救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

12 / 105
戦闘服の機能とチーム分け

「出久のそれも中々良いじゃないか、オールマイトリスペクトで」

「有難う剣崎くん。剣崎くんのそれ……凄いクールだね!凄い、カッコいい!!」

「ふふんそうだろう?中々気に入ってるんだぜこれ」

「ワタシのもどうかしら、どうかしらッ?」

「京水ちゃんらしさが出てて言いと思うよ俺は」

「うん、か~な~りイケてる」

「いや嬉しくて興奮しちゃうからそれ以上は駄目よん♪もっと言って!!」

「「結局どうしたらいいんだ」」

 

オールマイトに指定されたグラウンドへと向かっていく最中、出久と京水と共に一緒に歩いていく中で友人らの戦闘服を見てみるとやはり自分の違ってカラフルだったり特殊な機械なども付けられている物も多い。それに比べて剣崎の物は貧相とまでは言わないが、シンプルな物でしかない。それもその筈、剣崎の「個性」は身体能力の強化となっているのだからその増長、言うなれば基礎となる身体能力を伸ばす事で強化幅を更に伸ばそうという観点から作られた戦闘服。

 

「でもでも、身体のラインが出て実にセクシーよ♪」

「有難う。これでも鍛えてたから自信あるんだよね」

 

戦闘服自体が身体に掛かる荷重を軽減するパワーアシストを内蔵している、謂わば「マッスルスーツ」のような役割を持っている。鍛え上げられた剣崎の肉体と戦闘服の機能による強化、それに個性による強化が乗った時に発揮される力は恐らくとんでもない物になる事だろう。単純だが、それ故にやれる事も非常に幅広い。更に超高温や低温から身体を守る構造にもなっているので救助活動を行うには最適な戦闘服に仕上がっているので剣崎は酷く気に入っている。

 

「でも泉さんのそれって、どっちかと言ったら軍人の制服って感じだよね」

「ええ、敢てこんな感じにしてみたの」

 

京水の物も「ヒーロー」の戦闘服としてはかなり異端な物に入るだろう。剣崎と同じく特徴的な物は一切なし、所か軍服のような服装。全身を黒に統一しつつ、胸には月で描かれた『L』のエンブレムがある位で他には特に何もない。剣崎の方は特殊な物とまだ分かるが、京水のそれは私服を持って来たと言っても通じそうなほど。

 

「ワタシの個性だとどんな物を着ても個性を使うと一緒になっちゃうのよ。個性把握テストの時も、体操服なかったでしょ?」

「あっ確かに」

「だから機能性を重視したのよ。これってば着心地いいのよ~♪」

 

バレリーナのように見事なスピンを決めながら戦闘服を見せ付けて行く、動き易いほかにも防刃や防弾や爆破耐性などなど……様々な機能性が内蔵されているらしい。そして個性を発動させた時、それが身体と融合するので着ている服の機能がそのまま発揮されるとの事。ある意味、京水の個性は良い意味でかなりやばいと剣崎は思うのであった。

 

「始めようか有精卵共!!戦闘訓練の時間だ!!!」

 

オールマイトの言葉を皮切りに授業が本格的に開始される事になった。まず行われるのは屋内における戦闘訓練、今の世の中、凶悪敵との出現率は屋内が高いので屋内での戦闘訓練が重視されている。室内では思い掛けない物が勝負の成否を分ける事がある上に、空間も壁や天井で覆われている個性によって得手不得手が出て来てしまう。そこを今の内にハッキリさせて、訓練を積んでおく必要がある。今回の訓練では屋内というだけではなく条件を決め、そこに「ヒーロー」チームと「ヴィラン」チームに分ける事となった。

 

 

雄英ヒーロー科 1-A戦闘訓練:室内対人訓練。『核兵器』奪取及び防衛。尚、『核兵器』は本物として扱う事。

 

ヒーローチーム:制限時間内にヴィランチームが守り抜いている『核兵器』の確保、又はヴィランチームの確保。

 

ヴィランチーム:制限時間までに『核兵器』を守りぬく、又はヒーローチームを全員確保。

 

 

これらがそれぞれのチームの勝利条件。「ヒーロー」は敵を倒すか捕まえるか『核』の確保。「ヴィラン」は『核』を守りぬくか「ヒーロー」を倒すか捕まれば良い、この場合の確保は相手の戦闘不能も含まれるので意識を喪失させた場合でも確保の判定が降りる。それ以外の場合は確保テープで相手を巻き付ければ確保判定となる、そして『核』の確保は触った場合に判定が成される。

 

「それではくじ引きだっ!!一人一枚ずつ引いて、そのくじに書いているアルファベットと同じ物を持っている人とチームだ!!」

 

それぞれが紙を引いて行く中、剣崎も引く。ヒーローチームなのかヴィランチームなのか、正直どちらでもいい。自分の個性なら奪取であろうと迎撃であろうとどちらも出来るからである。個性によってはチームの勝利条件的にやりづらいというものは少なからずあるだろうが、剣崎にはそれがないのが大きな利点だ。紙を開いて見ると―――隣にいた京水が輝いている瞳を向けてくる、京水の引いたものと自分のはどうやら同じだったようだ。

 

「まあという訳で宜しく頼むよ京水ちゃん。初めての事だけど俺も頑張るから」

「任せて頂戴初ちゃん!!アァンこれが、初の共同作業ね!!初ちゃんの言い方も、なんだか興奮するわぁぁああん!!!」

 

なんだか勝手にテンションゲージが振り切れている京水、しかしまあ気心が知れている相手がパートナーだというのは有難い。そんな挨拶と互いの個性の改めての確認をしていると訓練の第一と第二の組み合わせが発表された。第一回戦はヒーローチームが緑谷と麗日。ヴィランチームは爆豪と飯田となった、剣崎は出久にエールを送ったが、直ぐに第二回戦の相手が発表された時、京水と共に鋭い表情を作った。

 

第二回戦:ヒーローチーム・上鳴 電気 & 耳郎 響香 VS ヴィランチーム・剣崎 初 & 泉 京水。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。