おんハピ♪ 〜Only Happy♪〜   作:赤瀬紅夜

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Lucky.4 いまいくよ (☆)

 ―4月9日土曜日―

 

上を見上げると、春に似つかわしくないくらいの快晴の空が広がっていた。

ただいまの時刻は11時20分、つまり集合時間の40分前だ。

そして私は、集合場所でもあった、天之御船学園の正門前まで来ていた。

 

わたしの不幸タイプの悪天候の為に他の人より早めに来ていた……という訳では無く、ただ単に私が焦って時間よりも早く来てしまっただけだ。

 

時間も余ってることだし、ここで私の不幸タイプである悪天候についての考えをまとめてみようと思った。

この体質になってからの癖みたいなものかな。

 

私の悪天候はそう酷いものではない。

 

天候がさっきまでは晴れていたのに、急に雨が降ってくるとか、季節外れの雪が降ったりとはしない。

あくまでも私の予想になるけれど、せいぜい降水確率が上昇するだけだ。

入学式の日の降水確率は、20%でその数値が上がって雨に降られた。

でも、今日は違う。

 

今日の日差しは今の季節に合わず少し暑いぐらいに照っていた。

今日の降水確率は、0%だった。

いくら私が不幸でも、0%の日は雨には降られたことは無かった。

 

 

そんな考えをまとめていた時に、待ち合わせた1人?と思われる人がこちらに走ってきた。

 

その子は、なんというか…白いフリフリのついた黒のドレス――――つまりはゴスロリのようなファッションをしていて、黒い髪を肩まで伸ばしていた。

そのドレスを揺らしながらこちらに向かってきたのは、

なんと……………………………恋ヶ窪さんだった。

 

「お、西沢さんも早いんですね!」

 

と言うと、手を振りながら笑顔で恋ヶ窪さんも正門前まで来た。

 

うーん、何だろうこのファッションについて何か言うべきか、何で恋ヶ窪さんも早く来たのかどっちについて言えばいいのか分からない……し、全然わからない。

そう私が悩んでいると、恋ヶ窪さんが何かを感づいたらしく、自ら口を開いた。

 

「いや、あのですね、この格好はボクの趣味とかじゃなくて、お母さんが友達と遊びに行くなら着て行きなさいって……」

 

母親は、娘になんて服を着せてるんだか……。

 

すると、恋ヶ窪さんが恥ずかしそうにつぶやいた。

 

「実はさ、ボクって自分を言うようになってから、お母さんが女の子らしくさせたかったみたいで……」

 

そんな理由は分かる気がすると、一人納得していた。

まぁ確かに、ある日突然自分の娘がボクとか言い出したらそうなってしまうかも。

 

と思ったところで、ツンツンッと後ろから背中をつつかれた。

 

後ろを振り返ると、ひまりさんと流さんがいた。

 

「もう、おふたりとも集合していたんですね~」

 

と言っていたひまりさんだったが、着物という格好にまたも私は驚いてしまった。

 

「ひ、ひまりさんは着物を着ているんだね…」

 

「はい、お店の制服が着物になっているので普段も着るようになったんですよ〜〜」

お店の制服が着物とは、日本料理店と聞いたのでかなり本格的な場所なのだろうか?

 

身軽そうな服に帽子を被った流さんがみんなに呼びかけた。

 

「もう集まったんなら、早くひまりんの家に行ってご飯食べよっ!」

 

その声をキッカケに私たちはひまりさんの家へと向かった。

 

ちなみに、私の今日の服はカジュアルなデニムのジャケットにスカートだった。

 

普通…………だよね?

