Vanguard tale   作:九戸政景

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どうも、片倉政実です。今回も書きたい話が浮かんだので、投稿をさせて頂きました。
それでは、どうぞ。


Two of the king wish for peace and harmony

 フリスクとキャラの二人が、揃って地球へ向かって出発した後、サンズは少し安心した様子で小さく息をついた。

「……どうやら、無事に行けたみてぇだな」

「ええ、そのようです。後はフリスクさん達に先導者(ヴァンガード)を捜し出して頂くだけですが、その前にこちらで幾つかやっておかないといけない事がありますね」

「やっておかないといけない事……?」

 サンズが不思議そうな様子を見せると、対話者(トーカー)は静かに頷いた後、傍らに立っている友人――『ブラスター・ブレード』へと視線を移した。

「この地は、『ユナイテッド・サンクチュアリ』という国家の国土であり、彼が所属するクランである『ロイヤルパラディン』はその国家の第一正規軍であるので、彼には今回の皆さんの件を報告する義務があります」

「んー……まあ、そうだろうな。お前さん達が来たのは、このイビト山がどんなモノなのかを調査するためだったわけで、少しでも情報を集められた以上、それを報告しないわけにはいかねぇからな」

「その通りです。本来、私もこうして調査に来た以上は、私達を統括する方にこの件を報告する義務がありますが、今回は私のクランが所属する国家以外で起きた事である上、調査に来たのも彼からの私的な依頼であるため、報告自体は後でも問題はありません。ですが、彼の場合はそういうわけにもいきませんし、皆さんも少しずつでもこの世界について知りたいだろうと思います」

『ふむ……確かにそうだね。いつまでこの世界にいる事に分からない以上、この世界についての知識は自ずと必要になるし、少なくともこの地に住む人々とは仲良くしておきたいところだからね』

「はい、私達としてもそれが望ましいです。なので、ここは二手に分かれて行動するのが一番かと思います。ブラスター・ブレードと共に『騎士王アルフレッド』殿に謁見する組とこの場に残り私と共に原因の究明のために動く組という二つに」

 対話者の提案を聞き、アズゴア王は顎に手を当てながら納得顔で頷いた。

『なるほど……確かにその方法を取った方が、双方のためになるかもしれませんね。先程ガスター博士も言いましたが、この世界にいつまでいるか今のところは見当もつきませんから、それならば最低でもこの国の方々とは仲良くしておく方が良いですから』

「はい、私もそう思います。ですので、皆さんには是非とも我が王に一度会って頂き、正式に協力関係を結んで頂くのが良いかと思っています。我が王が協力関係を結んだとあれば、『ユナイテッド・サンクチュアリ』に属する他のクランの有力なユニット達も皆さんに興味を示し、他のクランの協力を得る事も出来るはずですから」

『ふーむ……となると、早めに組を二つに分けて行動をし始めた方が良さそうだね。ただ、組を分けるにしてもあまり偏りすぎてもいけないし、ここは慎重にメンバーを選ぶ必要があるかもね』

「ああ、確かにそうだが……俺達の内、何人かの役割はもう確定してるだろ?」

 サンズが即席通信機のモニターに視線を向けると、アズゴア王やガスター博士は静かに頷いた。

『ああ、そうだね。私はこの地下世界のモンスター達の代表として王様に謁見する組に自動的に入るし、ガスター博士とアルフィーにはここで原因の究明をしてもらう組に入ってもらう事になるからね』

「その通りだ。んで、オイラも謁見組の仲間入りは確定してる。元研究員としては、ここに残った方が良いんだろうが、研究員枠は二人で十分そうだからな」

『うーむ……そうなると、オレさまはここに残る方が良さそうだな。正直な事を言えば、アズゴア王やサンズと一緒に行きたいところだが、フラウィーが言ったようにあまり人数や役割が偏ってもいけないからな。だから、サンズ達と一緒に行くのは、アンダインとかフラウィーとかの方が良いとオレさまは思うぞ』

