Undertale 落とされた人間   作:変わり種

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第19話 和解

心の底に封じ込め、蓋をしたい嫌な記憶。

 

そんなものに限っていくら忘れようとしても残り続け、ふとした拍子に呼び覚まされては耐え難い苦痛をもたらしてくる。

 

トタン屋根を叩く雨の音。鼻を突く煙草の臭い。口の中に広がる鉄の味。

 

父と母が別居していたのは、いわゆるDV__家庭内暴力が原因だった。後に××ショックと世間では語られる金融危機のあおりで、父の勤めていた会社は経営が傾き、弾き出されるようにリストラされてしまったのだ。数十年も働いている職場から突然追い出されて、早々に転職先を見つけられる人間なんていない。ましてやこの絶望的な不況の中で、新しく人を雇う企業など皆無に等しかった。

 

父も父なりに懸命に職を探し、時折アルバイトなどもしていたようだったが、一向に再就職先は見つからなかった。そうして、いつしか父は外に出るより、家の中にいることの方が多くなっていった。

 

その時まだ小学生だった僕は、なぜ父がずっと家にいるのか分からなかった。そのせいで、あんなことを言ってしまったんだと思う。行き場のない怒りを抑え、必死に堪えていた感情の糸を切るには十分な一言を。

 

「父さん、何でずっと家にいるの?仕事は?」

 

家の中で煙草を吹かしていた父はそれを聞いた途端、血相を変えて怒鳴りつけるや、僕の顔面を拳で思い切り殴った。あまりに突然のことに、最初は何が起こったか分からなかった。血まみれになりながら、その場に倒れこんだ僕は必死に泣きながら謝ったけれど、父は何度も拳で顔や頭を殴りつけた挙句、首根っこを掴んで力づくで僕を押し入れの中に投げ込んだ。

 

中は本当に真っ暗で、しばらくいると天地も分からなくなってしまいそうだった。泣き叫び続けても扉が開くことはなく、終いには声が枯れ果ててひゅうひゅうと喉を鳴らすので精一杯になった。ようやく出してもらったのは、母が家に帰ってきてからだった。

 

次の日には顔が倍ぐらいに腫れ上がり、歯が折れたせいでご飯を食べるのも苦痛だった。病院には自転車で転んだと言って診てもらった。先生には少し怪しまれて、親がいないところで本当に自転車で転んだのかと聞かれたけれど、僕は必死にそうだと言い張った。もし正直に言ったらどうなるか、薄々想像できていたからだ。

 

でも、父と母はその後ずっと話し合いをして、結局は別居することになった。僕は仲の良かった友達とも別れて、5つも6つも県をまたいだ別の町の学校に転校した。残り1年足らずの学校生活で、新しく友達をつくるのは人見知りの僕にはかなり苦労することだった。修学旅行はほぼ話せる友達もなく、特に思い出も残らなかった。

 

でも、仕方のないことなのかもしれない、と子どもながらに僕は考えていた。

 

元々、僕があんなことさえ言わなければ、父と母が別れることはなかったのだ。自分があの二人を引き剥がしてしまった。悪いのは、ぜんぶ自分だ。なら、このくらい大したことではない。

 

後で知ったことだけれども、父は母にも当たり散らし、時には暴力を振るっていたらしい。つまり結局は、僕が殴られようがなかろうが関係なく、こうなる運命だったのかもしれなかった。でも、心のどこかで自分のせいじゃないか、と思う気持ちもあった。誰が何と言おうと、きっかけを作ったのは自分であることに変わりはないのだ。そんな自分が、幸せになっても良いのだろうか。

 

そんな疑問を胸に抱えながら、僕は日々を過ごしていた。積極的には人と関わらず、常に一定の距離を保った。もちろん、話し掛けられれば話すし、友達も一人もいなかったわけではない。でも、一緒にどこかに行ったりとか、家で遊んだりとか、そういうことはしなかった。

 

そしてあの夏の日、母は突然帰らぬ人となってしまった。

 

もう、家族3人で過ごすことは永遠に叶わなくなってしまったのだ。僕は壊すことしかできないのかもしれない。家族を、人の幸せを。

 

