ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~   作:誤字脱字

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これでルディ編は終了
オリジナルは疲れます

あと1,2話書いて原作に戻ります


『2』こ『2』こ動画は潤いであえいんす

〈くずのは〉

メイン職業は〈妖術師〉サブ職業は〈デザイナー〉ですにゃ

狐尾族の女性型、金色の耳と9本の尻尾が特徴的な大人の女性ですにゃ~

数年前から姿を現さにゃくにゃりましたが、彼女も〈大災害〉の影響で〈エルダー・テイル〉にいると聞きましたにゃぁ

にゃんと言っても彼女は〈放蕩者の茶会〉で参謀をしていましたにゃ!しかし残念な事に1年ぐらいで辞めてしまいましたにゃ

シロエっちの『全力管制戦闘』も見事なモノですが、くずのはの指示も中々スリリングで楽しかったにゃぁん

機会があれば、また共に冒険してみたいですにゃ~

 

 

 

「第12回!ドキ☆エルダー・テイル追加パック!~番外編~」代筆:にゃん太

より抜粋・・・・

 

 

 

「ふむ、にゃっぱり慣れませんにゃ~?しかし………」

 

にゃん太は彼女に無言で渡された本から視線を上げた。そこには―――

 

「ミス・五十鈴……」

ルディ………(あぁ、本当に犬みたい…尻尾ふってるよw)

 

意思の疎通が取れているか判らないが、見詰め合う2人―――

 

「わっちは所詮、駄目な野良な尾っぽが9本の狐でありんすよ!でありんすから と言って何が悪いでありんすか!?聞いていんすかぇ?」

…………(絡むの止めて!そして問題答えてよ!)

 

意思の疎通を一方的に押し付ける駄狐―――

 

「……にゃぁ~」

 

―――まだ日差しが暖かい9月上旬、混沌が形成されているのであった

 

 

 

ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~

 

教えて♪お狐先生!動詞だけだとわかんせん!   急に真面目だな!おい!byパンツ君

 

 

 

光差す世界に、汝ら暗黒、住まう場所無し!渇かず!飢えず!無に帰れェェェッ!レムリア・インパクトォォォォッ!

 

右手から無限熱量を発生させ、それを目標に押し付け絶対昇華させる某無垢なる刃の必殺技!

今まさに、暗黒が住まう彼女にはうってつけの技であるが、そんなサブカルチャーを知らないにゃん太は至って普通に彼女の首根っこを持ち上げる事で正気に戻した

 

「昇華!?」

「にゃにを言っていますかにゃ?……早くしないと日も暮れますにゃ?」

「あ~い……ルンパッパにリンリン!帰るでありんすよ~?」

「ちょっと待つにゃ」

 

涙目のガーゴイルを暗黒から解放し新人二人に呼びかける彼女……完全に当初の目的を忘れていたようで帰宅の準備を始めようとしていた。さすがのにゃん太もこれには驚き待ったを掛けた

彼女からしてみれば本来の目的はクエストではなく、ルディに自身の立場そして皆に掛かる責任、自身が背負うべき覚悟を自覚させると言う事であり既に目的は達成されたので……正直もう働きたくなかったのだ

テンションダダ下り、尻尾もダダ下りの彼女をやる気にさせる為ににゃん太はガソリンとなるネタを投入する

 

「にゃんと!くーちはクリア報酬である『黄金の林檎』を目の前にして諦めるとにゃ?……黄金の林檎とはどんな味がするか気になりますにゃ~?」

「ッ!……忘れておりんした、でもご隠居達が持ってきてくれればよいでありんす。……わっちは帰って寝りんす」

「そうしたいのは山々にゃんですが……一人でも途中リタイヤしたらクエスト失敗ですにゃ」

「うにゃ!?」

「それに……このクエストは季節限定今日限りのクエスト、今日を逃したら終わってしまうかもしれないにゃ?」

「うにゅぅぅぅぅぅ!」

 

