救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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教室へ

「1-A……この先だな」

「さてとどんなクラスメイトさん達がワタシ達を待ちかねているのかしら、やっぱりイケメンな子が多いのかしらぁ」

「それは如何だろうね、意外に「ヴィラン」みたいにめっちゃ柄が悪い人がいたりしてね」

「アァンそれはそれで面白そうねぇ……だけど一応此処ってヒーロー養成学校だしそれってあるのかしら?」

 

などと中々に仲良しになった剣崎と京水、彼がそっち系なのは剣崎は普通に理解しているがその程度で差別はしないし気持ち悪がったり態度の変化などはしない。人が何に興味を持つかなんて千差万別、世の中には日本刀やエッフェル塔と結婚するような人だっているのだから同性を好きになる人ぐらい別段可笑しくはないだろう。漸く辿り着いた教室への入り口の扉、しかし扉は異様なほどに大きい。

 

「でっけぇ……個性を配慮した上での設計かな」

「でしょうねぇ。ワタシの知り合いにもいるわよ、全身が金属の塊で身長4m強ある子」

「それすげぇな」

 

一体どんな人なのかそれはそれで気になってきたが、その辺りにして扉へと恐る恐る手を掛けて扉を開ける。一体どんな生徒達が中にいるのだろうか、何処かわくわくしながら扉を開けてみると―――

 

「そこ机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」

「思わねーよ、てめー!?どこ中だよ脇役が!!」

「……初ちゃん」

「何も言うな」

 

まさか、自分の台詞がフラグになっているとは思いもしなかった。教室内は何処か静かな雰囲気な筈なのにその端からは如何にも凄まじい存在感を放っている者がいた。それは如何にも不良ですと主張するかのような顔つきの悪さと着崩された制服、机の上に投げ出された足……如何見ても不良だと一目瞭然で分かる役満である。席的に近くにいるのが少々複雑だ、差別するつもりはないが……此処まで不良的な感じだと近づきづらいのも事実だ。そんな不良が注意している気真面目そうな眼鏡を掛けている者の背後にあるのが剣崎の席なようだ。

 

「ちょっと失礼、そこの席俺のみたいなんだ」

「ムッこれは失礼したね、すまない。ぼ...俺は聡明中学校出身、飯田天哉だ、宜しく頼む」

「ああ、こりゃどうも。剣崎 初だ、こっちは友達の泉 京水」

「宜しくねぇ~ってあら、入試の時にあったわね」

「もしや、君は「プレゼント・マイク」のスタートダッシュに唯一反応していた……!?そして、そっちは俺の隣でスタートしていた……」

 

如何やら一方的ではあるが向こうは自分の事を知っていたようだ。まあスタートダッシュに唯一反応して先行して仮想敵を潰していたのでその姿を見ていた、というのであれば大勢の人間がそれに該当するだろうが……。因みに京水曰くこの真面目そうな彼、飯田は

 

「イケメンで真面目……嫌いじゃないわっ!!」

 

との事らしい。この後は飯田と京水と一緒に話をしながら時間を潰していた、飯田は剣崎と京水はあの試験の本質である事を見抜いていたと言われて思わず目を丸くしてしまった。如何やら教師による評価形式になっていた救出点が「ヒーロー」とは何たるかを評価する、と言う事を理解して誰かを助けていると思われたらしい。剣崎は自分がやりたいからやったまで、京水も少なからず受験生を助けていたが……その動機は自分好みな受験生が大怪我するのを見たくない為だったらしい。

 

「いやそれでも立派さ、あの状況なら誰もが点数を稼ぐ為に仮想敵に向かっていくのだからね。下手をすれば自分の点数が足りなくなって不合格になるかもしれない、それを恐れずに行動していたんだから十分だと思う」

「あらん褒め上手ね♪そんなに褒めて、昨日作って持って来たクッキー位しかあげないわ♪はいどうぞ、初ちゃんもどうぞ」

「おっとこれは有難う……適度な甘さで美味いな」

「おおっホントだ。京水ちゃん器用なんだな」

「アァンもっと、もっと頂戴!!イケメン二人からの褒め言葉、キタ、キタキタキタキタァ!!!」

 

などと遊んでいるような会話を続けていると間もなく8時半になる。普通の学校ならば朝のHRなどに入っていても可笑しくは無い時間などだが……肝心の担任が姿を現さない。そう言えば担任は一体どんな人に成るのだろうか、どんな「ヒーロー」が自分達のクラスをまとめ上げるのか少々気になってきた反面である事が不安になった。客観的にみれば京水だけでも十分すぎる程に濃いはずだ、が恐らく他のクラスメイトも凄い濃い事もありえる。そんなクラスを纏め上げれる人が担任なのだろうかという事だった。そんな時、教室に妙な物が入ってきた、それは―――キャンプなどの野営で使う寝袋であった。

 

「……何だあれ」

「自立稼動移動式の新型寝袋かしら?」

「いや、泉君そんなもの誰が欲しがるんだ」

 

飯田が突っ込みをする最中も寝袋は移動を続け、遂に教壇の上へと辿り着いた。尺取虫のような動きで教団へと辿り着いた寝袋、なんだろうこのシュールすぎる状況は……と剣崎が半ば呆れるように教室の他のメンバーのようにフリーズしていると、寝袋から余りにもぼさぼさな髪と酷い無精髭を蓄えている疲れきった目をしているホームレスと間違われそうな男が寝そべったまま顔を覗かせながら言った。

 

「お友達ごっこがしたいなら余所の学校へ行け。ここは…ヒーロー科だぞ」

 

一同が不思議な威圧感と存在感に飲まれ言葉を失った。間もなく始まりを告げようとしている雄英での学園生活、剣崎は妙な不安を抱えずに入られなかった……。

 

「如何でも良いけどその寝袋って寝心地良いの?」

 

尚、京水は一切そんな事を感じずに平然と質問をしていた。

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