救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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雄英体育祭、開催

あっという間に過ぎた時間、2週間という時間を剣崎は仮面ライダーとしての活動をしつつも出久の特訓に付き合うなどして時間を過ごした。リカバリーガールの治癒とも違う回復、それを活用して出久が個性の反動で負う怪我を治療。再び使用してそれを回復するを繰り返して個性に身体を慣れさせる事と力の加減を感覚的に理解する事を念頭においてそれをし続けた。その甲斐もあってか出久もある程度制御に成功し始め、個性も徐々に慣れ始めているのか、5%が身体を壊さないで出せるものだったのが8~9%程が身体の許容上限となった。着々と成長している出久に剣崎も協力のし甲斐があると嬉しそうにしている。

 

そして―――遂に体育祭当日となった。

 

 

『刮目しろオーディエンス!群がれマスメディア!今年もおまえらが大好きな高校生たちの青春暴れ馬…雄英体育祭が始まディエビバディアァユウレディ!!?』

 

解説席から聞こえてくるプレゼント・マイクの声、それが知らしめるのは開始の合図。それによって出場生徒の間に一気に緊張が走って行く。入場を控えている1年達の間にもそれは広がっている、当然剣崎も僅かながらに緊張していた。

 

「アァン初ちゃんも緊張してるのね?ワタシがマッサージしてあげようかしらっ!?」

「有難う京水ちゃん、でも大丈夫。気持ちだけ受けて取っておくよ」

「なんて眩しい笑顔……これだけでワタシ、どんぶりご飯5杯イケるわ!!!」

 

そんなテンションが一人だけ一気に上昇して行く京水を横目に隣では自分と同じように深呼吸を繰り返している出久がいる、そんな彼の背中を軽く叩いた。

 

「け、剣崎くん?」

「緊張しなくていいんだよ。別に気張らなくていい、平常心で自分が出せる範囲の力を全力で出せばいい。それでいいんだよ出久」

「剣崎くん……うん、そうだよね。有難う凄い落ち着いたよ!」

「おう」

 

2週間の間に何処か師弟関係のような物が出来上がっている二人、そんなこんなをしていると入場の時間がやって来た。息を飲みつつ、全員が一気に入場を開始していく。通路を抜けていくと凄まじい大観衆が声援を上げて出迎えてくる。それをプレゼント・マイクの気合の篭った実況が更に加速させていく。それらの勢いに飲まれそうになる生徒、物ともしない生徒に別れる中で全1年が集結した時、一人の教師が鞭の音と共に声を張り上げた。

 

「選手宣誓!!」

 

全身を肌色のタイツにガーターベルト、ヒールにボンテージ、色んな意味でエロ過ぎて18未満は完全に禁止指定のヒーロー、18禁ヒーロー「ミッドナイト」が主審として台の上へと上がった。18禁なのに高校にいていいのか、と思わず剣崎の近くにいた常闇が呟くが直ぐに峰田が良い!!と肯定した。が、剣崎は如何にも目を向けづらかった。正直言って刺激が強すぎる……そして隣の梅雨ちゃんが如何にも視線を向けてくるのが気になった。

 

「剣崎ちゃん、大丈夫?」

「だ、大丈夫だ……。俺、ああ言う人苦手だ……」

「そうなの」

「な、なんか梅雨ちゃん怒ってる?」

「いいえ全然、気にしないで」

「アッハイ」

 

「静かにしなさい!!では、選手宣誓―――選手代表、1ーA、剣崎 初!!!」

「はいっ!!!」

「えっ剣崎くんなの!?」

「そういえば、剣崎って入試で1位なんだっけ……」

 

前もって一応聞かされていた剣崎は既に内容を考えてある。気持ちを落ち着けながら宣誓台へと上がる、すると直ぐにミッドナイトから爽やか且つエロティックなウィンクを受けてやや赤面するが、咳払いしながら気持ちを切り替えて腕を上げながら宣誓する。

 

「宣誓―――ッ!!此処に集った我々は誇りある雄英の生徒、それに恥じぬように日々積み重ねた努力を全力で発揮し、ヒーローシップに則って正々堂々と、真正面からぶつかり、それらを全て超えて戦う事を、此処に誓います!!!選手代表1ーA……剣崎 初」

 

「きゃああ初ちゃんってばカッコいい~!!!」

「うむ素晴らしく立派だ剣崎くん!!」

 

感動する飯田に興奮する京水らに周りの生徒は引きつつも剣崎の言葉には会場からは拍手が溢れている。一部生徒はつまらなそうにしているが……しかし、剣崎はそのまま言葉を続けた。

 

「では更に言わせて貰います」

 

本来ならば既に終わる筈の選手宣誓、しかし剣崎はそれを続けた。

 

「この場に立った時点でヒーロー科、サポート科、普通科、経営科の区別などない。此処に居るのは全員が雄英の生徒。だからこそ、俺は誰が相手だろうが全力でぶつかっていく。ヴィラン相手に生き残ったなんて事実は意味を成さない。ここでは結果が全てを決める、生徒諸君……俺は皆に負けない」

 

そう言い切った剣崎、一瞬会場から喧騒が消えて静けさが周囲を支配したがすぐさま1年全員から様々な咆哮が上がった。それはA組ばかりを持ち上げて他のクラスを引き立て役としている節があった、だが剣崎はそんな事は意味を成さない、だから全力で掛かった来いと発破を掛けた。それらに全員が乗り気になった。全員にやる気が満ち溢れていき1年のボルテージが加速度的に上昇していく。

 

『カアアアァァァッッッ!!!!良い事言うじゃねえか剣崎ぃぃぃっッ!!!めっちゃボルテージ上がるじゃねぇか!!!この前は噛んでケンジャキって呼んで悪かった!!』

「良いわ、良いわ良いわ凄いいいわ剣崎くん!!ワタシこう言うの超好み!!!さあこの熱さを残したまま第一競技行くわよぉ!!!」

 

―――体育祭、開幕(スタート)!!


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