ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~ 作:誤字脱字
番外な話ばかりで申し訳ありませんが、書いたら止まらなくなりました
三時間で書き上げた作品なので拙いです、それでもOKな方はどうぞ……
一部、キャラ崩壊です
時期的には『ススキノ』においてシロエ達が救出を失敗したらと言うIFです
雪化粧が映える大地エッゾ西部。その首都にあたる〈ススキノ〉において激しい攻防戦が繰り広げられていた―――
少女を救い出す為、〈自由都市同盟イースタル〉の〈アキバ〉から遙々やってきた一組のパーティが、彼女を救い出す為に奮闘しているのだ
付与術師は敵の動きを阻害し、暗殺者は素早い動きを生かし一人ずつ確実に仕留め、守護戦士は術師を守り時には暗殺者と共に敵を仕留めていった。さらには、現地で再会した旧友の盗剣士の獣人も戦いに参加し戦況を優位に進めた――――――と思われたが、相手は僅かな期間で〈ススキノ〉を総べた存在
圧倒的な数の暴力により四人を飲み込んだ
いくら凄腕の〈冒険者〉とは言え次々に湧き出てくる敵を相手に健闘は続かず、最初に守護戦士が無に帰され付与術師、暗殺者と続けて神殿へと送り帰されてしまった
そして残る一人も、今まさに命の尽きようとしていた
「〈ワイヴァーン・キック〉ッ!!!」
「グワァァッ!」
「にゃん太さん!!」
〈ススキノ〉を総べた男・デミクァスの鋭い蹴り技がにゃん太に突き刺さり、彼のライフポイントをゼロへと導いた。倒れ伏すにゃん太に駆け寄るセララは、彼の手を取りながら必死に回復呪文を唱えるが、一度ゼロを示したゲージは回復呪文ではプラスにはならなく、足元からゆっくりと神殿に送還されていった
「ごめんなさい、にゃ…セララ、さん……守れなくて……」
「にゃん太さん!そんな…にゃん太さん!」
セララの叫びは、虚しく響き渡り握っていた筈の手は空をきった
恩人の死に泣き崩れるセララに、デミクァスは高笑いしながら一歩また一歩と彼女へと近づいて行った
「ははははは!そんなに好きならテメェと一緒に俺が飼ってやるよぉ!勿論、10回ほど神殿送りにした後になぁ!はははははっ!」
「ひ、ひぃ!」
小さく悲鳴を上げるセララを見て更に口元を釣り上げるデミクァスは、彼女の首を締め上げる為に手を伸ばしたが――――
「やめなさい、ロリコン」
「…………あぁ!?」
セララに向って伸ばした手を扇子で叩き落とす女性がそこにはいた
「テメェ……『扇狐』だったか?お前もあいつ等の仲間みてぇだが、戦闘には参加しなかった癖に今更出て来て何のつもりだぁあ?」
「勘違いしないでほしいわね?『元』仲間よ……それで要件はて青少年保護条例違反犯の取り締まりかしら?」
「……青少年保護条例?」
聞き覚えのない言葉に首を傾げるデミクァスであったが、尽かさずブリガンティアの参謀でありナンバー2のロンダークから一歩前に踏み出し声をかけた
「大雑把に言えば18歳未満の青少年との淫行が禁じられている法律だ」
「なっ!?」「えぇぇ!?」
声を上げたのは二人
デミクァスは自身に有らぬ疑いがかけられていた事に対し、セララは、まさか自分が性の対象に選ばれていた事に対してだ
さらに言うとギルドメンバーからは「YESロリータNOタッチ」やら「ボス、子供好きだったんだ」と囁かれるしだい。
羞恥心と怒りで顔と耳を真っ赤に染め上げるデミクァスに追い打ちをかけるかの様に〈くずのは〉は、デミクァスの耳元で囁いた
「某国出身の殿方のアレはとても小さく、幼女や少女に手を出す犯罪者が多いと聞くわ………貴方もそうかしら?」
「ッ!!!て、テメェェェェェ!!!!」
もはや我慢の限界であった
デミクァスは怒声と共に〈くずのは〉を蹴りを放つが、耳元まで近づいていた彼女には当たらず、ニンマリと笑みを浮かべた彼女にデミクァスは残り少ない冷静さを全て失った
「ずぁぁぁぁぁ!!!〈ワイヴァーン・キック〉!!!〈ライトニング・ストレート〉!!!」
怒りに任せた放たれる技は、一向に〈くずのは〉に届かず、逆に大技の隙をついて扇子で叩き突かれライフポイントを削られていった
流石のデミクァスも自身の技が当たらない事実とレットポイントに近づいていくライフポイントに焦りを感じたのか一旦距離を取るとロンダーグに向かって声をあげた
「おい!テメェら!公開リンチの時間だ!全員であの糞狐をころせぇ!!!」
「やれやれ、結局はそうなるか……回復部隊はデミクァスの回復、暗殺部隊は『扇狐』を囲み波状攻撃をしかけろ!」
「へっ!テメェもここ「やらせると思っているのかしら?」ズェアアァァ!?」
