ヒロインはチノちゃんです。
ココアさんとかいないことにするかも。
続くのかな……。
はぁ……何もかも上手くいかねぇ。
ため息をつきながら木組みの街を歩く俺。
ちっ。
なんだよこのメルヘンな街。
今の俺の荒んだ気持ちと正反対だぜ。
こちとら、バイトをクビになったんだぞ。
たった今から無職なんだぞ。
フリーターですらないんだぞ。
今度の同人イベント参加する金すらねーんだぞ。
ちきしょうめ!
「おっ」
そんなことを考えながらぶらぶら歩いていると、なんかやたらと可愛い女の子を見つけた。
華奢で、ちっこくて、青いサラサラの髪で。
やべっ。
めっちゃ好みかも。
「野良ウサギです。可愛いです」
その小さな女の子が、そんなことをつぶやきながらしゃがみこんだ。
そう、この木組みのメルヘンな街にはウサギがいっぱいなのだ。
「!!」
ってか、制服のスカートでしゃがみこんでるから、パンツが見えてるじゃねーか!
俺は思わず凝視する。
す、すげぇ。
こんな可愛い女の子のしゃがみパンチラが見られるなんて。
夢みたいだ。
歳、幾つぐらいなんだろう。
ちっこいとはいえ、羞恥心がない年齢にも思えないし。
か、かなりギリギリな感じ?
ウサギに夢中で無防備になっちゃってるのかな。
っていうか、もっとよく見えないかな。
こう、角度をちょっと変えて……。
俺は、通り過ぎるふりをして、女の子の正面に回り込む。
すると、ふかふかのウサギの頭をなでることに夢中の女の子の無防備なパンツが丸見えになった。
清潔感のある制服のスカートの中身は、青地に可愛らしい星マークがちりばめられた、股ぐりの部分にフリルのあるデザインだ。
スカートの中で蒸れたむんむんの空気感をはらみながら、惜しげもなく公開されている。
「ひゃっ。指を舐めてくれました。く、くすぐったいです」
女の子が嬉しそうに身をよじると、パンツの皺の形も動く。
あ、あの縦線ってもしかして、この子の大切な部分の……。
「今日はとっても幸せです。いつもは懐かない兎さんが、懐いてくれました」
満足げにそう言って女の子が顔を上げた。
「あ」
真正面でパンツを凝視していた俺と目が合う。
「ひゃっ!!」
女の子が大慌てでスカートの裾を抑えた。
あぁぁ。
パンツが隠されてしまった。
きっ。
女の子が、頬を赤く染めながら俺をにらんだ。
「い、いま、見てましたか?」
大人しそうだけど、勇気を振り絞った感じの声を出す。
ど、どうしよう。
俺は冷や汗ものだ。
ここは……。
誤魔化すか。
「え? 見てたって何を?」
「あ、それはその……」
青い髪の女の子はもごもごと言葉を濁す。
やった。
大人しそうな子だからな。
自分から、「私のパンツを見ていましたか」とか指摘するのは恥ずかしいんだな。
こりゃ俺の勝ちだ。
こちらからむしろ攻めてやろうか。
「あのさ、見てたかっていったい何を? なんか怒ってるようだけど?」
「あ、あぅ、そ、それはその」
「あ! もしかして!」
俺はわざとらしく手を打つ。
「さっき、しゃがんでたから、パンツ見られたとか思ってるの?」
「~~!!」
女の子が真っ赤になってほっぺに手をやった。
「ち、違います!」
おいおい、自分で否定しちゃったよ。
俺はにやにや笑って問いかける。
「いや、確かにさぁ、お子様パンツを大公開しちゃってたけどさぁ。君ってまだ子供でしょ。そんなんに興奮して俺みたいな大人が見るわけないでしょ。あぁ、ガキだなぁって思ってただけだよ。自意識過剰なんじゃないの? 俺が見てたのは、そこの野良ウサギ。小学生のパンツに興味なんかないっての」
そこまで言うと、女の子が、半泣きになりながら頭にかぶっていた帽子を俺に投げつけた。
「しょ、小学生じゃないです! 今年から中学生です!」
そう叫んでから、捨て台詞。
「オジサンのバカ!」
おぉぅ、オジサンって言われちゃったよ、俺まだ25なのに。
小っちゃくて可愛いその女の子は、くるりと背を向けて走り去っていった。
「や、やりすぎたかな」
つぶやく俺。
その手元には、女の子が投げつけてきた帽子が。
これまた可愛いデザインのちっちゃな帽子。
さっきまで、あの子の頭に乗ってたんだよな。
サラサラの髪の毛に。
思わずクンカクンカする。
うん。
興奮する。
「どうしよう、これ」
帽子の裏を見ると、名前が書いてあった。
『1-B 香風智乃』
へぇ、チノちゃんっていうのか。
ってか、香風ってどっかで聞いたような。
あ、駅近くの喫茶店か。
レトロな感じの純喫茶。
確かあそこの店長さん、香風さんじゃなかったっけ。
夜にバーやってる時にバイト先の店長に連れて行かれたことあるわ。
バーテン服につけてた名札が珍しい苗字だったから記憶に残ってる。
うぐっ。
バイトをクビになったの思い出した。
精神的ダメージが。
さっき脳裏に焼き付けたチノちゃんのパンツ思い出して回復しよう。
はぁ、はぁ。
チノちゃんパンツ……。
ひとしきり妄想して、ふと我に返った。
「返しに行くか、帽子」
学校用のものだろうし、ないと困るだろうからな。
俺は意外に優しい奴なのだ。
オジサンってのも訂正させたいしな。
ここから恋愛に発展するかな?
ガンバリマス。