この眠れる騎士に祝福を   作:【ユーマ】

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第4話『同じものでも世界が変われば、色々代わる』

 異世界に飛ばされ半月が過ぎた。今、俺は街の外に居る

 

「ここまで……長かったなぁ」

 

 冒険者登録をしたはいいものの、ろくに装備や日用品が揃ってない状況を何とかするのが先でクエストなんて受けれず、バイトの毎日。しかも、この世界は元々刀なんて存在せず、刀ソードスキルを覚えてる転生者がその製法等を伝え、最近やっとアクセルの街にも流通され始めた。なので、他の武器と比べて割高なのも俺のバイト生活延長の原因の一つだった。

 

(でも、それも今日まで……)

 

 日用品も揃え、質はそれなりだが刀も購入して武器も確保した。そんなわけで俺は遂にギルドでクエストを受注。今回のターゲットであるジャイアントトードの生息してる草原にやってきた。そして、モンスターの姿を見つけ、一瞬だけ「ん?」となるも、すぐに「ああ」と納得する。

 

(まだVRMMOにINしてる時の感覚が抜け切ってないか……)

 

 ジャイアントトードの傍にHPゲージがない事に一瞬だけ疑問を感じてしまっている。敵のHPが見えないから戦闘のペース配分も感覚で覚えていくしかない。

 

(さーて、そろそろ仕掛けるか!)

 

 鞘から刀を抜きジャイアントトードに向かって賭ける。やがて相手も俺の存在を感知、迎撃、いや捕食すべく長い舌をこちらに向かって伸ばしてくる。

 

「よっ、ほっ!」

 

 が、直線的に伸ばしてくるだけならしっかりと相手を見据えていれば避けるのは簡単。やがて、こちらの間合いに捉えると同時にまずは普通に一太刀。トードが苦悶の鳴き声を挙げたがまだ討伐には至っていない。そのまま舌をいなしつつ、二太刀、三太刀と攻撃を重ねて攻撃の頻度が低下してきて、明らかに弱ってきてるのが見て取れる段階まで来た所で――

 

「そんじゃま、お待ちかねのっ!」

 

 俺は少し間合いを置き、刀のの切っ先を地面すれすれにまで下げる。すると刀身を緑色の輝きが包み込む。そのまま一気に間合いを詰め、刀を斬り上げる。ジャイアントトードの身体に緑色斬撃痕が走り、ジャイアントトードの体が少しだけ宙に浮いた、刀のソードスキル《浮船》だ。直後、俺はある違和感を感じた、と言ってもそれは決して不快なものではない。

 

(もしかしたら)

 

 そのまま続けざまに振り上げた状態からそのまま上段に構えなおそうとして……そのまま構えなおす事が出来た。すると、刀身の輝きが今度は赤に変わる。そのまま落ちて来たトードのに向かって刀を振り下ろし、返す刃で振り上げ、突きの構えを取る。すると刀身が炎に包まれる。物理と火属性、両方の性質を持つ《緋扇》、その最後の一撃をトードに放つ。刀身が突き刺さると同時にトードの肉体を突き抜けるように炎が噴出す。それがトドメの一撃となり、ジャイアントトードは仰向けに倒れ、動かなくなった。

 

「やっぱりだ、アシストもなくなってる代わりに技後硬直もなくなってる」

 

 ソードスキルはALOとSAOでは少し仕様が違うが共通してる部分が2つある。一つ目はモーションアシスト、これは各スキルの初動のモーション、すなわち最初の構えを取り、スキルを立ち上げれば後はシステムが自動でアバターを動かし、スキルの挙動を取ってくれる仕組みだ。無論アシスト中も自分でアバターを動かす事が出来るので、技の挙動を覚えてその動きを自分でとる事で威力などの性能にブーストを掛ける事が出来る。もう一つが技後硬直、ゲーム上のMPと言ったリソースの消費無しで放てるソードスキルだが、発動直後は数秒ほどアバターを動かす事が出来なくなる。故にソードスキルを避けられたら無防備な状態で反撃を喰らうリスクがある。この世界ではその2つが消えている。分析を続けているとふと頭の中にこの世界でのソードスキルについて頭の中に浮かんできた。

 

(これは……なるほど。カードを通じてスキルを習得した状態を同じと言う訳か)

 

 この世界に元々存在しているスキルは冒険者カードを通じて覚えることが出来る。覚えたいスキルを選び、スキルポイントを消費する事で魔法の詠唱や体の動かし方と言った、スキルを使用するのに必要な知識が自動で記憶の中に刻まれる。

 

(これならアシストに頼ってた連中でも問題なくスキルが使えるし、硬直が無い変わりに魔力を消費する訳か)

 

 技の挙動は身体と頭が覚えているのだからアシストが無くても問題なく、硬直は無いが変わりに魔力を消耗する。これがこの世界でのソードスキルの扱いだ。すると、こちらが分析を終えるのを待っていたかのように、地中から新たに2体のトードが姿を現した。

 

「硬直の隙さえ無いならこっちのもんだ」

 

 硬直時にサポートしてる仲間がいない為、ソードスキルを使う上で技後硬直をどうするかが一番の懸念だった。が、それが杞憂に終わったのであればこちらのもの。再び《浮船》の構えをとり、ニヤリと笑みを浮かべる。 

 

「それじゃ、このまま一気にクエストクリアさせてもらうぜっ!!」




ちなみに、魔法に関してはこの世界の魔法をそのまま使えると言う仕組みにし、魔力が足りるかどうかは置いといて、初級から上級まで全て覚えている状態です。(意訳:ALOを魔法の詠唱が分からないので書く事が出来ません)

次の話辺りからいよいよこのすば原作キャラも登場してきます。

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