頭を抱え込み身体を振り子のように揺らしながら熟慮する彼女を横手に五十鈴とルディはにゃん太の下へと近づいてくる

 

「にゃん太さん質問っ!」

「はいにゃ」

「『季節限定今日限り』のクエストって何ですか?……私が知らないだけかもしんないけど私はそんなクエスト聞いたことなくて……」

「僕もだ。この地に産まれた僕ですら聞いた事がない」

 

二人の質問に対しにゃん太は手でアゴを擦り、悪戯が成功した子供のような笑みを零した

 

「『季節限定今日限り』……そんなクエストはありませんにゃ」

「「えっ」」

「なりはどうであれ、くーちも女性ですにゃ。……『限定』や『今日限り』と言う言葉に弱いと思いましてカマをかけましたにゃ」

「あぁ、わかるわ~」

「……そういうものなのか?」

「ルディっちもそのうち分かるようになりますにゃ~」

 

ネタをばらせば至って簡単、女性が惹かれる言葉を並べただけ。相手がこのクエストの詳細を理解しているのなら効果は無いだろうが、元から人気がなく出題される問題もランダム、クリア報酬は『黄金の林檎』と言う陳腐な物

秘法級や幻想級ならいざ知れず、ただの消費アイテムに本気になる物は……〈料理人〉であるにゃん太ぐらいしかいなかったのであろう

 

そんな3人を尻目に彼女はやっと決断し尻尾と耳を逆立てた!

 

「なら!はやく!わっちに!くわせろ!で!ありんす!」

 

……意味不明である

にゃん太もこれ以上の言い文句はないと感じたのか、そっとルディの背中押し出した

 

「ミスタ?」

「このクエストの回答権は一人一つ。吾が輩たちはもう答えられないにゃ」

「なっ!?……僕しか答えられないのか!?」

「ヒントは……大丈夫だと思いますが、直接的なモノはアウトですにゃ~」

 

この時、ルディは激しく後悔した。最後のトリは……まぁいい。しかし、これまでの3問とは違い後から感じるプレッシャーが半端なく強いのだ。言わずとも彼女のプレッシャーだ

何故この様な事になってしまったのだ!原因は明白である。だがこれまでの問題で自分が答えられる物が出なかったのも事実。謎の暗号、お茶のゴールデンルール、曲『魔王』の由来……みながみな得意分野の問題だったので答えられたのに対し〈大地人〉である自分に得意分野など存在しない

 

背中を汗がジトリっと濡らす、目の前のガーゴイルはライオンに似ており、その大きな鋭い牙はいとも簡単に自分の首を食いちぎれるだろう……

 

ライオンと視線が合う、ゴクリっと唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。そして―――

 

「ラスト問題ぴょ~ん♪」

 

―――その威厳さからは想像が出来ないほど可愛らしい声で出題が開始された

 

「日本でいっちば~ん高い山はど~こだ?」

 

時が止まった……現実世界の問題である。しかし勝機はきた!

〈エルダー・テイル〉の世界は現実世界を元に創られている。そして、その中には地名や場所の名前をそのままに近い形で表している場所が多く存在している。

そして問題である『日本で一番高い山』は日本人なら誰もが知っている『富士山』だ。そして、ヤマトにおける『富士山』の名前は『霊峰フジ』!古来から富士山は『霊峰富士山』とも呼ばれているので例え『霊峰』が付いても正解とカウントされるだろう!

 

「ルディっ!」

 

五十鈴は声をあげ、薄らと浮かび上がっている『霊峰フジ』を指差した。ルディは五十鈴が指差す先を見て驚く……

 

「なんと!?……同じと言う意味なのか?」

「そう!あとはそれに敬意や親しみを表わす呼び方をつけて!」

 

最大のヒント、本当は『やま』と言いたったけど流石にそれは不味い

五十鈴は自分が出来いる最大のヒントをルディに渡したのだ

ルディは少し考えた後、答えを見つける事が出来たのか五十鈴に大きく頷いた

 

「ナイスヒントだ、ミス・五十鈴!まさかアレを女性に例えるとはセンスを感じられるよ。ハハハッ!」

 

前髪を手で払い高笑いし始めるルディ、それに対し五十鈴は冷や汗を滝の様に流しながら固まった

 

―――こいつ、いま、なんて、いった?

