4月11日の今日は、身体測定の前に生徒との面談がある。
幸福クラスである、7組を受け持つ者としてその一部を表記しておこうと思う。
何せ今年の生徒達はいつにも増して、厄介な生徒が多いのだから。
〜〜〜
「それじゃあ、初めに恋ヶ窪 椎名さん入ってきてください。」
「はい。」
そう言いながら、恋ヶ窪さんは私の前の椅子に腰を下ろした。
私は、手元に置いてある調査報告書に目を向ける。
そこには、1年7組、幸福クラス、出席番号1番、そして恋ヶ窪椎名と言う名前や顔写真まで貼られており、その下には不幸の分類、傾向と対策、特記事項など事細かに書かれていた。
不幸の分類を見て、やはり恋ヶ窪さんが幸福クラスの中でも異端だということがうかがえた。
私は、予め用意してあった、質問をいくつか尋ねる。
「恋ヶ窪さんは趣味などはありますか?」
この質問に、恋ヶ窪さんはキョトンとし、特には無いですと答えた。
「………それでは、これで個人面談は終わりです。ところで、恋ヶ窪さんは花小泉 杏という生徒はご存知ですか?」
「………いえ?面識はないですが。」
「そうですか。なら、構いませんが、恋ヶ窪さん、花小泉 杏さんにはできるだけ近づかないようにしてくださいね。」
「………わかりました。(……誰だろ?)」
この後は、出席番号2番なので……萩生 響さんですか。
恋ヶ窪さんよりはむしろこちらの方が気が楽に感じますね。
〜〜〜
次の出席番号は、12番なので……
「園池 菜野花さん、どうぞ。」
「失礼します。」
そう言って、紫がかった黒髪をお下げにした生徒、つまりは園池 菜野花さんが入ってきた。
調査報告書の得記事項に、警戒心が強いや、あまり社交的ではない。そして、ある遊園地で、バイトをしている事などが書かれている。
まずは、この事ですかね……。
「園池さんは遊園地でのバイトをしている様ですね。学業との両立は出来るのですか?」
その質問に、園池さんはこちらを見やってから、ボソリと呟く様に答えた。
「出来ますけど・・・。」
「それならば良しとしましょう。それでは園池さん、あなたの特技などはありますか?」
この質問には呟くのでは無く、ハッキリと答えた。
「絵を描くことや、デザインの方は得意・・・・です。」
デザイン…ですか。 確かに調査報告書にも書いてありますが………そうですね、園池さんには他の生徒よりも夢について考えていそうですね。
それから、いくつかの質問を重ねていく。
「西沢 彩歌さんと顔見知りの様ですね。もう会いましたか?」
その質問に、園池さんは不思議そうな顔をして答えた。
「ワタシは彩歌がこの学園にいるなんて、知らなかったです・・・・今度、話しかけてみます。」
知らなかったとは、驚きですね……。
「これで、個人面談は終わりです。園池さん、あなたには将来の夢をしっかり持っている様ですね。」
ボソッ「・・・・・・・当然でしょ。」
「それでは、失礼しました。」
何か呟いた様に見えたのは気のせいだったのでしょうか?
