ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~   作:誤字脱字

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タイトルが悩む・・・


『1』『1』駄々捏ねないで働けよニート!

〈直継〉

 

パンツ信者   以上

 

 

 

 

「第12回!ドキ☆エルダー・テイル追加パック!~プライバシーなんてぶっ飛ばせ!~」著作者:くずのは

より抜粋・・・・

 

 

「これしか言葉に出来んでありんす。しかし・・・」

 

静まり返った闇の中、念話システムで誰だかわからない人物と話すシロエに視線を向ける・・・

 

「軽くて変な冗談ばっかり云っているけれど頼りになる直継っていう|守護騎士《ガーディアン。辛辣で小さなアカツキという暗殺者(アサシン)盗剣士(スワッシュバックラー)〈盗剣士〉の猫人族のにゃん太班長。それに何時も何処かで何を仕出かすかわからない狐尾族のクーって言う妖術師(ソーサラー)が今、僕のギルドにいるよ」

『・・・・・コホン』

「・・・・わっちの説明は兎も角、保険は必要でありんすな」

 

彼女は懐から出した水晶を弄りながらもシロエに聞こえないように呟くのであった・・・

 

 

 

ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~

 

貴様は今まで食べた林檎の数を覚えているのか?―――なに!?3759個だと!?

 

 

 

 

「散歩?」

「そうでありんす、お散歩でありんす~」

 

ソウジロウとの協力を取り付け運命が決まる日まで残り数日となった今日この頃、皆が忙しなく働くさなか、自由を愛する彼女はポカポカの太陽に誘われて散歩に行きたいと言い放った

シロエは何を考え、ヘンリエッタは呆れ返り、マリエールは空笑いを溢していた

 

「・・・今は問題を起こしたく無い時なんですが?」

「なんと!シロェェは、わっちが外に出ると問題を起こすとおっしゃりますかぇ?」

「・・・先日、〈クレセントムーン〉の倉庫の林檎が無くなりました。」

「♪~♪~♪~」

「・・・くーさんですね?」

 

吹けない口笛で誤魔化そうと努力しているが、相手が悪かった。真っクロエには全てお見通しと言わんばかりに彼女を睨みつけていた・・・

結局、シロエからの視線に耐え切れなくなり彼女はマリエールに泣きつくのであった

 

「マリ~、シロエエが~ジロエが~」

「お~、よしよし。そやな~シロ坊がいかんのやな~」

「・・・マリエ、甘やかすのはよくないわよ?」

「ええやん!林檎くらい!」

「クーさんが食べた林檎は200個です」

「・・・あ~、それはあかんな~」

「おうふ」

 

林檎200個、お金に換算すると高額になる金額であった為、流石のマリエールも今回は彼女を援護できなくなってしまった

ペタンっと爛れる9本の尻尾が今の彼女の気持ちを表し今にも抜け落ちそうな勢いであったが、ピクンっと耳が逆立った瞬間、彼女は立ち上がり敬礼したのだ!

 

「林檎調達を踏まえ!散歩にいってきんす!」

 

目には涙を浮かべてはいるが、3人が見とれる程にさまになっている敬礼であった・・・

彼女はそう言い残し颯爽と部屋を後にしたのであった・・・

 

「シロエ様、よろしいのですか?今は大事な時ですよ」

「確かにな~、今は目立ったことはできへんで?」

 

彼女を今からでも止めに行った方がいいのではないか?と心配そうに伺うマリエールとヘンリエッタであったが、シロエはと言うと2人の心配事とは反対に何故か安心したような顔つきをしていた

 

「林檎の盗み食いは駄目ですが、散歩自体は大丈夫でしょう」

「それはなして?」

「彼女が自ら行動する時は何か『目的』がある時だけです」

 

シロエの言葉に2人はシロエの彼女に対する信頼を感じたのであった・・・

 

 

 

そして話の話題になっている彼女は、〈アキバ〉の町から少し出た所のダンジョンにいた

装備はいつもの扇子ではなく、自身が製作した〈製作級〉ダガーを一本だけ。鎧も初心者が一度は着るであろう安い革のローブであった

 

