おんハピ♪ 〜Only Happy♪〜   作:赤瀬紅夜

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Lucky.6 みんなで(☆)

私は、次の身体測定の為に着替えに更衣室に来ていた。

 

小平先生との個人面談を終えて、少しだけ気が楽になっていた。

 

「あ~、西沢さんも個人面談終わったんですか〜。」

 

体操服に着替えようとした所で、元々更衣室にいたひまりさんに声を掛けられた。

 

「ひまりさん、小平先生との個人面談、けっこう緊張しませんでしか?」

 

ひまりさんは、へ?というような顔をして答えた。

 

「うーん、そうでも無かった気がしますね〜、ちょっと怖いところもありますけど、基本的に良い先生だと思いますよ〜。」

 

入学式のアレを見ても、"ちょっと"怖いか…肝が座ってる人だ………

 

「わたしはそれよりも、体重が増えてないか心配ですよ〜、料理を作って、試食しての繰り返しをしてたお陰で体重が増えたような気がするんです〜。」

 

あー、一昨日にご馳走になった料理は、普段から自分で作ったりしてる賜物に依るもの……

 

という事は、

普段から自分で作った料理を食べてるという事なんだよね……。

 

「……体重増えてないといいね。ひまりさん。」

 

「はい〜、わたしにとっては体重と料理は切っても切れない縁なので〜。あっ、そういえば、わたし達まだ着替えて無かったですね〜、早めに着替えちゃいましょうか〜。」

 

そうね、と私は答えたけど、あることが頭から離れてくれなかった。

 

着替えようと言って制服の上着を両手で脱ぎ、上半身がブラを着けている状態になった時、服を着ていた時よりも幾らか大きく見えるひまりさんの胸に注目してしまった。

黄色を基調としたブラがひまりさんの後頭部のおだんごと色がお揃いで………。

 

どうやら、ひまりさんは着痩せするタイプらしい。

 

 

【挿絵表示】

 

 

私は、まあ普通位だと思うのだけれど………ひまりさんのには負ける……かな。

 

「き、着替えたところだし、私たちだけでも体育館に行ってみよっか。」

 

「そうですね~、彩歌さん。」

 

と、二人で身体測定をする会場である体育館に向かった。

 

 

体育館に着くと、すでに何人かの生徒が測り始めていた様だった。

 

2~5人程度のグループを好きなように組んで、測り合っている様子だけど………その中に1人だけ存在が浮いてしまっている子がいた。

 

その子は、背丈が周りと比べて小柄で黒い髪を垂らして紅い目をしていてって……恋ヶ窪さん⁉︎

 

どうやら隣にいるひまりさんも恋ヶ窪さんをみつけたようで、声を掛けていた。

 

「椎名さ~ん、わたし達といっしょに測りませんか~?」

 

クルッとこちらの声を聞き取ったのか、恋ヶ窪さんが振り返った。

 

「彩歌ちゃんに、陽毬ちゃんだ!うん、ボクも測り合いたいです。」

 

 

こうして、三人で身体測定をすることになった。

 

「ボクが個人面談を、一番最初に受けることになるとは思わなくて、他に友達もいなくて余ってたんです。」

 

そうか、確か今やってきた個人面談って、出席番号順じゃなかったから、

 

「個人面談の呼ばれた順番って入学式の日に試した、幸福度を測る時の番号を使っているものだったから、恋ヶ窪さんが一番最初になったってことだよね?」

 

と、恋ヶ窪さんに聴くとそのようで、コクリと頷いた。

 

「彩歌さん、どの種目から測ってもいいらしいですよ〜。」

 

「それじゃ、あそこの測定からやろうかな。」

 

そう言って私が指し示したのは、体前屈測定だった。

 

 

「体前屈測定って確か、台の上に立って上半身を倒して両手を足の先に向かって伸ばして、棒みたいのを押すものですよね?」

 

恋ヶ窪さんの声に私は、うんと頷いた。

 

「たしかに、今のところあれが一番空いてますね〜。でもわたし体前屈測定って苦手なんですよ〜。」

 

そう言ったひまりさんの声に、恋ヶ窪さんが驚いたような顔をしてこう言った。

 