だから僕は父とも離れて県外の高校に進学し、下宿生活を送っている。

 

僕はこのまま生きていて、果たして意味があるんだろうか。この先、どうしていけばよいのだろうか。人に聞こうにも、僕には誰も相談できる人はいなかった。

 

僕は孤独だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体中が痛い。

 

そうか、僕はサンズに殺されたのだ。

 

体を岩に叩き付けられ、手足を骨に貫かれ、最後には首を絞められて。

 

だとすると、ここは死後の世界なのだろうか。セーブポイントから蘇ることができるのなら、多分こんな痛みは感じないはずだ。体を動かそうにも、痛くて動かせそうもない。恐る恐る目を開けると、薄汚れた茶色い天井が見えた。

 

指を動かすと、ふかふかのマットレスが手に触れる。どうやら、ベッドか何かに寝かせられているらしい。あの世にしては何の変哲もないというか、妙に生活感があって違和感しかない。痛みをこらえながら首を動かして辺りを見回すと、部屋の真ん中に置かれたランニングマシーンが目に留まった。そして、部屋のあちこちには無造作にゴミが転がり、隅の方には脱ぎ捨てられた靴下が何足も見える。

 

(ここって、まさか…)

 

途轍もなく嫌な予感が頭を過った時、ちょうど部屋のドアが開いた。

 

「よお、人間。起きたか」

 

何も気に留めていないような気だるげな声で、部屋に入ってきたサンズはそう言った。思わず身構える僕。なぜなら、サンズは僕の事を殺そうと、いや殺してきたのだ。そんな相手が来たら、問答無用で()()殺されるに決まってる。もしくは、拷問のようなもっと酷く最悪な目に遭わされるかもしれない。

 

「そんなに身構えるな人間。また体が痛み出すぞ」

 

サンズがそう言った途端、案の定ズキッとした鋭い痛みが背中を突き抜け、思わず呻いた。言わんこっちゃないとばかりに溜息をついたサンズは、スリッパのまま静かに自分のところに歩いてくる。凍り付いたようなその笑みからは、彼が何を考えているか読むことはできない。

 

彼が近づけば近づくほど鼓動が激しくなり、震えが止まらなくなる。しかも、体は鉛のように重く、ほとんど動かない。怖かった。何で僕はこんなところにいるのだろう。サンズに殺されたんじゃなかったのか。なのに何で、セーブポイントに戻っていないのだろう。まさか、サンズが僕を閉じ込めたのだろうか。あの場で僕を殺さず、自分の部屋まで連れ去って。そう考えると、途轍もない恐怖が沸き起こる。

 

その時だった。

 

《ふふっ、それは違うよ。サンズは君を見逃したのさ》

 

(キャラッ!?)

 

からかうような、無邪気なキャラの声が響く。見るといつの間にか、彼女は僕のすぐそばに腰かけていた。張り詰めていた緊張が一気にほぐれる。すぐ近くにいるんだったら出てきてくれても良かったのに、と恨む気持ちもある一方で、再び会えて良かったと純粋に喜ぶ気持ちが心を満たした。

 

《まあ、話すと長くなるけど、君の体をちょっとだけ私が借りたのさ。で、あの骨野郎に話を付けたってわけ。安心して、あの骨にはまったく危害は加えてないから。ほんとはたっぷり礼をしてやりたかったんだけどね》

 

(えっ、僕の体を?)

 

キャラが自分の体を動かせることなんて、初めて知った。要は、僕が気を失っている間に取り憑いて、操っていたということなんだろう。確か彼女は僕のソウルに依存した存在とか言っていたから、体を操るのは難しいことではないのかもしれない。でも、流石の僕でも勝手に自分の体を操られるのは良い気はしないけれど。

 

《それにしても、あんな骨に殺されかけるなんて、君も随分情けないね。サンズと戦うのは初めてでもないくせにさ》

 

(ゲームの中の話と一緒にしないでよ。リアルでサンズと戦うなんて、いきなりできる訳ないでしょ)

 

