ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~ 作:誤字脱字
〈冒険者〉
〈エルダー・テイル〉の世界におけるプレイヤーを指し示す。ゲーム時代それは、主にプレイヤーの自由奔放な生き方や立場を差す言葉として使用されている
〈大地人〉
〈冒険者〉がノープレイヤーいわいるNPCを示す時に使われる名称
彼らは、この世界の人口の大半を占めており、冒険者と違い戦闘能力は低い為〈ススキノ〉では奴隷や家畜の様な扱いを虐げられている
能力が低い、閉じ込められた原因の一端等と言う理由から〈冒険者〉は〈大地人〉を差別し隷属させる〈冒険者〉が増えて来ている
私は〈大地人〉も人としての意思がある事を知っている・・・だが彼ら〈冒険者〉は彼ら〈大地人〉の人権を尊重してはいない
PCでもNPCでも人としての意思が存在すれば同じように接しなければいけないと思うのだが・・・実際はリアルでもゲームでも上手くはいかないものであった
『第12回!どき☆エルダー・テイル追加パック!~人の不幸は蜜の味~』 著作者:くずのは
より抜粋・・・
「今回の見出しはこれで決まりざんすな、しかし・・・」
一人で住むには十分過ぎるほど大きい部屋で彼女はただ一人・・・
「・・・不毛な味と言うか何と言うか・・・味がないざんす」
料理の味に絶望していたのであった・・・
ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~
第2尾 油揚げ?NONONO!リンゴYES!
この世界に閉じ込められて3日目、相変わらず外では〈大地人〉に暴行を行ったりPKを形振り構わず行う輩が徘徊していた
しかし、彼女にとっては関係ないことであった。争いを嫌う彼女は、住処となった廃墟から一歩も外に出歩いていないのだから・・・一日の大半をリビングのソファーの上で過ごしソファーを立つのも最近ハマリ始めた入浴ぐらいであろう
だが日が真上まで昇った頃、突然と襲い掛かった違和感に彼女は混乱したが、すぐに自身のお腹から「くぎゅ~」と音が聞こえたので空腹と言う事がわかったのだ。幸い、素材アイテムを買出ししていた時に食料を
・・・実際には夜食を渡す前に寝てしまい渡していないのは彼女のミスだが彼女は気にしない
綺麗に作られた机の上にサンドイッチとオレンジジュース、デザートにとモンブランを並べ手軽に済ませようとしたのだが・・・・感想は冒頭に戻る
狐耳や9本の尻尾が垂れ下がり、あからさまに落ち込む彼女・・・実は彼女は食事に期待していたのだ
メニューから調理ボタンを押すだけで材料がそろっていれば何でも好きな物が直ぐに出来上がる!デリバリーと違い面倒な人付き合いもしなくて済む!むしろソファーから一歩も降りなくても食事がでてくるのだと!
・・・・しかし現実は甘くはなかった。元々小食の彼女にとって味のしない食事とは食欲を更に下げることであった
しかし、彼女も馬鹿ではない。ここ3日間で外の様子を観察するにわかったことがある
〈冒険者〉は死亡した場合、ゲームの時と同じく聖堂で復活を遂げると言う事だ。毎日の様にPKが行われているのに〈冒険者〉の人数が減っていない事から気づいたのだ
そしてリアルと同じく人間の第3欲求である『睡眠』『食欲』『性欲』がある事に!
『睡眠』は部屋を作る際に感じたし『食欲』は今『性欲』はPK集団が女性〈大地人〉を襲い奴隷にしている事から推測した・・・と言う事は『睡眠』『食欲』を満たさなければリアルと同じように何らかのペナルティを受けるのでは?と結論を出したのだ!
『食欲』に対するペナルティ・・・簡単に浮ぶのは『餓死』である。『餓死』=『死亡』=『聖堂』=『PKとご対面!?』=『厄介事になる』この方式を彼女は僅か0.5秒間で作った。・・・彼女にとって最悪の方程式である
食料の買出しはまだいい!この間、知り合った〈大地人〉が快く引き受けてくれるから外に出る必要はない!しかし『死亡』はダメだ!下手をしたら住処がバレてしまい襲ってくるだろう!
