勢いで艦娘作った男の話 作:たうたう
「夕張ぃぃいい!」
「ど、どうしましたか!?」
お縄にかかる系な感じで事が上にバレてしまった。
不味い。不味すぎる。
とにかく相棒に報告しなければならない。社会において『連(絡)相(談)報(告)』は大事だし。
我が相棒の名は夕張。やや緑がかった銀髪を同じく緑のリボンで一本にまとめており、黒色のセーラー服に橙色のリボンタイ、緑色のスカート。まさに『夕張』メロンを連想させるコーディネートだ。(まぁ、胸部にメロンはないんですけどプププって言ったら無言で艤装と呼ばれる彼女の武器である2門の砲を構えられたのはまた別の話である。)
これがただの女の子であるのであれば大した問題にもならないだろう。何が問題なのか。そう彼女、夕張は大本営延いては海軍の最重要機密、『艦娘』の一人なのだ。
突如、海の底から産まれた謎の生命体『深海棲艦』。深海棲艦とは。戦車の砲弾や、機雷などの現代兵器の殆どを弾き、無効化してしまう装甲を持っている人類の敵と呼べる存在である。
そして、その装甲を貫くことが出来る唯一の存在。それこそが『神霊型擬似軍用艦艇娘』通称『艦娘』なのである。
前述にもあるように、深海棲艦に攻撃できる武器こそが艤装なのだ。
彼女ら艦娘は第二次世界大戦時の軍艦の魂を降霊し、鋼材やボーキサイトなどの資材を元に召喚することが出来る。
と言ってもこれは俺の立てた仮説だ。なんせ艦娘は海軍が保有するトップシークレットなのだから。
彼女らは、可愛らしい容姿とは裏腹に、深海棲艦の装甲を破ることが出来る人類の希望でもあるのだ。
そんな奥の手も奥の手を簡単に造られてしまっては困るとかそんなんじゃ済まされない。
しかし、当の本人である俺こと平賀源蔵は研究を重ね、独学を磨き、時には危ない裏のルートを少し使ったりして自らの手で艦娘を建造してしまったのだ。
それがバレた可能性がてきていた。
「俺がさ、お前を含めて色々ハッチャケでやっちゃったり作っちゃった事が大本営、ひいては海軍にバレたかも!」
「何やってるんですかぁ!?」
「逃げるぞ!」
「こいつらどうするんですか!?」
そう言うと夕張は明かりが刺さないガレージ奥に指さす。
ガレージに積み上げられた数々の発明や兵器。アニメや小説に触発されて作り上げてしまった物の数々。それら総数たるや3桁には及ばないものの、限りなく3桁に近い2桁はある。
「データだけ持ってくぞ!最悪爆薬でこのへん一帯を無に帰す!」
「了解です!」
そこからの行動はとても早かった。なんせメモリーチップにデータを移し、パソコンやサーバーはデータを保存しているメモリーごと破壊すればいいだけですしおすし。
爆薬は?って。そんなものそこいらに落ちている
「導火線代わりの配線組み終わりました!ポチッで爆破可能です!」
「よし、んじゃ逃げるんじゃよォォ!」
そう叫んでドアを蹴り破り外に出る。
「うぉぉおおお、おぉ……」
しかし、行き良いよく飛び出したことから一転、平賀はしぼんだ風船を連想されるような声を出しながらその口を閉じた。
なぜなら────
「動くな。我々は大本営直属憲兵隊第一隊である。平賀源蔵、貴様には銃刀法および情報漏洩、不法侵入などの疑いが掛けられている。大人しく付いてきてもらおう」
ドアを開けたその瞬間に、眉間に銃口を突きつけられていたからだ。
「ふぉお……」
変な声が漏れる。
「えっと、どういう事でせうか?」
「先に述べたとおりだ。ここに逮捕状ある。納得が行かなければ確認するといい」
「じゃあ取り敢えず銃下ろしてもらってもいいですか?」
「チィ」
そう言うと、俺に銃口を向けてた憲兵隊の一人が渋々といったように銃を下ろす。
さて、この書類を読むふりしている間に切り抜ける方法を考えなくては。
えぇと…
つーかマジモンの令状じゃん。ここで捕まったら刑務所end不可避やん。
逃げなきゃ。(確信
さて、それではまずは現状確認だな。
俺───目の前の奴はともかく、周りで俺を囲んでる憲兵隊に銃を向けられてます。たぶんすぐにでも殺せるだろうなぁ
続いて夕張───俺の後ろにたって同じく両手を挙げて無抵抗の意を表している。
オワタ。
いや待て待て。こんなところで終わるわけには行かんのだよ。何たってまだまだやりたいことがあるからだ。噂の深海棲艦とも会ってみたいんだし。
しかし、身動きが取れないんだよなぁ……。どうにかしないと。
待てよ。データコピっただけで、まだガレージのシステムは生きてるよな?
「夕張さんよ、
「うぇっと、大丈夫です多分!」
よし、勝つるな。平賀、行っきまぁす!
「おい、貴様。令状の内容を認めるか?まぁ、どちらにせよ同行してもらうがな」
「夕張ィ!」
「な、貴様!おかしな行動を取ったらな……」
「頭下げろ!」
「おい!」
「ジャーヴィス!いけぇ!」
目前に展開する憲兵隊に指を指すや否や大声で、自らが作成した人工知能を呼び出す。
音声パターンから読んでいるのが自分の主であると認識し、システムが作動し始める。
どうせ捨てるし爆破するしで電源を切っていたガレージに火が灯る。
ブォン
とエンジンが回り始め、あるものがガレージから憲兵隊目掛けて飛び出した。
拳を作った腕部のアーマードスーツが
「ぶべら」
体を支えるために高出力に設定してある脚部のアーマードスーツが
「ごば」
エネルギー管理も兼ねている胸部のアーマードスーツが
「がぼ」
その他、平賀が開発した『アイアンマンスーツ』の欠片達がそれぞれ意志を持っているかのように飛び回り、憲兵隊を次々と無力化していく。
「貴様、平賀源蔵!国家反逆罪だぶべら」
最後のひとりを無力化すると、アーマードスーツの部品らが集まり、人型を形成する。
『敵勢力の無力化、完了しました』
「ご苦労さま、助かったよ」
『しかし、コピー、バックアップがあるとはいえ、少し悲しかったですよ?』
「すまないねぇ」
さてと、どーすっかなー。完全に国家反逆罪なんだよなーしにそーやだなーもー。
どうしたもんかと途方に暮れ、自分の悩みが小さく見えるほど広い海をながめてため息をついた。