A hero and traitor   作:木苺パン

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五話 飛行訓練、そして決闘

 父上と面会したあの日からすぐ、僕達一年生を待ち受けていたのは飛行訓練の授業だ。

 ごく普通の魔法使いならここで箒を操る術を身に着ける。しかし、僕にとっては至極つまらない授業になるだろう。何故なら僕はすでに箒に乗り、大空を自由に旋回できるのだから。

 「……そこで僕はマグルのヘリコプターを避けたんだ。まさに間一髪だったね。全く……意味が分からないね、あんな鉄屑の塊に乗ってられるなんて」

 僕は朝食中にその話を聞かせてやった。まあ、脚色が大分施された話だが……。気持ちよく語っているところにグリーングラスが「ミスター・マルフォイ!私にもその話聞かせてもらえるかしら!」と胡散臭い笑顔でやってこなければ、僕はもっと自慢できたに違いない。

 

 その日の昼下がり。

 実に天気はクィディッチ日和の快晴だった。

 飛行訓練がスリザリンと合同だということに僕は抗議を申し立てたかったが仕方ない。この学校の教師は無能が多い。犬猿の仲といえよう獅子寮と蛇寮をなにかにつけて合同にさせる。どうせあの狸爺の差し金だ。

僕がスリザリンだったら嬉々としてグリフィンドールをいじめようとしただろう。

もし、僕がスリザリンだったら?

何度も考えたことだ。

正直、あちら側の方が羨ましいことはある。だってクラッブもゴイルもここにはいない。

「頑張ろうなドラコ!ヘリコプターを避けたあの技を披露してくれよ」

「だから!背中をバンバン叩くなと何回言わせればいいんだウィーズリー!」

 ウィーズリーは僕がヘリコプターを避けたなんて信じてはいないようで(実際ヘリコプターなんて避けちゃいない)明らかに僕を茶化している。

「……僕、自信ないよ。ロンとドラコならともかく箒なんて乗ったことないし……スリザリンに馬鹿にされるよ……」

「安心しろポッター。みんな口先だけさ」

「……君みたいに?」

「う、うるさい!避けたんだよ!避けたといったら避けたんだッ!」

 ここまで言ってしまったら僕も引き下がれない。でもホグワーツの上空にヘリコプターを飛ばすマグルはいないだろう。……多分。

 芝生の上には大人しく箒たちが整列している。

 見たところ、お世辞にもいい箒とはいえなさそうだ。毛先は整えられていないし、柄がささくれ立っているものもある。これが英国最高峰の教育機関、ホグワーツ魔法魔術学校の箒なのかと疑いたくなるほど劣悪だ。ウィーズリーだってもっとマシなものを持っているだろう。

 だがこんな箒をも乗りこなすのがこの僕―ドラコ・マルフォイだ。

 ヘリコプターを本当に避けてないとはいえ僕の実力は相当なものだと自負している。

「失敗してヘリコプターに体当たりしないでよ、ミスター・マルフォイ」

 運動するからだろうか、ご自慢の金髪を一つに束ねたグリーングラスは言った。

「するか、そんなこと。君こそ箒から振り落とされないように注意するんだな」

「あらマルフォイの癖に言ってくれるじゃない」

 男子の平均身長の僕と、女子としては背の高いグリーングラスでは、当然彼女に僕が見下ろされる形となる。

「ちょっと!ドラコに近づかないでよ」

 そこに割って入ったのはパーキンソンだ。きっ、と彼女を睨むと噛みつくように言った。

「ドラコをグリフィンドールに入れるように仕向けたのって貴方でしょ!この女狐!」

「ひどいわ、ミス・パーキンソン。……お友達だと思っていたのに女狐呼ばわりするなんて!」

 女の友情は脆く、儚なきものなり―。

 自分の取り巻きとして気に入っていたパーキンソンも薄情なものだ。しかしグリーングラスの胡散臭さは僕も認めているのでなんとも言えない。

 二人の言い合い―もとい喧嘩は白熱した。喧嘩といってもパーキンソンが一方的に罵り、グリーングラスが「ひどいわ!」だの、「そんなつもりはないの!」と芝居がかった声色でこたえていた。明らかにこいつは面白がっていた。