『ん……アタシか? まあ、まだ力仕事が必要そうではないから、それならサンズ達について行く方が良いかもしれないな』

『僕もそれで問題ないよ。僕もその王様やこの世界の様子には興味があるからね』

『それなら……私はここに残る方が良さそうね。謁見組が戻ってくるまでの間、モンスター達の不安を取り除くメンバーも必要になるでしょうから』

『そして、同じ理由でぼくも居残り組に入らせてもらうよ。このぼくの美しさで皆の不安を取り除く仕事もあるし、ちょっと安否を確認したいいと――友人がいるからね』

「んじゃあ、簡単にまとめると……オイラとアズゴア王、それとアンダインとフラウィーが謁見組で、残りがここで原因の究明をしたり、モンスター達への事情説明や不安の解消をしたりするって事になるな」

『そうだね。では早速、私達はそっちに向かうとするよ。』

「ああ、分かった」

 サンズが頷きながら答えた後、少し疲れた様子で小さく溜息をついていると、対話者は心配そうに声を掛けた。

「サンズさん、大丈夫ですか?」

「……ん? ああ、大丈夫だ。だが、やっぱり慣れねぇ事をすると疲れるもんだな。オイラはこういう進行役よりは、影から何かをする方が向いてるからな」

「そうなのですか?」

「ああ……まあ、この状況がどうにかなるまでは、『骨身を惜しまず』頑張るとするかな。スケルトンだけに!?」

 その瞬間、サンズ達の頭の中でツクテーンという音が鳴ったかと思うと、対話者はとても楽しそうにクスクスと笑い始めた。

「サンズさんは、本当に面白い方ですね」

「へへっ、そうかい? まあ、こんなに笑ってくれるのは、フリスクやトリエルを除けばお前さんくらいだから、オイラもスケルトンジョークのし甲斐があるってもんだぜ」

「……それなら、私もこれからはドラゴンジョークでも――」

「……対話者殿、その件は今やるべき事が終わってからゆっくりと話す事にしよう。今優先すべきは、地下世界の皆さんがこの世界にいる間だけでも落ち着いて過ごしてもらう事なのだから」

「……っと、それもそうですね。止めて頂きありがとうございます、ブラスター・ブレード」

「いや、礼には及ばない。私も幾度となく対話者殿には世話になっているからな」

「ふふ……では、今回の件はその分でお相子という事にしましょうか」

「ああ、そうだな」

 対話者と『ブラスター・ブレード』が仲良く微笑む中、サンズは珍しそうな様子でそれを眺めていたが、不意に腕を組むと不思議そうに対話者達に話し掛けた。

「……お前さん達、本当に仲が良いんだな」

「ええ、もちろんです。彼はもちろんの事、私もこんななりではありますが、この『惑星クレイ』の平和を願う者の一人ですからね」

「こんななり……まあ、さっき簡単に話は聞いたが、お前さんのオリジナル個体は、その姿らしい結構邪悪な性格をしてるみたいだからな」

「ええ、その通りです。ですが、対話者殿はそのオリジナルとは違い、『惑星クレイ』の平和を心から願い、自身のクランである『リンクジョーカー』以外のクランの問題にも親身になって取り組むような方です。ですので、私はそんな対話者殿を友人として、そして同じ星の仲間として誇りに思っています」

 友人の口から出たその言葉に対し、「ブラスター・ブレード……」と対話者が感動した様子で呟く中、『ブラスター・ブレード』は傍らに立つ友人の目を真っ直ぐに見つめながら親愛の気持ちを込めた笑みを浮かべた。

「対話者殿、惑星クレイや我々にはこれからも様々な苦難が待っているでしょうが、共に手を取り合いながら頑張っていこう。クランや国家こそ違うが、我々は平和を心から願う気持ちは同じなのだからな」

「……ええ、もちろんですよ。私のオリジナルが皆さんにしてきた事は、今更取り返しが付くわけではありませんが、その事をしっかりと受け止めた上で頑張っていくつもりですからね。

