救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

16 / 105
救助訓練

マスコミの張り込み、それだけならよかった。入学式から数日、それは突然起こった。いきなり鳴り響いたセキュリティ3の突破を告げるけたたましい警報。それはマスコミがセキュリティを突破したという放送が、流れる。生徒一同はそれに安堵しつつも、教師陣は警戒を強めた。雄英のセキュリティは並のヴィランでは歯が立たない驚異のセキュリティ、別名雄英バリア。

 

それは勤務しているプロヒーローの先生達を含めての話。幾らプロの「ヒーロー」と言ってもこのセキュリティを突破するのは難しい。それを突破して内部へと侵入したマスコミ―――しかし、そんな事をマスコミがするのだろうか。今の社会は個性の無断での使用は厳しく制限されている、それなのに幾ら取材の為にえの雄英のセキュリティを壊して、内部に侵入するなんて行為をするのだろうか……。

 

「キヒヒヒッ……これで少しは警戒心を持ってもらえたかな……?さあってと、面白い物を見せてくれよ―――雄英のヒーロー志望諸君」

 

 

そんな騒ぎから数日、その最中に委員長が緑谷、副委員長が八百万に決まったが緑谷が飯田にそれを譲ったなどの事が起きたが取り合えず雄英は平常通りの運営が続けていた。それは運営に支障が出たと明らかになれば「ヒーロー」の育成機関が弱腰になったと「ヴィラン」に示す可能性がある為。雄英としてはそれを許す訳には行かずに通常通りとなった。

 

 

「今日のヒーロー基礎学は俺とオールマイト、そしても1人の3人体制で見る事になった」

「今回は一体何をやるんでしょうか?」

 

そんな新委員長の飯田が問いかけて見ると相澤は黙って、過去のオールマイトと同じようにプレートを取り出して見せ付けた。そこにあったのは文字はレスキューと刻まれていた。

 

「災害水難なんでもござれの人命救助(レスキュー)訓練だ。今回の戦闘服の着用は各々の自由だ、物によっては活動を制限する物もあるだろう。それと訓練場所はここから少しばかり離れているので移動はバスで行う、準備は急ぐように……」

 

そう言って合理主義者の相澤らしく教室から出て行ってしまうが、それを聞いた各自は準備行って行く。剣崎は迷う事なく戦闘服を纏い集合場所のバスへと向かって行く。今回の救助訓練は剣崎が最も行いたかった物であるからだ、救いのヒーローを目指す彼としては「ヴィラン」を倒す事ではなく救う、救助を重視したい。勿論救助をするのに邪魔であるならば「ヴィラン」は倒すが……それ以上に誰かを救う事を剣崎は重視していた。そのために戦闘服も耐熱耐冷などといった救助に必要な物を充実させている。

 

「剣崎ちゃん凄い気合入ってるわね」

「んっ……そう見える?」

「さっきからずっと握り拳作ってそれを見つめてれば誰でもそう思うと思うわよ?」

 

バスへと乗り込み、目的地へと向かっている最中に近くの席に座っている梅雨ちゃんにそう指摘されて初めて右手を見てみると拳を作っていた。本当にそれに気付いていなかったので、やや恥ずかしくなった。そんな中で以前対戦した上鳴に話を振られた。

 

「にしてもさ、そんな救助やりたかったのかよ剣崎」

「ああ。俺は戦闘訓練よりもこっちがずっとやりたかったんだよ」

「へぇ~やっぱり「ヒーロー」の本分が誰かを助ける事だからか?」

「ああっでも俺は普通の「ヒーロー」にはなりたくないんだ」

 

そんな一言にバス内全員の意識を引いた、「ヒーロー」にはなりたくないと言う言葉に多少なりとも興味や疑問を浮かべているものが殆ど。そんな周囲の変化など気にも留めずに剣崎は言った。

 

「俺には約束があるんだ、その人と約束したんだ。俺は―――救いのヒーローになるって」

「救いの、ヒーロー?」

「所謂レスキューヒーローって事かな」

 

誰かを助ける事に特化している「ヒーロー」は多く存在している。そんな存在になりたいと願っていると解釈されたようで皆の印象としては中々に良かった、特に飯田には悪を挫くのではなく誰を助けたいと願って「ヒーロー」になりたいと思っている事に感激されたのか偉く褒められた。そんなこんなで救助訓練の会場となる場に到着してバスから降りていき、相澤引率の元、中へと入って行くとそこにあったのは驚きの光景だった。そして思わず口を揃えて言ってしまった。

 

『USJかよ!!?』

「水難事故、土砂災害、火事、etc……此処はあらゆる災害の演習を可能にした僕が作ったこの場所――嘘の災害や事故ルーム――略して“USJ”!!」

『本当にUSJだった……!?』

 

と、そんな概要を説明してくれたのは宇宙服のような戦闘服を纏っている一人の教師であった。そんな先生に剣崎は覚えがあったが直後に出久が興奮したように大声で叫ぶようにしながらその「ヒーロー」の詳細を語った。スペースヒーロー「13号」。宇宙服に似ているコスチュームを着用している為に素顔は見えないが、災害救助の場で大きな活躍をしている誰かを助ける事に対して重きを大きく置いている「ヒーロー」の一人だった。そんな13号は言いたい事があるらしく、言葉を綴った。

 

「では始めようと思います……皆さんご存知だと思いますが、僕の個性は「ブラックホール」です。あらゆる物を吸い込み、それら全てを塵にする事が出来ます。災害現場ではそれで瓦礫などをチリにして人命救助を行っております。……ですが同時にこれは―――簡単に「人」を殺せる個性でもあります」

 

誰かを殺せると言う言葉にその場の全員が身体を硬直させた。

 

「今の世の中は個性の使用を資格制にして規制を行う事で成り立っている様に見えます。しかし、個性は一歩間違えれば安易に命を奪える事を忘れてはいけません。この中にもそんな個性を持っている人もいる事でしょう」

 

この場にいる自分達の個性、それらは誰かを殺す事が出来る危険性を秘めていると13号は言った。今までの授業、相澤のテストでは己の限界を見据える事で可能性を、オールマイトの戦闘訓練ではそれらの個性を他人に向けた場合の危険性を体験してきた。

 

「しかし、今回の救助訓練では皆さんそれぞれの個性をどうやって人を救うために生かすのかを考え、それを行う事を体験して欲しいと思っています。個性は誰かを傷つけるのではなく、誰かを救い上げる為の物であるという事を学んで帰って行って下さいね。長々とした説明でしたが、私からは以上です」

 

そんな13号の言葉に各々から歓声が溢れていく、それは剣崎も同様だった。そんな13号からの言葉でやる気などが沸きたっている1-Aの生徒達、しかしそんな生徒達を妨害するかのように―――

 

悪意の手は伸びてきた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。