 二人の喧嘩はだいぶ大きくなり、他の生徒は野次を飛ばすギャラリーとなり、間に挟まれた僕はひたすら沈黙に専念した。

「何を騒いでいるのです!皆さん減点されたいようですね!」

 マダム・フーチが登場したことにより、辺りは一斉に静かになった。パーキンソンも掴みかけた胸ぐらを離す。

 白髪を短く切り、鷹のような琥珀色の目を持っている、いかにも厳しそうな教師だ。

「さあ、箒のそばに立って」

 みんな言われるがままに箒の横に立った。

「右手を箒の上に突き出してください。そして、『上がれ!』と言う」

 みんなが「上がれ!」と叫んだ。

 僕は一発で手に収まった。

 一発で箒を飛び上がらせた者は少なかった。

 僕と遠めの位置にいるグリーングラスに目をやり自慢しようとすると、なんと彼女の手の中には箒がある。

 グリーングラスの口がパクパク動いた。どうやら何か僕に訴えている。「あ・な・ど・る・な・か・れ・み・す・た・あ・ま・る・ふ・お・い」。つまり「侮るなかれ、ミスター・マルフォイ」。

 この野郎……。

 あとでグリーングラスを泣かせてやることを僕は決意した。

 次にマダム・フーチは箒の端から滑り落ちないように箒に跨る方法をやってみせた。生徒の列を回って、なんと僕の箒の握り方を注意した。

 グリーングラスの方を見ると案の定、彼女はニヤニヤしていた。

 本当にいつ見てもムカつく奴だ……。

「私が笛を吹いたら地面を強く蹴ってください。箒はぐらつかないよう押さえ、二メートルぐらい浮上して、それから少し前屈みになってすぐに降りてきてください。笛を吹いたらですよ。一、二の」

 三の合図が出る前にロングボトムが飛び出した。どんどん箒は高度を上げ、ロングボトムは真っ青になって悲鳴をあげる。ついにロングボトムは箒に蹴落とされ、そのまま芝生に墜落した。ぽきっと可愛くない音が聞こえたのは気のせいだろうか。

