ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~ 作:誤字脱字
彼女の常識外れな行動が目立ちます
わかる方にはどうしてなのか・・・・わかるとおもいます
〈アカツキ〉
身長150cmほどの女性型暗殺者。ギルド〈記録の地平線〉に所属しギルドマスターである〈付与術師〉シロエに忠誠を誓っている〈冒険者。〉
〈窯変天目刀〉と言う黒の釉が光の反射を防ぎ、隠匿性を高めている武器を使いこなす
数多くいる暗殺者の中で彼女は、私が知っている中では5本の指に入る程の実力者であると断言しよう!
彼女に会いたいのならば、〈アキバ〉の町に向かい町の中心で『シロエの好きな人はアカツキ!』と叫んでみよう
顔を真っ赤にして斬殺しにくるであろう・・・
「第12回!ドキ☆エルダー・テイル追加パック!~プライバシーなんてぶっ飛ばせ!~」著作者:くずのは
より抜粋・・・・
「わっちの知っている暗殺者は、幕末浪人、パイナップル、ショタっ子、ツッキー・・・1本指があまりんしたね?しかし・・・」
ゾーン購入画面を操作するシロエに視線を向けた・・・
「・・・500万もあったら何個林檎が買えるのでありんしょうな~?」
彼女がうわ言をぼやく中、シロエの策は今まさに実行されていくのであった・・・
ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~
『覚悟とは・・・犠牲の心じゃありんせんッ!覚悟とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開くことでありんすッ!』
by ギャングスター(クー風)
『アキバのひまわり』マリエール『アキバのスズラン』ヘンリエッタ、〈三日月同盟〉の協力の下、シロエの作戦は最終段階に移行した。〈アキバ〉を拠点に置く戦闘系大手ギルド、生産系大手ギルド、そして中小ギルドの代表がギルド会館最上階にある巨大会議室に集結し今まさに決戦の時を迎えようとしているのだ!
シロエは勿論、今回の議長として会議に参加しにゃん太もシロエの補佐として会議に参加していた。他のメンバーもそれぞれ動きまわり、直継は神殿にて陣を陣取っており、アカツキもイレギュラーが起きた場合の対処をする為、影ながら遊撃にあたっていた。そして過去〈放蕩者の茶会〉現在〈記録の地平線〉の一人である彼女はと言うと・・・
「りんご~真っ赤な林檎~♪」
・・・〈三日月同盟〉の執務室で暢気に林檎と戯れていた。
説明しておくが、〈三日月同盟〉も〈記録の地平線〉も総動員で取り掛かっている作戦であり、暇な人などは存在しない筈なのだ。・・・だがしかし彼女は今!林檎と戯れている!何と言うミステリー!?
今回の作戦に対して彼女の役割はシロエから伝えられている
『会議にてにゃん太と共にシロエの補佐』であるが・・・・彼女は「嫌!」の一言で拒否
仕方ないので『直継と共に初心者の保護』をする様にと伝えたが・・・「働きたくない!」の一言で拒否
ならば『アカツキと遊撃に!』と伝えたが・・・「わっちみたいな派手モノ遊撃に向きわせん!」と正論で拒否られてしまった
・・・結局、働きたくないオーラを全開に醸し出している彼女の役割は100%侵入者が来ない事が容易にわかるが、重要な書類が置いてある〈三日月同盟〉執務室の防衛と言う名のお留守番であったのだ
手元にある林檎を撫でながら、まだ書類が散らばっている机の上に置き彼女は懐から、三つの水晶を取り出し林檎の隣に並べて置いていった。
三つの水晶はそれぞれ紫・緑・紺の色をしていたが、彼女が優しく触れるとそれぞれ違う模様に変化していく・・・
紫色の水晶は、ほの暗い倉庫のような風景と〈武士〉の少年を・・・