 だからでブラスター・ブレード、改めてこれからもよろしくお願いします」

「ああ、こちらこそ」

 彼らが種や国家を越えた友情を改めて感じながらお互いに微笑み合う中、サンズはとても真剣な表情を浮かべ、一言も発さずに対話者の事を深淵を思わせるような黒(・)い(・)眼(・)でただ見つめていた。そして、「……来たか」とサンズがそのまま小さな声で独り言ちた時、サンズと同じ謁見組となったアズゴア王達がイビト山から姿を現し、そのままゆっくりとサンズ達へと近付いていった。サンズはその足音でクルリと振り返ると、近付いてくるアズゴア王達の姿に「……ほう」と少し驚いたように呟くと、それと同時に眼には光が戻り、彼らが目の前でピタリと足を止めた瞬間に声を掛けた。

「……その格好は、謁見用かなにかなのか?」

「ああ、そうだよ。やはり、他の王と会うからには、それなりの格好が必要だと思うからね」

「……まあ、確かにそうかもしれないけど、アンダインの方は謁見をしに行くというよりは、これから戦いに行く格好にしか見えないかな」

「仕方ないだろう! アタシ的にはこの格好がピッタリだと感じたんだからな!」

 トリエルと同じような服装に着替えたアズリエルの姿のフラウィーに対して重厚な鎧兜姿のアンダインが吼えるように大きな声を上げる中、豪奢(ごうしゃ)な鎧と紫のマントを纏ったアズゴア王は、愛用の赤い三叉槍(さんさそう)を携えながらその二人の様子に苦笑いを浮かべていた。サンズはそんな仲間達の平和そうな様子に安心したように息をつくと、先程までの不穏な雰囲気は完全に消え、いつものようなのんびりとした雰囲気へと戻っていた。そして、再び対話者達の方へ視線を戻した後、悠然とした様子で立つ『ブラスター・ブレード』に声を掛けた。

「どうやら、こっちの準備は良いみたいだぜ」

「分かりました。それでは、そろそろ出発するとしましょう。しばらくの間は歩き続ける事になりますが、皆さんは体力に自信はありますか?」

「んー……まあ、歩(・)く(・)方(・)の体力なら問題ないぜ?」

「私も体力に問題はありませんよ」

「同じく問題なし」

「アタシも体力なら問題ない」

「……分かりました。では、これより我が王の元へ皆さんをご案内します」

『ブラスター・ブレード』は、サンズ達へ恭しく一礼をした後、対話者にアイコンタクトを送り、そのままサンズ達を伴って『騎士王アルフレッド』の元へと歩いていき、対話者は歩き去って行く友人達を見送ると、ガスター博士達とモニター越しの会話を始めた。

 

 

 

 