 

止めるべきなのだろう、いや、止めるべきだ!彼が行きついた答えは自分達が望むモノではない!

なにより、止めなくては隣で鬼の形相よろしく『怒』が天元突破しているお狐様が暴れ出す!

五十鈴は身の安全の為、そしてルディの為にも声を上げた!しかし―――

 

「る、ルディまっ 「アンサーは『ミス・霊峰フジさ!』」 あっ、あああぁ・・・」

 

―――間に合わなかった

富士山を女性の美しさに重ねるなんて素敵だ!とか言っているルディを横目に五十鈴は隣をうかがった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・鬼がいた

 

彼女の尻尾は逆立ち、耳はまるで角の様に立ち上がっていたのだ

やばい、なんとかしなくては!……救いを求めにゃん太に視線を送るが、返ってくるのは「にゃぁん」だけ

この時だけは、五十鈴も「ネコ語うざっ!」と思ったであろう……

 

そんな五十鈴の気持ちも考えていないのか、ルディは高らかに『正解』と宣言される今を待った。しかし返された返事は案の定―――

 

「不正解!……罰ゲーム☆」

「……え」

「ルディッ!?」

 

望まない返事と共に丸太のように太い足がルディに下ろされた。

巻き上がる砂埃は、振り下ろされた足の威力の高さをものたがっていた……砂埃が晴れ、現れるのは無残にも押し潰されている私の愛犬……そう思うと自然に涙が零れてくる

 

しかし、そんな思いとは裏腹に聞き覚えのある声が響いた―――

 

「馬鹿にも程があるわね?いえ、本当の馬鹿に失礼ね?」

「いえいえ、馬鹿と天才は紙一重といいますにゃ?開花すると天才になるかもしれないにゃ?」

「開花しなきゃ馬鹿のままよ?……ほら、早く逃げなさい」

「え、え、え?」

 

砂埃が晴れた先には押し潰れた愛犬ではなく、愛犬を守る様にライオンの足を武器で防ぐ猫と狐がそこに存在し、二人は目で合図を送らせ、一斉にライオンの足を押し返し私の所まで後退したのだ

 

「ふぅ、戦闘になってしまったわね」

「そうですにゃ~、しかし〈くずのは〉が戦闘ですかにゃ?」

「頭に血が昇った(クー)には任せられないわ」

 

〈くずのは〉は服に付いた埃を払いながら皆の状態を確認していく

 

「今まで戦闘なし、HP・MPは万全。〈盗剣士〉1〈吟遊詩人〉1〈妖術師〉2。しかし、〈盗剣士〉と〈妖術師〉は『師範システム』使用中……ふん」

「さて、どうしますかにゃ?」

「知れたことを………私が指示するわ。 敵はガーゴイル〈獅子型〉、猫がブロック、私と犬がアタック、五十鈴は犬と猫のサポート。…………いいわね?」

「え……」「……」

「返事!」

「「は、はい!」」

 

〈くずのは〉の声に驚きながらも二人は武器を構えた。目の前にはガーゴイル〈獅子型〉LV50、今この場にいる4人よりもLVが高い相手ではあるが何故か二人には恐怖や緊張は感じられなかった

 

ルディは自分の隣に立つ〈くずのは〉を横目で伺う、先まで一緒にいた彼女ではあるが、どこか違う……姿勢、態度、纏う雰囲気、全てが変化しているように感じたのだ

〈くずのは〉は、そん.なルディの視線に気づいていたが敢て無視し、手に持つ『玉藻前』をガーゴイルへと向け、そして吼える

 

「魔術戦を見せて上げましょう!臆せずついてきなさい! 〈狐火〉っ!」

 

