ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~   作:誤字脱字

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次回は話が難しくなるので投稿日が遅くなります


ハーレム=お『10』この夢? NO断じてNO!

〈シロエ〉

 

かつて伝説的なパーティー〈放蕩者の茶会〉において参謀役を務めていた〈エルダー・テイル〉ベテランプレイヤー

この世界では不人気な職業〈付与術師〉を極め彼の指示の下、クエストを挑むものならば大いなる報酬が期待でき言おう

しかし、彼自身はセンチメンタルの塊かつガラスのハートなので付き合い方は考えたほうがよい

彼を町で探すには・・・・

「まっくろクロエでておいで~で~ないと目玉をほじくるぞ~?」

と歌えば壁と壁の隙間から出てくるかもしれない

 

「第12回!ドキ☆エルダー・テイル追加パック!~プライバシーなんてぶっ飛ばせ!~」著作者:くずのは

より抜粋・・・・

 

 

「わっちを待たせた罰でありんすな~。しかし・・・」

 

彼女は険しい顔で彼女が書いた設計図を吟味するヘンリエッタに視線を向ける・・・

 

「・・・くー様、店舗の方はもう少しコストを抑えたモノを、制服の方は・・・このリボンをもっと大きく!そしてエプロンはフリルをつけてください!」

「・・・うにゅ~、働きたくないでありんす~!動きたくないでありんす~!」

「いえ、くー様もシロエ様のギルドの一員なら最低限は働いてもらいます!・・・〈デザイナー〉のスキルは経済的にも魅力的ですしね」

「・・・セラララ~助けて~ヘンリーがいじめる~・・・シロエェェのばか~」

 

助けを求める彼女の心の叫びは虚しく〈三日月同盟〉の執務室に響くのであった・・・

 

 

 

ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~

 

林檎金貨10万!林檎酒金貨15万!アップルパイ金貨20万!スマイル・・・当店では扱っていません

 

 

 

シロエのギルド〈記録の地平線〉に参加しシロエの考える作戦を実行すると決まった日から彼女の生活は一変した

〈ススキノ〉では執事とメイド付きのニート生活を送っていたのだが、ここ〈アキバ〉に来てからは〈三日月同盟〉の執務室に監禁されているのだ。・・・しかもヘンリエッタと言う監視付きで

事の発端は彼女のサブ職業〈デザイナー〉にヘンリエッタが目をつけたのが原因である

彼女みたいな高LVの〈デザイナー〉は珍しく〈デザイナー〉の特徴である『制作費削減』『品質上昇』を100%引き出せる〈冒険者〉は数少ない

シロエの作戦の下、現在資金集めに取り掛かっている〈記録の地平線〉と〈三日月同盟〉にとって経費削減は必須、即ち彼女はシロエの作戦に賛同した時、ニート生活は終わりを告げてしまったのだ

 

「・・・わっちは燃え尽きたでありんす」

「おおきにな~、大手はんに依頼したらえらいお金が掛かってしまうからな~?ほんまに助かるんよ」

「まだ書いてほしいものはありますが・・・まぁいいでしょう」

 

そして現在、気分転換として休憩を許された彼女はマリエールにお茶を入れて貰い手を休めていた

 

「マリ~、わっち〈三日月同盟〉に入りんせん でよかったと思いんす。・・・ヘンリーが苛めてぇなんし」

「そか~、ヘンリエッタ?あんましクーちゃん苛めたらあかんよ?」

「苛めていません。・・・ですが、面倒臭がり屋のクー様が〈デザイナー〉を習得しているとは意外でした」

 

眼鏡の位置を直しながら彼女に視線を向けた

〈デザイナー〉は特定の生産系職業を5つ以上コンプリート尚且つ自身が製作した〈製作級〉アイテムの売り上げ金額が一定以上超えなくては習得できない取得条件がある為、時間と手間が掛かる職業として存在が確認されており、〈デザイナー〉が一人いるだけでギルドの経営は安定するとまで言われているのだが・・・問題点としてLVの上げが非常に難しいのが有名な話だ。

設計図を書き依頼し作る、そして売って利益を得る。この工程がワンセットでやっと経験値が得られるのだ

こんな時間と手間が掛かる職業を彼女が選択するとはヘンリエッタは思ってもいなかったのだ

 