 マダム・フーチは即座にロングボトムの元に駆け、手首のあたりを触診した。

「……折れてるわね」

 マダム・フーチがそう呟いた。

 ロングボトムはつくづく不運な奴だ。

「この子を医務室に連れて行きますから、その間誰も動いてはいけません。さもないと、クディッチの『ク』を言う前にホグワーツを出て行ってもらいますよ」

 泣いているロングボトムをかかえて行ってしまった。

 二人の姿が見えなくなってから、スリザリンはロングボトムの間抜けさを嘲笑い始めた。

 それより僕が気になったのはクラッブとゴイルの不審な行動だ。草むらに入り、何やらゴソゴソやり始めた。

 しばらくゴソゴソやっていると、ビー玉状の何かを見つけていた。あれは……ロングボトムの『思い出し玉』だ。朝、確かに広間で広げていた。

 もしかして二人はお菓子か何かだと勘違いしているのかもしれない。いや、二人に限ってありえる。

「クラッブ!ゴイル!それは『ドルーブルの風船ガム』とは訳が違うぞ。絶対口に入れるな」

「―馬鹿にしてるのか」

硬い拒絶だ。二人は僕を睨んでいる。どういうことだ?二人が僕にこんな口をきくのは初めてだ。

「している訳ないだろう。とにかくそれを僕に渡すんだ」

 僕はクラッブとゴイルに詰め寄る。

「ハッ―、すっかりグリフィンドールの騎士道一色だな!」

「お前のお父上が見たら何と言うだろうな!」

 僕は二人の巨体に追い詰められる。

「やめなさいよ二人共!ドラコは正しいことをしているわ!」

「黙れパグ。いつもマルフォイにひっつきやがって……」

 僕の前に出てきたパーキンソンはゴイルによって突き飛ばされた。ブルストロードはその元に駆けよって介抱する。流石の僕もこれを見て

「女子を突き飛ばすのはいただけないな、ゴイル」

「……かっこつけやがって」

 吐き捨てるようにゴイルは言った。

「ゴイル、そろそろあのことをバラしてもいい頃じゃないか」

「そうだな、クラッブ。もう俺達は十分我慢してきた」

「おい待て。いったいあのことって何なんだ」

 二人は下卑た薄ら笑いを浮かべたが、僕は何のことかさっぱり分からなかった。

「聞け、グリフィンドールの―」

「待って」

 玲瓏な声が響く。人を抑圧できる強い声だ。正体は―グリーングラスだ。

「先生はもうすぐいらっしゃるはずよ。こんな時にマルフォイに喧嘩を吹っかけて減点されるのは貴方がたにとって本望じゃないでしょう?」

 グリーングラスはせせら笑う「もう少しおつむがいいと思っていたわ」と。

「なんだと!」

「だから取引しましょう。―大人の取引ってやつよ」

 二つの寮の生徒はさっきまで小競り合いをしていたにも関わらず、グリーングラスに注目している。劣勢気味だった僕を助け、話の主導権はすでに彼女が握っている。

「グリフィンドールのドラコ・マルフォイはスリザリンのビンセント・クラッブとグレゴリー・ゴイルに決闘を申し込むわ」

「聞いてないぞグリーングラス!」

 僕はグリーングラスに向かって吠えた。魔法使いの決闘とは勿論、魔法でやりあうのだが、魔法なんてほとんど使えないような二人は僕に殴りかかるに違いない。

「一人じゃ心細い?ならいいわ、私も加勢するから」

 クラッブとゴイルは今にもその巨体で僕達を張り倒しそうに不満を訴える面持ちだ。

「そんなに恐い顔しないで。か弱い女の子が一人や二人加わったところで貴方がたは困らないでしょう?」

「……介添人は?」

「―ナシ」

 もはや僕には止められないほど話は飛躍した。グリフィンドールの生徒も、スリザリンの生徒も歓声をあげたり、口笛を鳴らしたり忙しそうにしている。

「決闘を引き受ける」

「ありがとう。場所はトロフィー室で。時間は……そうね、お月様が空のてっぺんに来たら」

 観客は大きく盛り上がっていた。僕はこの異様な光景に呆気をとられ、火花を静かに散らしあう三人をただただ見守るほかなかった。

 ……一難去ってまた一難だ。

 ※

 