〈くずのは〉の咆哮が響いた瞬間、ガーゴイルは突然、吹き飛びステータスには〈やけど〉と言う文字が浮かび上がった

しかし、ダメージは無く体勢を整えようと起き上がるが―――

 

「吾が輩を忘れていては困るにゃ」

 

―――ガーゴイルの足を左右のレイピアで切りつけ、それを阻止した

流れるように行われた連携にルディと五十鈴は目を見開き驚くが、〈くずのは〉の声によって現実へと戻される

 

「五十鈴!猫に〈虹のアラベスク〉と〈ウォーコンダクター〉っ!30秒後、ルンデルハウスに〈臆病者のフーガ〉っ!猫の状態を見つつ〈毒抜きのタランテラ〉。ルンデルハウスは〈フレイム・アロー〉を連射、30秒後〈臆病者のフーガ〉効果発動後〈オーブ・オブ・ラーヴァ〉を打ちなさい」

「「・・・え」」

 

まだ戦闘が始まって間もないと言うのに一気に指示を出した〈くずのは〉に再度驚く事になったが、〈くずのは〉の罵声が飛ぶ

 

「質問は後にしなさい!雑魚に遅れを取ったら殺すわよっ!」

「ッ!にゃん太さん〈虹のアラベスク〉行きますッ!あと〈ウォーコンダクター〉ッ!」

「ッ.!ゆけ!〈フレイム・アロー〉ッ!」

 

本当の敵は味方にあり……脅されるがままに五十鈴はにゃん太に〈虹のアラベスク〉と〈ウォーコンダクター〉を付与させる、にゃん太の体は最初、虹色に輝いていたが直ぐに赤に変わり、武器のレイピアにも赤い光が宿い始めた。……それと同じくして〈ウォーコンダクター〉の効果でにゃん太の行動速度が上昇するかわりに、自己の体が重くなったのを感じた。しかし休んではいられない、幸い重いといっても苦痛を伴うほど大きなモノでなく大事はない。五十鈴は〈くずのは〉の指示通り〈臆病者のフーガ〉をルディに付与させる為に詠唱し始めたのであった

 

一方ルディの方は三度目の驚きを味わう事となった

〈フレイム・アロー〉……火炎呪文の基本で攻撃力も便利性も自身が多用する〈オーブ・オブ・ラーヴァ〉よりも劣ると思っていた魔法がガーゴイルに対し炎の矢から小さな矢が生まれ、たくさんの炎の矢が降り注ぐぎガーゴイルのHPを凄いスピードで削り取っているのだ

さらに〈くずのは〉が蒼炎をまとわせた扇子を、にゃん太が赤い光を纏ったレイピアを薙ぎ払った後には炎の威力も矢の数も増えて衰えることが無かった

 

ガーゴイルのHPもレッドゲージに突入し残り僅かになった時、五十鈴の〈臆病者のフーガ〉が発動した

敵のヘイトを下げる働きがある呪文は攻撃対象をルディに指定させない、ガーゴイルは今までの戦闘において一番ダメージを与えていたルディに攻撃を仕掛けようとするがにゃん太と〈くずのは〉の双璧に思うように進軍できないでいた

 

その時に発動した〈臆病者のフーガ〉、攻撃対象がルディから前衛の二人に向く……すなわち、ルディがトドメを刺す呪文を唱える時間を与える事になったのだ

 

「〈オーブ・オブ・ラーヴァ〉っ!」

 

発動する必殺の魔法、高温の溶岩の塊がガーゴイルの身体を貫き、ガーゴイルを消滅させたのであった

 

「戦闘時間57秒、ガーゴイル〈獅子型〉相手にこれ程出来れば上出来ね」

 

全ては〈くずのは〉の手の内にあるかのように進められた戦闘だった

しかし、ありえるだろうか?〈くずのは〉の言葉を借りるならば戦闘が開始され僅か5秒の間に戦闘終了までのイメージを作り上げた事になる

……あの時、ミノリが見せた指示とも違う、全くもって異質、敵の動きを読んだ戦略にルディと五十鈴は茫然とするしかなかった

 