「ん~?ん~・・・マリーとヘンリーはわっちが〈茶会〉に居たのは知っていんす かぇ?」

 

彼女の問いかけに同時に頷いた

彼女は机に置かれた林檎を弄びながら言葉を紡いだ

 

「あんな~メイドとな~ちんどん屋はな~わっち.を苛めてきてなん?カーミンも悪乗りしてわっち をこき使いんしたよ?わっちたちのおいえぇは色んな人がいてぇな?色んなモンつくりやしたけどな~ぜんいんがぜんいんひどーてな~しなぬあいだ、あがっていたんどすえぇ?」

 

「・・・すみません、クー様。標準語でおねが 「せや!お店の名前考えたんよ!」話題を逸らしましたね?」

 

・・・・・・・彼女の話を理解するのにはにゃん太並みの理解力が必要である

 

「・・・それで名前は何に決まったんですか?」

「うちは〈三日月同盟〉やろ?せやから・・・」

 

マリエールは満面の笑みを作りながら・・・

 

「〈軽食販売クレセントムーン〉や!」

 

 その次の朝。

 

徐々に日の出は早くなり気温は増して行く夏の始まりのアキバの街の三か所に、鮮やかな色をした店舗が出現した。

竹を主に主軸とした支柱。日よけの帆布でつくられた大規模な天幕は、質素だが品のあり、鮮やかな飾り布が揺れている。どうやら二頭立ての馬車を改造した中央の台と、立派な木製のカウンター。

立地によって多少は違うが、それぞれ風にたなびくのぼりには〈軽食販売クレセントムーン〉と鮮やかに記してあるのであった

 

「なんだこりゃ!うめぇ!」

「おいしい・・・おいしい!本当に美味しいよ!」

「これだよ!食事ってコレのことだよ!」

 

歓喜に沸きあがる〈アキバ〉の町に〈クレセントムーン〉の名は爆発的に広がって行った

〈大災害〉後、〈冒険者〉にとって食事とは只の栄養補給と言う行動になってしまい、娯楽としての楽しみがなくなってしまったが、味がある食感がある〈クレセントムーン〉の食事は〈冒険者〉に忘れられていた〈食〉への楽しみを復活させたのだ!

食したものは皆、笑顔になり時には涙を流す者さえもが現れるほどに・・・・・

 

〈軽食販売クレセントムーン〉・・・大盛況の後、一日目閉店

 

 

閑話休題

 

 

 

「シロエェェ、ご隠居。わっちになんのようでありんすか?寒いんで速く用件を言ってくんなまし」

 

月の輝く夜だった。

昼間の熱気を残した熱く乾いた風が、夜光虫の飛び交う朽ちたホームを渡って行く。そこはアキバの街の中央広場を見下ろす、高架の上に乗った長さ200mほどのコンクリートの台地。旧時代は秋葉原の駅のプラットフォームだった場所・・・・そんな場所に彼女は呼び出されていた

 

「そうですね、少し風がでてきましたにゃ」

「ごめんクーさん、今からソウジロウに会うんだ。・・・ナズナが来た時、彼女の説得を頼みたいんだ」

「・・・ナズナんはハーレムが〈YES〉と言えば付いてきんすよ?わっちはいらん弧でありんす」

 

そう言い残し、来た道を戻ろうとしたが、シロエに呼び止められてしまった・・・

 

「・・・アップルパイ、でどう?」

「・・・・三枚、それと林檎酒」

「わかった、用意するよ。だからナズナはお願いね?」

「わかりんした♪」

 

・・・・自分の欲望に忠実な彼女は睡眠より好物を選択し、近くにあった瓦礫に腰を下ろしストレージから林檎を取り出して齧り始めたのであった

 

「さて、予備戦力は確保。・・・ソウジロウが来るまでにはもうちょいありそうだ。にゃん太班長、どこかに座る?」

「いえいえ、お気遣いは有り難いですが、我が輩そこまでのポンコツ老人ではないのですにゃぁ」

「別に年寄り扱いって訳じゃぁないけど」

「にゃにゃにゃ、それに・・・こんばんはにゃー、ソウジっち」

 