 謁見組が歩き続ける事約数十分、彼らは『ユナイテッド・サンクチュアリ』の城下町に辿り着き、その活気溢れる様子にサンズ達は思い思いの感想を口にしていた。

「へえ……思っていたよりも賑わってんじゃねぇか」

「国民達の表情もとても晴れやかな上、街中も実に清潔感がある……うむ、これは色々と見習う事がありそうだな」

「見た所、ニンゲン以外にも色々な種族がいるみたいだけど、果たして何種類の種族がいるのかな……」

「……なんだか強そうな見た目の奴も結構いるみたいだし、元の世界に帰る前に一度腕試しでもしてみたいな!」

 そんな仲間達の感想に『ブラスター・ブレード』が苦笑いを浮かべていたその時、彼らの元に一人の人物がゆっくりと近付いた。

「……もう調査は済んだのか? ブラスター・ブレード」

「『ブラスター・ダーク』……いや、まだだ。私がこうして戻ってきたのは、ここにいる方々の件も含めて、ひとまず報告しないといけない事があるからだ」

「……そうか」

『ブラスター・ブレード』に似た姿の人物――『ブラスター・ダーク』は、サンズ達の姿を一瞥(いちべつ)すると、少し警戒した様子を見せながらも礼儀正しく一礼をした。

「……私は『ブラスター・ダーク』、所属クランは『シャドウパラディン』だ。以後、よろしく頼む」

「……オイラはサンズ、別の世界から来たスケルトンだ」

「私の名前は、アズゴアと言います。彼――サンズと同じく別の世界の住人です」

「僕はアズリエル。訳あってこの姿をしていますが、本当の姿はフラウィーという名前の金色の花で、同じく別の世界の住人です」

「アタシの名前はアンダイン、サンズ達と同じく別の世界から来たんだ」

「異世界の住人……確か『ディメンジョンポリス』は、今回の件に関わっていないと聞いた気がするが……?」

「ああ、それは間違いない。しかし、こうして異世界の方がいらっしゃっている以上、この件を放って置くわけにはいかない。よって、現在は対話者殿も交えて此度の原因を探る組と王への報告を兼ねた謁見をする組の二つに分けて行動をしているところだ」

「……なるほど。そういう事ならば、さっさと行った方が良い。判断の遅れは、取り返しのつかない事態を引き起こす原因にもなり得るからな」

「ああ、分かっている」

『ブラスター・ブレード』が頷きながら答えると、『ブラスター・ダーク』はそれに頷き返し、「……では」とサンズ達に一礼をしてからその場を静かに立ち去った。そして、『ブラスター・ダーク』が立ち去った後、彼らが再び城下町の中を歩き出す中、サンズは先頭を歩く『ブラスター・ブレード』に声を掛けた。

「なあ、一つ質問をしても良いか?」

「はい、何でしょうか?」

「お前さんとさっきの奴は、どっちも名前にブ(・)ラ(・)ス(・)タ(・)ー(・)って付くみたいだが、もしや兄弟か何かなのか?」

「いえ、そういうわけではありません。私と彼が名乗っている名前は、本当はこの武器の名前で、私達にはそれぞれしっかりと別の名前があります」

「ほう……どちらも武器の名前だったのですか」

「けど、どうして本名じゃなく武器の名前を名乗っているの?」

「……それは、神界と地上の二つの歴史に名を残す稀代の名剣、『フィデス』の所有者が代々その名を名乗っていた事に肖っているからです。もっとも、対話者殿は私の本名を知っているので、そちらの名前で私の事を呼ぶ時もありますが、基本的に私は自身を『ブラスター・ブレード』という一人のユニットとして考えており、本名の私はこの武装を外した時のみの存在としています」

「なるほどね……それで、アタシ達にも基本的にはその武器の名前で呼んでもらいたいというわけか」

「そうですね……いつかは皆さんにも本名をお話しする機会は設けるつもりですが、しばらくの間はそれでお願い致します」

『ブラスター・ブレード』の言葉にサンズ達が頷くと、彼は安心した様子で「ありがとうございます」と小さくお礼の言葉を口にした。そして、歩き続ける事約数分、彼らの目の前に巨大な王宮が見え始めると、その大きさにアズリエルの姿のフラウィーは眼をキラキラと輝かせ始めた。

「わぁ……! こんな大きな王宮は初めて見るなぁ……!」

「フラウィー……お前さん、今回ばかりは感情が芽生えた事をラッキーだと思ってるだろ?」

「まあね。前の僕――アズリエルの頃は、そんな事は考えもしなかったけど、感情を持たないお花のフラウィーとしての期間を経験したからこそ感情がどれだけ大切な物かは身に染みて分かってるつもりだよ」

