Vanguard tale   作:片倉政実

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どうも、片倉政実です。今回、書きたい内容が浮かんだので、こちらを投稿させて頂きました。かなり短いですが、お付き合いの程よろしくお願いします。
それでは、始めていきます。


序章 SIDE:地球
Monologue of a Vanguard


 僕がこのゲーム──『カードファイト!! ヴァンガード』を始めるきっかけとなった物、それはある一枚のカードだ。そのカードの名前は、『ブラスター・ブレード』。白い鎧を纏ったとてもカッコいい姿の騎士のカードだ。このカードとは、僕よりも前からこのゲームを始めていた兄さんに連れられて行ったカードショップで出会い、そのカッコいい姿が僕は一目で好きになり、その場で『ブラスター・ブレード』やその仲間達のカードが入っている『ロイヤルパラディン』のスターターキットを買った。そして、このスターターキットを買ったその時から僕のファイター人生は幕を開けたんだ。

『ロイヤルパラディン』は、絆をモチーフにしているという事もあり、仲間達を手札やデッキから呼び出したり、その力を高め合ったりする事が得意で、僕はそんな『ロイヤルパラディン』のユニット達がとても好きだった。だから、兄さんから余ったカードを貰ったり、パックを買って集めたりしながら僕は自分の『ロイヤルパラディン』のデッキを徐々に強化していった。だけど、どんなに最初のカード達が抜けていっても『ブラスター・ブレード』だけは、決して抜こうとは思わなかった。もちろん、『ブラスター・ブレード』だけが強いわけじゃないし、同じ『ロイヤルパラディン』を使う人の中には『ブラスター・ブレード』を入れていない人もいた。けれど、僕は『ブラスター・ブレード』と一緒に『ロイヤルパラディン』のデッキで勝つ事を目標にして頑張り、それと同時に勝利で自信をつける事で、この弱気な性格を変えていきたいと考えていた。流石に()()とまでは言えないけど、僕に新たな道を示してくれた大切な相棒のような物だったから。

 しかし、現実はやっぱりそう甘くは無く、僕は龍夜(りゅうや)お兄ちゃんとのテストファイト以外ではどうにも勝つ事が出来なかった。それは、僕の引きの悪さだけじゃなく、その場その場の判断力の悪さも影響していた。こんな調子じゃあ、僕は変わる事が出来ない。このまま弱気な僕のままで終わってしまう。

 そんな風に考えていたある日の事、僕は『ブラスター・ブレード』と出会ったあのカードショップで、もう一枚の相棒と出会った。そのカードの名前は、『真星輝兵 カオスブレイカー・ドラゴン・トーカー』。『ロイヤルパラディン』とは、また違った戦い方をするクランである『リンクジョーカー』のユニットの一体だ。『リンクジョーカー』は、主に『呪縛(ロック)』という能力を使うクランで、『呪縛』というのは簡単に言えば一時的に相手のカードを行動不能に出来る能力だ。その頃、僕は『ロイヤルパラディン』で勝つ事しか頭に無かったけれど、その日は何故か『ロイヤルパラディン』が封入されていないパックを手に取り、何かに導かれるようにそれを買っていた。そして、出てきたのが『真星輝兵 カオスブレイカー・ドラゴン・トーカー』だった。出てきた瞬間は、その姿がとても怖かったけれど、カードのイラストを見ている内に僕は『真星輝兵 カオスブレイカー・ドラゴン・トーカー』の姿に慣れ、徐々にカッコいいと思うようになっていった。その後、僕は彼とも一緒に戦いたいと思うようになり、『ロイヤルパラディン』だけじゃなく、()()()()()手に入れたカード以外の『リンクジョーカー』のカードも集めるようになった。そして、それなりに戦えるレベルに組み上げた頃、元から使っていた『ロイヤルパラディン』と一緒に机の上に並べ、各デッキのエース達をイラストが上になるようにして一番上に置いた瞬間、僕はその二枚に思わず声を掛けていた。

『……これからもよろしくね』

 ただのカードであるその二枚に声を掛けたところで、当然何か返事をするわけでは無かった。けれど、まるでそれに答えるようにカードがキラリと光ったような気がして、僕は嬉しくなっていた。そして、その日から僕はこの二つのデッキを使っていったけれど、相変わらず勝率が良いわけではなく、周りからは宝の持ち腐れ、なんて言われる事もあった。けれど、不思議な事にある条件下では一切負ける事が無かった。それは、この二枚のいずれか又は両方が賭けの対象となった時、僕が負けたら『ブラスター・ブレード』と『真星輝兵 カオスブレイカー・ドラゴン・トーカー』を渡さないといけない時だ。その時だけは、何故かいつもよりも頭がスッキリとしている上、僕の負けたくないという思いにカード達が応えてくれているかのようにとても良いタイミングで出てきてくれる。そのため、今でも『ブラスター・ブレード』と『真星輝兵 カオスブレイカー・ドラゴン・トーカー』は各デッキの中にいて、ファイトの度に活躍をしてくれている。

『いつもありがとう。そして、これからもよろしく』

 そんな言葉を感謝の気持ちを込めて二つのデッキへと述べ、僕は毎日を過ごしている。僕はこの二つのデッキで行うファイトが大好きだし、不満なんかは当然無い。けれど、僕にはいつも胸の中に秘めているある思いがある。それはもっと大きな大会に出たり、世界中のファイターと戦ったりする中で、彼らをもっと活躍させてあげたい。彼らの強さをもっと色んな人に知ってもらいたいという物。今の強さじゃそんなのは夢のまた夢なのは分かっている。けれど、僕はいつも大切な試合以外では負け試合しかさせてあげられていないからこそそう思い、そう願うんだ。

 だから、神様というモノがもしも本当にいて、この願いを聞いているならどうか叶えて欲しい。僕自身も強くなる事を誓うから、どうか彼らの事をもっと活躍させてあげられる場所へ導く事が出来る力を僕に与えて欲しい。このまま弱気な僕でいる事、そして彼らを大きな舞台で活躍させてあげられないなんてのは嫌だから。




いかがでしたでしょうか。今回は、前回の話の中で対話者達が先導者と呼んでいた少年の独白でしたが、楽しんで頂けたなら幸いです。前回も後書きで話させて頂きましたが、今作品は一応短編作品ですが、もしかしたら連載作品として続きを書いていくかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。
そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けるととても嬉しいです。よろしくお願いします。
それでは、また次回。

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