「ふむ、こなもんでありんすか。・・・あとはわっちの演技力でありんすね」

 

彼女は装備を確認すると適当な大木に登り辺りを見渡しはじめた

 

「え~と、わっちの情報が正しければ~・・・おっと!いたでありんす」

 

彼女の視線の先には五人の集団が此方に向かって歩いて来ていた

先頭を歩くのはLV46の〈妖術師〉、後に続くのはどの子もLV30以下の新人と言える〈冒険者〉であった

 

「目標はっけ~ん!お狐いきますぇ?」

 

彼女は笑みを溢しながら大木から飛び降りたのであった

 

 

 

 

 

 

 

〈ハーメルン〉

〈アキバ〉に拠点を置く中小ギルドの一つ。彼らは〈大災害〉後、初心者救済を唱え多くの新人プレイヤーを介入していった。・・・だが、その実態は運営が初心者も早く〈エルダー・テイル〉を楽しんで欲しいと言う事から配布されるEXPポットが目当てで傘下に入れているだけの子悪党な集団であった

彼ら幼き〈冒険者〉は日々、ハーメルンの幹部に過酷に使われ精神を摺り切っていった

 

そして今日も過酷な狩りに参加させられボロボロになりながらもハーメルンから言い渡されたノルマをこなしていったのだ

 

「トウヤ・・・助けって本当に?」

「ああ!だから後少しの辛抱だ、だから頑張れ・・」

「・・・うん」

 

吟遊詩人(バード)の少女に話しかけられ励ますように武士(サムライ)の少年は言葉をかけた

彼はシロエの助けたい人の一人、短いながらもシロエに師範された少年であった。

 

仲間を励ましてはいるが、どうも顔色は良くはなかった

彼の姉からシロエが助けに来てくれるとは聞いてはいるが、彼自身は直接その言葉を聞いたわけではなく姉が自分に噓をついているのではないか?と半信半疑な所があったのだ。特に接触もなくただ待っているだけ、彼の性格からして自身も協力したいと言う気持ちが大半を占めていたのだ

 

(シロエ兄ちゃん・・・俺はどうすればいいんだよ!ただ待っている事しかできないのかよ!)

 

思考の海に溺れかけていたトウヤであったが、彼を一気に海から引きあげる出来事が起きた!

 

「助けて下さい~!だれか~!」

 

悲鳴が聞こえたのだ。・・・若干、棒読みぽいが悲鳴が聞こえたのだ

悲鳴が聞こえた場所に視線を向けると一人の女性を3体のモンスターが囲い込んでいたのだ

リーダー各の〈妖術師〉も気づいた様で悲鳴の先を見ていた

 

「LV20、か・・・あぁん、記録の地平線(ログ・ホライズン)?くそっ・・タグ付くか。おい!行くってトウヤァ!何処行く!」

 

トウヤは走り出していた。襲われている女性を助ける為に・・・

 

「はぁぁぁ!」

 

気合と共にモンスター目掛けて刀を一閃!

倒すことは出来なくとも注意を引くことは出来ると思い攻撃したのだが・・・・モンスターは呆気なく金とアイテムに変化したのだ。残りの二体も同じように一撃与える度に金とアイテムに変化していったのだ

モンスターとのLVの開きは差ほど無いのに関わらず、一撃で倒せた不思議な現象に自身の刀をマジマジと見つめるが特に変わったところは見当たらなかった・・・

 

「た、たすけて頂いてありがとうございます」

「えっ!?あ、はい!」

 

助けた相手に話しかけられてやっと彼女に意識が向いた

見た目、20代前半ぐらい、金髪で上品そうな女性がそこにはいた

 

(綺麗な人だな・・・それに尻尾と耳・・・狐尾族だっけ?)

