今回は反省会のお話になります。ポピパが揃うとわちゃわちゃしてて楽しいですね。書くのは大変ですが‥‥
「―――でね、その時確かに感じたんだよ。星の鼓動を!」
いつも集まっているという市ヶ谷の家に向かう途中、戸山からキラキラドキドキの話を聞かされたんだが‥‥分からなくもないような、が正直なところだ。俺がなんとも言えない表情をしていると‥‥
「やっぱりピンときてねぇって顔だな?安心しろ、私たちもそんな感じだから」
「えー!?有咲は分かってくれてるって思ってたのにー!」
「お前のそれはどんだけ語彙力あっても伝わらねぇと思う」
「うー‥‥りみりーん、有咲がいじめるー!」
「え!?えっと‥‥よ、よしよし‥‥?」
「(ポン)‥‥有咲」
「おい、やめろ!肩に手置いて私が悪いみたいな雰囲気出すな!」
いつの間にか蚊帳の外になってしまった俺はそのやりとりを一歩引いて見ていた。なんというか‥‥
「――見ていて飽きないでしょ?」
「‥‥そうだな。沙綾がこのバンドに入った理由がなんとなく分かった気がする」
「あ、――ふふっ」
「ん?どうした?」
「ううん、翔馬の笑った顔って久々に見たから」
「そんなにか?」
自分が仏頂面なのは自覚しているつもりだがそこまでか?というか俺、今笑ったのか?
「ふふっ、そうだよ。うん、やっぱりライブに誘ってよかった。珍しいもの見られたしね?」
「‥‥さいですか」
なんか微妙に納得いかないが‥‥別にいいか。なんか沙綾、楽しそうだしな。
「あ、着いたよ。ここが有咲の家」
「へぇ‥‥」
なんというか、立派な佇まいの家というか‥‥うん、立派以外に思いつかないな。やはり俺は語彙力が無いらしい。
「どうしたの?」
「‥‥今行く」
少々アホなことを考えながら市ヶ谷の家にお邪魔した俺はそのまま蔵へと案内された。元々倉庫だったのを片づけて部屋として使っているらしい。
「よし、じゃあ改めて‥‥ライブ、お疲れ様でしたー!!かんぱーい!!」
『かんぱーい!!』
戸山の掛け声と共に反省会兼打ち上げが始まった。各々の前にはそれぞれジュースが配られ、テーブルの中央には大量のチョココロネ(差し入れで貰ったらしい。なぜ)が鎮座していた。道理で牛込だけ荷物多いと思ってたんだよな。
「ぷは~~!!おいしー!」
「おっさんかよ‥‥」
「じゃあ、しょうくん!もう一回感想聞かせてくれる!?」
「聞いちゃいねぇ‥‥」
「あぁ、結論から言うとライブは成功と言えると思う。全員が楽しんでるのが伝わってきたし、それに合わせて観客も盛り上がってたからな。トリとしての役目も充分果たせてたと思う。いいライブだったよ」
「え、えへへ~。そんなに褒められると照れるなぁ~」
「自分で聞いたくせに‥‥」
「‥‥有咲も顔赤いよ?」
「う、うっせーな!ほっとけ!」
「まあまあ‥‥で、他には何か気になったところ無かった?遠慮なく言っちゃっていいよ?」
「そうか?じゃあまず1曲目の―――」
遠慮なく、と言われたので俺はライブで気になった点をひとつずつ挙げていった。
「―――とまあ、こんなところだな」
『‥‥‥』
「ん?どうした?」
なんでそんなに驚いたような顔をしてるんだろうか?俺、何か変なこと言ったか?
