あまつかぜ 作:天津k
構想の時点で天津風を痛めつけるのが作者的につらかったのでオリ主ぶっ込んでやってみてるけどやっぱりつらい。
でも考えている展開的に曇らせなくちゃ……(使命感)
タグに日記形式有りとか付けた方がいいんですかね?
2話
あれから日も暮れてきた頃、扉が開かれ、緑色の制服を着た憲兵らしき人が、トレーに食料を乗せて入ってきた。
床にトレーを置き、一言「食え」とだけ言い、部屋から出ていく。
ご飯を出されなくてもしやとは思ったが、一応1食は食べさせてもらえることに少しだけ安堵しながらトレーに近寄る。
トレーに乗っていたのは、具のない……コンソメ?のスープと、固めのパン2つだ。
浸して食べろってことなのだろう。
そういえば、連装砲くんはものを食べるのだろうか?
チョイチョイっと連装砲くんを手招きすると、短い足を一生懸命動かしながら近寄ってくる。
「連装砲くんは食べられるの?」
そう聞いてみれば、首を振って否定してくる。
そうか、食べることは出来ないのか……。じゃあどうやって動いているのだろうか?
有り得るのは、ガソリンや電気などのエネルギーか、この身体と何かしらのつながりがあって、エネルギーも同じという可能性だ。
ぶっちゃけ突拍子もないけども、連装砲くんはこの体についた傷と同じ位置を損傷していたことからそう考える、不思議な存在なのでなんだかあっている気がする。
その部分は先程折れていた片方の砲身を、残っていた貫頭衣のボロきれで縛って繋げたため、私の頭のキズが治ったとき砲身も繋がっていれば証明?できるだろう。
いや、メチャクチャといえばメチャクチャな発想だけど、ぶっちゃけ連装砲くんが動いている時点でオーバーテクノロジーというか、"俺"の時に生きていた世界とはま根本から違う可能性もある。
それに、あの陽炎という少女、彼女が言っていた『陽炎型駆逐艦一番艦』という言葉、この言葉も気になる。
アニメみたいな話だが、なにかの装備の適合者だったりでもするのだろうか?
男の時の自分の記憶で、どこかで見覚えがある気がしたのも、とんでもない話だけど、ここがなにか創作物の世界と考えると色々と説明がついてしまう。
「考えれば考えるほどよく分からない……」
とにかく、他人頼りになってしまうけれど、彼女達が相応の戦果とやらを出してくれることに期待しておこう。
……やっぱりあんまり美味しくないな。
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一日目ー晴れ、あまり良い風ではなかった。
この日も、ここの提督は暇なのか一度私の元にやってきてストレス発散という名の暴行を与えてきた。
不幸中の幸いと言っていいのか分からないが、この身体は提督からすると幼くて欲情するようなものでは無いらしく、性的な暴力は行われなかった。
しかしこちらを監視していた憲兵らしき人の視線が怪しく、少し怖い。
それが終われば、また放置され、少しすると陽炎が面会に来る。そんな昨日とほとんど同じで、痛む場所が少し変わっただけだ、陽炎と話す内容も少し変わっていた。
ほかの姉妹艦……艦娘と言うらしいのだが、その娘達との最近の戦果などについて教えて貰う。
戦果やら何やらについて良くはわからないのだが、それでも「陽炎達は凄いのね」と褒めれば、彼女はそうでしょう?と勝気な顔を得意げに綻ばせる。
それから、本当にちょっとしたお土産との事で1冊のノートと、鉛筆は危険だから許可されなかったとの事で、炭の棒を貰った。
何も無くて暇だろうから、との事らしい。
そして、またある程度の戦果を上げるまではここに来れないことも教えられ、こちらを安心させるように一撫ですると退出して行った。
非常に情けない話だが頭を撫でられ、面会が終わるのを聞き、また早く陽炎との面会が来ないかと思ってしまい、その思考を自覚し、少し恥ずかしさを感じて悶絶してしまった。
なんとか立ち直ってからは、貰ったノートと炭で日記をつけようと決め、今日あったことをこと細かく書いてから目をつけられないよう、連装砲くんの入っていた箱の布の下に隠しておこうと思う。
それから、今日のご飯はカレーのルーの残り?だった。具は無い。
二日目ー晴れ、いい風
今日はあの提督は来なかったが、代わりに別の男が何人かやってきた。
そいつらは部屋に入ってくるなり、こちらの服を破くと、いつされているように踏んだり蹴ったりとサンドバックにしてきた。
普段提督が私を殴ったりしているのを見て俺たちにも貸してくれと言って来たらしい。
あの怪しい視線を送ってきた憲兵は居らず、ひとまず貞操の危機なんてものにはならなかった。
それでも、力加減なんてせず容赦なくこちらを蹴って来るし、一人じゃないため、口や頭、細かい部分も擦り傷で血が沢山流れていた。
昨日言っていた通り陽炎は来なかった。
今日のご飯は萎びてはいたが、大きめのキュウリと味噌で、それなりに食べ応えはあった。
三日目ー曇り、風はほとんどなかった
今日は珍しく誰も来なかったため、連装砲くんとお喋りをして過ごした。
連装砲くんはキュイとしか言わないけど、なんとなく言いたいことが伝わるから、きちんと会話になった……と思う。
