救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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二次試験と役割。

終了した一次試験、先着100名という狭き門を潜り抜けた剣崎達は次なる試験へと気持ちを既に切り替えていた。目良が一次試験を突破した全員へと呼びかけてモニターへと視線を集めさせる、其処には先ほど自分達が凌ぎを削りあったフィールドが映り込んでいる。一体今度はどんな事をするのかと思っていると、フィールドの各所がいっせいに爆破されていき、火を噴きながら瓦礫と化していく。

 

『えっなんで!!?』

「まさか、これって……!!」

 

いち早く気付いたのは今まで仮面ライダーとして数多くの人達を救い上げてきた剣崎であった、今モニター内のフィールドの状況は自分が出向いていった現場と酷く一致する部分が多い。これは即ち、二次予選の内容というのは間違いなく……

 

「救助演習かっ!!」

『次の試験でラストになります、皆さんにはこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行って貰います。一時選考を突破した皆さんは仮免許を取得した物と仮定して、どれだけ適切な救助を行えるか試させて頂きます』

「救助、演習……!!」

 

ヒーローの本懐、誰かを救う事。それに準じた試験内容に皆緊張の面持ちを浮かべる中でルールの説明が行われていく。ヴィランによる起こしたテロが発生、被災現場各所に要救助者としてHELP US COMPANY、通称HUCの皆さんがスタンバイする。受験者はそれらを如何に適切に救助する事が出来るのかという試験になる。それを聞いた剣崎は即座に考え込んだ、彼には膨大なほどに蓄積されている仮面ライダーとして人を救ってきた経験がある。例えライダーとしての力がないとしても、経験は大きな力として振う事が出来る。10分後にはスタートするという目良の言葉を聴くと剣崎はA組を即座に召集した。

 

「悪いけど休憩なんてしてる暇はない、作戦を考えさせて貰う。八百万、包帯、ギプスとかそういう系の物って創造出来るか?」

「はいっ勿論行けますわ。今から準備ですわね、それと皆さんこれを。通信機です、これで連絡を取りながら行いましょう」

「ああっ。有難い事に向こうの準備時間がこっちの準備としても使う事が出来る」

「はいでは直ぐに。砂籐さん、すいませんが甘い物を少し分けていただけますか?私も出る事を考えると私も甘い物で補給しておく必要がありますわ」

「おうよっ!!特製の飴ちゃんとかいっぱいあるぜ!」

 

八百万が救助や治療に必要な道具の創造に取り掛かる、その際にも全員の個性などを再確認しながら出来る事を考えながら分担を考えていく。

 

「麗日に瀬呂、峰田は今回相当忙しい。瓦礫の固定や除去で大いに活躍出来る。麗日は瓦礫を軽くして除去に出来る事がとにかく多い。瀬呂と峰田は崩落の危険のある瓦礫を補強や固定して、安全性の確保を」

「うん、うち頑張るよ!!」

「おうよっ!!瀬呂くんの力見せてやるぜ!!」

「お、おいらだってやってやるぜ!!此処まで来たんだ、仮免とって相澤先生にドヤ顔で見せ付けてやる!!」

 

レスキューにおいて重要なのは様々な物があるが、瓦礫などの除去や固定して安全性の確保は非常に重要となってくる。そこでこの3人の個性は大いに活用出来るし、相当活躍出来る。三人はかなり走り回って貰う事になるがそれは勘弁してもらおう。

 

「切島、上鳴、常闇、芦戸、青山、鉄は麗日達の補佐をしながら主に救助を担当。個性で自分の身体をガードしながら、救助者をレスキューする事を前提にした方がいい。いざって時は瓦礫を壊す必要もあるからな」

「おっしゃ男らしく決めるぜ!!」

「任せてとけよ!!」

「承知した。深淵の闇にて希望の光へと導こう」

「まっかせてよ!!瓦礫程度溶かすの簡単だから!!」

「OK、煌びやかにやるよ♪」

「承知しました。鉄巨人として存分に動きましょう」

 

三人を補佐するのがこの六人、瓦礫の除去にはどうしても人数が必要となってくる。最初からそれらを決めておけば出来る事も大きく広がってくる。

 

「剣崎、俺は如何するべきだ」

「そうだな、障子は耳郎と口田は周囲の状況確認と負傷者を探しながら詳しい情報を得る索敵役を頼む。このフィールドだ、情報はあればあるだけ有難い。尾白と葉隠も手伝ってあげてくれ」

『了解!!』

 

改めて考えてみると皆の個性は本当に活用の幅が広い、救う幅が凄まじく広くて多くの人達に手を伸ばす事が出来る。素晴らしい事だと思っていると爆豪が此方を睨み付けていることに気付いた、そうだまだ彼が居た……。

 

「爆豪、ある意味重要な役目頼んでいいか?」

「んだよそれは」

「設定でヴィランがテロでこんな風にフィールドになったって言ってたろ?それだったら―――ヴィラン役が出て来たとしても可笑しくは無いだろ」

「……つまり、俺はそいつをぶっ飛ばせばいいって事か」

「そう、基本は排除した瓦礫を爆破で無くして麗日の負担を減らす。そして時が来たら、ヴィラン相手に存分に暴れてくれ。お前の機動力ならその位楽勝だろ?」

「たりめぇだ舐めんなっ!!」

 

そう言いながらも爆豪は対ヴィランに自分が抜擢された事に何処か喜んでいる節があった。爆豪は性格的にも誰かを救うというのには向いていない、被災者に対しては自分で何とかしろと叫び散らしそうだし、彼には救助ではなく其処から一歩引いてもらってヴィランに備えて貰う方が適切という物だろう。

 

「け、剣崎君……なんかかっちゃんの扱いが上手いね……」

「ああ言うのは下手に何かをやらせるよりは自分の得意な分野に近い所で専念してもらって、時が来たら存分に動いて貰うのが一番なのさ」

「成程ね。それで初ちゃん、アタシ達は如何するのぉん?」

「俺達は総合的に判断しつつ、各所のフォローアップや救助に治療に怪我人を運ぶ役目を受け持つ。俺達は特に機動力や汎用性に長けてる、それが一番だ」

 

それに納得の言葉が向けられそうになった時、けたたましいベルの音が鳴り響いた。それは試験の開始を告げる物。

 

『ヴィランによる大規模破壊のテロが発生!!規模は〇〇市全域、建物倒壊により傷病者多数。道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ。到着するまでの救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮を執り行う、一人でも多くの命を救い出す事!!START!!!』

 

二次試験、救助演習、開始。


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