「いや~、スリリングな戦いでしたにゃ」

「たまには刺激も必要でしょ?……ボケるわよ?」

 

ほのぼのと話す二人に堪らず声をかける

 

「い、今のは!?」

「そ、そうです!何で敵の動きが判ったんですか!?」

 

駆け寄る二人ににゃん太は言葉を返す

 

「判っていません、予測している、と言えばいいですかにゃ?……敵の行動を予測し最善の手を討つ、〈冒険者〉がモンスターと戦う上でごく当たり前の事をしているいまでにゃ……まぁ、〈くずのは〉の読みは先の先さらにその先、こと終わりまで読んでの指示ですが…にゃ」

「次に相手がする事がわかれば後は弱点をつく、戦闘の基本だわ……ガーゴイル〈獅子型〉は火属性、状態異常に耐性がない。〈虹のアラベスカ〉の効果で火属性の攻撃を行い〈やけど〉を継続させ、私が多種の状態異常を付与させる。……〈フレイム・アロー〉は相手が状態異常を付与されている時、追加ダメージを与えられ、更に攻撃回数、エフェクトの多さから攻撃対象を犬にすると予測。熟練の〈冒険者〉ならいいわ、けど……ド新人では荷が重いから猫に壁になって貰ったわ……〈ウォーコンダクター〉と〈毒抜きのタランテア〉は、猫なら心配ないと思うけど一応保険。最後に高威力の魔法を討つ為の詠唱時間を〈臆病者のフーガ〉で確保。〈オーブ・オブ・ラーヴァ〉の詠唱時間は10秒、LV40に近い〈妖術師〉の魔力ならレッドゲージに入った〈獅子型〉を殺せるわ……おわかり?」

 

にゃん太の説明を引き継ぎ、自身が出した指示の詳細を二人に話す〈くずのは〉

二人が同時に思った事……それは無知、である。自分達はガーゴイルの行動パターンも弱点さえ知らなかったのだ

 

新人だから……と言えば終わってしまうが、そんな言い訳を称えるつもりも起きなかった。特にルディは自身の立場を再確認したばかりであったので顔をうつ伏せてしまった……しかし、それは一瞬であり直ぐに顔を上げ―――

 

「クリア報酬は……『幻のタネ』?」

「全問正解ではないですからにゃ」

「これだと(クー)がおこ 「ミス・クー!」 ……何かしら、ルンデルハウス?」

 

両膝を地につけ〈くずのは〉に頭を下げたのであった

 

「お願いがあります!……僕に、僕に師事してください!貴女の様に戦いたいんだ!」

「私の様に……予測の事かしら?……辞めておきなさい、アレは所詮『予測』であり、『予知』ではないわ。膨大な経験と知識から予測するの……予測が外れた時の機転を貴方は産み出せないわ」

「〈大災害〉後、只のプログラムであったモンスターは『生』を得たにゃ……戦闘は変動する、何が起こるか予測出来なくなっているにゃ……まぁ、それはそれでスリリングでおつですにゃ~」

「物好きね、猫?……ボケ予防かしら?」

「それでもっ!」

 

下げていた頭を上げ、〈くずのは〉に更に言葉を重ねた

 

「僕は余りにも無知だ……『覚悟』を背負うと言いながら何もしていない!これではダメなんだ!僕は…僕は!『力』が欲しいッ!」

「ルディ……わ、私からもお願いしますッ!」

 

再度、今度は五十鈴も共に頭を下げた

ルディに至っては頭が地に着くほど、必死に頭を下げたのだ。そんなルディに〈くずのは〉は―――

 

「力、ね……問おう」

 

―――最後の『稲荷の問』を投げかけた

 

「ルンデルハウス=コード、貴方は『力』を何故欲する?」

 