肩をすくめるシロエを横目に見ながら、段々と近づいてくる人影に声をかけた

 

「こんばんは。お久しぶりです、シロ先輩。にゃん太老師・・・良く気づきましたね?」

 

近づいてきたのは和服に袴、その腰には二本差しという幕末の維新志士のような格好をしていた、まだ顔には幼さが残る少年であった

 

「ご無沙汰、ソウジロウ・・・僕は気づかなかったかな?」

 

苦笑いをしているが久しぶりに会う仲間に軽く口があがる・・・

 

「吾が輩も最近わかるようになりましたにゃ。・・・彼女からコツを聞いたおかげですにゃ」

「彼女?」

 

含みがある言い方が気になりにゃん太の視線の先を追いかけようとしたが・・・赤い球体がソウジロウに向かって飛んできたので慌てて球体を掴み取ったが・・・

 

「・・・林檎?」

「狐尾族究極奥義!一夫多妻除去脚!!!」

「っ!?」

 

・・・・襲い掛って来た彼女の攻撃に対しすぐさま、緊急回避をとったのであった

 

「避けるな!女の敵メ!」

「無茶言わないでください!ってクーさん!?いつ〈アキバ〉に!?」

「黙れ!万年欲情生物!呻れ!わっちの拳!ゴールデンボールクラッシャー!!」

「っちょ!?シロ先輩!にゃん太老師!助けてください!」

 

敵の言葉なんて訊かん!とばかりに攻撃の手を休めない彼女に2人は苦笑いをするしかなかった・・・

結局、このままでは話が進まないと言う事になりにゃん太が彼女を羽交い絞めにして事なきをえるのであった

 

「・・・ご隠居、もういいでありんす。放してくりゃれ?」

「ダメですにゃ。今の貴女は信用できませんにゃ」

「うぅ~・・・ハーレム製造機を壊せんとわっちの気が収まらんでありんすぅ」

「青春ですにゃ、貴女も入れて貰えばいいですにゃ?」

「・・・ソージは、わっちの好みではありんせん。ご隠居なら言いでありんすよ?だから放してくりゃれ?」

「老い耄れにはありがたい言葉ですにゃ。でも駄目ですにゃ」

「フシャァァァ!」

 

彼女が羽交い絞めされている中、話は淡々と進み2人は笑みを溢しながら彼女達に近づいてくる

 

「話は纏まりましたかにゃ?」

「はい、ソウジロウは了承してくれました。後は僕がソウジロウの信頼に答えるだけです」

「信頼なんて大げさな」

 

ソウジはそう微笑むと、表情を引き締めて、3人をまっすぐに見る。

 

「それとは全くの別件ですが、シロ先輩。にゃん太老師……それからクーさん。良かったら〈西風の旅団〉に入りませんか? ナズナも喜ぶと思いま「わっちには『お社』がありんす!」――クーさんギルドに入ったんですか!?」

 

〈茶会〉時代から群れる事が嫌いだった彼女がギルドに所属している事に驚き、シロエとにゃん太に視線を向けた

2人は軽く笑いながらもソウジロウに伝えた

 

「本当だよ。ソウジロウ。

 ……あのね、僕は。

 自分の居場所をそろそろ自分でちゃんと作るべきだって判ったんだ。昔あった面倒くさいことから逃げているうちにこんなところまで来ちゃったけれど、僕もちゃんと守る側にならなくちゃいけないって、やっと判った。

・・・自分のギルドを作ったんだ。クーさんもにゃん太班長も今は僕に協力してくれている」

 

「シロ先輩の・・・ギルド・・・」

 

「そう、僕の、僕達のギルド〈記録の地平線〉にーーーー」

 

 

 

 

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「上手くいってよかったですにゃ」
「そうですね、でもナズナは来なかったしクーさんは場を荒らすだけでしたね?」
「にゃにゃ、彼女は彼女なりに話し易い環境を整えてくれたにゃ」
「そう、ですね。・・・て班長?クーさんはどこに?」
「先に帰りましたにゃ」
「・・・本当に?」
「「・・・・」」

「狐尾族究極奥義!金剛石破壊脚!」
「亜ァァァァァァ・・・・・」

「ごめん、ソウジロウ」「ごめんにゃ、ソウジっち」

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