ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~   作:誤字脱字

47 / 62
なるたけ早めの投稿

読み返してアカツキはまだ〈くずのは〉と対面していなかったので…
後、このssのアカツキはクーのおかげでコミュ障レベルは低いです

※ この話はコミュ障と言う言葉を多用しております、不快に思われた方はご感想ください

直ぐに書き直します


『3』い近コミュ障『7』人多いよね

 

〈思慮する木菟の杖〉

知恵の神の使いミミズクの加護を宿す杖。闇を照らすその叡智で所持者の思考を助けると云う。魔法威力、詠唱速度上昇効果有り。従来の杖とは異なり大きさの伸縮が自在な幻想級アイテム

 

〈星辰の霊衣〉

流星の軌跡を織り上げた布で作られた魔術師専用マント服。幻想級の素材を要求する、極めてレアな作成アイテムの一つ。星辰の位置から力を受け取りアストラル属性の攻撃威力を増加する。デフォルトでは白いマントではあるが作図を〈デザイナー〉が行うとカラーの変更が可能になる

 

〈千年鳥のカー〉

神木「ヴェンデリア」から霊鳥が生まれた時に飛び散った木片を加工した伝説の護符。不滅の生命を司り、移動阻害バッドステータスの効果を低減する。

同類の効果を持つアイテムは他にもあるが、あどけない鳥の形をした外見が冒険者の中で人気になっている

 

「初心者冒険者必見狐印の武器図鑑」著作者:くずのは

より抜粋……

 

 

「新しい見出しはこれで良いのでしょうか?……悩むでありんす。しかし……」

 

彼女は高く積もれたシーツの上からぎごちなく会話を交わす二人へと視線を移した

 

「き、今日も寒い日ですね、アカツキさん?」

「そうだな」

「あ、明日も寒いと嫌ですね?」

「私は寒いのは…平気だ」

「そう、ですか…ははは、はぁ~」

 

かみ合わない会話にレイネシアはため息をこぼし、話し相手であるアカツキはどうも最近、上の空な日が続いていた

 

「うにゅ~、最初の頃に比べればいくらかマシになりんしたが、まだかたいでありんすね~?ここはわっちの出番でありんすか!」

 

彼女はシーツの山に潜ると9本の尻尾を巧みに使い布山を爆発させ、部屋中にバラ散らかしたのであった

 

後にレイネシアの苦笑いとアカツキからの説教がマリエールやリーゼ達の訪問まで続いたのはご愛嬌……

 

 

 

 

 

 

 

ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~

 

デジタルな狼の必殺技!フォックスファイアー!……なぜに狐火でありんすか?

 

 

 

 

 

 

アキバの町の朝

町人達が起床し今日一日を謳歌する為に仕事を始める時間帯に背筋をピンと正した小柄な女性と目を擦りながら猫背で歩く狐の女性が並んで歩んでいた

 

「うにゃ~…わっちまだ眠いでありんす」

「いい加減慣れたらどうなのだ、一か月も通っているのだから流石に慣れるだろう」

「……遅寝遅起のわっちにはきついゆえに」

「駄目人間直行だな?…わかっているとは思うが昨日みたいな無礼な行為はするなよ」

 

彼女とアカツキ

同じギルドに所属する二人は同じ事をシロエから同じ依頼をされた事もあって二人一緒にレイネシアの元、「水楓の館」に向うのは珍しい事ではなかった

むしろ、毎回の様に惰眠を貪ろうとする彼女をたたき起こしてアカツキが連行していると言った方が正しいだろう

 

彼女からしてみれば「めんどい・しんどい・ねむい」の三重苦だろうが、アカツキにとっては彼女がいないとシロエからの依頼を完遂する事は難しいと思っている

 

自身が他人と打ち解ける、嬉々揚揚と話す事も愉快な話題を提供する事も苦手だと言う事は重々承知していた。シロエからの依頼を完遂する為には護衛対象とのコミュニケーションは必須、しかし、自身にはそれをとる能力が些か不足しているのは認めをいなかった

だが、彼女の存在はアカツキとレイネシアの仲を取り持つ架け橋となっている為、いなくてはならないのだ

 