クスクスと薄ら笑いを浮かべる彼女に、ムスッとした僕はそう返す。確かに俗にGルートと呼ばれる虐殺シナリオをやったのは一度きりの話ではなく、サンズとはもう500回近く戦っているかもしれない。でも、あくまでそれはゲームの話。生身の体で彼と戦うのはあれが初めてだったし、最後であってもほしかった。

 

《で、一つ言わなければならないことがある。君が呑気に気を失っている間に私が操ってたのは良かったんだが、生身の人間の体を操るのは久しぶり過ぎて、君の体に色々と負荷が掛かり過ぎてしまったらしい。…だから、その、しばらくそうして休んでいてくれ》

 

(え、それってどういう…?)

 

《要は、君の体は全身筋肉痛みたいなものだ。まあ、その間にあの骨野郎と仲良くするんだな》

 

全身を襲う痛みの正体はこれだったのかと納得すると同時に、ふざけるなよ、と怒る気持ちも沸き起こる。でも、自分が気を失っている間に彼女がサンズを説得してくれたというのなら、こんなことはどうでも良かった。自分だけなら、何回いや何十回も殺され続けて決意を折られていても、おかしくなかったからだ。

 

(…ありがとう、キャラ。おかげで助かったよ)

 

《礼はいらない。それより、サンズが来たぞ》

 

そう言うと、キャラはすっと壁の中に溶け込むようにいなくなった。入れ替わるかのように近づいてきたサンズが、そんな僕の様子を見て小馬鹿にしたように口を開く。

 

「幻覚でも見てんのか?さっきから、誰もいないところをまじまじと見つめて」

 

「…うん、だ、大丈夫…」

 

確かに、キャラとは頭の中で話すように心掛けていたとはいえ、傍から見れば何もないところに向かって怒ったり笑ったりしている相当ヤバい人間に見えたかもしれない。自分以外のモンスターには、基本的に彼女の姿が見えることはないのだ。でも、サンズにはどうやら僕が誰と話していたかはお見通しだったらしい。

 

「まあ、大方お前さんに取り憑いているあのガキでも見えてたってところだろうがな。まったく、あんな殺人狂のどこがいいのか俺には分からんぜ」

 

流石はサンズ、恐ろしい程に察しが良かった。でも、そんなことを言ってキャラが飛んでこないかと、一瞬だけヒヤッとする。

 

そのままサンズはベッドの傍まで来ると、相変わらずのニヤけ顔でじっと自分を見下ろしてきた。敵意はなさそうにも見えるけれど、それでも恐怖が拭い切れる訳ではない。小刻みに震える手を、僕は気づかれぬようにギュッと体に押さえつける。

 

「…サンズもキャラのことを知ってたんだ」

 

「まさか。初めはあんな奴のことなんか知らなかったさ。知ったのは、お前さんが気絶した後だ。まったく…、次から次へととんでもない出来事ばかりで、骨が折れるぜ」

 

深い溜息をつき、肩を竦めてお手上げといったポーズをしながらサンズはそう言った。顔がやつれているようにも見えるあたり、本当に苦労しているようだった。

 

「僕のことは?」

 

勇気を出して、そう聞いてみる。

 

「ああ。あのガキから粗方のことは聞いたぜ。お前さんがPlayerで、フリスクを操ってこの世界を意のままに弄んでいたこと。そして、どういう訳だか突然落とされて、何度も死にかけながらここに来たってこともな。その癖、フリスクの事を助けたいとかほざいている、身勝手な奴だ」

 

口調こそ普段のおどけた感じだったが、まったく僕を責める気がないというわけでもなさそうだった。何も返す言葉がなかった僕は、固い面持ちのまま頷くことしかできない。それを見たサンズは、ふっと軽く笑ってから言った。

 

「安心しろ。別にこれ以上お前を痛め付けたり、殺す気はねえよ。もちろん、お前がこの先誰も殺さなければ、だがな。まあ、あの地獄を生で体験したお前なら、そんな気は起こさないと信じているぜ。あくまで、まともな人間ならだが…」

 

こくりと頷く僕。治ったはずの体の傷が、ズキッと痛む。まるで、あの苦しみを思い起こさせるかのように。

 