 

 

ひまりさんの家を一言で表すなら屋敷だった。

 

日本料理店と言っていたけれど、そのお店がまさか和風屋敷のような佇まいとは、思いもしなかった。

 

看板が立て掛けてあり、「鳳玉亭」と書かれていて、到着早々に

 

「ここがひまりんの家かーー!広いねっー!」

 

そう、流さんがそう叫んだ。

 

「ねえねえひまりん、このお店って名前なんて言うの?」

 

「ああ、砂川さんそれはですね~…」

 

と、ひまりさんがしゃべろうとした時に恋ヶ窪さんがポツリと呟いた。

 

「ほうぎょくてい、ですかね」

 

その言葉は流さんの耳にも入ったようで、

 

「あれ、ほうぎょくていって読むんだね。ひまりんそれで本当はなんて読むの?」

 

「は、はい………その通りでほうぎょくていと読みます~」

 

ひまりさんがどことなく、ションボリしているように見える。

 

きっと、名前の読み方を教えたかったのだろう。

 

 

とにかく入ろうということで、ぞろぞろと鳳玉亭に入ろうとした所をひまりさんに止められた。

 

「ま、待ってください!」

 

「皆さんは、新作の試食をお願いしたいのですが、営業中のお店の中で食べるという訳にもいかないので、二階の住居スペースまで移動していただけますかね~?」

 

その言葉に一同は納得した。

 

「確かに、ボクたちがお店でまだ出てないものを食べる訳にはいかないよね」

 

恋ヶ窪さんがそう、呟いた。

 

 

屋敷の一階をお店として、二階を住居スペースとして使ってるようで、私たちは二階に向かった。

 

 

「少し待っていてください、今新作の料理を持って来ますからね~」

 

そう言われて、リビングのようなところで通されていた。

 

「「・・・」」

 

なんとなく、気まずくなって沈黙が辺りに流れた。

 

「ボクの服って、なんかこのお店に合ってないですよね…」

 

あはは…と、力なく恋ヶ窪さんが笑った。

 

すると、それを聞いた流さんが口を開けた。

 

「そんな事無いと思うよ、しーちゃんって可愛い見た目してるから、そういうフリフリな服も似合ってる!」

 

そういう、流さんの服装はボーイッシュな格好をしていた。

野球キャップにボーダーの入ったシャツとジーパン、そして、今は脇に置いてあるが軽い羽織ものもシャツの上から着ていた。

 

「ボクもそういうボーイッシュな格好してみたいです!こういうドレスみたいな服しか持ってないから……」

 

と、恋ヶ窪さんが話していた時、ひまりさんがお盆になにかを載せてやってきた。

 

「皆さん、取り敢えずお茶だけ持って来ましたよ〜。あのう、部屋の奥にテーブルがあるので、そこでお茶飲みませんか〜?」

 

そう言われ、私たちはリビングの奥にあった、大きめのテーブルにそれぞれ腰をかけた。

 

 

その合間にひまりさんがお茶を配りながら説明してくれた。

 

「実はこのお茶も「和紅茶」と言って、日本で作られた紅茶なんですよ〜。このお茶もわたしから提案したものなんです〜」

 

和紅茶って言うんだこのお茶。

 

「あっボクの和紅茶に茶柱立ってる…!」

 

そう言って恋ヶ窪さんが驚いていた。

 

「恋ヶ窪さん珍しいですね〜、紅茶なので茶柱は立たないはずなのですが……」

 

そういえば、恋ヶ窪さんってどんな不幸タイプなんだろう…?

 

………今は和紅茶を飲もうかな。

 

「ひまりさん、早速頂きます」

 

湯呑みを持って、少し冷まし口に和紅茶を入れる。

 

すると、私の口の中に紅茶にしては甘めの味そして、少しだけ苦味が残った。

この前飲んだダージリンとは、違った味わいがある。

ダージリンは苦味が強めだった印象だったけど、この和紅茶は最後に少しの苦味が残っただけで全体的に美味しかった。

 

「この和紅茶ってすごい美味しい……」

 

思わず、そう口にしてしまうくらいに。

 

周りを見ると、流さんと恋ヶ窪さんの口にも合ったらしく幸せそうな顔をしていた。

 

「どうやら、皆さんの口に合ったようでなによりです~。他の料理も持って来ますね~」

 

そう言って、ひまりさんが部屋から出て行った。

 

 

それから、約五分後・・・・・

 

 

