「やあ待ってたよ緑谷少年、今日は此処でワンフォーオールの特訓をするぞ!」
「はっはいっていうかちょっと待ってくださいよ!!?オ、オールマイトなんで剣崎くんが!!?剣崎くんがいるのに何をっ……!?」
「ハッハッハッ大丈夫だよ緑谷少年、剣崎少年には私の事や君の事は話した」
「ええええっっっっ!!?」
体育祭まで後2週間という時間しかない中、オールマイトから個性を継承した出久はそんな個性の制御を会得する為に少しでも身体を鍛えようと努力をしている中オールマイトから呼び出しを受けて雄英の施設の一つの室内訓練場へとやって来た、すると自分を待っていたかのように笑っているオールマイトと準備体操をしている剣崎が待ち構えていたのである。しかもオールマイトは活動中などの姿、所謂マッスルフォームではなく真の姿とも言える状態のトゥルーフォームでいた事に驚いた出久だったが剣崎が知っている事に更なる驚きを覚えた。
「訳あって剣崎少年にも事情を説明してね、今日から彼も君の特訓に参加してくれる事になったから」
「そういう訳だ、宜しく緑谷」
「あっうん、こっちこそ宜しくお願いします……ってそうじゃなくて!!?如何して剣崎くんが参加する事になったかを聞きたいんですぅ!!」
「ならば見せた方が早いだろうね、剣崎少年お願いしても良いかね」
「大丈夫です、カメラとか大丈夫ですよね?」
「NO PROBLEM!!」
オールマイトの言葉に安心しつつも剣崎は距離を取りながら懐からブレイバックルを取り出し、そこへ一枚のカードを入れる。入れると同時にバックルからカードのような物が伸びてそれがベルトのようになって剣崎に巻き付いた。そして待機音を確認しつつ剣崎は変身を行った。
「変身!!!」
『TURN UP』
「えええええええっっっ!!!??か、かかかかかか仮面ライダーが剣崎君ンンンンンン!!!!????」
目の前で友人が自分達、担任そして恩人であるオールマイトの危機を救ってくれた謎の剣士、仮面ライダーの正体という事に思わず驚愕して後ろに倒れこんでしまう出久。無理もないだろうが……。
「剣崎少年の本当の個性は仮面ライダーに変身、更に所持しているカードを使う事で力を発動させる事なんだ。彼にはこれからも仮面ライダーとして動いてもらう為に色々と話をしてね、そして私と君の事も話したのさ」
「な、成程……で、でも剣崎くんが仮面ライダーだったなんて……」
「すまない今まで隠したままで……」
申し分けなさそうに謝ると出久はそんな事気にしなくて良い、寧ろあの時は自分達を助けて有難うとお礼まで言った。結局の所自分は剣崎に助けられたという事実だけがある、ならその事実に感謝すればいいだけの話なのだから。思わず剣崎は笑いながら有難うと返した、が直後に何処からサインの色紙とサインペンを突き出された。
「ごめん剣崎くん!!仮面ライダーとしてサインくれないかな!!?僕、君のファンでもあるんだ!!!」
「えっええっ~……俺サイン書いた事ないんだけどなぁ……ま、まあ分かったよ……」
今までサインは書いた事がない剣崎だが取り合えず、緑谷 出久君へと書きながら『MASKED RIDER BLADE♠』とこれを自分のサインにする事に決めた。受け取った出久は嬉しそうにしてくれているのでまあいいか、と軽く脱力してしまった。
「という訳で剣崎少年が参加する意味も分かった所で、彼が参加するのは回復能力の事もあるからだ」
「回復……あっ相澤先生とオールマイトにやってたあれですか!?確か、あれのお陰で相澤先生は凄いピンピンしてたしオールマイトなんて活動限界時間が凄い伸びたんですよね!?」
「うむ。計測してみたが限界時間が5時間33分46秒だったよ」
「細かっ……」
出勤途中にも色々と解決しても授業にも問題なく出れるレベルには活動時間が増えたのでオールマイトは本当にニッコリしている。
「剣崎少年にお願いしたいのは緑谷少年の回復なんだ。緑谷少年はまだ身体と言う器が出来上がっていない為か個性を発揮すると身体が壊れてしまうんだ」
「それを回復させろって事ですね、分かりました。にしても……個性の把握テストで指があんなになってたのもそういう事だったんだな」
「うん……。まだまだ僕は強くならないとコントロール出来ないんだ」
「まあ兎も角剣崎少年、緑谷少年を頼むよ!!すまんが私はこれから校長に呼ばれているので行かねばならないそれではッ!!」
そう言って去って行ってしまったオールマイトを見送った二人は取り合えず訓練を始まる事にした。まず出久が何時もやっている風に身体を鍛える訓練を初めていき、次に実際に個性を使ってどの程度のダメージが体に来るのかの確認をする事になった。
「行くよッ……(卵が爆発しないイメージ……)」
デコピンの要領で親指で指を押さえてその反動で指を弾く、その際に個性でパワーを溜めてそれを放つ。意識を集中して出久は目の前にセットされたターゲット用の的に向けて腕を向ける。
「SMASH!!」
放たれた指から凄まじいパワーによって弾かれた空気の爆弾のような衝撃が放たれ、一瞬で的を粉々に粉砕してしまった。それどころか後方にまで抉ったかのような跡を残していた。それを見た剣崎は思わず言葉を失ってしまったが、同時に出久の指を見た。酷く腫れ上がっており、凄い状態になっていた。取り合えず『〈
「あ、ありがとう剣崎くん……!」
「気にするな。にしてもすげぇなこれ……だけどその代償が今の怪我か……。器が出来上がってない事でそうなってるってオールマイトから聞いたけど、明らかにパワーの出し過ぎなんじゃねぇのか?」
「うんそうなんだけど……オールマイトは制御には感覚とイメージが大切って言ってて、でもそれが難しくて……」
「感覚とイメージ、ねぇ……こりゃ思った以上に大変な特訓だぜ……」
兎に角それからも緑谷の見ているだけでもいたくなるような個性の特訓、身体作り、そして仮面ライダーの力を使っての模擬戦で個性の力をどう使えばいいのかを把握する事を繰り返して行った。そして―――あっという間に時間は過ぎていく……。