救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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試験、ギャングオルカ。

「皆さん慌てずに!!僕達が皆さんを守る盾となり矛となります!!」

「動けない方は気軽に申し出てください!!僕達が運びましょう!!」

 

救護所となっていたスタート位置、そこではヴィラン来襲に合わせて其処に居た人達を避難させる為の作業が急ピッチで行われていた。元々被害が少なく多くの人達が避難しても問題がない水場ゾーンへと人々を誘導していく、その中でも出久や飯田といった機動力に優れる者が中心となって多くの人達を誘導と搬送していく。

 

「轟、そっちはどうだ!?」

『ああっ水場の一部を凍らせてスペースも作ってそこに他の受験生が個性で床を作った。これでかなり多くの対応が出来る筈だ』

「それじゃあ爆豪の援護に向かえるか、幾ら爆豪でもギャングオルカをずっと塞き止められる訳じゃない。ギャングオルカは陸上だと問題なのは機動力ぐらいで相当強い!!」

『分かった、遠距離からの援護中心で行く』

「ああっ頼む!!よし、他のメンバーは引き続き救助を続けてくれ!!但し常に集団で動きつつ連絡を取り合ってだ!!爆豪が牽制してるとはいえ、抜ける奴がいないとは限らない!!」

 

通信機で指示を飛ばし続けながらもレーダーに表示されている爆豪近辺にある反応に目を光らせながら、救助作業をし続ける剣崎。今現在は爆豪が真っ先に大爆発による牽制を行ったお陰でヴィランの目がそちらに向いている且つ、大爆発を連発しているからか対処に追われているからか抜けているヴィランの様子はない。だとしても相手はあのギャングオルカ、何時爆豪を突破してきても可笑しくは無い。

 

「剣崎、こっちにはもう人居ないよ!!ウチと障子、後口田が念入りに3回ぐらい確認したから間違いない!!」

「分かった、それなら人を探しながら新しい救護所に向かって手当ての手伝いと周囲警戒を頼む!!」

「了解!!障子、口田行くよ!」

 

耳郎からの報告を受けながら他のメンバーにも連絡を飛ばして確認を行いながら、剣崎は走っていく。五感を最大限に尖らせながら人が残って居ないかを確認しながらヴィランとの戦闘場所へと急ぐ。索敵班の仕事は非常に正確だったお陰か誰も居ないことを確認しながら、爆豪が戦闘を行っている場に辿り着くとそこでは接近戦を行いながら爆破の熱と風圧で牽制を行う爆豪と氷と炎で遠距離攻撃に徹している轟、そしてイナサが上空から旋風を巻き起こして攻撃を行っている光景が見えてきた。

 

「爆豪、轟聞こえるか。避難は終わったぞっ!!後はヴィランを如何に避難場へと近づけないように倒すかだ!!」

『てめぇはそこで雑魚が抜けねぇか見てやがれ!!こいつは俺がぶっ潰す!!』

『分かった、俺もこのまま中遠距離で徹する』

「だけどギャングオルカを甘く見るなよ!!相手はヒーローランキング10位だ!!」

 

剣崎がギャングオルカを警戒するのは彼の個性に関係していた。海のギャングとも恐れられるシャチ、人食いザメとしても有名なホオジロザメよりも遥かに巨大である上に遊泳速度も上回り、一撃でホオジロザメ仕留めたという話が鯨すら狩の対象にする。加えて超音波を放ち獲物を麻痺させて捕食する事まで出来るハイスペックを誇る海の生態系の頂点とも言うべき存在、そんな力を存分に振るうギャングオルカ。

 

「ムゥウウンッッ!!!!」

「クソがッ!!!」

 

大きく踏み込みながらの振るわれる腕の一閃、それを咄嗟に回避する爆豪だが視界の端で映り込んだ光景に息を飲んだ。腕を振るった際の衝撃波が瓦礫の山を粉砕する光景、幾ら脆くなっている瓦礫とはいえ風圧だけであんな事になるパワー、まともに喰らったノックアウトされるのは確実。悪態をつきながらも更に注意を払いながら爆破による動きの封殺を狙っていく。

 

「爆破解体ッッッ!!!」

「はぁぁっ!!!」

 

巨大な地響きすら相殺するような爆破と衝撃の山のような攻撃、それを真正面から受けてたったギャングオルカは頭部から凄まじい超音波を放ってそれらを完全に相殺してみせる。爆豪は思わず後ろに飛び退く、その直後に轟の氷の波状攻撃が襲来するが氷の塊すら超音波で粉々に粉砕するギャングオルカの超音波に思わず身震いしてしまう。

