救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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寮入り生活、スタート。

その日、剣崎は梅雨ちゃんと共に登校していた。この日から全寮制がスタートしようとしているからだ、寮は雄英の敷地内に作られて徒歩5分で校舎に着くという立地に恵まれている。そんな場所に立てられたヒーロー科1年1組専用の寮を前にしていると次々と皆が集まってくる。皆、剣崎の姿を見ると声を上げて駆け寄って剣崎の無事を喜びながら、再びこうして再会出来た事に喜んでいる。そんなみなの姿に思わず涙ぐんでしまう剣崎だが、これからもよろしくと返すと皆も勿論と返してくれた事に嬉しさを滲ませる。

 

「アァァン初ちゃん、私も凄い心配してたのぉん」

「あっそうそう、聞いてよ剣崎。泉の奴なんてアンタの心配を祈願してあんたの人形作ってそれを神棚みたいなところに飾って拝んでたんだよ?」

「イヤン響香ちゃんやめて頂戴恥ずかしい!!?」

「はいはい私は毎朝毎朝朝日に向かって正拳突きしながら祈ってるの見ました!!」

「葉隠ちゃんまで本当に止めて頂戴!!!?」

「というか朝日に向かって祈りの正拳突きって……」

 

と女子連中から京水の一風変わった安全祈願が暴露されていると、流石の京水も頭に来たのか彼女らを追い回して止めるように言うが、彼女らは笑いながらそれから逃げるのであった。そんな寸劇があったりしたのが相澤がやってきて静かにするように言われたので、追いかけるのを止める京水であった。

 

「さて、これから寮について軽く説明を行うんだがその前に一つ。当面は合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動いていくのでそのつもりで、色々会って忘れている奴も多いと思うがそもそもの目的はその仮免だからな」

「ああっそういやあったなそんな話……やべぇ完全に忘れてたわ」

「色々起きすぎて頭から抜けてたもんね……」

 

そんな声が漏れたので相澤はやっぱりなと溜息をつく、まあ林間合宿先での襲撃に加えて剣崎の誘拐はとんでもないインパクトを齎した。それによって思わず記憶から飛んでしまうのも致し方ないだろう。

 

「今回のヴィラン連合の襲撃などを雄英もかなり重く受け止めている、今回の寮制の導入も安全性の確保や君達が集中的に強くなる為の環境作りでもある。俺達の期待に正規の手続きを踏み正規の活躍をしてくれる事を祈る、さてと中へと入るか、元気出して行こう」

『はいっ!!』

 

と締められたからか皆の表情にはやる気やらが漲っている、これも自分達がヒーローになる為に敷かれた道の一つ。それらを考えて剣崎は深呼吸をしてから声を張り上げた。

 

「皆っ!!今回、俺は皆に凄い心配を掛けてしまった。京水ちゃんにも本当に心配させちゃって、ごめん……だけど俺はこの通り大丈夫だし、さっき皆にそんな心配されてるって分かって凄い嬉しかった……。だからさこれからも宜しくお願いします!!」

「勿論っつうか今更何いってんだよ!!ダチ心配するのは当たり前だっつぅの!!」

「うむ!!友として当然だ!!」

「うん。此方こそよろしくね剣崎君!」

「ああっ俺の方こそ頼む」

 

と次々と掛けられてくる言葉の数々に思わず嬉しくなって来てしまってきた剣崎、此処まで自分の事を思ってくれている人がいるなんて思ってもいなかったからか、涙ぐんでしまった。梅雨ちゃんからハンカチを受け取って拭いながら大きな声で高らかに宣言する。

 

「よしっ今日の晩飯は全部俺が作る!!豪勢にご馳走作るぞ!!!」

「おおおっ!!!剣崎君の家で食べたカレー凄い美味しかったから凄い期待出来る!!」

「ええっ何々剣崎の家でカレー食べたの?」

「私も手伝うわよ剣崎ちゃん、さすがに一人じゃ大変そうだしね」

 

などといったやり取りがあるのを相澤は茶番だなと思いつつも、こんな物もたまには重要になるのだなと思いながらも寮の扉を開ける。中へと入って行くとそこは学生寮というよりはまるでホテルのように豪勢で本当に寮なのかと疑いたくなるような作りになっている。

 

地上5階地下1階建、2階から左右に分かれており向かって右が女子用、左が男子用となっている。1階は共同エリアになっていて食堂も完備されていて此処で調理して食事を用意する事も出来る。朝と夜はランチラッシュが食事を届けてくれる事になっているので、使うとしたら昼食時だろう。今回は初日という事で届けられないが剣崎が作るので問題なし。

 

「風呂、洗濯は男女別だからな峰田」

「先に釘を差すとは流石相澤先生……!!」

「いやお前は分かりやすすぎるんだよ」

「豪邸やないかいっ……!」

「わああぁぁぁっ麗日さん大丈夫!!?」

 

2階からが居住スペースとなっており、一人に付き一部屋が与えられる。しかも部屋の中はエアコン、トイレ、冷蔵庫、クローゼットにベランダまで付いている贅沢空間となっている。これを見た麗日がまた卒倒して出久が騒いだりもした。因みに剣崎は5階の部屋となった、その日は一旦解散して部屋作りとなったのであった。そして部屋作りに熱中しているとあっという間に夜になってしまっていた。

 

「あぁっ~疲れたなぁ~……」

「お疲れ切島君、部屋の片付け出来たの?」

「ああばっちりだぜ!」

 

皆、部屋が出来上がったのか一階の談話スペースへと集まっていた。これから始まるであろう共同生活に皆心を弾ませていると女子らもやってきた。

 

「おうそっちも終わったのか?」

「うんなんとかね~それにしてもお腹すいちゃったよ~」

「そだな、もう7時回ってるしな……そう言えば今日剣崎が飯作ってくれるとかいってたよな?」

「あっそう言えば……肝心の剣崎は?」

 

そう言われると彼の姿は見えない、まだ部屋で荷解きをしているのだろうか。となると早く呼びに行かないと行けなくなるが八百万が実は梅雨ちゃんもいないことを伝える。梅雨ちゃんも準備を手伝うと言っていたのでもう食堂にいるのだろうかと皆で食堂へと向かって見ると、そこには……

 

「おう、来たな皆。今呼びに行こうと思ってたんだ」

「いらっしゃい皆、準備出来てるわよ」

 

とエプロンを付けている二人が手招きする先には豪勢な盛られた料理がこれでもかと並べられている。様々な料理が用意されており、これだけの量を調理するなんて本当に大変なことだっただろうに……。

 

「うおおおおすっげええええええ!!!!!!」

「超豪華な料理の山~!!!」

「こ、これ本当に剣崎が作ったのか!!?」

「ああ。本当はもっと仕込みに時間を掛けたかったんだけど、部屋作ってたら時間が足りなくてさ。少し手抜きで悪いけど勘弁な」

「いやいやいやこれで手抜きって本気の剣崎君どんだけ凄いの!!?」

「前のカレーでも凄かったのに……!!」

「アァンまた初ちゃんの手料理が食べられるなんて、幸せね!!」

「まあ兎に角皆、存分に食べてくれ。お代わりもあるからさ」

『いただききます!!!』




次回、部屋紹介と、梅雨ちゃんとのイチャイチャ予定。

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