「俺はお前のことをよく知らない。当たり前といえば当たり前か。出会って1日も経ってない人間のことなんて、誰が知るかよ。…だから、俺はお前を一度殺しかけた。怖かったからだ。あの喋るクソ花の言うことを信じる訳ではないが、殺られる前に殺るしかなかった。お前の話を、何一つ聞かずにな。それだけは、本当に悪いと思っている…」

 

突然のことに、僕は何と返したらよいのか分からず押し黙ってしまった。サンズが謝ってくるなんて、思いもよらなかったからだ。あの洞窟の中で、サンズは全ての恨みを僕にぶつけるかのように襲い掛かってきた。必死の説得も一切受け入れることなく、彼は僕に裁きを下した。それが、こうして言ってくるなんて、キャラは彼に何を話したのだろうか。

 

「…そんな。別にサンズが謝ることはないよ。…僕も、必要以上に君から逃げてばかりだった。最初から、正直に全部話していればよかったのに、下手に誤魔化そうとした。謝るのは僕の方だよ」

 

そんな中、僕も必死に言葉を紡いで彼に謝る。正直、今まで彼のことは恐怖としか見ていなかった。いつもビクビク怯えて、どうしたら避けられるかということばかり考えていたのだ。心から向き合うことなく逃げてばかり。そんな人間が、いざ殺されそうになった時だけ信じてほしいといったところで、都合よく信じるモンスターなんていない。

 

僕はサンズが止めるまで、ずっと頭を下げ続けた。戦いのせいで体中が酷く痛かったけど、関係なかった。最終的には、見かねたサンズに半ば強引に引き起こされるような形で頭を上げたものの、それでもなお謝り続ける。もちろん、こんなことで許されるとは思っていない。でも、謝らずにはいられなかった。

 

そこで、サンズも何かを決心したらしい。固く引き締まった面持ちで、彼は近くにあった粗末な椅子に腰をかけると、ゆっくりと話し始める。

 

「お前さんはこの後、あいつを、フリスクを助けるつもりなんだろ?お前が散々弄んだせいで、あいつの決意が砕けてしまったから」

 

「…そうだよ。もし許されなくても、別に構わない。彼女だけは助けるって、キャラと約束したんだ。それに、それこそが償いになるって、信じているから」

 

その言葉を聞き、一瞬に苦々しい表情を浮かべるサンズ。ゲームではもちろん、今まであのおどけた表情しか見たことがなかった僕は、そんなサンズの表情に驚きを隠せない。

 

「…そうか。すまないな、人間。正直な話、あいつの決意が折れたのは、きっとお前だけのせいではない。俺も、あいつを追い詰めたんだ」

 

「…どういうこと?」

 

「俺も、あいつにお前と同じことをしたんだ。何もしても、されてもいないのに、話も聞かずに一方的にあいつを殺した。Playerの束縛がなくなった、ただ一度のタイムラインでな。怖かったんだ。これ以上、何もできないまま皆が殺されていくのを見るのが。それきり、あいつが俺の前に出てくることは二度となくなった。十字架を背負っているのは、俺も一緒なんだよ」

 

あまりのことに、思わず息を呑む。まさか、サンズがイレギュラーにフリスクを殺していただなんて。普通なら考えられなかった。ましてや、あの冷静なサンズがだ。それほど、彼は追い詰められていたんだろうか。それを考えると、どうしようもない程の心苦しさが、胸をギュッと締め付ける。

 

「すまんな。偉そうなことを言ってお前を殺そうとした癖に、この俺も同罪だったなんて」

 

「そんなことないよ…。そもそもの元凶は、ほかでもない僕なんだから。僕が狂ったように殺し回ってさえなければ、こんなことにはきっとならなかったと思う。本当にごめん」

 

再び深々と頭を下げる僕。そこで、サンズがすっと手を差し出す。

 

「仲直りの握手だ。ハグだと、今のお前さんならまた気絶するかもしれないしな」

 

思いもよらないことに、僕はきょとんとしてしまった。サンズからこんなことを言ってきてくれるなんて。何より、完全にではないかもしれないけれど、こんなことをした僕を許してくれるなんて。