 

「クソが如何いう超音波だっ……!!」

「くそっやっぱり足止めが精一杯かっ!!いや、足止め出来るならそれはそれでいい!!」

 

ギャングオルカが放つ超音波には並の攻撃では足止めにしかならない、だが足止めにはなるという情報を得られた轟は兎に角氷を放ち続けていく。動きを止められる事自体が大きなメリットになる、頭から放つ超音波、身体の向きを一定方向に固定出来るのは大きなメリットとなりうる。轟はそのままギャングオルカを細くし続けていると真上にいるイナサへと叫んだ。

 

「おい、今だ、思いっきりやってやれっ!!!」

「―――っ……了解っス!!!それならこれならどうッスか!!!」

 

その言葉の直後に爆発的な風が巻き起こるとギャングオルカを包み込むかのような巨大な竜巻が出現していく。凄まじい竜巻で拘束しながらもそこへ轟が炎を放っていく、竜巻に巻き込まれていく炎は忽ち巨大な火柱のような竜巻となってギャングオルカへを襲う。

 

「これでも食らいやがれぇぇぇッッ!!」

 

そこへ爆豪が瓦礫を爆破してその破片を投入していく。灼熱の竜巻に鋭利な破片が混ざり、ギャングオルカの身体を熱しながら傷つけていく。シャチという海の生き物の個性であるが故に炎熱攻撃による強い乾燥状態に弱く思わず膝を突くが、ギャングオルカは若いヒーロー候補生達の協力プレーに笑みを浮かべる。

 

「だが、まだ甘いッッッッ!!!!」

 

爛々と瞳を輝かせながら天を仰ぎ見たギャングオルカは最大出力で超音波を放つ、それが巻き起こす衝撃波内部から炎の竜巻を完全に打ち消してしまうという離れ業を成し遂げてしまう。酷い熱が身体に篭っているがそれでもギャングオルカは全く折れない、寧ろ更に強い闘気を纏いながら周囲へと威圧をしながら立ち上がる。

 

「さあっ如何するヒーロー……!!!」

「―――ウェイ野郎、さっさと叩き込みやがれぇっ!!!」

 

竜巻が消えてしまった後、爆豪はニヤリと笑いながら叫んだ。それに呼応するかのように土煙を巻き上げながらもう突進していく一つの影があった。それは全力で疾走する剣崎、例え竜巻が消されたとしてもあれだけの竜巻を消すのだからかなりの力を要する、それならば相応の隙を晒すに違いないと爆豪はそれを剣崎に伝えていた。その意思を汲み取った剣崎は猛スピードでギャングオルカへと向かっていく。そして―――

 

「ウェェエエエエエエエエエエエイイイイッッッッ!!!!」

 

その勢いままで鋭い飛び蹴り、マイティキックをギャングオルカへと叩き込んだ。それを受けたギャングオルカは竜巻の影響もあってか防御するのが精一杯なのか、マイティキックを受けて大きく吹き飛ばされながら瓦礫の山へと突っ込んでいく。

 

「どうだ少しは利いたかっ!!!」

 

着地した剣崎は思わずそんな事を叫びながらギャングオルカが突っ込んだ瓦礫へと意識を集中する。すると剣崎の思った通り、瓦礫の中から未だ健在の姿のまま再度姿を現すギャングオルカ。身体に持っていたペットボトルから水を掛けながらも此方への敵意を一切緩めていない。

 

「ウェイ野郎もっと強くやれや!!」

「あれでもかなり強く打ち込んだだぞ!?あれはあれで普通にしてられるギャングオルカがやべぇんだよ!!」

「兎に角、まだまだやれるみたいだな」

「上等っスよとことんやってやるっス!!」

 

再度全員が構えを取ろうとした時の事、目良からのアナウンスがフィールド全体へと通達されていく。

 

『只今をもちまして、配置された全てのHUCが救出されました。それにより、これにて仮免試験全工程終了となります』

 

他の場所にて残っていた要救助者が救助された、それが告げるのは試験終了の知らせ。それを聞くとギャングオルカも戦闘態勢を解いて改めて水を飲みながら笑う。

 

「今年は中々粒揃いだな、楽しみにさせて貰うぞひよっ子」




個人的にギャングオルカは大好き。なんか、ああいう系のキャラって凄い好き。
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