緑色の水晶は、大きな机を囲む様に座る12人の〈冒険者〉を・・・
紺色の水晶は、神殿で何か指示を出している大柄の男性を写しだしていったのだ
彼女は軽く微笑むと、また懐から真っ赤な球体を取り出し齧り始めた・・・
「さてはて、久しぶりにシロエエエの『全力管制戦闘』みせてもらいんしょうかぇ?」
彼女が呟くと同時に水晶に写る映像は音声と共に動き始めたのであった・・・
『プレイヤーには現在、法なんて存在しません。存在していないーーー』
「シロエエの方は順調・・・これもシロエエの思惑通りなんでありんしょうねぇ?」
緑色の水晶に写る彼女の『:家』を作った青年は恐れを抱く事無く発言し、顔にはどこか余裕そうな雰囲気を感じる
『大丈夫だミノリ!っこっちは準備が出来たぞ!』
「トーヤンは・・・若干緊張しておりんすな?・・・まぁ、当たり前でありんすか」
紫色の水晶に写る囚われた者の光は、傍から見ればいつも通りに見えるが、感の良い者なら直ぐに判るほど緊張した面立ちをしていた
『おい、おまえ等!ここは俺達に任せてギルドホールの方にまわれ』
「パンツ君はやる時にはやるパンツでありんすな~」
林檎酒を片手に同志である直継の活躍っぷりを肴に飲酒を始める彼女・・・
三つの水晶から聞こえるそれぞれの『歌』は彼女の中で一つになり、彼女が思うままに『演奏』されていく・・・
『本日――いまから4時間ほど前ですが。僕はこのギルド会館というゾーンを購入しました』
「・・・終演の時でありんす。〈ハーメルン〉・・・ぬしの笛では誰も着いて来ない事を教えてあげんしょう」
彼女はゆっくりと立ち上がり、罵声と共にヒビ割れていく水晶が放つ光に呑まれていったのであった・・・
◆
「なっ!? お前達、何を企んでっ!?」
「待避させてっ!」
トウヤは声を上げてミノリに声をかけた。
シロエから作戦開始の合図を貰い、いざ実行したのはよかったのだが、姉であるミノリ達がいる部屋では作戦がばれてしまい、ギルドの中堅メンバーが彼女達を押さえ込もうともみ合っていたのだ!
トウヤは堪らずミノリにのし掛り押さえつけようとしている短髪の盗賊に体当たりを喰らわせ、自身が思うがままにスキルを発動させて鞘から発射されるかのようにほとばしる太刀。きらめく銀の光は一線となって目標の咽喉部に叩きつけたのだ
トウヤの呼び声により、弾かれたように立ち上がると、仲間の少女達をギルドホールの玄関の方に押し出す。事がこうなってはぐずぐずしている暇はないのだ。怯える仲間を鼓舞して、誘導するしかない。
一方、トウヤの方は眼前に中堅盗賊と向き合っていた。
厳つい顔をしたその男の瞳の中には憎悪が燃えている。自分たちが雑魚と侮ってきた新人プレイヤーに喉を潰されたのが信じられないほどの怒りをかき立てているのだ
(俺が逃げる訳にはいかねぇよな、せめて皆が脱出できるまでの時間を稼ぐんだ!)
しかしトウヤとその盗賊の間には20レベルの差が存在する、実力の差は目に見えており時間を稼ぐにも彼が放ったスキル〈はやにえ〉の効果が切れるまでしかもたないだろう
焦りと盗賊から発するプレッシャーに飲まれそうになったが、ふっと彼女が言っていた言葉が頭をよぎった・・・
(危なくなりんした ら使いなんし、か・・・今がその時だよな?でも、使い方がわかんねぇよ!)
彼が持つ数少ない持ち物、シロエの仲間である彼女から貰った『呼出水晶』は只、紫色に光るだけで何も変化は起きていなかった
しかし時は待ってはくれない。盗賊は腰から刃渡り50センチはあろうかという曲刀を抜き放つと、トウヤに斬りかかってきたのだ。
手元の水晶に気をとらわれ防御の姿勢が取れなく、ただ立っているだけの状態にLV差20もある〈冒険者〉からの攻撃は彼にとっては即死LVの攻撃だ!