今日のご飯は、お米で、今までで一番美味しかった。ただ、1部上に黄ばんだネバネバしたものが着いていて、変な匂いだったからそこだけ勿体ないけどバレないように窓から捨てておいた。
それから、ノートに昨日の血がついて、早速汚してしまったことが、少し悲しい。
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四八日目?あめ、かぜはよくない
なんどかぼうこうがはげしすぎて、いちにち、いしきを飛ばしてしまっていたことがあるから少し日がズレているかもしれない。
あと、きょうはもっとひどくて、てをきりつけられた。
いたいし、かんじをつかいづらいし、つらいけどにっきはわたしのたいせつな
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たぶん六二日目ー曇り、いい風
一昨日はノートがバレた。いままでバレてなかったことがある意味奇跡ではあったのだけども。
見つかったノートは、半分近くページをむしられ、バケツの水をかけられてボロボロになってしまった。
それでも、乾かしてなんとか使えるようになった。
あと、陽炎に連れられて、この体になって初めてお風呂に入った。
たっぷりと頭のてっぺんから足の先まで洗われ、今まで落としきれていなかった血の跡なんかも無くなってとてもスッキリとした。
3時間も時間を貰ったらしく、汚れのある場所も見つからないくらい、全身洗われたけど、その手つきが優しく、今まで痛みしかなかったから、自然と涙が湧いてきた。
陽炎にノートのことを謝れば、目を丸くしたあと、こちらを抱きしめて気にしないでと一言。
恥ずかしさから目を逸らしていたが、陽炎に向き合うと、彼女もボロボロだった。
足の辺りには何かにえぐられたかのような跡も残っていて、それを見ている私に気がついた陽炎は、これくらいなら、私達は入渠すれば跡も無くなるからへーキよ!と笑っていた。
それでも、頭の奥には私なんかか人質になっているせいで陽炎や、ほかの姉妹がもしかしたら私なんかよりもよっぽど辛い目にあっているのかもと考えると、私は居ない方がいいんじゃないかと思ってしまう。
今日は沢山書いたからこれくらいにしよう。
七二日目ー雨、酷い風が吹いている
今日は、初めて鎮守府の外、海に出た。
陽炎達や、主力の艦隊が出撃中に鎮守府の近くに深海棲艦という、陽炎が言っていた人類の敵が現れたらしい。
私も出撃しろといきなり言われ、目隠しをされながら出撃ドックに連れていかれた。
訓練も何も受けていないのを言えば、囮にでもなってこい、と、やらないのなら、帰還したお前の姉妹は部下の慰み者にすると脅してきた。
陽炎達を、そんなことをさせる訳にはいかないからと、出撃した。
艤装?を付けると、何かが流れ込んできて、どう動けばいいのかがわかった。
初めて出た海は、真っ暗で、真っ赤で、空気は重く風も酷い。
怖かったし不安でもあった。でも気づいたら、敵は全滅していたし、私も生き残れた。
なんだか無性に眠い
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気がつけば、モノクロの世界にいた。
昔の映像のようにノイズの入った世界。
そして見えるのは大きな船……これは軍艦?
その船を俯瞰で見ているような、いや、むしろ船の視点とでも言うのだろうか?
ちょうど、三人称のゲームで主人公の後ろ姿を眺めているように。
だんだんと映像に色がつき、音も鮮明に聞こえるようになってきた。
進水?天津風?
……どうやらこの軍艦、天津風の進水式の様子を見ているらしい。
その後もたくさんの景色が流れていく。
仲間の艦隊との行軍。
敵艦の撃沈。
敵艦載機に追いかけられ、これを迎え撃ったり、仲間が撃沈されたり。
多くの映像が流れていき、それにも終わりが近づいてきた。
仲間の本隊がやられて天津風のみが残り、息も絶え絶え、動かすのもやっとな状況。
座礁し、身動きが取れなくなった船に賊がやって来て乗員が撃たれてしまう。
もはやこれまでと、全員たちが船に爆雷を設置し、船を降りた……。
そして……。
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「っはぁ!」
思わず飛び起きてしまった……でも、なんとなく分かった、今の夢はきっとこの体の前の記憶。
あの少女が、自分のことを陽炎と名乗っていたのは、コードネームなどではなく正しく彼女自身が元々軍艦だったということなのだろう。
そして私は陽炎型駆逐艦九番艦、天津風。
これも、コードネームなんかじゃない。この身は……。
「そんなことより……今の時間は……」
昨日は日記を書いている途中で、初出撃の疲れから寝落ちしてしまっていたらしく、窓からは朝の日差しが見てとれた。
見つかったらまた何かされそうなので、新しく見つけた連装砲くんの、弾を入れる場所の蓋の裏にノートを隠しておく。
そこまでしてようやく思考を戻す。
たぶん、先程まで見ていた夢は、あの艤装とやらを付けた影響で見たのだろう。
連装砲くんも、艤装の一部だった。
他の人の装備をちらりと見たけども、自律型の装備を持っている人は居なかったので珍しいのだろうか?
まあ、何にしても
「連装砲くんが居て良かった。」
心からそう思う。
誤字報告とかお願い致します。