〜〜〜
次の生徒は29番………あと、10人ほどですかね。
「それでは、玉上 陽毬さん入ってきて下さいね。」
「し、失礼します〜。」
玉上さんの調査報告書には、実家の日本料理店「鳳玉亭」で、お手伝いをしている事。
さらには、
その下に一昨日恋ヶ窪 椎名、西沢 彩歌、砂川 流の3人を家に招いたということも書かれている。
最初は、この事について質問しましょうか。
「玉上さんは、一昨日友達とお昼を一緒に食べたそうですね。楽しかったですか?」
玉上さんは何故その事を知っているのかと疑問に思っていたようですが、こう答えました。
「はい〜、新しくお友達が出来て凄い嬉しかったです〜。」
お友達………ですか。良いことなのでしょうね。
「それは良かったですね。あと玉上さん、あなたの得意教科は何ですか?」
「そうですね〜、古典とか、家庭科ですかね〜。」
やはり、家庭科が得意でしたか。
得意な事は聞かなくても良さそうですね。
しかし、この生徒にはいささか警戒心が無さすぎる気もしますが……まあ、いいでしょう。
「それでは、これで個人面談を終わります。」
〜〜〜
出席番号31番、この生徒も中々大変ですね。
「西沢 彩歌さん、入ってきていいですよ。」
「はい、失礼します。」
相手を冷静に見れる観察眼、自分の状況を客観的に判断出来る判断力どれをとってもこの生徒は自分自身の身の守り方を知っている様ですね。
「西沢さんは、このクラスには馴染めましたか?」
ですが、卵の宿題の時にウソをついてしまったり自分をあまり信じてはいない様ですね。
「はい、入学式当初はあまり馴染めていませんでしたが、次の日に友達が何人か出来ました。」
こちらをじっと見つめながらこう答えた。
もう、大丈夫かもしれませんね。
いくつかの質問の後、個人面談を切り上げた。
「それでは、これで個人面談を終わりますね。西沢さんは今日来る時に雨に降られましたか?」
その質問に、西沢さんはこちらを少し睨みながらこう答えた。
「ええ、多少服が濡れた程度ですけど。それでは、失礼します。」
〜〜〜
次は32番なので、砂川 流さんですか。
今からすることを思うと少しだけ気が重いですね…。
「砂川 流さん、どうぞ入ってください。」
「失礼しますねー。」
教師の前であるのにも関わらず気楽そうな、それでいて無理をしているような態度。…やはり、まだ不幸を抱えている様ですね。
「砂川さん、ここでは下らない見栄なんて張らないでくださいね。」
この一言に砂川さんは大分驚いている様ですね。
「小平先生…いやぁ、冗談キツイなぁ、見栄なんて張ってるワケないじゃないですか………」
それでは砂川さんの肩の力を抜いてもらいましょうかね。
「砂川さんはこの学園に入学してから、何人ほどの友達が出来ましたか?」
驚いていた砂川さんも、パッと表情を明るく変え答えた。
「そりゃ、もう10人以上出来ましたよ!」
………なるほど。
「砂川さん、その答えは嘘ですね。」
1年7組の生徒は今のところ40人。
その中で、砂川さんと親しくなったのは恋ヶ窪さん、西沢さん、玉上さん、そして不幸にも寄ってしまっていた江古田さん以外には、関わりすらもっていないなようでしたし。
………………仕方ないですね。
他の生徒の皆さんよりも先にこの事を言う必要がありそうです。
「砂川さん、あなたの不幸は自分から認めない限り、到底直ることはありません。」
この生徒、いや、この子には不幸を克服して欲しい。
「それとも、あなたは中学時代の失敗をまた繰り返すのですか?」
その想いが強くなってしまい、ついキツめの言葉をかけてしまいました…ね。
流石にこの言葉は効いたのでしょう、砂川さんは少し大人しくなったようです。
「それでは、個人面談を始めます。まず、質問ですが………」
質問を重ねながら、本当は不幸を克服するのではなく、その不幸を受け入れる様になることを願った。
きっと、砂川さんには伝わらない様ですがね。
〜〜〜
個人面談の後は身体測定ですか……。
と、その前にお昼を食べておきましょうか。
あの子を呼んで頼まないといけない事もありますし。
さて、これからも忙しくなりそうですね。
まさかの今回は、小平先生の語りのみでした……。
あれ?どこか小平先生のSっ気が強い様な……?
〜次回予告〜
身体測定、次こそやるぞー!
次回、Lucky.6 みんなで
次の話は再び彩歌に語り部が戻ります!
今回の話によって、新たに追加されたプロフィールを載せときます!
不幸タイプ…不明
番号12
そのいけ なのか
園池 菜野花
元ネタ…遊園地西駅
紫のかかった黒髪をショートヘアにしている。
性格:無口。警戒心が強い
目の色は淡い紫
不幸タイプ…見栄
無意識のうちに余計な見栄を張ってしまう
番号32
すなかわ ながる
砂川 流
元ネタ…武蔵砂川駅
カチューシャをしている
性格:気さくで明るいが影の努力家
流ちゃんが中学時代に起こした失敗とは…?
それは、またいつかの話でしたいと思ってます。
次の話は挿絵アリの予定です!
ではでは〜〜。