近くても遠い距離   作:一昨日未明

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お久しぶりです。一昨日未明です。
まさかここまで空くとは自分でも思いませんでした。
タグに気まぐれ更新と付け加えることにします。
余談ですが、執筆の途中でスマホを買い換えましたので微妙に字体などが違うかもしれません。
もし違っても深い意味はありませんので悪しからず。


7話 ‥‥誰が言ったんだ?

―――いってきます―――

 

 

そう言って彼は店から出ていった。翔馬とも付き合い長いけど、この言葉は意外と聞いたことがなかった気がする。ちょっと新鮮かも。なんだか嬉しいような、恥ずかしいようなって感じでムズムズする。

 

 

「沙綾ちゃん?」

 

「っと。なに、りみりん?」

 

「なんだか、うわの空って感じだったから‥‥大丈夫?」

 

 

心配そうな表情で声をかけてくるりみりん。うわぁ、そんなにぼーっとしているように見えたのかな、私。これからは気をつけないと。

 

 

「ううん、なんでもないよ。大丈夫」

 

 

私はそう誤魔化して、その後はりみりんと他愛のない話をしてから私たちは学校へと向かった。

 

 

――――――

 

 

「え!?しょうくん、さーやの家で働いてるの!?」

 

 

お昼休みにいつものようにみんなで昼食を摂っているときに、翔馬のことを話すことにした。まあ、店に来ればすぐに分かることではあるんだけどね。

 

 

「今日からね。私も昨日初めて聞いてびっくりしちゃった」

 

「ずいぶん急な話だな、おい‥‥。でも神崎が沙綾んちでバイトねぇ。なんか意外と違和感ねぇな」

 

「有咲ちゃんもそう思う?なんだか妙にしっくりくるって感じだよね」

 

 

有咲もりみりんと同意見なんだ。なんだろう、自分が言われてるわけじゃないのに少しムズムズしてくる。ちょっと恥ずかしいような‥‥

 

 

「いいなあ‥‥」

 

「あ?おたえも沙綾んちで働きたいのか?」

 

「だって、パン食べ放題でしょ?」

 

「いや、働いてても食べ放題はねぇだろ‥‥」

 

「え!?そうなの!?なら私もバイトしたい!」

 

「だからねぇって!毎度毎度乗っかるんじゃねぇ!」

 

「あはは‥‥」

 

 

ホントにおたえも香澄もいつも通りっていうか通常運転というか。

 

 

「でも、神崎くんがお店にいるなら相談しやすいかも。どのくらいシフト入るの?」

 

「私がいない時は基本的に店にいると思うよ。というかお父さんはそのつもりでアルバイト探してたみたい。でも翔馬が来たのは偶然だって」

 

 

私がバンドに気兼ねなく集中できるようにって少し前から考えてたらしい。お母さんのこともあるからだいぶ悩んだみたいだけど。今度改めてお礼言わなきゃ。ちょっと過保護な気もするけどね。

 

 

「てっきり神崎が直接沙綾に相談したのかと思ってた。つーか偶然って?」

 

「私も詳しくは聞いてないんだけどね。なんかお父さんが昔からお世話になってる人に相談したら、その人のお孫さんの友達が翔馬だったんだって」

 

 

お父さんも最初に翔馬の名前を聞いた時は驚いたって言ってたなぁ。そういえば秘密にしてたのはお孫さんの提案だ、とも言ってたっけ。それって絶対小田切君のことだよね。今度お店に来たらちょっと文句言おう。それくらいはいいよね?

 

 

「ほぁ~。そんなことってあるんだねぇ~」

 

「ホント、奇跡みたいだよね」

 

「‥‥つまり翔馬くんは沙綾の運命の人ってこと?」

 

「ちょ!?おたえ!?」

 

 

おたえが突然とんでもないことを呟いた。私と翔馬が運命の人とか!?ついでに今朝のことまで思い出した私は一気に顔が熱くなってしまう。

 

 

「相変わらずおたえはすごい場所に着地するな‥‥でも実際どうなんだ?」

 

「ど、どうって?」

 

「いや、お互い高校生なんだし?そういう関係なのかなぁ、と‥‥」

 

「え!?そうなの、さーや!?」

 

 

そう言いながら詰め寄ってくる香澄。同じようにおたえも反対側から近づいてくる。有咲は顔を少し赤くしながらも気になっている様子。りみりんは‥‥すごくワクワクした顔してる!?やっぱりみんな女子高生だし、こういう話題には敏感なのかな。私も当事者じゃなかったらそんな反応だったかも。

 

 

「え、えっと‥‥私と翔馬は別に付き合ってないよ?単なる幼馴染みだよ」

 

 

好きか嫌いかで言ったら好きだけど、それは恋愛感情かと訊かれたら違うと思う。一番近いのは同い年の従兄弟って感じかな?長い間一緒だったから近すぎるのかも。

‥‥たまにドキドキすることもあるけど。

 

 

「そっか~、2人ならもしかしてって思ったんだけどなぁ」

 

「沙綾ちゃんと神崎くんって、めっちゃ仲良いもんね」

 

「てっきり付き合ってると思ってた」

 

「ま、年頃の男女の距離感とは思えねーよな」

 

「そ、そんなに?」

 

 

今まで全然意識してなかったからか、なんだか急に恥ずかしくなってきた。少し治まっていた熱がまたぶり返してきたみたい。

 

 