 安心してくれ、ロングボトムの『思い出し玉』はあの後ちゃんと返された。故に今回の一番の被害者は誰でもなくこの僕だ。

 決闘の噂はたちまち広まり、夕食時には上級生までもがどちらが勝つかという賭け事に興じていた。

 そして、僕は今グリフィンドールの談話室にいる。決闘は数時間後に迫っているが、グリーングラスに何か素晴らしい考えがあるに違いない。

「ないわよ、そんなの。だから作戦会議をしてるんじゃない」

「お前は……人を混乱に陥れれる天才だな……」

 僕は呆れて怒る気力もなかった。

「そう、私はジーニアス。だから解決策を思いつかないこともないわ」

「ちょっと二人共。本当に決闘なんて馬鹿なことしでかすんじゃないでしょうね」

 僕達の前に立ちはだかったのは“穢れた血”ことグレンジャーだ。腰に手を当ててまるで学級委員長のように仁王立ちしている。

「私が変身術で稼いだ点をおじゃんにするつもりなの?」

 睨みつけるグレンジャーを見て、グリーングラスはソファーから立ち上がる。

「いいこと教えてあげる。見つからなかったお咎めはないのよ」

 つんつんとグレンジャーの鼻を指でつついた。

「からかってるの!?」

「からかってるわ」

 グレンジャーは真っ赤になって「もう!私は知りませんよ!忠告はしたんだから!」とだけ残して自室に帰って行った。

「やるねえ、がみがみハーマイオニーをおちょくるなんて。ところで今日の決闘はよろしく頼むよ、君達にガリオン金貨を賭けてるんだから」

 グリーングラスはウィーズリーとポッターに手を挙げて応える。

「それで?どうするんだ?これに関しては君の責任だ」

「そうね。私も多少なりとも罪悪感を感じているわ。ようはこの勝負、あのことを言わせなきゃ私達の勝ちよ」

「だから、あのことって何だ?」

「トロフィー室で教えてあげる。―11時。厳守」

「まだ解決策とやらを聞いてないぞ」

 グリーングラスは意味深にふふふと笑った。

「それもトロフィー室で。私は少し寝るわ」

 スタスタとグリーングラスは自室に戻った。僕は『呪いのかけ方、解き方』という本を取り出して、読むことにした。これでグリーングラスを呪うために。

 

 ※

 

 グリーングラスの言う通り、―不本意だが僕は約束を守った。グリーングラスの力なくとも、用意周到なこの僕は『呪いのかけ方、解き方』を熟読したため勝つ自信がある。

「今晩わ、マルフォイ。11時ぴったりよ、おめでとう」

 グリーングラスは制服にローブ姿だった。

「おめでとうって言われて嬉しくないのは初めてだ。……それで“あのこと”について教えてくれ」

 グリーングラスはすっかり呆れたように長い溜め息をついた。

「本当鈍いのね。でも時間がないからさっさと言うわ。―あのことっていうのは貴方が貴方のお父様と面会した時に言った言葉。数日前の私の言葉を借りたら“言い訳”よ」

「……僕の父上がクラッブとゴイルの親に言ったのか」

「多分。貴方のお父様が自慢でもしたんじゃないかしら。それでその話がクラッブとゴイルに伝わった、とか。……これがバレたら貴方は困るし、私も面倒だから。うまくやって口止めするわ」

 僕はクラッブとゴイルが言わんとしていたことと、あの時グリーングラスが僕を庇おうとした理由が分かった。……ん?庇う?いや、待てよ。こいつは僕のことなんて微塵も庇っていないし、むしろ災厄を振り撒けている。

「……騙されるところだった。そうだ、作戦は?勿論君が考えたんだよな?」

「ええ。貴方は何もしなくていいわ。あー、でも私が指示したら動いて」

 グリーングラスが言い終えると、廊下から足音がした。クラッブとゴイルだ。二人共、僕の仲間。“元”がつくけれど、それでも僕なりに面倒をみてていたし、少なからず思い出というものがある。でも二人と僕はもう対岸の者だ。

 月明りを受けてカップ、盾、賞杯、像が怪しく輝く。

「……あんまり乱暴なことはしないでくれ」

 グリーングラスは頷いた。

「ちゃんと来ていたみたいだな」

「怖じ気づいたかと思ったぜ」

 二人はトロフィー室に入ると、グリーングラスは部屋に何やら呪文をかけた。

「おい、何をしたんだ!まさか自分達が有利になるような魔法でもかけたんじゃないよな」

「違うわ。『人避けの呪文』と『防音の呪文』よ。フィルチが嗅ぎつけないようにするためよ」

 二人は試しに「わー」とか「おー」とか叫んでみたが、本当に呪文はきいているらしく、たかが一年生の魔法を破ってここに来る教師はいなかった。

「よし。どうする?どちらからだ?」

「私がまず二人を相手するわ」

 クラッブもゴイルも肝を抜かれたような面持ちだ。しかし顔を見合わせ、ニヤつき始めた。グリーングラスの見た目はか弱い女の子だからだろう。

「確認するけど、杖を取り上げたらそこで終了よ。私は二人の杖を取り上げたら勝利。二人のどちらかが私の杖を取り上げたら、二人の勝利よ。構わないわね?」

 二人は頷く。

 グリーングラスとクラッブ・ゴイル向き合い、杖を顔の前で構えてから体の向きを反転させ、一歩、二歩、三歩と前に進む。クラッブとゴイルは互いの足に引っ掛かり躓きそうだった。そして、くるりと両者はまた向き合う。

