僕がこのオラリオに来て数週間がたったある日。
ダンジョン探索を終え、いつものように今日の結果や探索状況を担当アドバイザーのエイナさんに報告するためギルドに寄っていた。
僕があの
でも、だからこそ不甲斐ない自分が恥ずかしかった。
僕はまだ冒険者なって間も無く、ファミリアもあの
そのためあの
そんな現状に僕は少し嘆いていた。はぁ、あと1人団員がいればなー。
「…ル君?…ベル君!」
「あ、はい。何ですかエイナさん?」
「もう!何ですか?じゃないよさっきからぼーっとしてるけど、大丈夫?なんか悩み事?」
「ご、ごめんなさい!別に大したことじゃないので!」
「本当?まぁ顔色は悪くないしベル君がそういうならいいけど、なんかあったらすぐに相談するんだよ?」
「はい、本当にすみません。」
「もういいよ。それで明日の探索のことなんだけど、問題なさそうだし今日と同じ感じで少しづつ到達階層を増やしていこうね。」
「はい。わかりました。」
「うん。あと、何度も言っているけど。くれぐれも無茶はしちゃダメだからね?」
「はい!それじゃエイナさん!また明日」
「うん、また明日ね」
エイナさんに手を振り僕はギルドを後にした。
外に出ると空は雲で覆われていて、少し小降りの雨が降っていた。
僕は少し雨が降ったことへの不運を恨みながらも、小走りで〈ホーム〉に向かった。
その帰り道。僕はその少年と出会った。
その少年はどこかのファミリアの扉の前で座り込んでいた。状況から察するにファミリアの入団を断られたのだと思った。
周りの人はその少年を見て同情的な目線を送ったり、その姿を無様だと思い鼻で笑う冒険者がいたり、決して話しかけようとはせず素通りしていた。
でも、僕は少年を赤の他人としても素通りすることができなかった。いや、素通りしてはいけないと思った。
なぜならあの少年は僕だからだ。
僕もオラリオに来たばっかの時は、どこのファミリアにも入れてもらえず徒歩にくれていた時があった。
そんな時僕に手を差し伸べてくれたのは他でもないあの
そして僕はあの
それに僕自身あの青年と自分が重なり放っておいたらダメな気がした。
そう思った頃には僕は少年に声をかけていた。
「あ、あの」
「え?」
「大丈夫ですか?」
これが僕と青年。レンとの出会いだった。
序章 第3話 少年と少年
「あ、あの。大丈夫ですか?」
「え?」
少年こと成木 斂は突然声をかけて来た少年に動揺していた。
先程まで斂は数十件のファミリアを巡り、その全てから断れ、知り合いもいない未知の世界に心が折れ、絶望していた。
そんなこんなで異世界生活第一歩目を見事に踏み外し、絶賛露頭に迷っていたときに、まさか声を掛けられるとは思っても見ていなかった。
「立てますか?怪我とかしてませんか?」
「あ、ああ大丈夫だ、ありがとう」
そう言い、斂は立ち上がり
「悪いな余計な心配をかけたみたいだな、もう行くわ。」
「は、はぁ」
「ん?つか雨降ってんじゃん、参ったなー今日泊まるとこねーし。」
斂の言う通り、彼が落ち込んで座り込んでいるうちに雨が降って来ていた。
(こりゃ本格的にまずいな、まさかファミリアに入るのがこんなに難しいとは思わなかった。とりあえず今日ちゃうにも雨風凌げる場所探さねーと)
斂の当初の予定では
ファミリアすぐ見つかる
↓
さっさと恩恵とやら貰う
↓
初ダンジョンへ向かい、今後の活動資金を稼ぐ
↓
帰る方法がなんとなく見つかり無事帰還
というとなんともまぁ、曖昧なスケジュールであった。
しかし、人生とはそう上手く行くものではなく、初っ端から挫けていた。
(ちくしょうマジで滅べ世界め)
でも案外捨てたもんじゃ無いのも人生であり、
「え?帰る場所無いんですか?」
「うぇ?あ、ああー俺今日ここに来たばっかでさ、さっきからいろいろなファミリア回ってんだけど」
「全然相手にしてもらえず門前払いを受け続けて途方に暮れていた。ですか?」
「え?なんでわかったんだよ?」
「あ、あのその前に今日行くとこないんですよね?」
「ああ、」
「じ、じゃあもしあなたがよければ何ですけど……」
誰にでも手は差し伸べられるもので
「僕達の〈ホーム〉に来ませんか?」
それを掴むかはその時の選択で決まるものだ。