「なんていうか‥‥こう、誰も間には入れない!って感じがするよね!」

 

「こないだのライブ帰りにも2人で笑い合ってたしな」

 

「うん、2人だけの世界って感じだったよね」

 

「新婚夫婦に見えるくらいだった」

 

 

まさか周りからはそんな風に見えてたなんて‥‥一度意識し出すとどんどん顔に熱が集まってくるのが自分でも分かる。もう翔馬の顔見て話せないかも‥‥

ちょうどそのタイミングで昼休み終了の予鈴が鳴った。いつもなら楽しい時間が終わることを残念に感じるんだけど、今回だけは逆にありがたい。

 

 

「ほら、みんな!もう午後の授業始まるよ!」

 

「あ、さーや、待って~~!」

 

 

それにかこつけて、私はさっさと教室へ戻ろうとする。そのあとをみんなも慌てて付いてきた。

なんとかみんなの追求からは逃げられたけど‥‥今日帰ったら翔馬もいるだろうし、どんな顔して話せばいいのかな‥‥。

結局私はそのことがずっと頭の中をぐるぐるして、午後の授業は全く集中できなかった。

 

 

――――――

 

 

沙綾の様子がおかしい。

 

 

学校が終わり、俺は朝と同じようにやまぶきベーカリーで働いていた。店に入り、支度をして表に戻ってきたところでちょうど沙綾が帰ってきた。俺がおかえり、と迎えると‥‥

 

 

「た、ただいま」

 

 

とだけ言ってすぐに奥に引っ込んでしまった。しばらくして出てきたものの、その後も話しかければ驚かれ、近づけばそのぶん離れていく。一体どうしたのだろうか。俺が知らないうちに何かやらかしてしまったのか?全く身に覚えがない。とにかく原因が分からないことにはどうしようもない。俺は思い切って直接訊いてみることにした。

 

 

「なぁ、沙綾」

 

「!?‥‥な、なに?」

 

「俺、なにかしたか?」

 

「え、どうして?」

 

「いや、さっきから俺のこと避けてるだろ?」

 

「そ、そんなことないと思うけどな?」

 

 

視線をそらしながらそう言う沙綾。明らかに嘘だ。しかし聞き出さないことには話が進まない。

 

 

「沙綾、なにかしてしまったなら謝る。だから話してくれないか?」

 

「うっ‥‥えっと‥‥えるって‥‥

 

「ん?なんだって?」

 

「だから!恋人同士に見えるって言われたの!」

 

「‥‥は?」

 

 

予想外の返答に一瞬頭がフリーズしてしまった。恋人?誰が?俺と沙綾が?なんでそんなことに?疑問が尽きないがまず確認すべきことが一つ。

 

 

「‥‥誰が言ったんだ?」

 

「ポピパのみんな‥‥」

 

「あー‥‥」

 

 

確かに最近知り合ったといえばあの4人になるか。女子高生があれだけ集まれば恋愛話にもなるのも分からなくはない。しかしなぜそんなことになったのか。

 

 

「みんなが言うにはね?私と翔馬の距離感が恋人のそれに見えるんだって‥‥」

 

「それで意識して近づかないようにしてたってことか」

 

「うん、翔馬にも迷惑かかっちゃうし‥‥」

 

 

なるほど、あの態度はそういう理由があったわけか。確かに俺もそんなことを響たちに言われたら動揺するかもしれない。けど、一つだけ言っておくことがある。

 

 

「別に迷惑じゃないけどな」

 

「え?」

 

「前にも言っただろ?少しは人を頼れって。友達との話のネタになるくらい大したことじゃない。それに‥‥」

 

「それに?」

 

「‥‥とにかく、俺は気にしないから今まで通りにしてくれ。でないと調子が狂う」

 

「そっか‥‥うん、分かった。ごめん、心配かけて」

 

「気にするな」

 

 

ようやく沙綾の顔に笑顔が戻る。沙綾の気遣いは美徳だが、考えすぎるのが玉に瑕だな。にしても他人からだとそんな風に見えるのか。昔からこうだったから意識したことなかったな。

 

 

「ところで、さっき何を言いかけたの?」

 

「‥‥別に、なんでもない」

 

「嘘だね。ほら?言った方が楽になるよ?」

 

 

先ほどまでの迷いの表情はどこへやら。からかうようなニヤニヤ顔になっている。ある意味いい表情だが、こちらは堪ったものではない。

 

 

「わざわざ言うことじゃない」

 

「えー?気になるなぁ?何を言おうとしたの?」

 

「さて、仕事するか」

 

 

何度訊かれても言うつもりはない。恥ずかしくて言えるわけがない。''沙綾にそんな態度を取られて寂しく感じた'' 、なんて。

 

 

結局その日はバイトが終わるまで そのことをしつこく訊かれたが、俺も意地でも言わなかった。言ったが最後、当分はからかわれるのが目に見えてる。沙綾の追求をかわし続け、バイトを終えた頃には俺は予想以上に疲れていた。今日は早めに風呂に入ってさっさと寝よう。そうしよう。




読んでいただけたでしょうか。はい、イチャイチャしてますね。当初はこんなに沙綾を赤面させるつもりはなかったのですが、何故かこうなってしまいました。後悔はしていません。
次回は正直迷ってます。いくつか案はあるのですが、どれにするか決まってません。
また半年かかるかもしれませんね!.....はい、すいません.....なるべく早くがんばります.....
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