力……僕が欲しい力、〈くずのは〉の問にまず浮んだのは自分と同じ〈大地人〉であった。シロエと契約を交わした時に言った「困っている人を助ける」こと、僕が〈冒険者〉と言う〈力〉を欲した理由。この〈力〉はシロエから貰った大事な〈力〉……なら僕が今欲しい力は……次に思い浮んだのは共に戦場をかけた仲間であった……

 

「僕は…仲間と共にいる為、僕の存在が仲間に迷惑をかけると言う事は承知だ。でも!僕は仲間と共にいたい!その為に自分自身と向き合い『覚悟』を背負った!ならその『覚悟』が壊れない為にも〈力〉が欲しい!」

 

真っ直ぐと自分を見詰める〈くずのは〉にルディは揺ぎ無く真っ直ぐ〈くずのは〉に答えた

そして〈くずのは〉は少しの思考のうち、答えをルディに言い伝えた

 

「次第点ね ……既に持っている〈力〉の使い方を言わないだけマシ程度に」

「そ、それじゃ 「条件があるわ」 ……条件?」

 

ルディの顔には笑顔が戻ってそれはもう、尻尾があるなら全力で振り回しているだろう。しかし、〈くずのは〉の言った条件と言う言葉に尻尾が止まる

 

「1つ、何があっても前に進みなさい、例え泥まみれになろうとも2つ、私達は気分屋だから気分が良い時に教えるわ」

「わたし…たち?」

「私の事はどうでもいいの……最後に」

 

〈くずのは〉は、にゃん太から何かを引っ手繰ると、それをルディの目の前に差し出した

 

「この『タネ』を育てなさい、そうね……花と一緒だと尚更良いわ」

「は、はい!」

 

ルディは〈くずのは〉から『タネ』を受け取ると満面の笑みで頷く

 

こうして、〈記録の地平線〉で起きたギルドマスターの知らないお家騒動は夏の終わりと一緒に過ぎて言ったのであった

 

 

 

 

 

 

 

NEXT  にゃん太(セララ×実り)÷シロエ=綺麗なシロエ

 

 




おまけ

「そうね……五十鈴も犬と一緒に花を育てなさい」
「え!?私もですか?」
「当たり前じゃない……貴女も私に頭を下げた……鍛えてあげましょう」
「そ、そんな!悪いですよ!私は『覚悟』とか無いのに!」
「一人も二人も一緒だわ、それに……貴女の『思い』は感じたからいいわ」
「ミス・五十鈴!一緒に強くなろうではないか!」
「ルディ……うん!お願いします!」

狐の弟子に犬の飼い主が追加されました


おまけ 2

 〈記録の地平線〉本拠地の屋上、そこには数個のプランターが置かれ日当たりが一番良い所には大きな鉢植えが置かれていた

「へぇ~…いきなり花なんて育てるからどうしたのかと思ったけどクー姉の条件なんだ」
「あぁ、そうだとも!ミストレス・クーも分かっている!花を育てる心!すなわち自身の心を育てるという事さ!」
「・・・ミストレスってなんだ?」
「『女主人』『女性支配者』『愛人』って複数意味はあるけど、ルディ的には『女師匠』って感じかな?……私的には師匠の話し方が変わると『女王様』なイメージなんだけどね~」
「あ、それは分かります。私も『女王様』って気がしますね」
「あ~…上手くわかんねぇけど、クー姉はどんなイメージなんだ?」

トウヤの問にミノリと五十鈴は顔を見合わせた後、口を揃えて同じ答えを言ったのであった

「「手のかかるお姉さんかな?」」



補足 彼女の呼名 〈記録の地平線〉編
対象人物 = クー =くずのは

シロエ  = シロエェ  =シロエ
アカツキ = ツッキー  =アカツキ
直継   = パンツ君  =直継
にゃん太 = ご隠居   =猫
ミノリ  = ミノリン  =ミノリ
トウヤ  = トーヤン  =トウヤ、光の子
ルディ  = ルンパッパ =犬
五十鈴  = リンリン  =五十鈴

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