 

恐る恐る、ゆっくりと僕は手を差し出してみる。いつの間にか、小刻みな手の震えは収まっていた。そうして、サンズの細い手を掴んだ瞬間、

 

 

 

 

 

プゥゥーーーー…

 

気の抜けた音が響いた。

 

「へっへっへ…。まさか、また引っ掛かるとはな」

 

まんまとしてやられた。

 

まさか、こんな状況でブーブークッションを手のひらに忍ばせるなんて、思いもよらなかった。相変わらず、サンズは何を考えているのか読めない。それを怖く感じる心がある一方で、面白いと思う気持ちもあった。サンズと友達になれば、こんなに楽しかったのか。一気に肩の荷が下りて、今まで必死に堪えてきた感情が溢れ出してくる。

 

「おいおい、泣くなよ。そんなにブーブークッションされたのが悔しかったのか?」

 

あまりに突然のことに、流石のサンズも虚を突かれて困り果てていた。僕も流石に泣き顔を見られるのは恥ずかし過ぎるので、手で顔を何度も拭って止めようとする。でも、そうすればそうするほど涙が溢れ出し、自分でもどうすることもできなくなっていた。

 

考えてみれば、僕にはこんな風にからかい合える友達なんていなかった。話しても、当たり障りのない話ばかり。だから、僕はゲームの世界に逃げてばかりいたのだ。

 

「ほら。とりあえず、これで涙を拭け」

 

「へ…?なにこれ」

 

その時、不意に手渡されたのは、あろうことかサンズの靴下だった。薄汚れたそれは、何だか微妙に骨臭い。いったいなんてものくれるんだ!僕は思わずそれをサンズに投げつけた。こんな時に限って不幸というのは重なるもので、投げつけた靴下は両方ともサンズの顔面にクリーンヒットした。しかも、片方は目の穴にはまってぶら下がっている。

 

絶対に笑っちゃいけないと分かっていたけれど、これにはこらえきれずに大爆笑してしまった。もちろん、サンズが黙っているはずはない。

 

「…人間。そんなに俺と最悪な時間が過ごしたかったのか?」

 

「あ、いえ、とんでも…」

 

今さら悔やんでも後の祭りとはまさにこのことだった。左眼にはまった靴下が外れると、その眼窩には蒼白い炎が燃え盛っている。これは、思った以上にヤバいかもしれない。

 

「ま、待って、話せば分かる!てか、靴下よこしたのはサンズでしょ。自分の事は棚に上げて、なんで僕ばっかり!ぎゃぁッッ!」

 

重力攻撃が僕の体をベッドへと押し付ける。よくよく考えれば洞窟で戦った時とは比べ物にならないくらい弱い威力だったけれど、全身が筋肉痛のいまの僕の体にはそんな攻撃すら地獄だった。

 

「あああああああぁぁッ!体がッー!ストップ!ストップ!やめてッ!!」

 

「うるせえな。パピルスに気づかれたらどうすんだよ。この!」

 

「あがっっ!?」

 

 

 

 

 

サンズが満足した頃には、僕はもうベッドから一歩も動けなくなっていた。絶対、このせいで余計に治るのに時間掛かるやつじゃん。サンズが部屋から出て行ったあと、僕は悪態をついて壁を拳でトンと軽く殴ってみる。でも、当たり所が悪かったらしく、鈍い音がして手がかなり痛くなった。これ、もう今日は何もしないほうが良さそうだな…。

 

僕は仰向けに体を動かすと、静かに目を閉じる。未だにズキズキと残る痛みのせいで中々寝付けないのではないかと心配になったけれど、予想とは裏腹に疲労の方が勝ったらしい。みるみる意識が微睡んで、深い眠りのなかに吸い込まれていった。

 

その晩、僕はまた夢を見た。

 




変わり種です。
前回投稿からお気に入り登録数が倍に増えてちょっと困惑しておりますが、素直にとても嬉しいです。有難うございます。
ご意見ご感想等ありましたら遠慮なくお寄せ下さい。
今後とも宜しくお願いします。
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