(俺は皆の希望の光なんだ!こんな所で死んでたまるか!だから・・・)
「だから!最後まで足掻くんだぁぁ!!!!!!」
彼は咄嗟に手に持っていた水晶を盗賊に向かい投げつけたのであった
・・・・しかし、向かって飛んでくる水晶を盗賊は曲刀で切り払った
盗賊の一撃により無情にも水晶はあっけなく砕け散り水晶は欠片となって眩しく光輝いた・・・
そして目が眩むほどの発光がやんだ時、トウヤの目の前には優雅に扇子を仰ぐ一匹の狐が現れたのであった・・・
◆
思いもよらない第三者の登場に場は沈黙した
トウヤは先日、出会った女性の登場に驚いた・・・しかし驚きの大きさでは盗賊の方が大きいであろう
『トウヤの仲間!?』『LV90!?』『〈記録の地平線〉!?』等、多くの驚愕がある中で一番大きな事は『何故、ギルドメンバー以外の奴がここにいるのか?』、である
ギルドホールは基本、ギルドメンバー以外はギルドマスターが許可した者しか入れないのに関わらず、現に彼女は〈ハーメルン〉のギルドホールに存在しているのだ!
驚愕が生んだ沈黙であったが・・・
「トウヤっ!」
・・・彼女の登場になって沈黙は破られた
盗賊は駆け出し未知の侵入者を排除すべく切りかかったが、ひらりと斬撃を避わされ逆に腹に拳を入れられ崩れ落ちた
そして追い討ちとばかりに盗賊の後頭部を踏み躙ったのであった
「おぉ!ぬしがトーヤンの姉でありんすね?まことにかわいぃかぁ~」
先の攻防など無かったように話しかけてくる彼女に姉弟は共に驚愕した・・・弟は盗賊の頭を踏み躙る彼女にも驚いたが・・・
「かわいぃは正義でありんすなぁ~。・・・時間がありんせん、はよ、逃げんしゃい」
「え!?でも、クーさんが!」
「わっちの事は心配しなくてよろしんす、ほら、皆ぬし達を待っておりんすよ?みなの光が濁ると悲しんす」
「っ!?・・・行こうミノリ!」
「で、でも!あの人が!」
「いいから!速く!」
トウヤはミノリの手を引き出口へ続く扉へと走っていったのであった・・・
「げふっ。がっ!」
それと同じタイミングで盗賊に仕掛けられた〈はやにえ〉の効果が切れ、彼はひび割れた咳を漏らしながら、彼女に向かい叫ぶ。
「お前ぇ!なにもんーーぐふっ!?」
「わっちは発言を許した覚えはありんせんよ?」
男の口を足に力を込め踏み躙る事によって塞ぐ・・・
そして彼女は男を踏み躙りながら言葉を紡ぐ・・・
「わっちも流石に頭に来ておりんすぇ?・・・ミノリンの手を見んしたか?・・・針仕事でボロボロでありんした。・・・まだ幼き子を虐めイタブリ苦しめる。・・・まことに大人がする事でありんしょうか?・・・人の心踏み躙る、その行為!断じて許しがたい!『恥を知れ!愚か者!!!』」
彼女は叫声と共に男を蹴り飛ばす!