「陽毬ちゃんに苦手な物があったなんて、意外ですね。こう見えてもボクは前屈って得意なんですよ!」

 

どうやら、恋ヶ窪さんは張り切っているようだった。

 

さて、私も平均くらいには頑張らないといけないかな…と思いつつ、ふと気になったことがあったので「ひまりさんって何で長座体前屈ニガテなの?」と聞こうとしたら……「よし、がんばるぞ~!」と言う恋ヶ窪さんの言葉に遮られてしまった。

そして、その言葉と共に測定器の方へと駆けて行った。

 

どうやら順番がまわって来たようで、測定器の方を見るともう既に恋ヶ窪さんは準備を終えたのか、台の上に立って手を伸ばし始めていた。

 

「よっと」

その掛け声と共に上体を倒し、台に取り付けてある棒を押し記録を伸ばしていった。

 

恋ヶ窪さんってほんとに体が柔らかいんだと思っていると、恋ヶ窪さんの測定を手伝っていたひまりさんがひゃっ!と声を上げた。

 

「ど、どうしたの?ひまりさん!」

 

そう言いながらひまりさんの方を見ると、驚いて固まっているひまりさんの横に、淡いピンクのような白のような色をした二足で立つウサギのぬいぐるみ?のような生き物がいた。

……しかも服を着て首元は赤いリボン結んでいる。

 

「そこまで、驚かなくてもいいじゃない。ボクはこの学園で造られた[ロボ助っ兎 チモシー mk-1]って言って、幸福クラスの案内役をやってるのさ!」

 

よろしくね~と小さめの腕を振りながらそう言った。

 

確かにロボットと言われると柔らかそうな外見とは違い、腕や足の稼働した時に機械音がするような気がする。

しかし、あまりにもなめらかに動くのでロボットというよりもぬいぐるみが突然動き出した様にしか見えない………。

 

すると、固まっていたひまりさんが近づいてきてヒソヒソと、私の耳元で話してきた。

 

「な、何なのでしょうか〜このロボット君は……。」

 

私もヒソヒソ声で、ひまりさんに返す。

 

「私だって、分からないって……あ!確か入学式の日の帰り際に見た気がする……」

 

そしてお互いに"?"を浮かべたままでいると、そのロボット(確かチモシーmk-1だったろうか?)が、何かに気づいた様にその目を光らせた。

 

「よく気づいたね、そう!何を隠そうボクは入学式初日からみんなを見守るために日夜活動していたのさっ!」

 

あの時はまだ調整ができてなかったんだけどね〜と、言いながらチモシーは胸を張った。

 

「ロボットに見えない外見をしてますね〜、助っ兎…という事は、わたし達の測定も手伝ってくれますか〜?」

 

しかしひまりさんの言葉に、チモシーは応じれないとでもいうかの様にムリムリと首を振りながらこう答えた。

 

「今からキミたちの測定の手伝いをしても良いんだけど、小平先生からお使いを頼まれているからまた今度ね〜。」

 

そう言って、よくしゃべるロボは去っていった。

 

「可愛らしい子でしたね〜。あっそういえば椎名さんがまだ測定している最中でしたね〜〜。」

 

確かにそうだった。

チラリと恋ヶ窪さんの方を見ると、ちょうど棒を押し数値が出始めていたところだった。

ひまりさんが、数値が書いているであろう画面を覗き込み、私たちに伝える。

 

「ええっと〜10.51417cm……って細かい数まで出るんですね〜。」

 

「確かに、小数点切らずに正確に測れるなんて、この測定器…いえ、この学園が凄まじいってことなのかもね…。」

 

そう言った私に、計測を終えた恋ヶ窪さんが返答を返した。

 

「彩歌ちゃん、どうやらこの測定器だけじゃなくて、この学校自体が最新設備を完備しているらしいですよ。」

 

そうだったんだ。たしかにやたら真新しい校舎だったりしていたし。そう考えると、さっきのロボットも学園の備品の1つなのかもしれない。

 

「西沢さん、次わたしが測定しても良いですか〜?」

 

! その言葉で私が物事にふけっていたことに気づき、慌てて返答する。

 

「ああ、うん、良いよ先に使っても……ってひまりさん、確か体前屈測定苦手なんじゃなかったっけ?」

 

