救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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雄英高校、入学試験開始

「仮面ライダー」は「ヒーロー」である。

 

正式な資格を持っている「ヒーロー」や警察などからしたらただの無免許で重大な違反を行っている危険人物だが、世間的に見れば誰とも構わずに救いを齎す「ヒーロー」と見られている。人気はライダーが登場してから少しずつ大きくなっていき今ではトップヒーローらと肩を並べる程の絶大な人気を博している。シャープな鎧姿と鋭くありながらも何処か優しげな赤い瞳、相手を一蹴する剣捌きなどその人気の要因は様々だ。しかし、一番なのは要救助者を最優先する点だろう。

 

事件現場に参上した「仮面ライダー」が優先するのは逃げ遅れたり、怪我をして動けなくなっている人々の救助であって「ヴィラン」の撃破ではない。その場から逃げ去った直後でも「ヴィラン」を追わずに救助を優先する。普通の「ヒーロー」であればどちらともを行うがどちらかと言えば「ヴィラン」撃破を優先する中で、救助を優先するのは「ヒーロー」は多く存在するが「ヴィラン」をガン無視して救助を必要とする人々の事を見つめるものはそうは居ない。

 

「ヴィラン」を倒そうとするのは救助者がいないか、救助の邪魔をするか、救助をするのに障害となり得る場合に限っている。凄まじい実力を有しているのに何故こんな事をするのかと疑問視する人々が多いが、それは「仮面ライダー」が目を向けているのは倒すべき敵の数ではなく、救うべき人の数ではないのかという予測が立てられている。そんな人々の安全を優先する姿が「仮面ライダー」が高潔な英雄と呼ばれている所以でもある。

 

 

 

「此処が雄英高校か……やっぱ普通の高校じゃ考えられない規模だな」

 

日々のトレーニングメニューを増やし、飛距離の自己ベスト記録を更新し続けるようになった剣崎。そんな彼にも鍛錬の集大成を発揮すべき日がやってきた。そう、高校受験の日がやって来た。彼が受験をするのは「国立雄英高等学校」通称雄英と呼ばれている数多くの名だたる数々のヒーロー達を輩出してきた超名門校。トップヒーローになるにはこの雄英を卒業しなければ行けないとさえ言われている偉大なヒーローになるための登竜門としての地位に聳え立っている。そんな高校を受験する剣崎、僅かに緊張があるが寧ろその緊張が気持ちへの鼓舞へと繋がっている。

 

「さてと、行くかっ……!!」

 

着ている制服に通されているネクタイを強く締めて気を引き締めて、雄英の門を潜る。受験会場を進んで行く中で感じる会場に蔓延しているピリピリとしている研ぎ澄まされている空気、そして溢れ帰るかのような人の波が凄まじい。流石は雄英校のヒーロー課への受験者だ、倍率が300というあっという的な数値なのも頷ける。だが剣崎は柔らかな笑みを崩さずにそのまま歩いていく。これからどちらにしろ心身を削る入試が始まるのだ、それなら今から刃を磨耗させる事なんて無い。始まってから気疲れして全力を出せないなんて後悔しかない、出来るだけリラックスして入試に備える。

 

「おいあいつ見ろよ、笑ってるよ……この雄英の入試で……!?」

「マジかよ……そんだけ自信あるって事か!?」

「誰、あのイケメン?誰あのイケメン?」

「「「おいなんか今変なのいたぞ!?」」」

「(賑やかな入試前だなぁ……)」

 

一部妙なのが混ざっていたような気もするが、気にしないで置こう。剣崎は案内に従って入試前の説明があるという談義室へと入って待つ事にした。ここも談義室にしては妙に広大なのが気になるが、そこも雄英だからと納得しておくと気持ちが楽になっていく。凄い事が起きたらある程度の所で考えをやめて、現実として認めるというのが精神安定のコツだと近所にある診療所の女医さんが言っていたが、どうやら正しいようだ。

 

『今日は俺のライブへようこそぉぉぉお!!!!』

 

マイクから爆弾じみた声が放たれた、試験説明が始まると言った流れあったのにも拘らずその第一声がライブ開始の合図。と思うかもしれないがその声の主はボイスヒーローと名が知れ渡っている「プレゼント・マイク」。そんな彼への返事(レスポンス)は皆無、が全く気にする事もなく説明を始めた。これがプロの「ヒーロー」、いや教師だからこそ出来るスルー力、いや進行能力……なのだろうか。

 

『俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校の『校訓』をプレゼントしよう。かの英雄……「ナポレオン・ボナパルト」は言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と! Plus Ultra!! それでは皆、良い受難を!』

 

 

そんな「プレゼント・マイク」からの説明を受けた一同はそのまま各自が割り当てられた試験会場へと進んで行く。何千にも及ぶ受験者を全て同じ場所でテストするのは不可能、その為に複数個所の試験会場に別れて試験が行われる。人工的に作られたビルが複数並び立つフィールドが広がっている、このフィールド内に放たれる仮想敵を撃破しそのポイントを競うのが実技試験。間もなく開始される試験に脅える者、備える者、格上の他の受験生に圧倒される者と別れている中、剣崎も当然準備を完了させていた。

 

「さてと……始めますか(・・・・・)

 

と呟いて脚を引いた。周囲の受験生達は何を言っているんだと思う中、剣崎は自らを弓に見立てて脚を引き続ける。ギチギチと撓る弦のように引かれる脚、それと同時に溜められていく力。低くなっていく体勢、そして遂にその時がやってくる。

 

「―――ハイ、スタートォォ!!!」

 

MACH(マッハ)〉 〈TIME(タイム)

「―――『固有時制御(TIME ALTER) 超加速(MACH ACCEL)』ッ!!!!」

 

何の前触れもなく放たれた開始の合図、それとほぼ同時に蓄積した力を開放して強く地面を蹴って走り出す剣崎。それと同時に自らの力を発動して通常では信じられない動きの素早さを発揮して受験生達から一抜けしていく。超加速していく剣崎は視界に人工的な音声で粗暴且つ気品の欠片も無い言葉を吐き出し続けている仮想敵がいる。一先ずそれに狙いを定めると超加速を解除しつつも、その勢いのままで跳躍する。

 

BEAT(ビート)〉 〈TACKLE(タックル)

「ウェエエラァアア!!!」

 

突如勢いが増し、2と印された仮想敵をタックルで貫通してそのまま先にいた仮想敵を殴りつけた。貫通、殴られた仮想敵はどちらとも完全に半壊して動かなくなって崩れ落ちていく。それを見つめた剣崎は久しぶりに今の状態で伸び伸びと使える個性に嬉しさを覚えていた。ギチギチに嵌められた束縛から開放された気分で大声で叫びたい位だ。

 

「さて……うん大丈夫使えるな、よしもういっちょ!」

『〈MACH(マッハ)〉』

 

先程よりは遅いがそれでも十二分に速い速度で動き始め、仮想敵へと向かっていく剣崎。そんな彼に続くかのように受験者も走り出していく。

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