救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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正体不明の剣士

個性が蔓延し充満する社会、悪である「ヴィラン」が犯罪を起こしそれを挫き善を成す「ヒーロー」がいる世界。善と悪の戦いが行われている超人社会の中で、今そんな社会を吹き抜ける風のように流布し持ちきりになっている噂があった。

 

 

『正体不明の剣士』

 

 

という都市伝説とされている謎の剣士の噂である。眉唾物が殆どとされる都市伝説だが、この噂の剣士は実在しており何度もその姿を多くの人々の前に現している。「ヴィラン」による犯罪が発生すると何処からともなく現れてはその場で救いを求めてる人々に手を差し伸べては助け起こすという行為をし続けている。その剣士も「ヒーロー」なのではないかと言われているが彼は登録されている「ヒーロー」ではない事から無登録で「ヒーロー」活動を行っている違反者という事になっている。

 

しかし、そんな剣士は世間では謎多き救いの英雄(ヒーロー)と称えられておりその正体を誰もが知りたがっている。が、しかしそんな英雄は全く正体を明らかにしない。救助中に邪魔をしてくる「ヴィラン」を一蹴し一通り救助活動を終えると搭乗してきたバイクに跨るとそのまま去って行ってしまうという。その場に居合わせた「ヒーロー」が剣士をスカウトを行おうとしても興味がないように去っていく。重大な違反者として確保しようとして、「違法自警者(ヴィジランテ)」と呼ばれても、それらを全て掻い潜り姿を眩ます謎の剣士。この事から彼は地位や名誉には全く興味を示さないのではないかという憶測が立てられ非公式ながらも大衆からは「ヒーロー」としての絶対的な信頼が寄せられるようになっていた。

 

そんな謎の剣士、何処からともなくバイクで颯爽とやってくる悪を挫き誰とも構わずに手を差し伸べる高潔な騎士。顔を常に仮面で隠し続ける彼の事を敬意を込めて『仮面ライダー』と呼んだ。

 

 

 

暗黒の帳は開け放たれ夜は終わりを告げて、太陽が空に上り、暖かな日差しと共に朝となったそんな朝早くに川沿いの道を走る一人の男がいた。青いランニングスーツを着て、首にタオルをかけて腰に小さいペットボトルを引っ掛けてるようにしながら走り続けている。ある地点を過ぎると一気に加速してトップスピードに持っていく、その速度は余りにも早くトップアスリートのそれと同レベル。そしてその勢いを全て脚に蓄積させるようにしながら地面を強く蹴ると、そのまま力強く跳躍した。

 

「ウェェェェエエイッッッ!!!!!」

 

周囲に木霊する独特な裂帛のシャウト、付けた勢いの影響か暫しの間宙を浮いたままだったが地面が近づいていくと見事に着地しながらジャンプした河川敷へと降りていく階段の地点から今着地した場所の距離を目測で計算していく。

 

「……最高記録タイか。中々伸びない、か……」

 

結果として出たのは自分の最高記録と同じものだった、それを破る事を目標としていたのに如何にも簡単にはいかなさそうだ。今日こそは行けるという思いがあっただけにこの結果は正直残念と言わざるを得ない。起きた時から身体の調子は良好で気分も上々、それなのにいけなかった。矢張り、肉体面の強化がまだまだ足りていないのかもしれない。そう結論付けると普段のメニューを更に増やす事を決めながら、懐に入れていた手帳に記入をすると再びランニングをしながら帰路へと付いていく。

 

「なぁまた現れたらしいな「仮面ライダー」。本当にカッコ良いよな!」

「本当だよなぁ。何処からともなく現れては人々を救って去る、なんかすげぇクールだよな!!」

 

帰路を走っている途中立ち止まった赤信号。近くでは出勤途中の会社員が今現在社会全体で持ちきりの謎の英雄「仮面ライダー」について熱く語り合っていた。ファンなのか何処か鼻息を荒くしながら「仮面ライダー」について語り合っている。

 

「すげぇ危険な個性を使う「ヴィラン」を持ってる剣で倒すと直ぐに瓦礫で閉じ込められた人を助けたり、怪我で動けなくなっていた子供を助けたって本当に高潔だよなぁ」

「そうそう、駆けつけたシンリンカムイと一緒に救助活動したらしいな。本当は確保しなきゃ行けないけど、シンリンカムイは救助活動の協力のお礼に頭まで下げて、その後立ち去る「仮面ライダー」を見送ったらしいよな。俺、ちょっとカムイのファンになっちまったもん」

 

近頃のヒーロー談義には必ず名前が上がりつつある「仮面ライダー」と人気急上昇中の若手ヒーロー、通称樹木マンとも呼ばれる「シンリンカムイ」のやり取りはSNSで取り上げられ「シンリンカムイ」の真摯な行動は更に人気を火をつけつつ「仮面ライダー」の人気も更に上昇し続けていた。

 

「でもそんなライダーもさ、違反者扱いで捕まえなきゃいけないのもなんか理不尽な感じするよ俺」

「それはまあしょうがないさ。そう言うルールなんだから、それでも「仮面ライダー」は破ってても助けられる人を助けたいってて心から思ってるすげぇ人なんだよきっと」

「だよな、俺もそう思うよ」

 

そんな話が続けられているうちに信号が青になったので渡っていくは男は何処か頬を赤くしながら自宅へと急いでいく。自宅に到着すると赤くなった顔を覚ます為に、冷水のシャワーに身体を突っ込んで頭ごと身体を冷やす。火照った身体に心地よく水が流れていく感覚が堪らなく気持ち良い。シャワーから出てバスタオルで身体を拭うと、早速朝食に勤しんだ。一日の元気は美味しい朝食から、それは世界共通である。

 

「いただきます」

 

美味しく朝食を頬張って身体と精神に活力を吹き込まれていく、矢張りこの感触は人生を行き続けて行く中で永久に変わらないものだろうと思う。そして全てを美味しく平らげて洗い物を済ませて食後のコーヒーを飲んでいる最中、全身を電流が突き抜けるかのような感覚が襲ってくる。

 

「……行くか」

 

一気にコーヒーを喉の奥へと流しこむとそれを水の中に漬け込むと外へと飛び出しながら、男、剣崎 初は自分が動く時に出す言葉を口にする。

 

「変身!!!」

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