そう聞くと、ひまりさんは少し恥ずかしそうに俯きながら呟いた。

 

「…恥ずかしいので、早めに終わらせたいんです〜。」

 

そういう事だったのか。確かに私も出来る事なら体重測る時なんかは早く終わって欲しいと思う。

 

よいしょと台の上に立ち、手を伸ばして棒を押している……が、少ししか棒が動かない。

 

それを見兼ねかのか、恋ヶ窪さんがひまりさんに声を掛ける。

 

「陽毬ちゃん、息をゆっくり吐いて力抜いて下さい!」

 

その言葉がひまりさんに伝わった様で、コクリと頷いた。ふぅ〜〜と息を吐きながら、頑張って棒を押しているようだった。そのおかげか、棒がさっきよりも下がっているようだった。

 

「それじゃあ、陽毬ちゃんの数値は〜っと、3.21333cm。うん結構良い感じです。」

 

陽毬ちゃん頑張りましたねぇと、恋ヶ窪さんがひまりさんを労っていると、突然ひまりさんがその場にへたり込んでしまった。

 

「椎名さん、お気づかいありがとございます〜、ですけどわたし、疲れちゃってちょっとその辺で休んでます〜。」

 

そう言って、ひまりさんが体育館のドアにもたれかかるようにして休んでいると……

 

 

ガラガラッ

 

 

とドアが開き、ひまりさんがそのままドアの方向に倒れて、入ってきた子とぶつかってしまった。

 

「・・・っ!」

 

その子もひまりさんにつまづいて、お互いが折り重なるように倒れてしまった。ひまりさんの上に紫がかった黒髪の子が乗っかってしまっていた。

 

「だ、大丈夫!?」

 

思わず2人に駆け寄る。

 

「わたしは大丈夫です〜。」

 

どうやらひまりさんは無事なようだ。

ドアから入ってきた子は…

 

「・・・問題はない。ワタシが・・・うっかりしていただけ。」

 

そう言いながら起き上がり、こちらをジッと見つめる目は淡い紫で……

 

「って、もしかしてナノちゃん!?」

 

そう、ひまりさんとぶつかり倒れた子は、私の幼馴染の園池 菜野花だった。

 

「も、もしかして、彩歌・・・?」

 

私が頷くと、無表情に近かった表情がだんだんと明るみを増していく。

 

「あ、彩歌〜〜!会いたかった!ワタシ、彩歌に会えなくて淋しかった・・・。」

 

まさかこんな所で会うなんて、思わなかった。

 

 

「あの、お二人がお知り合いだったんですね〜。改めまして、わたしは玉上 陽毬といいます〜。」

 

そう言ったひまりさんに続けるように、恋ヶ窪さんも紹介を始めた。

 

「ボクは、恋ヶ窪 椎名って言います。よろしくです。」

 

2人の紹介に、ナノちゃんも答えた。

 

「ワタシの・・・名前は、そのいけ、園池 菜野花と言います。・・・・・その、よろしく。」

 

うん、そう言えばナノちゃんって人見知りだった…。

 

 

「それじゃ、自己紹介も済んだことですし、みんなで身体測定、しましょう!」

 

恋ヶ窪さんに連れられて、どうやらナノちゃんも一緒に測るらしい。

やはり、まだ人見知りは続行中のようで、明るかった表情も今ではデフォルトの無表情に戻っている。

ナノちゃんとの再会を楽しむよりも先にやることがありそうだ。




菜野花ちゃんの、無口設定が順調になくなり始めている気がしてきます。

……ヤバくない?

〜次回予告〜

身体測定を終えた彩歌たちは砂川 流と合流し、5人で部活見学をすることに……

次回、Lucky.7 あなたと

お着替え中の陽毬ちゃんを、まっちゃんさんに、描いて貰いました〜アニメでは無かったサービスシーンですねぇ…。

更には今回から本格的に、おんハピ♪に参加する、園池 菜野花さんをガンバりささんに描いてもらいました。


【挿絵表示】


お二人のお陰でおんハピ♪書いていけます!

最後に、ここまで読んでくださっている読者さまにも最大の感謝をしたいです。

ではでは〜
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