「トウヤ!テメェ!何、勝手に動いてんだ!」

 

彼女の容姿に見とれていたが、野太い男の声で現実に引き戻される

 

「・・・すみません、つい」

「つい、じゃぁねぇよ!おら!行く 「あの・・すみません?」 あぁん?」

 

男の声を遮り、女性の声が話しに割り込んできたのだ

 

「・・・私、仲間と逸れてしまって・・・先輩達が迎えに来るまで一緒にいてくれませんか?・・・わっち、いえ、私一人では心細くて・・・」

 

頭を深く下げてお願いする彼女。確かにLVの差は大きくはないが、先程みたいに多数に囲まれたら初心者には厳しい戦いになるのだろう・・・

トウヤも思う所があり、声を上げたのだが・・・

 

「あの!俺が 「タダ・・・て訳にはいかねぇな~?」なぁ!?」

 

リーダー格の〈妖術師〉に言葉を重なられてしまった。しかも、まだLV20の初心者から報酬を強請ると言う行為を口にしたのだ・・・トウヤは悔しかった。知識がなかった自分が悪かったとは言え、こんなギルドに入ってしまった事が悔しかった・・・

 

「せ、先輩から貰ったダガーが!これでよろしいであり、よろしいですか?」

「・・・『フェザーダガー』?上物じゃねぇか・・・おい!トウヤ!お守りしていろ!」

「・・・はい」

 

〈妖術師〉はトウヤをその場に残し、他の3人を引き連れt森の中へと入っていったのだ

暫くし、先程の仲間が完全に見えなくなってから、トウヤは重い口を開いた

 

「・・・ごめん、大切な武器。取っちゃって・・・」

 

別にトウヤが謝る事ではなかったのだが、どうしても伝えておきたかった・・・

認めたくは無いが、自分も〈ハーメルン〉の一員なのだから・・・

しかし、返ってきた言葉はトウヤが想像するモノとは180度、反対の言葉であった・・・

 

「あの程度の武器を上物って・・・わっちは我慢できなくて笑いそうになりんしたよ?」

「・・・え?」

 

振り返った先には先程の女性は存在していなかった。いや、存在はしている。面立ちや雰囲気が全く変わっていたのだ

革のローブではなく上品な着物、右手には扇子、左手には林檎を持ち胡坐をかきながら林檎を齧っていたのだ

トウヤも流石に困惑した。あの上品な女性がどう変化したらこの様になるのかと・・・

 

「ふぁ~・・・ん?どうしたんでありんすか?」

「え!?い、いや。本当にさっきの人ですよね?」

 

思わず聞いてしまったトウヤは悪くないはずだ・・・

 

「狐は騙す存在でありんす!あと、わっちはクーといいんす。 今はシロエェのペットでありゃれ」

「あ、はい。トウヤです・・・・ってシロエ兄ちゃんのペット!!??」

 

困惑するトウヤを更に窓わす彼女クオリティ!・・・18歳未満は近づかない方がいいのかもしれない

 

「わっちはもう疲れんした・・・・用件だけ言うでありんす~」

 

持っていた林檎を食べ終わると同時に立ち上がり、懐から紫色をした水晶を取り出しトウヤに投げ渡した

 

「危なくなりんした ら使いなんし。以上!終わり!わっちはお社に帰り「ま、待ってください!」なに用でありゃしょう?」

 

もう話す事はないとばかりに〈アキバ〉の町へと足を向けた彼女をトウヤは呼び止めた

しかし、何を伝えたいのか言葉に出来てなく、少しうろたえた後、ゆっくりと口を開いた・・・

 

「・・くーさんは、シロエ兄ちゃんの仲間なんですよね?お、俺!ミノリからシロエ兄ちゃんが助けに来てくれるって聞いているんです!・・・だから、俺もシロエ兄ちゃんの役に立ちたいんです!何か手伝わせて下さい!」

 

勢いよく頭を下げお願いするが、彼女からの返事は一向に返っては来なかった・・・

一端の不安感がトウヤを襲う。自分では何の役にも立たないのか?自分は必要とはされていないのか?渦巻く思考の中、やっと彼女の口が開いたが・・・トウヤの望む答えではなかった・・・

 

「・・・今まで通りでよいざんす。後はシロエェが上手くやってくりゃしょう?」

「っ!?」

 

唇を噛んでしまった・・・トウヤは悔しかった。自分が役に立てないことを・・・

 

「・・・LVが低いからですか?・・・俺が頼りないから!指を銜えて待っている事しか出来ないんですか!!!」

 

