救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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職場体験指名

ヒーローネームの考案が終了すると各自に職場体験先が示された紙が配られる。指名が来ている者は指名先の一覧が、指名が来ていない者には受け入れを表明しているヒーロー事務所が書かれた物が配れている。それぞれ活動地域や得意なジャンルが異なるから良く考えてから一つ決めて提出するようにと相澤は言って教室から出て行く。しかも提出期限は今週末、後二日しか期限が無い。急いで決めなければいけないが……

 

「うわっ凄げぇ分厚さだな剣崎!?」

「ひいふうみい……うわぁ何枚あるんだよそれ……」

 

瀬呂や切島はあっさりと自分へと来ていたリストを見終わってしまったので他を見ようとした時、真っ先に目に止まったのが剣崎へと来ている指名の数だった。彼へと来てるのは4632件とクラス中でダントツのトップ、故にリストは100枚を越えておりチェックするだけでも大変な労力を使う事は明白になっている。

 

「アァン流石初ちゃんね!!ねぇワタシも見ても良いかしら?」

「見るって、泉アンタ自分の見なくての?」

 

と剣崎に来ている指名を見たがっている京水に耳朗が声を掛ける、京水も剣崎には大きく劣るが200を超える指名は来ているのだから自分は其方に集中するべきなのではないかというが、京水は良いんだと断言しながら胸を張って言う。

 

「ワタシは行きたいって思ってた事務所から指名来てたからもうそこに行くって決めたの!!」

「へぇっそうなんだ」

「泉ちゃんが行きたい所って何処なの?」

「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツから来てたの?」

「違う違う、確かにプッシーキャッツはワタシの憧れで好きなヒーローがいるけどあくまでそれだけなの」

 

それじゃあ一体どんなヒーローの事務所から指名を受けたのかと疑問が浮かんでくる、そんな視線を受けながら自慢げに自分のリストを取り出しながら一つの事務所を示す。

 

「私が行くのは……NEVERヒーロー事務所よ!!」

「NEVERって確か……あっ思い出した、無限ヒーロー・エターナルが経営してる事務所だ!!」

「そう、あのヒーローこそワタシが目指す最高の存在よ!!」

 

無限ヒーロー・エターナル。6年前から活動を開始したヒーローだがその圧倒的な戦闘センスと先の先の先まで読むかのような洞察力、空飛ぶヘリに片手で捕まるなど並外れた身体能力をフルに活かし僅か数年でトップヒーローの仲間入りを果たした超新星。多くのヒーローがサイドキックを多く雇う事が多い中、スナイプヒーロー・トリガーとブレイズヒーロー・ヒートの二人のみをサイドキックとし、少数のみでの活動を行っているやや特殊なヒーロー。

 

「えぇワタシ指名がきて本当に嬉しいわっ!!」

「凄いなぁ……確かエターナルって新しく人を雇わない事でも有名なのに、そんなヒーローから指名が来るなんて凄いよ!!」

「うふっ有難うね出久ちゃん♪ワタシ頑張ってくるわっ!!」

「もう決まってるのか、それはそれでいいなぁ。俺は俺でこの中から決めないといけないからなぁ……」

 

剣崎はそう思いながらリストの山を軽く叩いた、贅沢な悩みだろうが此処まで数があっては本当に困るレベル。相澤の言う通りに各ヒーロー事務所の活動地域やジャンルなどを調べるだけで期限が過ぎてしまいそうになる程の数。

 

「うわぁすげぇ!!トップヒーローの名前がめっちゃあるぞ!!」

「ホークスにエッジショット!!すげぇいきなりトップヒーローの名前があるぞ!!」

「ケロッ……リューキュウにミルコ、女性ヒーローからも結構来てるのね……」

「凄い凄いトップクラスヒーローからの指名が6件もある!!凄いよ剣崎君!」

「でもその割にエンデヴァーの指名ないんだな」

 

そんな切島の言葉に僅かに自分の席でリストを見ていた轟が反応する、トップヒーローからの指名が多くある中でNO.2のエンデヴァーの指名が無い事が彼に反応を示させた。まあ理由は簡単に思い浮かぶ、体育祭で剣崎はエンデヴァーに対して怒りを買うような事を言っている。それが原因して指名をしてこないのだろう、それに自分を指名するぐらいならあれだけ自慢げに言う轟を指名する筈。

 

「あっギャングオルカのもあるぞ!俺このヒーロー好き何だよなぁ見た目怖いけど」

「あらっワイルド・ワイルド・プッシーキャッツからも来てるわよ初ちゃん!羨ましいわアァンワタシには来なかったもの」

「でもこんなに指名が来てても一つの所にしか行けねぇんだもんな」

「ああっだから慎重に決めないと行けないんだよなぁ」

 

興奮している皆を見ながらも剣崎は慎重だった、正直自分としてはこの中の大半のヒーローの所には行きたいとは思ってはいない。ヒーローの活動の基本は犯罪の取り締まりと抑制、逮捕協力などが主でありそれらを主軸にしているヒーローが主。でも剣崎が目指しているのは救いのヒーローになることでヴィランの逮捕などは余り重視されない、よって有名なヒーローの殆どは除外されて行く事になる。

 

「(というか、俺は仮面ライダーの時は常時職場体験みたいな感じだからなぁ……まあ語弊あるだろうけど)」

 

となると矢張り自分の戦い方の幅を増やす事で救助活動の為にヴィランを迅速に倒す、その為に武闘派事務所に行くのも悪くないとも思う。そんなリストを見て行く中で気になる名前を見つけた。

 

「人類基盤史研究所内ヒーローチーム、BOARD事務所……?」

 

不思議な胸騒ぎと感覚を覚えた剣崎、その名前を見た途端に目を放せなくなった。




やっぱりまあ、うん、出さないとねNEVERは。

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