「いや、思ってた以上に大量に、かつ具体的に言われたもんだからさ‥‥」
「う、うん‥‥びっくりしちゃったよね‥‥」
「言おうと思ってたこと全部言われちゃった」
「しょうくん、もしかして私より詳しい!?」
「それは明らかだな」
「そんなぁ~‥‥」
「あー‥‥翔馬はね、中学の頃から吹奏楽部でトランペットやってるんだよ」
沙綾の説明で全員が納得したような顔になる。俺はてっきり説明したから呼ばれたと思っていたんだが、まだしてなかったのか。そりゃあ驚くのも仕方ないかもな。
「じゃあやっぱりクラシックとかよく聴くのか?」
「そうだな。参考になるからクラシックとかジャズが主にだけど、ジャンル問わずそれなりに聴くからな」
まあ、同じのばかりじゃ飽きるから色々聴いてるだけだから、さすがに本気でやってる人には敵わないだろうけどな。
「へー、すごいねぇ‥‥そうだ!いいこと思い付いた!」
「なんだか嫌な予感がするけど‥‥とりあえず、言ってみ?」
「しょうくんにはこれからもこうやってアドバイスして欲しいなって!えっと‥‥こういうのなんて言うんだっけ?」
「‥‥相談役?」
「それだ!」
「いや、それ微妙に違くねぇか?」
「で、でも相談できる人が増えるのは助かる‥‥かな?」
「確かに私たちだけじゃ煮詰まっちゃうこともあるかもね。‥‥どうかな、翔馬?」
「たまに話を聞くくらいなら」
「ホント!?ありがと~~!!これからよろしくね!」
と、いうわけで俺はポピパの相談役になった‥‥らしい。まだいまいちピンとこないけどな。あと連絡先の交換もした。女子4人と知り合いになったとクラスの連中に知られたら殺されるな‥‥絶対黙っておこう。
――――――
「じゃあみんな!また明日学校でね!」
その後、俺たちはしばらく談笑したり騒いだりしたが、そろそろいい時間ということでお開きになった。その帰り道、他のみんなとも別れ、帰る方向が同じである沙綾と二人で夜道を歩いていると、ふと沙綾がこんなことを聞いてきた。
「‥‥あのさ、ホントによかったの?」
「相談役を引き受けたことか?」
「うん‥‥翔馬ってあんまり人付き合いとか得意じゃないでしょ?だから負担になるんじゃないかなって‥‥」
不安そうな表情でそんなことを言う沙綾に俺は‥‥
「‥‥てい」
「いたっ!‥‥な、なにするの!?」
デコピンをお見舞いしていた。
「あのな、できると思ったから引き受けたんだ。無理だと思ったら断ってる」
「でも――」
「それにな、多少無理でも頼みの一つくらい聞いてやるよ。大事な幼馴染みなんだからな。お前は少し人に頼ることを覚えろ」
子供の頃からそうだった。なんでも一人で抱え込んで周りは何も言わない。沙綾の悪い癖だ。
「そ、そっか‥‥大事な‥‥」
「‥‥なんか顔赤いけど、大丈夫か?」
「だ、大丈夫だから!‥‥ホントに翔馬は昔から‥‥そういうとこだよ‥‥」
何か沙綾がごにょごにょ言っていたがよく聞き取れなかった。そしてなぜか責めるような視線を感じる‥‥
「な、なんだよ‥‥」
「別にー?なんでもないよ?」
なんで若干不機嫌そうなんだ?俺、怒らせるようなことしたか?
「‥‥さてと、相談役を引き受けたからにはどんどん頼らせてもらうから。覚悟してよね?」
「望むところだ」
ようやく沙綾の顔に笑顔が戻る。まあ、その顔を見るために引き受けたようなものだしな。沙綾を笑顔にする‥‥俺は
「送ってくれてありがと、またね」
「あぁ、またな」
家の前で沙綾と別れた俺は一人で夜道を歩く。今日は色々ありすぎたな。まさかライブを見に行って相談役に任命されるとは思ってもみなかった。一体どんなことを相談されるのやら。けど、きっと悪いようにはならないだろう。俺はそんな期待感と心地よい疲労感を感じていた。
――――――
「ふぅ‥‥」
お風呂から上がった私は部屋のベッドに腰掛けて一息ついた。
「今日はいろんなことがあったなぁ‥‥」
そのままベッドに倒れ込みながら、私は今日のことを思い出してみる。ライブしたこと、それを翔馬に見てもらったこと、よかったって言ってもらえたこと、彼の笑顔が見られたこと‥‥
「‥‥‥」
自分でも頬が熱くなるのが分かる。あのタイミングはちょっと不意打ちだったなぁ‥‥絶対私ニヤけてたと思う。そりゃあそのために呼んだんだけどね?今思い出すと少しはしゃいでたというか‥‥ま、まあそれは置いておこうかな、うん。
その後は反省会兼打ち上げして、香澄の提案で翔馬に相談役をお願いすることになって、帰り道に‥‥
「っ~~~~~~!!!」
翔馬は昔からそう!なんであんな恥ずかしいことさらっと言っちゃうかな!?普段は気が利きすぎるくらいなのに、そっちには全然気が回らないというか!優しくしてくれるのは嬉しいけど!‥‥けど‥‥
「‥‥ホントに‥‥なんで‥‥」
私に優しくする必要なんてない‥‥ううん、優しくされる
「‥‥ダメダメ、こんなんじゃ」
私が暗い顔してたら翔馬なら絶対心配するよね。私は翔馬を笑顔に
読んでいただきありがとうございます。
最後のシーンはかなり悩みました。沙綾の可愛さが表現できていればいいのですが‥‥
次回はまた日常に戻ります。でもその日常に少し変化があるかも‥‥
まあ、まだ半分も決まってませんけどね‥‥