ロンダーグの指示の下、動き出した〈冒険者〉達であったが、彼らよりも速く動く者がいた―――――――〈くずのは〉だ
彼女は、部隊が足並みを整える前に勝負を決めにきたのだ
魔法攻撃系職業では想像出来ない素早さでデミクァスの懐に入り込むと一突き、ライフポイントを一気に削り取り、彼を地面に叩き突けたのだ
そして、唖然とするデミクァスを踵で踏みにじる
「グッ!」
「隙ありね?……戦場において冷静さを失ったモノから死んでいくのは常識よ?」
「て、テメェ……おい!ロンダーグ!なにしてやがる!速く俺を助けろ!」
「無理だ。俺達が仕掛けるよりも先にオマエが送られる」
「くっそ!」
デミクァスは悪態をつくが、ロンダーグの言っている事は正論であり、自身のライフポイントは2桁。……相手が魔法職だとは言え一回の攻撃で削りきるには十分な数値だった
「面白い余興だったわよ?……後は安らかに眠りなさい」
「ッ!!糞が!おい、テメェ!俺が復活するまでコイツを捕えておけ!いや、殺せ!俺が復活したらずっとずっとずっと!テメェを殺してやるぅぅ!」
「遺言はお終いかしら?では………死ね」
デミクァスが最後に光景は……………〈くずのは〉の満面の笑みであった
「…………ここは?」
「目が覚めたか、デミクァス」
見覚えのある光景であった。
質素でいて豪華さは欠けているが、神聖に思える場所、更には気候の性で冷たくなった寝台がここは、神殿であると伝えくる
あの時は月に気がする、そんなおぼろげな記憶を整理し、扉に寄り掛かるロンダーグを見た瞬間、デミクァスは激しい怒りが湧きあがってきた
「糞が!ロンダーグ!あの糞狐は何処にいやがる!」
怒りに飲まれたまま、寝台から飛び跳ねロンダーグに詰め寄るが、彼の反応は……予想外なモノであった
「扇狐様は社にいる。……お前に話があるそうだ、ついて来い」
「扇狐様…だと!?どういう事だ!なんでテメェが糞狐に様付けなんてしていやがる!」
自身の側近であるロンダーグから敵対していた存在を敬う言葉が出て来た事に対し驚きを露わにするが、ロンダーグの口から告げられた事実が更に彼を驚かせる
「デミクァス、言葉に選べ。…あの方は〈ススキノ〉を、いや〈エッゾ帝国〉を納める女帝だ。弱小のギルドマスターが気軽に話しかけて良い存在ではない」
「なん…だと!?」
いきなり女帝だと言われても理解は出来なかったが、ロンダーグが自身の所属するギルドを弱小と評価した事がデミクァスを更に混乱させた
困惑し足が止まるデミクァスにタメ息をこぼしたロンダーグは、デミクァスに追い打ちをかけた
「〈ブリガンディア〉の構成員は、お前を含めて5人だ。弱小だと言われても当然だ」
「5人だと!?」
「あぁ、そして俺は、既に〈ブリガンディア〉ではない。……俺は扇狐様が立ち上げた〈雪狐〉の一員であり、女帝直属の騎士『ナイト・オブ・スリー』のロンダークだ」
「………はぁ!?」
後に聞かされる事になる
デミクァスが復活するまでの数時間の内に〈ブリガンティア〉は〈くずのは〉によって懐柔され〈ススキノ〉を拠点に〈エッゾ帝国〉を支配しつつある事を……
ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~
ⅰf伝?……これはデミクァスの戦いの記憶だ!
〈大災害〉当初、首都ススキノは武装化した〈冒険者〉の集団に制圧され実質的には無法者〈冒険者〉の支配する帝国と成り果て、多くの〈大地人〉たちはその下で労働を余儀なくされていた………のは過去の話である
現在の〈ススキノ〉は、女帝〈くずのは〉が定めたルールに従い〈冒険者〉と〈大地人〉が互いに手を取り合って共に過ごしていた。だが、もとの土地柄か人相や気性の荒いモノが集まりやすく厄介事は常におきているが、その騒動も翌日には解決、早くて半日には解決してしまっている
対応が早い、行動が早い、対処が早い。
女帝の采配がいかに凄い事なのかは、問題を解決する度に成長を続ける〈ススキノ〉を見れば一目でわかる
そして女帝の采配を彼女の手足となって届け解決する集団がいた
その集団の名はナイト・オブ・ラウンズ
女帝〈くずのは〉によって選別された彼女の直属の騎士。〈エッゾ帝国〉に住む〈冒険者〉や〈大地人〉から選ばれ各自、専門知識を生かして問題の解決にあたる特殊集団だ
そして町の民からもっとも信頼と憧れの意を送られるラウンズは、今日も〈ススキノ〉で暴れるゴロツキをエリア外に連れ出し制裁を加えていた
「〈ライトニング・ストレート〉!!!」
「ぐぁぁぁぁ!!!」