「そうかい。まあ、そう思っているなら今の自分って奴は大切にしときな」

「ああ、もちろんさ」

 フラウィーとサンズがそんな会話を交わす中、彼らが王宮の入口へ近付くと、入口の両側に立っていた二人の人物が先頭の『ブラスター・ブレード』に声を掛けた。

「おや……ブラスター・ブレード殿、もう調査は終わられたのですか?」

「何やら見慣れぬ方々をお連れのようですが、こちらの方々は一体?」

「ベディヴィア、それにケイか。この方々は、此度の調査の件で出会った方々で、一時的な報告も兼ねて我が王に会って頂くためにお連れしたのだ」

「ふむ……そういう事でしたか」

「そういう事ならば、どうぞお通り下さい。アルフレッド様は、現在玉座にてブラスター・ブレード殿のお帰りを心待ちにしていらっしゃるようでしたので」

「分かった。しかし……何故お前達がここで番をしているのだ?」

『ブラスター・ブレード』が不思議そうに問い掛けると、『忠義の騎士ベディヴィア』は落ち着いた様子でその理由を答えた。

「先程、ケイと共にここを通りがかった際、番をしていた者の一人が体調を崩しているのを見掛けまして、大事に至ってはいけないと思い、もう一人が代わりの者を連れてくるまでの間、一時的に番を引き受けているのです」

「なので、私達の事はお気になさらないで下さい」

「……分かった。だが、お前達も自身の体調には気をつけるのだぞ?」

「「はい」」

『忠義の騎士ベディヴィア』と『仁愛の騎士ケイ』が同時に頷いた後、『ブラスター・ブレード』は「それでは、どうぞこちらへ」と彼らが開けてくれた扉の向こうを手で指し示しながらサンズ達と共に王宮の中へと進んでいった。そして、王宮内のユニット達と軽く挨拶を交わしながら進み続け、玉座のある王の間へ着いたその時、玉座に座っていた人物――『騎士王アルフレッド』は自身の部下であり友人でもある『ブラスター・ブレード』の姿を見ると、安堵の表情を浮かべながら何も言わずにスッと立ち上がった。

「よく無事で戻ってきてくれたな、ブラスター・ブレード。対話者殿が一緒とはいえ、あまり前例が無い物だったため、ここでお前の身を案じていたのだが……どうやら杞憂だったようだな」

「私の身を案じて頂き、誠にありがとうございます、我が王よ」

「いや、身を案じるのは当然の事だ。私にとっては、この国の住人全員が大切な存在なのだからな」

『騎士王アルフレッド』は、自身の目の前で傅く『ブラスター・ブレード』に対してニコリと笑った後、彼の後ろで静かに立っているサンズ達に視線を移した。

「……ブラスター・ブレード、そちらの方々はもしや……」

「はい、此度の調査の際に出会った異世界の方々です。そして、現在は一時的な協力関係を結び、対話者殿にも協力をして頂きながら原因を探っているところです」

「……そうか」

『ブラスター・ブレード』のその言葉に『騎士王アルフレッド』は静かに答えると、サンズ達へゆっくりと近付き、深々と一礼をした。

「初めまして、異世界の皆様。私はこの国――『ユナイテッド・サンクチュアリ』を治める王であり、『ロイヤルパラディン』のユニットの一人、『騎士王アルフレッド』という者です」

「これはご丁寧にありがとうございます。私はアズゴア・ドリーマー、地下世界にてモンスター達の王をしている者です」

「オイラはサンズ、見ての通りスケルトンだ」

「僕はアズリエル、もっともこの名前はこの姿の時だけで、本当の姿はフラウィーという名前の金色の花です」

「アタシはアンダイン、ロイヤルガードの元団長で、今は知り合いの博士達の手伝いをしているんだ」

 地下世界の住人達がそれぞれ自己紹介を終えると、『騎士王アルフレッド』は一言も発さずに彼らの事を数秒ほど見つめていたが、自身の様子に対して緊張した面持ち浮かべる彼らに何かを感じ取った様子でコクンと頷いた後、笑みを浮かべながらアズゴアに右手を差しだした。

「アズゴア殿、私は『ユナイテッド・サンクチュアリ』を治める者としてあなた方を歓迎し、あなた方が無事に元の世界へ帰る事が出来るように協力をさせて頂きます。これからよろしくお願い致します」