「次の料理は、鰹巻きおにぎりですよ~」

 

と、言い大皿をテーブルの中央に置いた。その傍らには取り分ける用であろう小皿も用意されていた。

 

焼き色のついた一口サイズのおにぎりに、タレで味付けし少し炙ってそうな鰹が巻かれていた。

更にその上から、ネギとゴマが降りかけられていた。

 

「元々は、料理人の間で食べていたお夜食だったので、わたしがそれを見つけてアレンジを加えて新作メニューに加えたんです~」

 

そう言ったひまりさんの発言に、流さんが驚きの声を上げた。

 

「へー、元は夜食だったんだ~、ひまりんよく見つけたね!」

 

グッ!と、親指を立てて流さんがひまりさんにサインを送った。

 

「そ、それじゃあ、皆さん食べてみてください~」

 

そう言いながら、ひまりさんが私たちに鰹巻きおにぎりを小皿に取り分けて、配った。

 

私は自分の小皿に載っている鰹巻きおにぎりに、箸を伸ばして掴み、一口に頬張る。

 

口に入れた瞬間、甘じょっぱいタレと、鰹の食感が広がった。

 

その後に、おにぎり………いや、かつお節を入れた焼きおにぎりの味が口の中に広がった。

 

「これも、凄く美味しい!」

 

私は思わずそう叫んだ。

 

 

それから、約一時間後……

 

私たちは、ひまりさんのお店の前にいた。

 

「今日は本当にありがとうございました~。お蔭で新作の料理をお店に出せそうです」

 

そのまったりとした言葉に、恋ヶ窪さんが応える。

 

「ボクたちも結構おいしい思いしたんだから、そんなに感謝しなくてもいいですよ」

 

そして、恋ヶ窪さんの言葉に流さんも続けて言う。

 

「そうだよ、ひまりん!アタシたちも美味しく食べれて、ひまりんも喜ぶ。これでお互いトントンだしさっ!」

 

笑顔で言い切る流さんを見て安心したのか、ひまりさんもみなさん気を付けて帰ってくださいね~と言い私たちを見送った。

 

 

 

「それじゃっ、あやか、しーちゃんまた明後日学校でね!」

 

「ちょっと、ボクをそんな風に呼ばないでよ………じゃあ、これから流ちゃんって呼ぶから!…あと、彩歌ちゃんも呼び方はこれで良いですよね?」

 

そんなやり取りを流さんと恋ヶ窪さんがしあったりして、私たちはそれぞれの帰路に着くために道を分かれた。

 

そして、自分の家に向かう途中。

 

今日はなんだか楽しくて、思わず笑みがこぼれた。

 

でも、その時、私がまだ小学生だった頃の記憶が蘇る。

 

ーーーーー

 

あの頃、私は園池 菜野花という子とよく遊んでいて、お昼を一緒に食べに行った時のことを思い出していた。

 

「彩歌、今日のお昼美味しかった」

 

トコトコと私の隣に菜野花が歩いてきてそう言った。

 

「また行きたいね、あそこのお店。それか今度は私がおススメのお店を紹介するよ」

 

「うん・・・楽しみにしてるね」

 

ーーーーー

 

そう言って、微笑んでた菜野花の顔を思い出した。

 

いや、あの頃は確かナノちゃんって呼んでたんだっけ。

 

今日のお昼の中に菜野花が居れば良かったのに。

 

そう思いながら、私は家へと急いだ。




~次回予告~

やって来た月曜日!
お待ちかねの身体測定が………あれ?始まらない?

次回、Lucky.5 ずっとおなじ

次の話から、またアニメに戻ります。

今回は初登場キャラはいましたが、彩歌の回想のみだったのでプロフィールは無しです。

最後に謝辞を。

ここまで、読んで下さったそこのあなたに最大の感謝を!

あと、まっちゃんさんに私服姿(ゴスロリ)の恋ヶ窪 椎名を描いて貰いました〜〜


【挿絵表示】


可愛いですね〜!

本当にありがとうございましたm(_ _)m

ではでは〜〜
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