青白く輝くいかずちを纏った拳がゴロツキを打ち抜き、ライフポイントを一桁まで削り取った。…あと一撃でゴロツキを神殿送りに出来る。しかし、彼は攻撃を仕掛ける事はせずにゴロツキの襟を掴み上げ怒声を上げるだけであった
「おい、テメェ!お前らが暴れる度に終始構わず召集される俺の気持ちがわかるかぁ!おい!」
「い、いえ!わかりません!」
「寝ているのも構わずに召集されてこっちは睡眠不足なんだよ!いいか!次に騒ぎを起こしてみろ!テメェを神殿送りにした後・・・・・・・グチャグチャのミンチにしてやるからな!」
「は、はいぃぃぃ!すみませんでした!」
彼の人相も相まって恐怖と言うトラウマを植え付けられたゴロツキは尻尾をまいてエリア内に戻っていった
そんな姿に舌打ちをし、自身もエリア内に戻って行く。彼が町に入ると「お疲れ様」や「流石は兄貴です!」などと言った労いや憧れの言葉をかけられるが、当の本人は不機嫌そうな顔を更に歪め〈ススキノ〉の中心に建てられた社へと足を進めていった
辺りは、コンクリートやレンガで作られた建物が多いと言うのに、〈ススキノ〉の中央に作られた建物だけが木造建築、帝国と掲げているのにココだけが、日本を表している様な建物がそこに存在していた
赤塗の立派な門を潜り、戸を開けて中に入る。ご丁寧に「土足厳禁」と書かれた玄関まで存在しており、一歩踏み入れば日本人に馴染が深い畳の臭いが鼻を刺激し、心を落ち着かせると言うモノだが……彼の表情は険しいままであった
ヅカヅカと中へ進んで行き一番奥の襖を開ける。
するとそこは、戦国ドラマなどで良く見る御上段の間と御下段の間が広がっていたが、誰もいない。
普通は留守だと思い、日を改めて尋ねるものだが何を思ったのか、彼は御上段の間に上がり屏風の後ろに隠された襖に手をかけ、力強く開けたのだ
開けた先には、女帝だと言うのに和風な恰好をした狐尾族の女性と赤い髪の人間の少女、和式の部屋と違和感を感じる灰色のローブを着た男と洒落た服装の猫人族の男がいた
「ご苦労……だが、襖はもっとゆっくりとあけろ」
「お疲れ様ですにゃ、いまお茶を入れてきますにゃ~」
「お、お疲れ様です!デミクァスさん!」
「…いつもより遅いな?報告を聞こう」
この部屋にいる全員が彼に労いの言葉をかけるが、彼の表情は良くなる所か更に悪化した
プルプルと震えながら、怒りを抑えこむが最早、我慢の限界であった
「て、テメェらは何をしていやがる!!!」
「見て判らないかしら?……炬燵で暖を取っているわ。そんな事も分からないとは……情けない」
「そんな事を聞いてんじゃぁねぇ!なんでテメェらだけ部屋で温まっていて俺だけ寒い中、仕事しなくちゃいけねぇんだよ!」
そう、謁見の間の奥には日本民家を思い浮かばせる風貌、中央には大きな掘り炬燵、そこに足を入れる四人がいたのだ
「それが、ナイト・オブ・セブンの仕事だからだ。扇狐様は勿論、ナイト・オブ・ワンもツ-もそれぞれ担当の役割がある。理解しろ」
ロンダーグがさも当然だとばかりにデミクァスに答えるが、火に油を注ぐだけであった
「出来るか!
「デミクァス、デミクァス」
「なんだよ!糞猫!」
「セララさんは、そこにいる事が仕事ですにゃ」
「納得できるか!!!」
〈エッ帝国〉では誉高いナイト・オブ・ラウンズは以外にもアットホームな関係を築き上げていた
「それはそうと扇狐様、今朝〈シルバーソード〉のギルドマスターが謁見したいと申し立てて来ました」
「そう……明日会うわ。今日は寒いからパスで」
「御意」
「御意、じゃねぇだろ!!!」
元〈ブリガンティア〉ギルドマスター、現〈雪狐〉所属ナイト・オブ・セブンに任命されたデミクァスの苦悩は続くが、北の傾国は今日も平和な日々を保たれたのであった
◆
「って言う夢を見たでありんすよ~?」
「デミクァスがクーさんの部下でこき使われている……なんだか有りそうで怖いですね?」
「いや、むしろ俺らが負けてたらそうなっていたんじゃねぇか?可能性ありあり祭りだぜ」
「くだらん、主君は負けたりはしない……直継は知らないがな」
「なんだとチビッ子!」
「チビッ子言うな!」
〈記憶の地平線〉メンバーは、可能性としてあったかもしれない彼女の話で盛り上がるのであった
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ネタのラウンズ
ナイト・オブ・ワン →セララ
ナイト・オブ・にゃー →にゃん太
ナイト・オブ・スリー →ロンダーク
ナイト・オブ・フォー →モブ
ナイト・オブ・ファイブ →鼻血
ナイト・オブ・シックス →欠番(6は彼女の嫌いな数字の為)
ナイト・オブ・セブン →デミクァス
ナイト・オブ・エイト →ウィリアム(予定)