「……こちらこそこれからよろしくお願い致します、アルフレッド殿。そして、私達を受け入れて頂き、本当にありがとうございます」

「いえ、礼には及びません。あなた方の目の中に我々と同じ『平和と調和』を愛する光を見た以上、あなた方を志を同じくした同志として放っておく事など出来ませんので」

 平和と調和を愛する二人の王が固く握手を交わすと、サンズはその光景にとても安堵した表情を浮かべた。

「ふう……一瞬ヒヤッとはしたが、これで一安心ってところか」

「ああ、そうだね。……そうだ、この世界に滞在する間、せっかくだから僕達にもクラン名みたいなのが欲しいな。いつまでも『地下世界』という単語を自己紹介に使うわけにもいかないし、この世界に生きているという証のような物があった方が良い気がするからね」

「クラン名……まあ、地下世界の何某って名乗るよりは、それらしい自己紹介にはなるか」

「でしょ? けど……どんな物が良いかな?」

「そうだな……」

 フラウィーとアンダインが真剣な様子で腕を組みながら悩み始める中、「……ん、そういえば……」と、サンズは何かを思いだした様子で顎に軽く手を当てた。そして、そのままの格好で記憶の糸を手繰っていたその時、自分の頭の中にあ(・)る(・)言(・)葉(・)が浮かび、彼はそれをポツリと呟いた。

「……『アンダーテール』」

「え……?」

「いや、フリスク達が持っていったカードにそんな言葉が書いてあったのを思い出したんだが……もしかしたらアレは、オイラ達のクラン名だったんじゃないか?」

「アンダーテール……アンダーが『アンダーグラウンド』を示しているなら、『地下の物語』とでも言ったところかな?」

「恐らくな。だが、本当にそうだとすれば、地下世界で生活をしていたオイラ達にピッタリなクラン名だとは思うんだが、お前さん達はどう思う?」

「ふむ……確かに僕達にピッタリな名前かもしれないね」

「ああ、アタシもそれで良いと思うぞ」

「……へへっ、どうやら決まりみたいだな」

 サンズ達がそんな事を話しながら楽しそうに笑い合っていると、その様子にアズゴアは不思議そうに小首を傾げた。

「皆……何かあったのかい?」

「ああ、オイラ達のクラン名が無事に決まったのさ」

「クラン名……そういえば、私達にはそういう物は無かったね。それで、どんなクラン名になったのかな?」

「『アンダーテール』だよ。どうやら、フリスク達が持っていったカードにそんな言葉が書いてあったみたいで、僕達にピッタリな名前だと思ったからそうする事にしたんだ」

「『アンダーテール』……か。うん、私もこの名前は良い名前だと思うよ」

「ん、分かった。それじゃあアズゴア王、オイラ達――『アンダーテール』の新たな旅立ちとこれからの未来に向けて何か一言頼むぜ」

 ニッと笑うサンズに対して頷いて答えた後、アズゴアは『アンダーテール』と『ロイヤルパラディン』の仲間達を見回し、三叉槍を掲げながら大きな声を上げた。

「皆、今私達の目の前には大きな問題が立ち塞がっている。しかし、仲間達と共に手を取り合えば、きっとどんな問題でも解決する事が出来るのだ。平和と調和を愛し、仲間や世界を守り抜くという『ケツイ』の下、これから共に頑張っていこう!」

『おー!』

『アンダーテール』と『ロイヤルパラディン』という二つのクランのユニット達の声は、彼らを鼓舞するかのように王の間に大きく響き渡った。




いかがでしたでしょうか。今回は惑星クレイに残った組の話でしたが、楽しんで頂けたなら幸いです。
今作品は、現在短編作品として投稿させて頂いてますが、来年から連載作品として投稿をさせて頂きます。投稿予定は未定ですが、投稿開始の際は活動報告などでお知らせさせて頂きますので、よろしくお願いします。
そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けたらとても嬉しいです。よろしくお願いします。
それでは、また。
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