

こちらに気づくと、嬉しそうに駆け寄ってきた。

 

「彩歌、おはよう。 ・・・・陽毬を待ってるの?」

 

私は頷いて答えると、丁度よくひまりさんが出てきた。

 

「おぉ〜、お二人ともおはようございます〜。 それでは、ちょうど揃ったことですし、行きましょうか〜。」

 

私とナノちゃんにそれぞれお弁当を渡すと、ウキウキとした足取りでひまりさんは歩き出した。

 

3人でお喋りしながら歩くと、あっという間に学園に着いてしまった。

 

1年7組のドアを開けると、流さんが、飛び込んできた。

 

「おっはよー! なんだよもー、アタシも一緒に行きたかったなー!」

 

ひまりさんを捕まえると、流さんはイタズラしだす。

 

「くそー、ひまりんめー! おっぱい揉んでやるー。それそれ!」

 

背後に回り込むと、モミモミとひまりさんの胸を揉みだす。

 

「ひゃあっ、やめてください! ながるさん、恥ずかしいですよぉ〜!」

 

ひまりさんがもがいて、なんとか流さんの拘束を解く。

 

顔を真っ赤にして、涙目になりながらも流さんにひまりさんは苦言を呈す。

 

「もうっ! わたしの敏感なところを触らないでください〜!」

 

俯いて、小さな声でわたしもうお嫁にいけないです〜、と嘆いているのが聞こえた。

 

ひまりさん可哀想に……。

 

流さんがひまりさんに近づいて、慰める。

 

「いや、ごめんごめんって。 アタシもひまりんが楽しそうに入ってきたから羨ましかったんだよー。」

 

「むぅ〜、許してあげないです〜!」

 

プイっとそっぽを向いてひまりさんはいじけてしまった。

 

「はあー、2人とも朝から何夫婦漫才(めおとまんざい)やっているんですか……?」

 

恋ヶ窪さんがため息をつきながら、ひまりさん達をたしなめる。

 

いつのまにか登校してきたらしい。

 

それを聞いた流さんはニヤリと笑いながら、言う。

 

「なにー? しーちゃん、羨ましいの?」

 

「そんな事ないです!」

 

恋ヶ窪さんはそれに反応して言い返す。

 

 

ガラガラッ

 

「はいはい、皆さん席について下さいね。」

 

小平先生が教室に入ってきて、一旦私たちはそれぞれの席に戻った。

 

 

授業を受けて、お昼休み。

 

「それでは、手を合わせて下さい!」

 

「「「「「いただきます。」」」」」

 

いつも通り、ひまりさんの号令のもと、昼食が始まった。

 

それぞれのお弁当を広げて、会話を始める。

 

その中で、ゴールデンウィーク中にこれから何をしようかという話になった。

 

「わたし、みんなでまたどこかに行きたいです〜。」

 

ほのぼのと、微笑みながらひまりさんはそう言った。

 

うーん、でも私、今両親いないし。

「うーん、でも私、今両親いないし。」

 

つい、考えていたことが口に出てしまった。

 

「え? 彩歌ちゃんって今両親家に居ないんですか?」

 

恋ヶ窪さんが興味津々という様に聞いてくる。

 

私は苦笑いを浮かべながら答える。

 

「うん、実は2人で海外旅行に行っちゃってね。」

 

「なるほど、という事は、今アヤカん家には、誰もいないっていうこと?」

 

流さんがお弁当のおかずを食べながらそう訊く。

 

「うん、そうなるのかな。」

 

ガタッ、と音を立てて恋ヶ窪さんが立ち上がると、みんなを見渡してこう言った。

 

「それじゃあ、みんなでお泊まり会しませんか?」

 

みんな驚きの表情を浮かべたあと、頷いたりしながら賛成する。

 

「いいんじゃない・・・かな」

「楽しそうですね〜。」

「アタシ、色々持ってこうかなー。」

 

「えっと、恋ヶ窪さんもしかしてお泊まり会するところって……。」

 

私をみると、恋ヶ窪さんは大きく頷いてこう言った。

 

「うん、彩歌ちゃんの家でやろう、お泊まり会!」

 

……どうやら、これからのゴールデンウィークは騒がしくなりそうだった。




〜次回予告〜

響のことを知らない者などいないと思うが、一様言っておこう。

1年7組の幸福クラスというよくわからない所にいる、萩生 響という者だ。

雲雀丘に頼まれて仕方なく、次回予告という物をやってやる。

響はよく道に迷うと言われているが、そんな事はない……ハズだ。

全く、響の出番が少ない気がしてならないのだ。

これから増やす様に何かしなければ、響の出番は増えないのでは?

と言うか、レンと一緒に出たいのだが……。

なっ、聞こえていたのか⁉︎

次回、Lucky.28 きにするな

響には何か良いことでは無く、良いことしか起こらんのだ!

お相手は、萩生 響がお相手したぞ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。