「・・・緊急会議でありんすな」
そう彼女は呟くとメニューアイコンから所持アイテム欄を開き『呼出水晶』と言うアイテムを取り出した。水晶は中は白い靄で満ちていて使用用途が全く判断出来ない物であったが・・・
「緊急・・・食材を持って社に集合」
と呟くと白い靄が黄色に変化し『FOOD』と言う字を形作った。
彼女は満足そうに頷き、空腹を誤魔化す為にソファーに寝っこりがり尻尾を枕にしてお昼寝を始めたのであった
そして一時間後・・・部屋の扉をノックする音が聞こえ彼女は目を覚ました・・・
彼女の住処を知っているのは二人だけ、なので彼女が呼び出したのはこの部屋を作成した
先日彼らは彼女と別れる際に先程、彼女が使用した『呼出水晶』をそれぞれ貰っていた
詰まる所、この水晶は〈大地人〉でも使用出来るメールの様なモノである
「こんにちは~、言われた物持ってきましたよ?」
「・・・ここまで〈冒険者〉に見つからないようにするは大変だったんだぞ?感謝しろよ」
彼らはテーブルの上に両手に抱えた食材を置き、彼女に話しかけたが彼女はと言うと彼らが持ってきた食材を漁るだけで彼らを労おうとはしなかった・・・
彼らも既に彼女の対応には慣れた様で少しばかりの苦笑と共に椅子に座った
彼らの持ってきた袋には既存の調理されている料理の他に肉や魚の素材や調味料などが多種にわたり入れられていた
彼女は足軽に魚と塩を持ってキッチンに向かい火を入れた
勘違いされては困るが彼女はリアルでも料理をしない、俗に言う「コンビニ弁当ヤーハー!!!」と言う人種だ
そんな人間が簡単に出来るモノなど決まっている・・・・魚に塩を振りかけただけの焼き魚である
本来なら動きたくないでござる!を公表する彼女ではあるが空腹感に負け自ら料理をする冒瀆に出たのだ
・・・結果、黒く炭化した正体不明のアイテムが出来上がったのだ
「・・・・おうふ」
またしても彼女の狐耳と9本の尻尾は垂れ下がったのであった
だが彼女は諦めない!何故ならここには
彼らも私達の影響を受けたのかわからないが『睡眠』『食事』を取る様になっていたのだ!
彼らなら!そう現地に住む彼らなら!この不毛な味を変化されてくれるだろう!
彼女は彼らが拒否するのをスルーしキッチンに押し込んだ!そして彼女は律儀にナイフとフォークを持ち音を立てながら彼らの後で鼻歌を奏でて待っているのであった
・・・5分後、彼女の前にはこんがりと焼きあがったステーキが差し出された
「ん~♪いただきます!」
興奮納まらない様子でステーキにナイフを入れ肉を口に運ぶ!が・・・・口に入れた瞬間、今日三度目となる狐耳・尻尾が垂れ下がり現象が発動した
・・・塩の味しかしないのである。肉の脂とか何処に家出したのか?と聞きたくなるぐらいに・・・
当然、彼女は彼らを問い詰めたが、彼らいわく「味は調味料で変えるモノ」らしい
開いた口が塞がらなかったが、彼女は直ぐに理解した
元々はゲームの中の住人であり、ゲームで感じる事のできない『味』と言う概念は〈大地人〉にとって無縁のものだ!と言う事を・・・
まさにOTLポーズを作り落ち込む彼女を
「そんなに笑わんといてまし・・・ぬし達にはわっちの気持ちわかりえんでありんす」
「クーさん、そんなに落ち込まないでください。ほら?甘味ですよ?」
差し出される林檎・・・彼女にとっての甘味とは餡子やクリームを多用した和菓子や洋菓子になるのだが、林檎は好物なので素直に受け取りシャクシャクっと食べ始めた
しかし、この林檎が彼女に変化を引き出した・・・・
一口齧ると狐耳が・・・二口齧ると1本の尻尾が・・・林檎を齧る度に尻尾がピンっと立ち上がっていくのだ!終いには
暫くの間、室内にはシャクシャクと言う彼女が林檎を齧る音だけが響いていた・・・
そして自分が食べていた林檎も含めて2つ、手に付いた果汁まで綺麗に舐めきった彼女は・・・
「・・・パンが無ければケーキを食べればいい!でありんすね!マリー先生!」
・・・ベクトルが180度違う結論に至ったのであった
余談だがマリー・アントワネットは「パンが無ければケーキを食べればいい」とは言ってはいない。実際は別の貴族婦人の行った発言が、いつのまにか民衆の反感の的だったマリー・アントワネットの発言という話にすり替わってしまった言葉だ
結論から言わせて貰うと「メシが不味いなら不味くなる前に食べろ」と言う事だ
更に彼女に電撃が走った。さながら某新しい人種のように・・・
「は、は、蜂蜜をどこざんすえ!?」
彼女は差し出された蜂蜜を袋から新しく取り出した林檎に掛けて食べ始めた・・・
ほのかに感じる林檎の酸味と柔らかい甘さを醸し出す蜂蜜・・・つまり・・・
「林檎と蜂蜜はバーモンドざんすね!ハウス先生!」
・・・結論としては美味しいと言う事である
彼女の行動は素早かった。先日
そして夜には99個の林檎が彼女が使わないベッドの上に大切に寝かされているのであった
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