二人だとまだ何をはなしていいのか困惑する、二人だとまだ上手く返事を返す事が出来ない。…でも彼女がいれば―――日々毎日の様に馬鹿な事をしている駄狐に助けられているのは癪にくるが、彼女の存在はとてもありがたい。…たぶん、これを見通してシロエは彼女にもレイネシアの護衛を頼んだのであろう

 

……それに別の要件も二人なら聞きやすい

 

「……クーは、あれか――」

「うにゃ?なんでありんすか?」

「いや、なんでもない」

 

―――と思っていたが、自分のコミュニケーション能力の低さを恨んだ

一か月の間、彼女に聞こうと思っていた事が聞けないでいたのだ

 

レイネシアの護衛は彼女のおかげである程度は苦にならずにいる。ギルド「記録の地平線」の役に立っているといってもいいだろう。しかし、「私個人」はシロエの役にたてているのだろうか?

 

アカツキは無意識の内に自分の腰に手を伸ばし、鞘を指でたどった。

そこにある小太刀は〈窯変天目刀〉。アカツキが〈大災害〉前に手に入れた製作級の上位武器である。けっして弱い小太刀ではない。同レベル帯の武器のなかでは中の上といった品質だ。パーティーでの冒険で得られるなかでは、最高級といってもよい。

 

アカツキは、自分はこの武器とそっくりだ、と思う。

六人組での腕は上位。与えられた役割はそつなくしっかりとこなせる。しかし、〈エルダー・テイル〉ではその上にも階層がある。大規模戦闘だ。アカツキは大規模戦闘に参加した経験がない。大規模戦闘につきものの長い待機時間や複雑な人間関係などを敬遠したせいだ。もっといってしまえば「シロエに呼ばれなかったから」ともいえる。

 

だが、いずれにしろ大規模戦闘参加経験がないアカツキである。それは大規模戦闘で入手できる上位秘宝級や幻想級の装備を手に入れていないことも意味し た。このアキバには〈黒剣騎士団〉や〈D.D.D〉のような大手戦闘系ギルドが存在する。そこにはアカツキ以上に腕が立ち、アカツキが望んでも手に入らな いような装備をもった超一流の〈暗殺者〉が所属しているだろう。

 

シロエや直継、にゃん太もそうだ。

アカツキは詳しく知らないが、かつて一世を風靡し、伝説とまでされた〈放蕩者の茶会〉において、大手戦闘系ギルドと覇を競っていたという超一流の〈冒険者〉たちである。

 

そんな仲間たちに比べてれば、自分の実力はあまりにも心もとなく思える。 腕のたつ〈暗殺者〉ではある。腕もそこそこ一流、少なくとも二流の最上位。だが、超一流の〈暗殺者〉ではない……それがアカツキの現実だった

 

そんな時であった、アカツキが『口伝』と言う言葉を耳にしたのは……

 

“口伝”とは、噂によれば“秘伝”のさらにその先のモノ、〈エルダー・テイル〉がゲームであった時代、少なくとも〈大災害〉以前にはなかった特技の階級だ。

 

階級上昇による特技の威力増加はさまざまな面にあらわれ、〈暗殺者〉の必殺技である〈アサシネイト〉ですら、〈アサシネイト〉の階級を“会得”から“秘伝”に上げることで22%の威力上昇もするのだ。 “口伝”ともなれば いったいどれほどの威力上昇が見込めるかわからない。

 

このように素晴らしいことばかりの“口伝”だが、その存在が噂レベルでしかないのは、確認した、と断言する〈冒険者〉が非常に少ないのだ。アキバの街のうわさ話では“口伝”の存在を信じない人が半分。信じる人が半分――信じるひとにせよ、そこまで強力なものだとは思っていない〈冒険 者〉がほとんどというありさまだった。アカツキが“口伝”の存在を信じているのは、ひとえにシロエが“ある”と断言したせいだ。

 

(“口伝”を習得すれば私も…)

 

アカツキはキリッと彼女に視線を送った

シロエが存在すると言ったのは彼女の存在が大きいのはなんとなくだが、アカツキにもわかっていた

 

まだ眠気が覚めないのか、人目など気にせず大きな欠伸をする彼女もシロエ達と同じ〈放蕩者の茶会〉のメンバーであり、彼女の装備は上位秘法級や幻想級で纏められ大規模戦闘の最前線で戦ってきたのは容易に想像できた。しかし、いつも怠けて遊んでいる彼女がまだ噂の域を出ない『口伝』をシロエに自分よりも把握していると言わしめたのだ

