救いのヒーローになりたい俺の約束   作:魔女っ子アルト姫

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新学期、来訪。

「最近来れなくてごめんね。色々と忙しくてさ、中々時間を作れなかったんだ」

 

朝方、まだ靄が掛かっている時間に剣崎はある場所を訪れていた。早朝の走り込みの途中で仮面ライダーとしての活動を終えてきたその帰り、間も無く登下校が激しくなってくるであろう時間帯に入ろうとしている時に花を抱えながら其処を訪れていた。元々はよく訪れていた場所であったが雄英に入学するに当たって、学業と仮面ライダーとの両立の為に時間が取れなかった。しかし、こうして少し無理をして時間を作ったお陰で漸くやっと来れた事に嬉しさを感じている。

 

「俺さ、ヒーローの仮免許取ったよ。オールマイトに貰った夢、それに近づいてるよ。でもそれって色んな人を救ってきた二人に近づいてる事でもあるって思うと凄い嬉しいんだよな」

 

先日取得した仮免許の事を報告しながら、笑みを絶やさないようにして花を活けながら周囲の掃除をしていく。久々に来るだけあって相応に荒れてしまっている、やっぱり定期的にこないといけないなという事を際実感しながら丁寧に処理をしていく。余り時間も掛けられないのでテキパキと済ませていく。

 

「それとさ、俺雄英に入って本当に良かったって思ってる。友達もいっぱい出来たし、皆本当にいい人ばっかりだよ。中にはすげぇ荒々しい奴もいるけど」

 

綺麗にタオルで光が反射するほどに磨き終わると剣崎は一番重要な報告を始めた。

 

「それとさ、俺―――好きな人が出来てさ、その人と交際してるんだ。蛙吹 梅雨ちゃんって言うんだけどさ本当に優しくて可愛くて……俺にはもったいないような人だよ。彼女はずっと一緒に居てくれるって言ってくれたんだ、俺の帰る場所になってくれるって……心から嬉しかったよ……。だから俺は、頑張るよ。梅雨ちゃんが笑顔で居られるように俺も笑顔で居続ける。だからさ―――父さんと母さんも俺を見守っててくれるかな」

 

見つめる視線の先にあったのは朝日に照らされて輝く黒い墓石、其処に刻まれている名前は剣崎。ここは両親の墓、剣崎が複雑な思いを抱き続けてきた場所だが今の剣崎は何か違うのか何処か強い意思を秘めた表情を構え続けている。

 

「(此処には父さんと母さんは居ない……何もない)それじゃあそろそろ俺は行くよ……また来るよ。今度は梅雨ちゃんを紹介しに来るよ―――父さんに母さん」

 

そう言って立ち去ろうとする剣崎は片付けの準備を済ませて、雄英を目指して墓地を出ようとした時に背中を叩く押すような感覚を感じて思わず前に出てしまった。振り向くと其処には誰も居ない、気のせいなのか分からないが剣崎は笑顔を作りながら言った。

 

「いってきます」

 

―――いってらっしゃい。

 

雄英ヘと帰って来た剣崎は何時も以上に笑顔が眩しく、皆眩しそうにしていたそうな。

 

 

 

「私が来たぁっ!!久しぶり剣崎少年、元気か!!」

「はい元気ですよ、オールマイトの方も身体は大丈夫なんですか?オール・フォー・ワンとの戦いは相当激しかったって聞きました」

 

始業式後、剣崎は何やら重要な話があるという事なので応接室へと呼び出しを喰らっていた。一先ず、授業などは遅れるか出られないらしいので梅雨ちゃんにノートを頼んで応接室で待機していると久々にオールマイトがマッスルフォームでの挨拶をしてくるのであった。

 

「ああ大丈夫だ、正直君の治療を受けて身体はかなり万全な状態でなければ危うかったというのが本音さ。治療のお陰で私の身体はほぼ全快しているお陰で活動時間も大幅に伸びていた、それでなんとか勝ったと言うのが素直な所だよ。本当に感謝するよ剣崎少年」

「い、いえ俺こそオールマイトの役に立てて嬉しいですよ」

 

剣崎の持つラウズカード、それによって治療を施されているオールマイトの身体は殆ど全快に近い状態で肉体自体は8割程度は完全に治癒している。それもラウズカードの影響なのか内臓まで元に戻っていると言うのが驚きである、これも仮面ライダーとしての力の異常性なのか……と偶に思うが剣崎としてはオールマイトが元気で居てくれるのは嬉しい限りである。

 

「と言っても私の今の活動時間は3時間程度にまた縮まってしまったけど。まあ安い物と思っていた方がいいだろう、それに戦わなければ常時マッスルフォームでいる事も可能だからね!!」

「あっそうなんですか!?」

「うむっ!!実のところそれに気付いたのはつい最近でね、言うのすっかり忘れてた!正直すまなかった!!」

 

これも治療のお陰なのか、戦いさえしなければ活動時間を気にせずにマッスルフォームを維持する事が可能になった。これで心置きなく教師オールマイトとして授業を行えるとオールマイトも喜んでいる。

 

「それでその、俺を呼んだ理由って一体……?」

「うむ。実は橘君が君を呼び出して欲しいと訪ねて来てね、如何やら話があるらしいんだ」

「橘さんが……俺に、ですか」

「ああっ具体的な内容は把握していないが、重要な話がある様子だった。待っていてくれ今呼んで来よう」

 

そう言って席を立ってオールマイトは校長室で根津校長と話していた橘を応接室へと連れてくる。

 

「剣崎君、仮免の取得おめでとう。これでヒーローに一歩近づいたね」

「有難うございます、それと―――俺に何の話が」

「橘君、私は席を外したほうがいいかな?」

「いや出来れば貴方も聞いておいて下さいオールマイト、これから話す事は―――剣崎君のこれからの運命に大きく関わってくる」

 

その言葉に思わず二人は息を飲んだ。橘は懐からある写真を机の上へと置いた、複数枚あるその写真には何やら剣と盾を持った黄金の身体の怪物が映り込んでいる。それを観て剣崎が思わず言葉を失ってしまった、知っている。自分はこれと似たような物を知っている……嘗てショッピングモールと林間合宿で襲ってきたあの怪物らと似たいや、同じ存在。

 

「これは……なんだ、何処か虫の姿をしているようにも見えるが……ヴィランなのか?」

「そうでもあると言えますし、違うとも言える。剣崎君、こいつらと似た存在と君は戦い、そして封印しているはずだ。そして、その力を既に使っている」

「―――……あの姿……」

 

不意に思い出される林間合宿で使用した2枚のカードによって進化したブレイドの姿と圧倒的な力。しかしそれは橘から齎された物がなければなれなかった、即ち橘はあれらを把握している事になる。

 

「今の君には知る資格がある。今こそ言おう、あいつらの正体は―――アンデット。不死の生命体であり、地球上に存在している様々な命の祖と言える存在。そして―――私と君の父親が戦った相手だ」

「父さん、がっ―――!!?」

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