彼女に当たっても意味はない事は承知なのだが、どうしても伝えたかった・・・自身の苛立ちを、何も出来ずにいる自分の無力さを口に出して言いたかったのだ

 

いきなり大声で叫ばれた彼女は耳をピン!っと逆立てたが、直ぐに何時のも〈くずのは〉に変わり、優しく微笑みながらトウヤに語りかけたのだ

 

「トウヤ、と言ったかしら?貴方は大きな勘違いをしているわよ?」

「・・・・え?」

 

彼女の話し方の変化にも驚いたが、自分が間違っていると言われて更に驚く・・・

 

「貴方の考え方は『こっち』(救う側)でしょ?・・・貴方は『そっち』(救われる側)では大いにシロエに貢献しているわ」

「・・・どういう意味ですか?」

「貴方は囚われしモノの光になっているわ・・・それは大いなる希望。内側を知り、共感し強き心を持つモノだから出来る事。・・・光に濁り輝く事を失ったら、囚われしモノはどうなるのでしょうね?」

「?」

「貴方には比喩表現は無駄ね・・・いいわ、最近の〈ハーメルン〉、シロエが連絡が来るようになってからどのように変化したかしら?」

 

最近の〈ハーメルン〉・・・以前と同じで奴隷の様な扱いを受けているが、今は違う。シロエ兄ちゃんから教えて貰った抜け道みたいなもので多少は生活面で変化が起こり、仲間も助けがくると信じ弱音を吐く者が少なくなった。・・・そして苦境の中、少しづつ〈ハーメルン〉から隠れながらも笑顔を溢すモノまで現れるようになっていた・・・

 

「・・・・あ」

「ふふふ、気づいたようね?貴方はその変化を見ている。その者達の中心にいるのよ・・・・だから『こっち』(救う側)はシロエに任せて貴方は『そっち』(救われる側)で光続けなさい」

 

難しい事は判らなかったけど・・・みんなが笑ったり希望を持っていけるのは俺達の連絡があるこそなんだ!

そんな俺達が不安がっていたらみんなも不安がる!だからオレは前を向いてみんなの先導にたっていなきゃいけないんだ!

両手で頬を叩き気合を入れる。もう胸の中で渦巻いていたモノが無くなった!

 

「わかったよ!俺はシロエ兄ちゃんを信じて前だけを見てみんなを連れていけばいいんだ」

「理解ある子は好きよ?・・・もう行きなさい、怪しまれるから」

「うん!ありがとうな!クーさん!」

 

足取り軽く、トウヤは〈ハーメルン〉パーティーを追いかける為に森の中に消えていくのであった・・・

 

 

 

 

トウヤを見送った後、彼女は近くにあった木から林檎を毟り取り、林檎片手に語りかけた・・・

 

「ふぅ・・・ここに来てから〈私〉が表に出る事が多くなってきていないかしら?・・・・そう、でも私は今回の戦闘はコレでお終いよ?・・・ええ、わかっているわ。だから貴女はいつも通りでお願いね?・・・今更だわ、『私』(くずのは)『貴女』(クー)でありは『私』(くずのは)であるのだから」

 

軽く笑みを溢しながらも林檎を一口かじる・・・

 

「シロエエも人心を考えられるようになりんしたら、わっちも楽が出来るのにまだまだでありんすな~」

 

手に持った林檎を齧りながら、彼女は赤の実が実る森へと歩み始めたのであった・・・

 

 

 

 

 

NEXT  狐、舞う

 




「今日、シロエ兄ちゃんの仲間のクーさんに会ったぜ!」
「・・・・え?」
「どうしたんだよ、ミノリ?」
「・・・トウヤ、林檎持っていたの?」
「はぁ!?持っている訳ないじゃん」
「クーさんは林檎がある所に出現するモンスターみたいな人だってシロエさんが言ってたから・・・」
「〈冒険者〉だろ?そんなモンスターだなんて大げさな・・・」
(あれ?クーさんと会った場所って林檎の木があったような・・・)

・・・その頃、彼女は
「林檎~りんご~リンゴ~!WRYyyyyyyy!」

テンションMAXであった

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