「コンフリンゴ!」

 放ったのはグリーングラスだ。二人の杖は瞬時に爆ぜて木っ端微塵となり、残った木片はどちらの杖のものなのか判別できない。どうやら爆発呪文のようだ。二人が杖を握っていた手を開くとぱらぱらと新たな木片がカーペットに落ちる。

「よかったわ。ちょっとずれてたら杖じゃなくて手が粉々だったもの」

 圧倒的な力の差。十秒もかからず同学年の男子を倒してしまった。

僕も知らない呪文だ。恐らく、一年生が習うものじゃない……どこで習った?グリーングラスはやはりただ者ではない。

二人も殴りかかるどころか、戦意喪失している。

「……そんなつもりじゃなかったのよ。貴方がたの杖。でも取り上げたことは取り上げたし、私達の勝ちよねマルフォイ?」

「! ……ああ、いや……そうだな」

「二人がミスター・マルフォイと戦うところをぜひ見たかったけど……仕方ないわよね?杖がないんだもの」

 グリーングラスがクラッブとゴイルのを覗き込む顔はあの“悪魔の笑み”だ。男も背筋を凍らす彼女の十八番の必殺技。

 グリーングラスのキラースマイル(本物)は精神的暴力といえよう。追い打ちをかけるようにさらに続ける。

「もし貴方がたがか弱い女の子に決闘で負けて、さらに杖を破壊されたなんて知られたらさぞご両親はお嘆きになるでしょうね」

「ご……ごめんなさ……」

 鬼も尻込みするような舌峰だ。二人の瞳には薄い水の膜が張っている。

「やめて頂戴。別に私は泣かせてないわ、勝手に泣いたのは貴方がたよ。そうよねミスター・マルフォイ?」

「まあ……そうだな」

 ―嘘つけ!

 二人はたちまちたちまち泣き出した。まるで赤子のように『防音の呪文』が非常に役立ったと思う。

「―グリーングラス!」

「……今片づけるから。あのーお二人共、その杖をなんとかできないこともないわ」

「ほ、本当!」

 二人の顔は輝く。

「しかし。私だってタダで直してあげられないわ。それ相応の対価がなきゃね」

「……ここで口止めか」

「そう、マルフォイの言った通りよ。ミスター・クラッブにミスター・ゴイル、あのことを黙ってて欲しいの。……意味は分かるわよね」

 二人は無言でぷるぷる震えながら頷く。生まれたての小鹿のような二人を前にグリーングラスは何やら呪文を唱え、杖を振る。

「結構。じゃ、直してあげる。―レパロ」

 グリーングラスが杖を一振りすると、二人の杖はみるみるうちに修復された。

「返してあげるわ。でも言ったらどうなるかお分かりよね。今度は貴方がたが私の魔法で粉砕されることになるから。ではおやすみなさい。よい夢を」

 そう言うやいなや、部屋にかかっていた呪文を解除し、互いの寝床に帰ろうとして僕達はトロフィー室を出た。恐らくいい夢はみられないだろう。

「おい。修復呪文の前の魔法はなんなんだ?」

「約束を破ったら死ぬ魔法」

 グリーングラスはケロッと答え、僕は愕然として声すら出なかった。

「嘘よ。あれはデタラメ。でもああすれば怖がって言えなくなるでしょう」

 きっとこいつは将来ペテン師にでもなれるだろう。

「それは名案だな」

 

 

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