救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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決勝トーナメント:初戦 出久 VS 剣崎 Aパート

昼休み後、雄英体育祭の最終種目:決勝トーナメントが行われようとしていた。トーナメントが行われるステージは教員でもあるプロヒーロー「セメントス」が自らの個性を使用して製作し、それも完成し間もなくそれが行われようとしていた。その第一試合は出久 VS 剣崎というカードにA組はざわめいていた。

 

出久の個性の不安定さと使用後に怪我を負う事は最早周知の事実、そんな出久と戦うのはクラスの中でも非常に高い力を有しており、シンプルな個性を完璧なまでに使いこなす剣崎。どちらが勝つかと言われたら剣崎と答えるだろうが出久の個性の破壊力による一発逆転も十分ありえるので皆どちらが勝つのか予想しきれていない。

 

『ヘイガイズ、アアアァァユゥレディィィ!!?色々やってきましたが結局これだぜガチンコ勝負!!!頼れるのは己のみ!!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりなのはわかるよな!!?心・技・体に知恵知識!!!総動員して駆け上がれ!!!!』

 

プレゼント・マイクの実況にも今まで以上に熱が入っている。これから最大級の盛り上がりが始まるトーナメントの初戦が始まるのだ、彼もテンションが上がってしょうがないのだろう。そんな実況を受けながら遂に互いに拳を交える生徒がステージ上へと上がった。同時に観客席から沸き上がる声が血流を加速させていく。

 

「いっけ~剣崎~!!緑谷も頑張れ~!!!」

「おいら剣崎に夕飯賭けてるんだから絶対に勝てよぉ!!!」

「峰田君クラスメイト同士の試合で賭けを行うとは何と不謹慎な!!!兎に角二人とも頑張れ!!!」

「初ちゃん頑張って~!!!」

「剣崎ちゃん応援してるわよ~!緑谷ちゃんもね~!!」

 

観客席から響いてくるクラスメイト達からの歓声、それらが更に身体に力を漲らせていく。

 

『さあ始めるぜ第一回戦!!!成績の割に何だその顔!?ヒーロー科、緑谷 出久!! VS 此処まで優秀な成績を収め続けたヒーロー科、剣崎 初!!!』

 

この戦いに置けるルールはひどくシンプル、相手をステージの場外へと出すか参ったと言わせるかのガチンコ勝負。怪我をしてたとしてもリカバリーガールがスタンバっているので思いっきり戦って問題なし。但し命に関わるような攻撃は禁止、その場合は主審のミッドナイトとセメントスが止めに入って中止にさせられる。

 

「出久、正直俺はお前といきなり当たるとは思わなかったぞ」

「僕もだよ、剣崎君には色々お世話になってるけど本気でいくからね!!」

「当たり前だ。手なんか抜いたらぶっ飛ばすぞ」

『おっとおっと、互いにもう気合十分みてぇだな!!!それじゃあ―――レディィィィスタァアアアアアトッッッ!!!!』

 

スタートの合図が響いた。同時に出久は一気に地面を蹴って駆け出していく、先手を取った。全身に漲っていく力、それを一気に発動させて爆発的な跳躍力で一気に剣崎へと迫るとそのまま腕を振るうが直線的過ぎる為に簡単な体捌きで回避されるが地面を殴って方向転換をするとラッシュを開始。それらを見切っているかのように捌きつつも脚を振り上げ顔を狙う剣崎、それを避ける出久だが体勢が崩れてしまう。が、後方に飛んで体勢を建て直すと再び攻勢を掛ける。

 

「たぁぁぁあああっっ!!!!」

「はあっっ!!」

「グッ!!」

 

大振りの一発、それをすり抜けるかのように出久の腹部に掌底打ちが炸裂する。しかし怯まない、そのままラッシュを続けるが今度は肘打ちが顔面に来るが左手でそれを受け止めるが再び脚が上がってくる。素早く反応し右腕でそれに巻きつくかのように受け止めながら左肘でそこへ一撃を加えようとするが、剣崎の左のパンチが顔面を捉えた。軽く吹き飛ばされた出久は一旦距離を取って息を吐き捨てると全身のバネを使って一気に接近する。

 

「芸がないぜ出久!!」

「そう、かな!!!」

 

カウンターを決めようと腕を繰り出した剣崎だが、出久はそのパンチを受けながら一気に下へと潜り込むと剣崎の顎へとアッパーを決める。その一撃を受けた剣崎も軽く後ろへと吹き飛んだ。しかし、それを受けた剣崎は何処か嬉しそうな表情をしながら出久の身体に走っている光のような物を見つめた。

 

『こ、こりゃすげぇぇええ!!!!緑谷、あいつ中々強いじゃねぇえか!!!短い時間の切れ目にあった攻防に実況をする暇もなかったぜぇ!!!』

『相手の攻撃を全て読んで捌いていた剣崎、そのカウンターを予測した緑谷のフェイント……どちらもいい動きだ』

 

想像以上の攻防戦に観客席からも大歓声が溢れていく。正当派な戦いにプロヒーロー達も食い入るように見つめている、その中にはオールマイトの姿もあり出久の身体に走っている光を見て嬉しそうに笑う。

 

「(緑谷少年、ワンフォーオールを掴んできている……!!今までは指や腕の一部のみだったが今は全身……!素晴らしい成長振りだ、緑谷少年!!これも剣崎少年の協力のお陰だな!)」

 

「緑谷君~!!!!君凄いぞ~!!!!剣崎くんも凄いぞ~!!!!」

「初ちゃんカッコ良いわよ~!!」

「デク君頑張れ~!!!」

 

 

「(流石剣崎くんだ……アッパーの時、ジャンプして威力を殺された……!!やっぱり僕よりも遥かに格上の人だ……!!)」

「(今まで特訓に付き合った甲斐があったみたいだな出久……全身にワンフォーオールを掛けての活動、今まで成功してなかったのにこの本番で成功させてやがる……!!)」

 

互いに相手の事を賞賛しながら警戒するかのように摺り足で距離を保ち続ける、相手の能力は警戒に値すると認めている。出久は剣崎の今まで仮面ライダーとして活動して来た経験とその力を、剣崎は出久の爆発力と分析力、そしてワンフォーオールを。どちらに取っても相手の力は酷く厄介な物。だが負ける気もない。だからこそ―――

 

「行くぞぉぉぉおおおおお!!!!」

「うおおおおおおお!!!!」

 

同時に走り出した剣崎と出久、振りかぶった腕。勢い良く振るわれていくそれは―――真正面からぶつかりあった。互いの一撃がぶつかり合った瞬間、二人を中心に凄まじい衝撃波が会場中に響くように広がっていく。二人の一撃の重さと威力が分かる瞬間でもある。

 

「僕は、君に勝つよ……剣崎君!!!」

「勝てるもんならやってみろ、出久!!!!」


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