普段の行いから容易に想像が出来ない事実であった

 

だがシロエは言った、『口伝』に関しては彼女の方が把握していると、その事がアカツキに大きなシコリを生み出し聞くに聞けず一か月の時間が過ぎてしまっていたのだ

 

 

「開けて~開けて~!わっちを入れてくんなまし~…」

 

なんとも情けない彼女の声にアカツキの意識は浮上した

いつの間にか考え込んでいたようで、既に歩みは目的地である「水楓の館」に到着していたのだ

また聞けなかった…と思いながらもアカツキは鼻声で扉にへばり付く彼女へと声をかけた

 

「……うっとおしい、いいから離れろ駄狐」

「うにゃ~…シァがわっちを拒みんした」

「……扉は外開きだ。お前が押さえつけていては開けようにも開かない」

「うにゃ!?そうでありんしたね~」

 

先の鼻声はなんだったのであろうか、180度声色を変えた彼女は扉から離れると直ぐに扉は開き、息を絶え絶えにしたエリッサが二人を迎え入れた

 

「ハァハァ…やっと開いた」

「すまない、うちの駄狐が……」

「い、いえ!気になさらずに……ですが、折角お越しになって頂いたのに申し訳ありませんが今、姫様にお客様が来ておりまして…別室でお待ちして頂いてよろしいでしょうか?」

「お客?……わかった」

 

シロエから貴族社会において「訪問」とは数日から数ヶ月前に予告して行うものと聞いてはいたが、良くも悪くもここはアキバの街。「突然の来客」は日常賛辞だったなと思い出し『肯』と答えるアカツキ。そんなアカツキは―――

 

「なんと!やはりシァはわっちを拒みんすね!応接室へ突撃ラブハー「いくぞ、駄目」 うにゃ~!尻尾は駄目でありんす~!」

 

暴走する彼女の尻尾を掴み控え室に向かうのであった

 

 

 

 

 

 

 

控え室に通されたアカツキは、神妙な顔で手の中のカップを温めていた。

どこまでが事故なのか、それともメイドのエリッサの陰謀なのかわからないが、隣でリンゴと戯れる駄狐は知らないが〈追跡者〉の鋭い知覚能力には、隣室での会話がほとんどもれなく聞こえてきてしまっていた

 

 

古代アルヴの遺産のひとつ〈動力甲冑〉の盗難、盗んだのは供贄一族と呼ばれる〈大地人〉、そして世間で噂になっている殺人鬼は盗んだ〈大地人〉、凶悪な性能を誇る甲冑を無効化するには防衛用魔方陣を停止させなくてはならない…そしてそれが意味するのはアキバの町の防衛機能の停止

 

…どう考えてもアカツキの手には余る話だった。〈西風の旅団〉や〈D.D.D〉のような大手ギルドでないと対処できないような、あるいは〈円卓会議〉が動かなければならないような――アキバの危機を感じるモノ

 

聞かなかったふりをして帰るべきではないかもとアカツキは考えた。

あの月の光にもにた美しい姫も、〈冒険者〉に告げるかどうか悩んでいた。その決意をつける前に自分が殺人鬼事件の謎の一端を聞いてしまうのは、あまりにも影響が大きい気がする。

 

しかし、と歩みが止まってしまう。理由は、主君の言葉、と言う事もあるが、ここ一か月レイネシアと顔を合わせ友達……じみた付き合いをするようになった彼女を朴っておけるものなのかと心に引っ掛かりを作る

 

だが、今のアカツキには、他人を気にする余裕なんてないのは事実、『強さ』に伸び悩みを感じ焦り足を石へと変えてしまっているのだ。でも……

 

「貴女が自分の進む道を閉ざして何になるのかしら?」

「ッ!?」

 

決して大きな声ではないが、リンとした声が耳に響いた

その声は足の変化を解かし、はっと振り返った先には優雅に紅茶を啜る駄狐がソファーに横になっていた

 

ソファーで横になり、惰眠を貪る駄狐はいままで何度も見てきたが今日の、いや今の駄狐からはそのような雰囲気は一切感じられなかった

 

「…クー、なのか?」

「私の事はどうでもいいの、それより貴女の望むモノはこの部屋には無いわ。…行きなさい」

 

