救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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雄英入学、そして初めての友達……?

その日、剣崎は何時もより早く目を覚ましていた。早めにトレーニングを終えてシャワーを浴びて、朝食を取る。何時も行って生活サイクルが少し変わっていてトレーニングがやや軽めに変わっていた。自分好みにブレンドしたコーヒーを喉奥へと流しこむと、着替えへと移った。剣崎が纏っていたのは、何時も着用している普段着ではなく、合格した雄英の制服だった。

 

「よし―――んじゃ行って来るか」

 

荷物を詰め込んだリュックを背負うとそのまま家に鍵を掛けて出掛けて行った。今日から自分も高校生、えの雄英の生徒なのだ。バスに乗って最寄の駅から電車に乗る事15分、剣崎は雄英の正門前に到着した。以前入試に来た時も思ったが相変わらず馬鹿でかい建物だと思う、日本屈指の敷地を誇る超巨大校。校舎は何処から見ても『H』の形になるようになっているのが何処か面白い。

 

「確か、俺は1-Aだったな……」

「あらっ貴方も1-Aなのねっ?アァン、男前じゃなーいでイケメンじゃなーい!!」

 

と、自分の言葉に反応するように声を掛けられた。隣には自分と同じように制服を纏いながら携帯のアプリで位置情報を確認していたと思われる男子生徒が此方を見ていた―――が、妙に女性らしいというか言葉遣いが完全に女性な上に何処か此方に向けられる視線に奇妙な圧迫感を覚える……。しかし剣崎は余り気にしないで彼に話しかける。

 

「ああ君もかい?」

「ええそうよ、あら失礼まずは自己紹介からよね。ワタシは泉 京水宜しくね♡」

「剣崎 初、宜しくな泉さん」

「あらご丁寧に、でも京水で良いわよ。皆からはそう呼ばれてるから、でも貴方には京ちゃんとか水ちゃんって呼ばれるのも捨てがたいわアァン!!」

「はははっ……面白いね君」

 

剣崎は余り気にせず自然体で彼と接しているが……京水は非常に鍛えられているのか制服の上からでも分かるほどに強靭な肉体を持っている。そんな男が身体をくねらせつつ、女性的な仕草をながら熱い視線を向け、丁寧な口調で女言葉を使う……そう、京水は所謂そっち系(オカマ)なのである。だが陽気な性格な為か剣崎としては接し易い、これから仲良くして行こうとも思った。

 

「それじゃあ一緒に教室に行くかい、京水ちゃん」

「あらやだっ良いわねその呼び名!!ビビィィィっときちゃうわアァン!!ええ是非、是非ご一緒させていただくわアァン!!」

「良かった、君とはなんだろう。仲良く出来る気がするなぁ」

「あらやだっそれってば口説いてるのかしら!?イケメンで優しくて積極的、嫌いじゃないわっ!!寧ろ、大好物だわ!!!」

 

なんだから分からない間に京水をメロメロ、というか一方的に惚れられたのか剣崎の周りではしゃぎ回っている京水に元気だなぁと呟く剣崎。

 

「京水ちゃんってさ、なんか憧れの「ヒーロー」って居るの?」

「そうねぇ……やっぱりオールマイトは王道中の王道よねぇ。でもワタシはワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの「虎」が一番ね!」

「へぇそうなんだ」

「そうなのよ、あの鍛えられた肉体美と人を助ける時のあの凛々しい表情……好きなのよねぇワタシってば。後ワタシの個性的も目指す物がそれって感じなのよねぇ」

 

肉体美云々は剣崎としても鍛えられた筋肉に憧れたりするので分かりはする、それに虎と言えば山岳救助などを得意とするベテランヒーローチームに所属している事でも有名。「ヴィラン」を倒すのではなく救助を優先する事でも有名なチームで自分が目指す救いのヒーローの一側面を兼ね備えているヒーローチーム。そしてそんな言葉の中で気になったのが京水の個性が、虎を目指していると言っている事だった。

 

「京水ちゃんの個性って、身体を柔らかく出来たりするのかい?」

「んっ~良い線行ってるけどちょこっと違うわね。ワタシの個性って結構特殊な部類で判別が面倒なのよ、まあその分汎用性って面白いわよ。それで剣崎ちゃんは―――入試で見たけど、身体能力系よね?」

「ああそうだよ」

 

どうやら既に入試の時から目を付けていたらしく、自分の入試の様子を見ながら実技試験を突破したらしい。よくもまあそんな事をしながら入試を突破出来たものだと、別の意味で感心する。

 

「ああそうだよ、キック力増したり早く走ったり強く殴ったりする個性だよ」

「あらっやだ凄いシンプルね!!でもその分、やれる事多そうね!!シンプル・イズ・ザ・ベェスト!!なんて言うしそういう個性が最強だったりするかもしれないわね」

「ははっ有難う。まあ結構地味って言われたりするけど、俺としては変に特殊すぎるものより使い易いから助かってるよ」

「そうよねぇ……個性って強いと妙にクセが強かったり制御が大変だったりするから、面倒なのよねぇ。ワタシの個性も結構アレだから、使う気なかったのにポロリしちゃって大変だったからその辺りは羨ましいわぁ」

 

明るい京水は一瞬だけ僅かな落ち込みを見せた。どうやら過去に個性絡みで何かが起きたようだ、強力な個性を求める家庭が居る中で余りにも強力な個性を宿してしまって人生が狂ってしまったなんて話も聞く。それを考えると制御し易い個性が望ましいような気もする。

 

「でもまあ、此処は天下の雄英。此処で最高に、スペシャルになってみせるのが目標かしら」

「確かにそれが「ヒーロー」云々よりも自分を律せれるように成るのが一番かもね」

「んもう気が合うわねぇワタシ達!!これは運命の出会いかしらっ♪」

「俺のお婆ちゃんが言っていた。人の出会いは一期一会、全てが運命の出会いだからこそその中で出会える真の友を見出せるように確りと交遊しろってさ」

「おっしゃる通りだわぁぁぁぁっ!!!」


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