男はなす術も無く吹き飛び、壁に詰まれた木箱に叩きつけられ意識を飛ばし崩れ落ちたのであった
だが、その破壊音はギルドホールに響き渡り、廊下に面したいくつものドアが開き、顔を覗かせたのは慌てて武器を掴んだ〈ハーメルン〉の主力達
暗い目つきをしたギルドマスターが苛立ちを隠そうともしないで彼女を睨みつける
「お前、何者だ!よくもこんなまねしてくれたな!」
先程の彼女と変わらない声力で怒鳴るが、彼女の耳には届いてはいなかった
ずらりと並ぶ〈ハーメルン〉主力を目に置きながらゆっくりと扇子を広げる・・・
「〈ハーメルン〉・・・ぬし達は三つの過ちを犯しんした。一つ、弱き者を虐げた。二つ、此処を戦闘領域に指定した。そして三つ・・・わっちを怒らせた!!! ・・・一度言ってみたかった言葉でありんすな~♪」
「ッ!!!殺せぇぇぇ!!!」
ギルドマスターの掛け声と同じタイミングで弾ける様に彼女に襲い始めた!向かってくる数の暴力に対し彼女は・・・
「格の違いを教えてあげんしょう・・・〈狐月斬〉」
蒼炎を扇子で扇ぎながら笑い、立ち向かうのであった・・・
◆
「もう二人来たぞっ!」
ギルドホールとは違いギルド会館の通路は何人ものプレイヤーが待機していた。階段の方では、皮鎧を着けた少年や刀を装備した女性が、〈ハーメルン〉の新人メンバーをどんどん後方へと案内しているようだ。
何度も咳をするミノリ。
いくら助けが来たからと言って追われている事にはわかりなかったので〈ギルド会館〉に繋がる扉まで全速力で走ってきたのだ
「大丈夫か? ミノリ」
トウヤが心配そうに背中を撫でてくれる。床に跪いたミノリには、トウヤの身体全ては見えないが、目の前の床に広がる染みにトウヤも余裕がなかった事を知る
。
「トウヤこそ……。汗、止まってないよ?」
「ミノリだって。……だけど」
トウヤが視線をあげる気配に釣られてそちらを見る。そこにいるのは中国風の直刀を二本装備した青い皮鎧の少年剣士と、黒づくめの少女だった。
「キミ達名前は? 他に逃げてくる人はいる?」
少年剣士、とはいってもミノリ達よりは上だろう。高校生くらいに見える黒髪の剣士はミノリに話しかける。
(助かった……の……?)
シロエさんの仲間の助力も助かる希望であったが、彼にかけられた言葉で助かった事が確実にわかった。ミノリは安心感で膝の力がへなへなと抜けていくのを感じる。彼の貸してくれた手を握ってミノリは立ち上がる。トウヤも5分程時間をかけて息を整え体勢を立て直し、その問いに答えた
「はい、新人メンバーは俺達で最後です。でもクーさんが中に!」
「なに?中に『クー』がいるのか!?」
黒づくめの少女に問い詰められトウヤは慌てて「はい」と答えた。
しかし、トウヤが答えると同じくして扉が光り、話に上がっていた女性が現れたのであった
「つかれたでありんす~!雑魚の相手はもう嫌でありんす~」
「きゃっ!?」
そしてすぐさま、ミノリに抱き付き頬を擦り付けはじめる彼女。・・・先程のシリアスを返せ
「・・・クー、どうやって中に?」
「林檎の力でありんす~」
「・・・駄狐、〈ハーメルン〉をPKしたのか?主の計画に支障がでるぞ?」
「みんな、麻痺ってありんす~。それ以外は治しんした」
「状態異常〈麻痺〉・・・そのままだと10分間の拘束か」
ミノリは驚きながらも頬擦りしてくる女性を見つめた
HPは1/3減っており、MPにいたってはほぼ0に等しかった事から戦闘が行われたのは容易に想像できたが、まさかこんなに短時間で決着がつくとは思いもしなかった
「なにせよ、やっとおわりんしたな~」
「あぁ、主の勝利だ」
こうしてシロエの作戦である〈円卓会議〉の裏で行われていた救出劇も幕を閉じたのであった・・・
NEXT わっちはお風呂がほしいでありんす!
「くーさん、くすぐったいです」
「うにゅうにゅうにゅうにゅ~♪」
「はは!ミノリはクーさんに好かれているんだな!」
「それは嬉しいんだけど・・・くすぐったいよ」
「クーさんって動物みたいだからマーキングだったりしてな!」
「え?さすがにそんなことないよ?」
「・・・・バレんしたか」
「「!!??」」
戦後のクーのステータス
HP:4175/5998
MP:125/16890
状態異常:無し
やる気:無