棘のある言葉で命令口調、反論の一つでも言ってやりたいものだが……言葉が出てこない、なぜか彼女の言葉に従わなくてはいけない気がするのだ

 

「……行ってくる」

「いってらっしゃい。…貴女に足りないモノを確かめてくるといいわ」

 

アカツキは〈くずのは〉の方を振り返らずにベランダへと抜け出し隣の部屋へと侵入していったのであった

 

そして部屋にただ一人残された〈くずのは〉はティーカップをテーブルに置くと同じく置いてあったポットからティーカップにおかわりを注ぎ始めた

 

「……行き方は優雅じゃないわね。でも今回の事でわかるでしょう」

 

ティーソーサラ―を片手に赤く染まった紅茶の匂いを楽しみ

 

「貴女達に必要なモノ……心を通わせる『絆』。私が教えていたモノ。他者を知り交わる事で貴女達に必要なモノがおのずと見えてくる」

 

一口、紅茶に口を付けた〈くずのは〉は、眉間に皺をよせソーサラ―を机に置いた

それと同じタイミングで隣の部屋で物音が聞こえ、扉を開く音。そして直ぐに〈くずのは〉の部屋も勢いよく開かれた

 

「クー様!アカツキさんが殺人鬼を捕まえにッ!」

 

血相を変えて入室してきたのは〈くずのは〉が『絆』を影ながら教えていたもう一人、レイネシア。

彼女は〈くずのは〉に詰め寄りアカツキを援助するように申し上げてきた

 

その緊迫した表情を見るだけでも〈くずのは〉の教えが彼女に伝わっていた事がわかり自然と笑みがこぼれた

 

「ふふふ…『成長』。特に心の成長は見ていて微笑ましいことだわ」

「な、なにを悠長にングッ!?」

 

笑みを浮かべる〈くずのは〉を非難するように言いたてるレイネシア

普段の猫を被った姿とは正反対で地の彼女が表に出ていた

そんなレイネシアに対し〈くずのは〉は大きく開いた彼女の口にジャムが沢山乗った一本のスプーンを滑り入れた

 

「心配なのはわかるわ。でもね?人が壁にぶつかった時、その壁を超える為には一度、痛い目をあった方がより高く飛べるのよ」

「ん!んん!ぷはっ……痛い目って仲間が大切ではないのですか!」

 

レイネシアの口から引き抜いた多少のジャムが付いたスプーンで紅茶をかき回しながら、〈くずのは〉は心外とばかりに軽く笑いながら紅茶を口にする

 

「大切よ?…そう、大切な私の玩具(なかま)。私のモノがそこら辺の愚図と一緒だと困るから私は彼女に試練として一度落とす。そして彼女に足りないモノ……貴女にも言えることだけど、それに気づいて手に入れようとした時……貴女達は真の『力』に手に入れるでしょう」

「私達に足りないモノ……それはなんなのですか!?」

 

さらに詰め寄るレイネシアの頭を撫でると空になったティーカップを置き、ソファーから立ち上がった

 

「それは、ね。…『(ひと)』の『言』う事を『信』じ、『束』ね『(ひとつ)』にする事、ようは『頼』る事を覚えなさい」

 

〈くずのは〉はレイネシアに振り返ることもせずに「風水の館」を後にしたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………翌朝、アカツキと〈西風の旅団〉ソウジロウが殺人鬼の手によって〈大神殿〉に送られたと知らせが届いた

 

即ちアカツキは『死』を経験した

 

 

 

 

next お前の居場所はそこじゃねぇ!

 




小話は休憩、本編の補足


アカツキの悩みは超一流〈冒険者〉の集まりである〈記録の地平線〉において自分の居場所はあるのかと自信を無くしているのだと解釈し、その気持ちがマイナスパワーを与えコミュ障を促進しているのかな?と思いました

なのでこのSSではコミュ障を緩和させ強さを得る為には何が必要なのか?を書いていけたらいいな~?と思っています

※補足2
〈くずのは〉の言い回しについて…

〈くずのは〉の言い回しはキャラ設定上のブレイブルーの吸血姫、FATEのキャスター、そしてP4のマーガレットをモデルにしている為、自分でも書いていてわからなくなってくる時があります

今回の言い回しは…
・獅子は子を谷に落とす
・壁を飛び越えるには一度、屈み力を蓄える
のニュアンスから来ています

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。